エロゲー世界に神様転生したのに負け組じゃないの?   作:のぶほし

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第一章「総統選挙編」のプロットが最後まで完成しました。

小選挙区が終わるまでが第一部。
中選挙区、大選挙区、総統選挙の起承転結の四部構成です。

今日から複数話は毎晩0時に予約投稿済みです。


第09話 衝撃デビュー作戦プロジェクト・ニュンフェ

 

――――ベルリンフィル VTVNの控室、第04週――――

 

「はじめまして、6923プロのグレシア・ゲッベルスです」

 

「は、はじめまして……

 私がレーティア・アドルフだ……です」

 

ゲッベルスはレーティアに「いつも通りで大丈夫だ」と事前に伝えていた。

相手が巨匠VTVNであろうとも、物怖じすることはないと考えていたのだ。

にもかかわらず、いつもと違って人前で緊張する少女の顔を訝しげに眺める。

 

ゲッベルスの視線に気づかないレーティアはVTVNの目を静かに見つめて、

しっかりと細い腕を伸ばし、気持ちの籠った言葉と共に握手を求める。

 

「私はVTVN先生の大ファンです。お会いできて光栄です。

 発明に関する先生の論文は中学生のとき全て目を通しました。

 発明と発見を愛するようになった私の原点です」

 

Σ(; ゚Д゚) レーティアが敬語を使うなんて初めて見たわ。

 

ゲッベルスが驚きの表情と素の言葉を思いっきり表に現す。

 

(私だって敬意を払うべき相手には、それなりの対応をするさ)

 

レーティアは内心で呟きながら、VTVNと握手と言葉を交わす。

 

「特に交響曲は宇宙空間での艦隊戦のBGMにピッタリだと思います。

 もし銀河を舞台に英雄たちが駆ける戯曲を私が書くなら

 音楽の中核は先生の交響曲になるでしょう」

 

「ふむ。私の歌劇(オペラ)作品を称賛する者は多いが、

 交響曲や指揮に関しては超モダンだと批評する者もいるがね」

 

「それは先生の天性の才を理解できぬ愚者の戯言です」

 

「うむ。今どきの候補者(アイドル)と聞いていたが、

 古典音楽(クラシック)にも精通している様で嬉しい」

 

候補者(アイドル)の私という存在に誤解があるようですが、

 流行曲(ポップス)よりも古典音楽(クラシック)の方が私は好きです」

 

「ふむ。では、一つ博識な君に質問しよう。

 私の歌劇(オペラ)作品と交響曲作品の違いは何だと思うかね?」

 

「元宮廷指揮者で“楽劇王”の別名でも知られる先生の歌劇は、

 ドクツ国民の抱くロマン、精神性に訴えかける作品だと思います。

 熱狂的に先生の歌劇を好むファン“ワグナリア”がいるのも納得ができます」

 

「……ふむ」

 

「比べて交響曲は、特定の国や星域に囚われてない作りのように私は感じます。

 私は無限旋律と呼ばれる先生独自のメロディの大作歌劇も好きですが、

 ドクツに囚われるず欧州星界域の全てに広がるような壮大な交響曲の方をより好みます」

 

「なるほど。失礼だが、君は本当にドクツ人かね?」

 

「生まれは今は無きハプスブルク帝国ですが、私の魂はドクツと共に」

 

「むう。私と同じハプスブルク帝国の生まれか」

 

「はい! 先生は音楽の都である惑星ウィーンで、

 聴衆や評論家との折り合いが悪化し苦労なされたと聞きました。

 私も幼い頃から先生の芸術に憧れて過ごしていました。

 そこで発明家としての一面も知って論文も読みました」

 

「芸術・発明、双方に精通した私のファンは珍しい。

 今の私は世間からドクツ人の音楽家であることを求められているが、

 未だに部外者、アウトサイダーとしての意識が消えていない。

 歌劇はドクツ人としての私の苦悩が生み出した作品だ」

 

「では、交響曲を生み出した先生はなに人ですか?」

 

「よい質問だ。あの交響曲を生み出した私はボヘミアンだ(Ich bin ein Böhme.)

 君が私の曲を望むなら、ドクツ人としてではなく、

 一人のボヘミアンとして作曲を引き受けるがどうかね?」

 

「VTVN氏、それはレーティアと独占契約を結んでくれるということでしょうか?」

 

トントン拍子に進む話に理解が追いつかず傍観していたゲッベルスが、

6923プロのマネージャーとしての職務を思い出して口を挟む。

 

「当然です。ヘス代表との約束は守りましょう。私は天才であります。

 他の天才を見抜けぬ、天才に意味など無いと思いませぬか」

 

「……天才ね。レーティアといい、私には無縁の世界よ。

 けど敵を作りやすい素の性格については天才の共通点なのかしら」

 

やれやれとゲッベルスが手を挙げるとレーティアが勇気を振り絞って声を出す。

 

「……先生、私を弟子にして欲しい!」

 

「歓迎しよう。レーティア君。私は君の師となり、教え子として導こう。

 いずれドクツは真の天才を迎えるであろう。

 天才とは表現によって人々に喜びを与える存在。

 それが天才の責務であり、また喜びであることを君はいずれ知るだろう」

 

レーティアが喜びの表情を露わにする。

 

(あー、すごくイイわ! 最高よ、レーティア! 盗撮できないのが残念だわ!!)

 

ジャッジャッジャッジャーン!!

 

VTVNは控室に置いてあったピアノで独奏する。

繊細な指使いから、落雷のように激しく音楽を刈り取る。

 

「私の時代は終わり、君の時代が来るのです。

 それまで私が君のそばで生きていられたらよいが!

 だが君は、私の光よ! 君はきっと生きてその日にめぐりあえるでしょう!」

 

ドクツ最高の天才との会合が、レーティアの情熱に連鎖爆発を起こす。

また、この日の出会いがレーティアの初期政策の中にあった

僅かな選民思想(大ドクツ主義)を見直すキッカケの一つになったと後にゲッベルスは語っている。

 

 

――――6923プロ会議室 作戦会議、第05週――――

 

おはよう。プロデューサーの一日は、

イメージ戦略の流行を知ることから始まる。では今日の最新流行――

 

ゲームが違うわよ! ( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン

 

総統選挙(アイドルアルティメット)は、一にビジュアル、二にビジュアル、三にビジュアル。

 確かに有権者が興味を持っている話題というのは存在するけど、あくまで目安よ。

 小選挙区や中選挙区の有権者にとって

 アイドルのボーカル(政策能力)やダンス(実行力)なんて飾りに過ぎないわ。

 偉ぶってる高尚な専門家とやらはそれが分かってないのよ!」

 

ゲッベルスが会議室の中央で大々的に宣言する。

 

「これがレーティアの衝撃デビュー作戦。

 妖精計画ことプロジェクト・ニュンフェの企画書よ!

 デビュー曲は歌詞(政策)を含めてVTVN氏が用意してくれるわ!!

 『妖精』(Die Feen)という歌劇(オペラ)を作曲したことのあるVTVN氏のお墨付きよ」

 

ド━━━━m9(゚∀゚)━━━━ン!!

 

「ふむ。我が6923プロは設立当初から

 世界を変える魔法少女(新人アイドル候補者)を大々的に売り出そうと努めて来た。

 資金の面もシューペア君がお陰で問題なくなった。ゲッベルス君の計画に異論はないよ」

 

はーい(,,゚Д゚)∩ゲッベルス先生質問です。

 

「なによ。プロジェクト・ニュンフェのネーミングに文句でもあるの?

 それとも作詞(政策)に関われないのが、政策担当プロデューサーとして不満?」

 

確かに妖精計画(プロジェクト・フェアリー)の名前は前世の知識(アカシックレコード)に引っ掛かる。

VTVN氏も作曲としての名声に比べ、政策に基づいた作詞家としての力量が未知数のは確かだ。

しかし、そこは問題ではない。問題はお前の企画書だ。この馬鹿女(ゲッベルス)ヽ(`Д´#)ノ

 

こいつは悪い意味で天才肌(キュート)というか感覚派(パッション)だ。自分の感性を言語化・数値化ができない。

妖精をニンフェとする素のネーミングセンスもアレだ。

日常で「勝負はネバーギブアップしてはいけない」とか言っちゃうタイプだ。

 

現役時代に天才と呼ばれたあるサッカー選手が監督になった際に自らのシュートを

「球がこうスッと来るだろ、そこをグゥーッと構えて腰をガッとする、

 あとはバァッといってガーンと蹴るんだ」

とか身振り手振りで選手に説明したらしいが……ゲッベルスは、その同類だろう。

 

妖精計画の企画書も数字や具体的なプランAの中身が全く書かれていない。

 

「ドカーンとデビューして、

 ワーッとなって、

 グッとなって、

 \(^o^)/バンザーイ」

 

この企画書が他の芸能事務所に流出しても妖精計画の全容を知るのは不可能だろう。

 

C級アイドルを目指すには、最低でも10万人の支持者(ファン)が目安だと言われている。

小選挙区(Cランク)の活動を通して投票最終日には30万人以上の有権者の支持を得ることが必要だ。

 

「1st曲のリリースが第6週から遅れて第8週になった。

 あのVTVN氏が制作するんだ。選曲に不安はない。

 問題は小選挙区の最終投票日が第12週にもかかわらず、

 未だにメディアへの露出を制限するって何を考えてるんだ?」

 

万に満たない支持者の数はカウントされておらず、

アイドル候補者レーティア・アドルフの知名度はストロングにZEROだ。

 

情報通の俺は毎日の多様な情報を欠かさずチェックしている。

オススメは総統選挙特集が大人気の欧州情勢の情報サイト『大海賊』(でらべっぴん)だ。

運営者はガメリカ人で第三者の視点から欧州の芸能界(ファンシズム)の動向を冷静に見守っている。

このサイトはViDaVoの総合評価に評判を加味したイメージレベルを業界に広めた。

 

【アイドルランクE~D(小選挙区を勝ち抜くのは不可能)】

 

Lv1 素人レベル

Lv2 半人前アイドル

Lv3 無名アイドル

 

【C級アイドル(中選挙区を勝ち抜くのは難しい)】

 

Lv4 一部で人気のアイドル

Lv5 気になるアイドル

Lv6 要注目アイドル

 

レーティア・アドルフのイメージレベルはポテンシャルはともかく

現状はLv3の<無名アイドル>と言ったところだろう。

 

いくら強力な候補者だからといって通常営業(プロモーション)街頭演説(ステージ)といった

選挙活動(プロパガンダ)も無しに支持者(ファン)を集めることは不可能だ。

レーティアは選挙ポスター(グラビア)撮影さえ行っていない。

 

「だから、ドカーンとデビューするって書いてあるじゃない?」

 

「具体的には? 小選挙区の公開討論会(エリアオーディション)の数は日程的に限られてくるぞ?」

 

アイドル候補者は選挙区(ランク)ごとの地域討論会(エリアオーディション)に参加するのが普通だ。

B級アイドル候補者になり、大選挙区の舞台(決戦のバトルフィールド)になってから、

ようやく全国規模の公開討論会(オーディション)に参加できるようになる。

 

「はあ……馬鹿じゃないの?

 ドカーンとデビューできる特別な公開討論会(スペシャルオーディション)なんて

 ワーッとなるような舞台(ステージ)は小選挙区には一つしかないじゃない」

 

特別討論会(スペシャルオーディション)とは<四大討論会-グランドスラム->とも呼ばれ、

数ある公開討論会(オーディション)の中でも格式の高い四つの特別な討論会を指す。

 

注目度は全国規模であり、勝者のファン増加数は他の討論会とは比べものにならない。

当然ながら難易度も高い。参加条件が厳しく、粒ぞろいの参加者が揃う中で合格枠は一つだけだ。

 

活動25週以上のBランク候補が最低参加条件の長寿番組「LONG TIME」は大選挙区。

全ての政策通ボーカリストが、一度は参加を夢みる「歌姫楽園」も大選挙区。 

オーディション不敗の候補者しか参加できない「TOP×TOP!」は中選挙区。残るは……。

 

「まさか“ルーキーズ”でデビューさせるつもりか?

 あれは全国規模で放送される党首討論会(ライバルオーディション)だぞ!」

 

小選挙期間に行われる新人アイドル限定オーディションの最高峰(全国区)が「ルーキーズ」だ。

党首討論会(ライバルオーディション)は、党首と呼ばれる政党団体(プロダクション)の代表候補者(アイドル)が、

直接対決する形式の公開討論会(オーディション)で、上手く勝てば数多くの相手ファンを引き抜ける。

しかし無様に負ければ候補者のみならず政党団体そのものが支持者を失う可能性がある。

芸能事務所(プロダクション)にとてはリスクの高い舞台(ギャンブルステージ)だ。初お披露目に選ぶのは普通ではない。

 

「そうよ。私たち6923プロ所属のアイドルはレーティア一人だけ、

 芸能事務所の代表アイドルつまり党首として何一つ問題はないわ。

 レーティアには中小の地域討論会(エリアオーディション)みたいな舞台(ステージ)は狭すぎるの。

 私はレーティアをスペシャルオーディションを中心に参加させるつもりでいるわ。

 プロジェクト・ニュンフェのプランAは、その序章に過ぎないの」

 

バ━━━━━ヽ( ゚Д゚)人(゚Д゚ )ノ━━━━━━ン

 

「ふむ。私もレーティア君なら四大討論会-グランドスラム-を制し、

 レジェンドの称号を得ることができると信じている」

 

グランドスラムの制覇を達成したアイドルはレジェンドと呼ばれ、

アイドルアルティメットが始まる前までトップアイドルとして最大級の称号だった。

 

候補者の特徴を表すアイドルタイプの分類一つ[万能型-レジェンド-]の語源だ。

 

これは四大討論会-グランドスラム-を制覇するには、

候補者に必要な三要素ViDaVo(魅力・手腕・政策)の全てがハイレベルである必要があるからだ。

一極集中型(スペシャル)二極集中型(エクストラ)候補者(アイドル)で、四大討論会(グランドスラム)を全て制した者は殆どいない。

 

例えばカリスマ一流芸能人として有名な男性アイドル

ビジュアル系ボーカリスト(エクストラの才能)のカクトでさえグランドスラム制覇は成し遂げていない。

 

「ヘス代表の言う通りよ。私はレーティアをレジェンドを超えるアイドル(究極万能型)だと信じている。

 常識的に考えたらダメなのよ。私たちが目指すのはアイドル総統(アイドルマスター)の地位一つよ。

 握手券(パーティー券)を一枚も売らずに政党資金を確保したアナタの手腕は認めるわ。

 けどそれは票読みや人員手配などの選挙ノウハウを商売道具としている選挙屋の範囲ね」

 

「選挙屋って言葉は気に言わらないが、プロの職業選挙参謀としては当然だろ?」

 

通常営業(ドブ板選挙)資金営業(プロモーション)選挙ポスター(グラビア)撮影、

 レッスンの方向性、オーディションの選択、リリース曲の選択……。

 どれもが平均型(ノーマル)を対象とした攻略Wikiサイトにあるような定跡ばかりよね。

 それって選挙におけるアイドル候補者の応援を趣味とする

 一般人のアマチュア選挙屋プロデューサーと何が違うのかしら?」

 

(@益@ .:;)ナンダト

 

「まあまあ、ゲッベルス君。シューペア君は業界に入って日の浅い新米Pだ。

 ゲッペル君もマネージャー兼任の見習いP。敏腕Pへの道のりは遠いよ」

 

ぐうの音も出ないが、ゲッベルスはいつも俺につかっかってくる。相性は最悪だ。

人格者のヘス代表が常に間を取り持ってくれるから事務所の雰囲気は悪くはないが……。

 

「6923プロの代表としてゲッベルス君のプロジェクト・ニンフェを承認しよう。

 新人アイドルのアドルフ君を党の代表候補者(世界を変える魔法少女)として大々的に売り出そうじゃないか。

 ゲッベルス君に限らず、シューペア君も思う通りの企画を立ち上げてくれて構わない。

 私が承認した企画は芸能事務所として責任を持って推し進めようじゃないか」

 




構想としては第一章のみだったのですが……。

アイドル総統となったレーティアによる、
世界恐慌の不景気「ワルプルギスの夜」との戦い。

原作ゲームにあったローベル賞三部門の受賞理由など
ドクツ第三帝国の誕生から第二次世界大戦の開戦前夜まで書いた
第二章「第三帝国編」のプロットも一万文字レベルであります。

ご迷惑かなと思ったのですが、
えろかみ大帝国(R-18)の笠福京世様からも大絶賛されて嬉しかったです。

今後も更新をガンバリマス。

VTVNは原作の元ネタ作曲家にプラス2名の作曲家ネタを加えています。
各オリキャラの設定は1キャラ3人くらいの元ネタを闇鍋にしています。
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