リリカル要素が少ないです。
白神レンは夢を見た。
登場人物は1人、ローブを羽織りグローブを付けた金髪の少年。
舞台はどこかの林、レンはそこに見覚えがあり、確か、近くの公園だったはずだ。
時間も遅いようで空は真っ暗、少年のような年齢ではまず外へ出ないそんな時間に少年は林の中にいる。
夢だけあってか、異常な光景である。しかし、異常はそれだけでは収まらない。
少年が立ち止まった瞬間、草むらから人間でも動物でも植物でもない何かが飛び出してきたのだ。
だが、少年は驚くこともせず、冷静に何かをまっすぐ見ていた。そして赤い宝石を出して前に掲げた。
「妙なる響き、光となれ! 赦されざる者を、封印の環に! ジュエルシード、封印!」
少年がその呪文を叫ぶとともに少年の目の前に魔法陣が現れて、飛び出してきた何かと衝突した。
「ぐっ!」
少年は何かを封印するために集中するのだが、何かの力が予想より強かった所為か、魔法陣が破壊され、少年は後ろの木に衝突した。
「く、そ……」
何かは少年に見向きもせず、その場から飛んでいった。それを追いかけるために少年は立ち上がろうとしたのだが、ダメージが大きく倒れてしまった。
「という夢を見たんだ」
「……………………」
海鳴市にあるお嬢様校――聖祥大学附属小学校の教室内の窓際の席で白神レンは自分の前の席に座る楠木始に夢のことを話していた。
始はレンにとって、またレンは始にとって、唯一無二の親友だ。だから学校のお昼休みにこんな無駄話ができるのだが、こんなよく分からない夢の話はされて、流石に苦笑いをせざる得なかった。
「えっと、レン? その夢の話を聞いて僕はどうすればいいの?」
「ん? いや、特に理由はないんだけど……強いて言うなら俺これから面倒事に巻き込まれるからっていう報告」
「いや、そんな報告されても…………」
確かに変な夢を見ただけなのに面倒事に巻き込まれるとか言っている友人のうわ言は至極どうでもいいものだ。なので始は少し話を変えることにした。
「それはそうと、レンって神様とか信じる?」
「どうした唐突に?」
「実は今日、テレビの占いも雑誌の占いも僕、最下位だったんだ。しかもどっちとも、レンと一緒で面倒事があるって」
多くの占い師に喧嘩を売ってしまうかもしれないが、占いというには基本、当たらない。大抵は1日の一部を当てはめて当たったと思うだけだ。
しかし、稀にだが、当たるときもある。それも気持ち悪く思えるほど明確に指示を出され、的確に的中する。
今回の場合、別々占いで同じことを言われたというのは珍しいことだ。こういうのは稀の中に入るだろう、レンはそう思った。
「そうか。お前はそれを神様の所為だと思ったのか」
「うん。それでどう思う?」
「う~ん…………いると言えばいるし、会いたければ会えるぞ」
「えっ!?」
始の驚きも当然のものだろう。いるかいないかを訊いたのだからいると答えられることは当たり前だが、その上会えると答えられたのだから。
「あ、会えるって、神様に?」
「今の会話からそれ以外何があるっていうんだ」
確かに今の会話からすれば神様しかない。しかし案外それ以外の可能性がないとも断然できない。まぁ、神様のことであっているのでその可能性を考える必要はない。
「まぁ、それなりの苦労はあるが会えるには会える。知ってるか? 木ってのは神様と密接しててな、天界、つまり神様の世界へと繋がる道って言えるんだ」
北欧神話におけるイグドラシルや生命の樹、カバラのセフィロトの木、日本だって神木という言葉があるほど、木というもには神様と切っても切れないものがある。
「へぇ、なら木を用意すればいいの?」
それなら簡単だ、と始は思ったのだが、レンは首を横に振った。
「それじゃあ無理だよ。木ってのは人間界のもの、それをまず天界のものに昇格させる必要がある。まぁ、これにも色んな方法があるんだけど、一番簡単なのは命かな」
「い、命?」
「そう、"1人を殺せば殺人者だが、100万人殺せば英雄だ。殺人は数によって神聖化されられる"。どこかの喜劇王が言った言葉、これまさにその通り、的を得てるよ。100万人分の命を木に染み込ましたら木は神聖化されて天界と繋がる」
「それで、一番簡単なんだ…………」
100万人を殺すことが一番の近道なのならば、一体それ以外は何があるというのか、始は想像するだけで身震いした。
「ただ、あくまでこれは理論上であって本当かは分かんないぞ? 俺も試したことないし」
「試さなくていいよ。というか、そこまでして会いたくない」
こんなどうでもよく、下らない、後の人生で何の役にも立たないであろう無駄な話をするレンと始、特に何だ変わりない日常だった。
今回はお試しなので次に②を投稿した後、またしばらく投稿されません。
活動報告にてアンケートがあるので答えてくれたら光栄です。