新年早々、異国の地に来ており執筆が遅れました。
取り敢えずユフィに【畏怖】による状態異常から回復させてもらって、ワンダーベア達の硬直が溶けるのを待つことになった。その間に俺が少し砂浜の周りを散策することになった。
ヤシの木の下を探ってみるとワンダーベア達の住処が見つかった。ヤシの木の幹や葉、それに実の繊維を余すことなく利用しているみたいだ。
取り敢えず今日の分の食料として、海面に見える魚を魔法で仕留めてから持って帰る。青ブダイが二匹ほど捕まったから十分だろう。
「ゼクトーー‼︎ ベアちゃん達が動き始めたわよ〜 」
「はーい。今行くわ〜 」
カレア達のところに戻ると、彼女達を中心としてクマのぬいぐるみが数百体土下座しているというなんともシュールな光景に出くわした。どうやら彼らの中で格付けが終了したらしい。
土下座するベアの中から一体が手に木の蔦で出来た腕輪を持って進み出てユフィへと献ずる。腕輪には深緑色の魔石、ワンダーベアの核が埋まっている。この群れの王冠だ。
「どうやら王冠の所有者はユフィに決定したらしいな。」
「は、はい‼︎ これからよろしくお願いしますね‼︎ 」
ユフィが魔石付きの腕輪をはめて、ペコリとベア達に向かって頭を下げる。
「みゅーい‼︎ 」「みゅー‼︎ 」「みゃ‼︎ 」
「みーー‼︎ 」「みゅーい‼︎」「みゅい‼︎ 」
ワンダーベア達が拳を天に突き立ててみゅいみゅい叫んでる。多分これ人語だと「いぇーい」とか言ってるんだろうな。
「よっしゃあ、先ずは日が暮れる前に俺たちの小屋を作るぞ。ベアちゃん達も手伝ってくれな。」
ジェスチャーで小屋の形を頑張って伝えると、少し悩んでから「みゅい‼︎ 」って言って親指を立ててくれた。多分伝わったはず。
「ここに家を作るの?」
「いや、ここは一時的な拠点にするだけだな。もうちょっと島を探索してからいい場所見つけて家はそこに建てる。」
取り敢えず雨風を数日間しのげる小屋ができれば十分だ。日が暮れる前に作らなきゃいけないけど、いかんせん俺たちの3人とベアちゃん達だけじゃ人手が足りない。
しょうがないから助っ人を作るか。
「地の神よ、主が眷属の力を我にも分け与えたまえ、【器人創成】サンドゴーレム‼︎ 」
魔導を使って海岸の砂からサンドゴーレムを10体ほど作った。魔導は魔術と違って詠唱が長いのがめんどくさい。いちいち神様にお伺いを立てないといけないのが大変だ。
いきなり現れた砂の巨人に驚いてベアちゃん達はみゅいみゅい騒ぎ出したが、俺が「大丈夫だよ〜 」というジェスチャーを送ると安心して今度は肩に乗って遊びだした。
「ユフィはベア達とサンドゴーレムを半分率いて奥の森から木を調達してきてくれ。なるべく真っ直ぐのやつな。カレアはその護衛をしてくれ。俺はゴーレムと場所の整備と物集めをする。」
「了解です‼︎ 」
「わかったわ。」
「みゅい‼︎ 」
ユフィ達が森へと行くのを見届けてから俺は残った五体のサンドゴーレムに見つけた適当な場所でひたすら足踏みをさせる。こうすることで土が締まって地盤がしっかりするはず。その間に俺は魔法で亜空間に収納しておいたハンモックやらイスやらを出して整備をしておく。
「ただいま〜 たくさん取ってきたわよ〜 」そうこうしているうちにカレア達が戻ってきた。サンドゴーレムが一体につき木の幹を十数本抱えている。これだけあればそこそこのログハウスが作れるだろう。
◇
「で、できた………疲れた…… 」
「疲れました……… 」
「疲れた……… 」
「みゅー 」「みゅいぅ」 「みゃ」
なんだかんだで小屋が出来上がった頃にはもうほとんど日が沈んでいた。急ピッチで建設を進めた割にはなかなか良い拠点になったと思う。
小屋といってもかなりの広さがあるし、ベッドは二段ベットが5個も入っている。トイレには浄化魔法を付与したから、排泄物は一瞬で綺麗な水や土になる。少し調子に乗ってシャワー室とかキッチンまで作ってしまった。
拠点を中心として200mの魔獣と魔物に対する結界を張ったから、竜クラスの魔物でない限りは結界を破って侵入することはできない。あ、けどワンダーベアは自由に出入りできるようにもした。
「疲れたけど、お腹すいた…… ゼクトごはん早く…… 」
「なんで俺なんだよ…… ユフィだろ… 」
「ゼクトさん早く……… 」
「なんでだよ……… 」
しょうがないからキッチンに立って料理を始める。材料は青ブダイがあるから…… あんかけと刺身でいいや。
まずは1匹の鱗を落として捌いて三枚におろしてから刺身にする。もうは1匹も鱗を落として素揚げにしてから、隣の魔力式コンロで作ってたあんをかけて完成だ。
魔力式コンロもフライパンも包丁も全部収納魔法に突っ込んでから持ってきた。収納できる物の量は術者の魔力量に比例するので、俺は相当な量を収納できるはず。調味料や油とかも王都を発つ前に大量に買い込んできたから、3ヶ月くらいは持つだろう。
あぁ、そういえばこんなものも収納してたなぁ。頑張ってくれたベア達にプレゼントするか。
◇
「いただきまーす」
「「いただきます。」」
「「「みゅーいみゅ」」」
砂浜にたき火を焚いてみんなで食事を囲む。まぁそうは言っても、実際に食事を囲んでいるのは3人だけで他はジュースを飲んでいるのだが。ちなみにサンドゴーレム達はもう砂に戻した。自然を大切に。
「みゅひ⁉︎ 」 「み? 」 「みゃあ‼︎ 」
「みゅん‼︎ 」 「みっ⁉︎ 」 「みゅ‼︎」
後ろのワンダーベア達がエキサイトしている原因は俺がプレゼントしたものだ。
ワンダーベアは口が小さいので固体のものを食べない。だから大体はヤシの実を主食にして、そのヤシの木の下に住処を作る。お礼に美味しい食べ物をあげても喜んではくれない。
だから美味しい飲み物をあげた。
トロッとした黄金色の液体、マンゴージュースをプレゼントしてやった。
俺は一時期マンゴージュースにハマっていた時に「俺は今後飲み物はマンゴーだけでいい。」とか言って大量購入したのを【収納】したまま忘れていたのがあった。
一口飲ませたらそれはもう大喜びして超絶エキサイト。後ろで回し飲みしながらお祭り騒ぎになっている。
「やっぱりゼクトは流石料理上手いわよね。」
カレアが刺身を口に放り込みながら言う。まあそりゃ侵攻中の食事は俺とユフィがずっとやっていたからね。冒険者時代は一人暮らしだったし。
「そうだろう。良い主夫になるから婿に貰ってくれても良いんだぞ。」
「なっ⁉︎ ……………まぁそうね。ゼクトが王様になったら私も姫騎士から王妃にジョブチェンジしてあげるわ。」
はえっ?
おっ?
あれっ?
いつものカレアちゃんなら「なっ⁉︎ 私にだって選ぶ権利があるんだからねっ‼︎ 」とか言うと思ったのに。
「おおおおおう、そうか。言ったな‼︎ もう言質取っちゃったからな‼︎ 」
からかうつもりで言ったのに反撃されるなんて予想外だった。
当のカレアはそっぽ向いて海を見つめている。顔が赤く見えるのは焚き火のせいだろか、まぁそうだろな。いやそうか?いやそうか。
両隣のベアの肩を組んで引き寄せる。
「なあお前ら、俺頑張ってこの島で王様になってみせるわ。」
「みゅい? 」
「だから今後も手伝ってくれよ。」
「みゅ?みゅーい‼︎ みっ‼︎ 」
親指を上げて「よっしゃ‼︎ 」みたいにしている。こいつら実は俺らの言葉わかってたり?は、しないか。
次話は明日投稿します。
読んでくれて本当にありがとうございます。
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