竜の棲む島、俺が統治します   作:浅葱揚羽

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前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまって申し訳ありません。9話〜12話はもう執筆してるんですけどね。8話に苦戦中でございます。


7話 エリス、そして雷オオカミ

取り敢えずエリスにユフィの服を着せた俺たちは、エリスの力を見るためにも試しに勝負してみることになった。

 

まずカレアとエリスが戦った。

カレアが圧勝した。

次に俺が魔法なしの近接格闘だけでエリスと戦った。

俺が圧勝した。

ユフィも近接格闘だけでエリスと勝負した。

ユフィが圧勝した。

しょうがないからワンダーベアとエリスを勝負させてみた。

ワンダーベアが圧勝した。

 

 

カレアに負けるのはいいとして俺やユフィ、ましてはベア達に負けるのはやばくない?

 

その後色々やってみて更にポンコツぶりが判明していった。

海に入ると溺れ、ヤシの実1つを持ち上げるだけでクタクタになり、ベア達と徒競走させると完敗。

 

 

 

…………⁉︎

 

「嘘だろ⁉︎ お前よっわ‼︎ 幻獣なんですよね⁉︎ あのキマイラ達の上位種なんだよな⁉︎ 自分で高位の幻獣だとかダークホースとか言ってたよな⁉︎ 」

 

それに対してエリスはというと

「うるせぇ。私は成長が無限な代わりに初期能力が低いの‼︎ だから早く美味しくて強い魔獣の肉を持って来てって言ってんじゃん‼︎ 」の一点張りである。

 

あれ?この娘って使えない子?

 

 

 

 

「はぐっ。ゼクト美味いぞこれ‼︎ やればできんじゃん‼︎ やれば〜 」

 

いや、何様だよ。カレアとユフィが探索兼食料集めをしている間に俺は取り敢えず森で雷オオカミと海からウォーターリーパーを獲って来て食べさせることにした。

獲ったそのままをぶつ切りにして渡したら、「高位の幻獣は生肉なんて食べない。」とか抜かしてきやがった。しょうがなく全部唐揚げにしてから食べさせてるってところだ。

 

 

「お望み通り雷系の魔物を持ってきたぞ。雷オオカミの固有能力は【雷撃】だからそれを取り込めるんだろ? 」

 

「もひろん。まはせほって。」

エリスは口いっぱいに唐揚げを詰めたままモゴモゴ答える。こうやってみると見た目の年相応の普通の子供みたいだな。

 

雷オオカミの使う【雷撃】はその名前通り口から雷を放つ能力だ。一体一体の雷は当たっても体が麻痺する程度なんだが、十匹単位の群れで生活する習性がある雷オオカミは、大抵群れでタイミングを合わせて雷を撃ってくる。直撃したら即死、下手したら丸焼けになって身体が内側から弾け飛ぶ。

ただ、雷オオカミは【雷撃】を3発くらいしか撃てないしモーションがゆっくりだから避けることはそこまで難しくはない。中級冒険者は普通は雷オオカミから逃げ回って魔力切れを起こさせてから討伐する。

 

俺はというと、ギリギリ目視できるくらいの距離から【光槍】を穿って一匹だけ仕留めた。魔術の精密なコントロールができたらわざわざ戦闘に持ち込む必要はない。

 

 

「よし‼︎ いける気がする‼︎ 私の【雷撃】があの木を爆散させる気がする‼︎ 見てろよゼクト〜 」

いつのまにか大量の唐揚げを完食していたエリスがやる気いっぱいといった様子で立ち上がり、掌を近くの手頃な木へと向ける。

エリスが目を閉じて魔力を練り上げ始めると空気が変わった。流石は幻獣、空気がピリピリするほどの大きな魔力が練られているのを肌で感じる。

 

「いくぞ〜【雷撃】‼︎ 」

 

 

ピリッ

 

 

………?

今エリスの掌からちっちゃな火花が飛んだような気がするけど?

 

俺が何も言えずに固まっているとエリスがゆっくりとこちらを振り向く。

 

 

 

「あはは、爆散は無理だった。」

 

「雷どころか静電気じゃねぇかよ⁉︎ お前ポンコツだろ、そうなんだろ? あんまりポンコツだと放逐すんぞコラ。」

 

「やめてぇ‼︎ いま放逐されたら死んじゃうから‼︎ 」

エリスが泣きながら懇願してくる。この状況って側から見たらアレだな、半泣きの幼女に怒鳴り散らす成人男ってか。今すぐにでも憲兵にしょっぴかれそう。

あ、けどこの島は治外法権だから大丈夫か?いや、倫理的にダメだ。

 

 

「多分能力を奪うためには一匹食べただけじゃ足りなかっただけなんだよ。現にステータスはちゃんと吸収して強くなってるの。ほら。」

そう言ってヤシの実をスッと持ち上げる。なるほどさっきの苦労して持ち上げてた食べる前よりは強くなってるみたいだな。

 

ということは雷オオカミと一緒にウォーターリーパーを食べさせたからエリスはある程度泳げるようにもなっているってことか。ウォーターリーパーは水辺に生息する魚の鱗を持つカエルみたいな魔獣だ。固有能力はないけど泳ぐのが上手だからエリスもある程度吸収しているだろう。

 

「で? 何匹くらい食べたら【雷撃】できるようになりそう? 」

 

「ん〜 今のこの感じだと10体くらいは食べないと無理かもしれないなぁ。」

 

「そうかぁ。10体か……… 」

正直なこと言うと雷オオカミはそこまで数を減らさせたくはない。狼系や犬系の魔獣は上下関係のわかる賢いのが多いから、もし上位種の魔物の王冠を手に入れたら魔獣でも配下になってくれる可能性が高い。そうすれば将来的に戦力として使えるんだけど……

まぁ魔獣は繁殖力が強いから10体くらいなら討伐しても大丈夫かな。この広い島にあの群れだけってことはないだろうし。

 

「よし、わかった。じゃあ群れ一個殲滅して狩ってくるわ。お前も行くか? 」

「行く〜 私のアイアンクローで瞬殺してやるぜ‼︎ 」

 

 

 

 

 

「うぉあああっ‼︎ おうわ危ねぇ‼︎ 」

目の前で雷オオカミのキバがカチリと音を立てて閉じる。今どういう状況かというと、エリスを小脇に抱えた俺が9匹の雷オオカミに襲われて必死に逃げ回っているところだ。

 

今回も雷オオカミを見つけて、ギリギリ目視出来るくらいの距離から一気に【光矢】で射抜くつもりだった。それなのに急にエリスが「『Whooooooaa』」って狼さながらの遠吠えをしたその直後、えげつない勢いで雷オオカミたちが襲ってきた。

 

 

必死に防御結界を駆使して逃げ回りながら恐らくこの状況を引き起こしたであろうクソ幼女に思わず声を荒げる。

「お前なんて言ったんだ⁉︎ ていうか何で狼に言葉が通じてんだよ⁉︎ 」

 

「一度食べた魔獣は言語能力まで吸収できるの⁉︎ あぁ‼︎ 危ないよそ見すんな‼︎ 」

脇から偉そうに指示してくる元凶。じゃあ自分で逃げ回れや。

「じゃあなんて言ったんだよ⁉︎ 」

 

「『貴様らは私のおやつだ‼︎ 大人しく胃袋に収まりやがれ‼︎ 』って言った…… 」

 

「バカヤロォオォォオオオ‼︎‼︎‼︎‼︎⁉︎ 」

くそっ俺は近接格闘は苦手なんだよ。獣系に有効な焔系の魔法は森だと延焼するから使えないし。それにこんがり焼けちゃったら美味しく頂けない。

 

連携して牙と爪と魔法で迫り来る敵を環境に配慮しつつ美味しく討伐する?いや、無理ゲーですよね。

 

せめてエリスがいなかったら戦いやすいんだよなぁ。いっそエリスを上空に【剛力】で放り投げて落ちてくる前に殲滅できるか?あ、そういやその手があったわ。

 

「エリスしっかり掴まってろよ。【飛行】‼︎ 」

枝葉が茂っているから上空には行けないけど、キバが届かない程度に少しだけ浮き上がる。もたもたしてると【雷撃】を撃たれるからすぐに掌を地面に向けて魔術を発動する。

 

「【土槍】」

掌から放たれた魔法陣は雷オオカミの足元を覆うように広がり、詠唱と同時に土で作られた鋭い槍が無数に地面から生えて雷オオカミの身体を貫く。

 

通常の魔術師が使う【土槍】は一本しか生やすことはできないが、俺は練習して単詠唱での複数発動を可能にした。何しろ冒険者時代は仲間がいなくて、一対多数の討伐ではどうしても威力の抑えた複数殲滅の手段が必要だった。

 

 

身体を複数箇所貫かれた8体の雷オオカミたちは即死。追いかけられる前に【光槍】で倒した2体を合わせてちょうど10体。目標数の討伐完了だ。

 




最近、短期間で出入国を繰り返してたら麻薬の運び屋じゃないかと疑われて成田空港の税関を通るのに3時間もかかりました。
世知辛いですね。


読んでくれて本当に感謝です。もし宜しかったらポイント評価とお気に入りしてもらえると泣いて喜びます。
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