ハイスクールD×D 半熟探偵   作:ポッタ―メン

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回避出来ないD/憧れの先輩の秘密

Side 逸識

 

イッセーたちの覗き事件を解決した俺は、なんてことはない普通の通学路を歩いていた。

 

「あ~、そういや黒歌たちが帰ってくるんだっけか……」

 

右手でスタッグフォンを操作しながら、左手で殴りかかってくる不良A・B・Dの鳩尾に5発ずつパンチをお見舞いする【不良Cは後ろから襲いかかって来たところを顔面に裏拳を叩き込んだら、地面に沈んだ】。

 

「今日の……、夕飯は……、何が……、いいっと……。」

 

メールの送信ボタンを押して、わ・ざ・わ・ざ俺の進路直上に倒れている不良くんたちの背中を2、3度踏みにじってから歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?あれってイッセー……だよな?」

 

遠目だとわかりにくいが、あのイッセーが女子と喋っている。

 

つまり、何が言いたいかというと……

 

これはた・だ・ご・とではない!!ということだ。

 

「遠くてあんま見えないな……。まあ、でも持ってて良かった、デンデンセンサー!!」

 

ベルトのホルスターに入っているオレンジ色の双眼鏡を取りだし、二人を視界に収める。

 

「さすがにこう遠くてちゃ、声までは聞こえんか。おやっさんに習っといて正解だったな、読唇術」

 

俺のたち位置だとイッセーの唇の動きは読めないが、あの女の子の唇の動きならかろうじて読み取れる。

 

「何々……『私・と・付き・合って・く・だ・さい』。おっ、これって告白じゃん!!」

 

イッセーがどんな返事をしたかはわからないが、女の子の喜びようから察するに、

 

「OKしたみたいだな。まあ、アイツ彼女欲しがってたからな。渡りに船、いや地獄に仏ってか。なんにしても……」

 

明日にでも渡してやるかな。

 

確か依頼の報酬にオペラのS席チケットがあるのを思い出しながら、踵を返して来た道を後戻りしている俺は気が付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーの遥か上に嘲笑を浮かべ、天界から追い出され堕ちた罪深き天使たちがいるのを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~。黒歌、白音いるか~?」

 

「「お帰りにゃ~♪/……お帰りなさい」」

 

「おう、ただいま。どうだった京都は?」

 

「八坂が文句言ってたにゃん、何で記憶遣い(メモリアル・ユーザー)が来ないの~!!って」

 

「あ~、元々俺に来た依頼だったからな。そういや、お前らあんまり京都好きじゃなかったろ。何で今回の依頼変わってくれたんだ?」

 

(当然にゃ、あの未亡人女狐。好きあらば逸識の子種をかっさらおうと狙って逸識を夫にしようと企んでるからにゃ、白音と協力して絶対阻止するにゃ。ね、白音)

 

(……当然です。巨乳なんて滅びればいいんです、胸なんか贅肉の塊です。義兄さんもきっと貧乳の良さをわかってくれるはずです)

 

「二人して何こそこそ話してんだ?」

 

「「な、何でもないにゃ……/……何でもありません」」

 

「ところで、メール見なかったのか?」

 

「メール?何のことにゃ?」

 

「夕飯何がいいって送ったんだが……、届いてなかったかな?」

 

スタッグフォンを操作して送信欄のところを確認すると、送信されましたの文字が。

 

「あれ?変だな?送信されましたって出たから、ちゃんと送られてると思ったんだけど「……義兄さん」どうした、白音?」

 

「……私の所に来てる」

 

白音に持たせているビートルフォンの画面には、確かに俺が送ったメールが写っていた。

 

「ありゃ、本当だ。黒歌に送ったはずなんだがな、間違えて白音に送ってたのか?まあいいや、白音は何が食いたい?」

 

「……お刺身」

 

「刺身ねぇ……、今からスーパー行って間に合うかな?」

 

「私としては……こっちがいいんだけどにゃ~♪」

 

ブレザーの襟部分から黒歌の白魚のような指が侵入してきて胸板を絶妙なタッチで触りつつ、どんどん下にって……!?

 

「黒歌……、お前まだ発情期には早いだろうが……」

 

「んふふ~~ん、確かにまだまだ発情期には早いけど、京都に行った時に霊山の妖力に当てられちゃったにゃん♪もうギリギリのラインにゃ」

 

「白音は……」

 

視線を下に下げると、白音はベルトを外しにかかっていやがる。

 

(白音……、お前もか……)

 

「逸識、日本にはこういう時便利なことわざがあるにゃ。『据え膳食わぬは男の恥』」

 

「だ~あもう、わかった、分かったよ。玄関でヤる訳にはいかんから寝室行くぞ、寝室」

 

「「楽しみにゃん♪/……楽しみです」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、だるぃ……。学校休みてぇ……」

 

倦怠感が残る身体を引きずりながら、ベッド脇にあるサイドボードからタバコを引き寄せて口にくわえる。

 

火をつけたタバコから出る紫煙をくねらせながら、ベッドに目をやるとシーツにくるまった猫姉妹のから覗く健康的な肌が目に毒だ。

 

「こうやって見ると只の仲の良い姉妹なんだがな」

 

こいつらとこういう関係になったのは、おやっさんが死んで自暴自棄になって喧嘩に明け暮れていた時と、黒歌と白音の発情期が重なってしまったがためだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日もそこらの暴走族に喧嘩を吹っ掛けて、家に帰ったのはちょうど0時を回ったあたりだったと思う。

 

二階のリビングに繋がる階段を上がると、そこにいたのは見たこともない和服黒髪美人とこれまた白髪の和服美少女が正座で座っていた。

 

「なんだ、お前ら?泥棒か、ならさっさと出てけ」

 

「違うにゃ、私たちはお前に飼われている猫のクロにゃ。それでこっちが……」

 

「……シロです」

 

「お前ら、泥棒のくせにもっとまともな嘘つけよ。あの二匹なら小屋の中に……、っていねぇ」

 

「当然にゃ。だって……」

 

ポンッと軽い音を響かせた方を向くと、あの二人の女はいなくなっていて代わりに俺が慣れ親しんだ二匹の猫が鎮座していた。

 

「はっ??何がどうなってんだ?喧嘩のし過ぎで頭が可笑しくなったってのか?それとも幻覚でも見てんのか、変なクスリはキメてないんだが……??」

 

「信じられないのも無理はないにゃ。でも、あなたお師匠様から聞いてんるんじゃにゃいか?仙術を使う妖怪がいると……」

 

「猫又か……」

 

正直今の気分でおやっさんの話をしては欲しくなかった。

 

どうしても罪の意識が蓋をした心からふつふつと沸き上がってくるからだ。

 

「もうやめるにゃ、こんな生活。きっと天国でお師匠様も悲しむにゃ……」

 

「……そうです。こんなの虚しいだけです」

 

ここ最近も悪夢で何度となく飛び起きているせいか、寝不足もたかってえらく不機嫌だったのもあるし、おやっさんが亡くなってからほとんど完徹の日々だったから正常な判断力が無くなっていたのかもしれない。

 

だからこそ、ここまで溜め込んでいた心のストレスが一気に爆発した。

 

「……るせぇな…」

 

「何んにゃ?/……何ですか?」

 

「うるせぇっつってんだよっ!!お前らに何が分かるっ!!目の前の命を救おうと伸ばした手が、その助けたい人に届かない哀しさがっ!!自分が弱かったばっかりに届かなかった虚しさがっ!!」

 

今まで喧嘩で誤魔化してきた気持ちを一気に爆発させて、目の前の二人にぶつける。

 

これが八つ当たりだというのは分かる。

 

それでも……、この行き場のない憤りをぶつけないとどうにかなってしまいそうだった。

 

「はあ……はあ……」

 

考えられる限りの暴言を二人に吐き出した俺は、そのままソファーに倒れ込んだ。

 

「もう満足かにゃ?」

 

「ああ?」

 

「言いたいことを言ったらだいぶ楽ににゃったにゃ?」

 

「………………」

 

確かに楽にはなった、今まで溜め込んでいた精神的疲労を全て吐き出したのだから……。

 

けれど…………、

 

(……それは認めなくちゃならない、おやっさんが亡くなったってことを……)

 

「いい加減にした方がいいにゃ……」

 

「何が……」

 

「アンタのお師匠様は死んだ。もういい加減認めなくちゃならないにゃ」

 

「それでも……、それでも俺は……」

 

目尻に浮かんでくる涙を隠すために俯く俺の前に射し込んでくる影をいぶかしんで顔を上げると、目の前に黒曜石の瞳が真っ直ぐと俺の瞳を射ぬいていた。

 

「……なんだよ?」

 

「つらかったにゃ……。でも、もう自分の感情を偽るのは止めるにゃ」

 

「………そうです。喧嘩で誤魔化して何か満たされました?虚しかっただけではなかったですか?」

 

ああ……、そうだよ。

 

只、只々虚しかったさ。

 

おやっさんが死んだ、それを認めたくない一心で喧嘩に明け暮れた。

 

けど、心の片隅では認めてた。

 

「……断罪して欲しかったのかもしれないな。いや、むしろ裁いて欲しかったのかもしれない、自分の咎を、罰を、罪を……」

 

誰でもいい、誰でもいいから手を差し伸べて欲しかった。

 

「……誰も責めません、お師匠様が亡くなったのは事実です。だからこそ次、コカビエルと対峙した時に仇を取りましょう」

 

「……仇?」

 

「逸識だって泣き寝入りは嫌でしょ?」

 

「当たり前だ、コカビエルの左手はあの時に封じた。次は必ず倒す、必ず……」

 

「それとコカビエルに会うまで『Skull』のメモリは封印したほうがいいにゃ。進学祝いに新しい神器の記憶(セクリッド・メモリ)はもらったかにゃ?」

 

「ああ……」

 

制服の裏側に縫い付けてあるホルスターから純白のメモリを取り出す。

 

「永遠……、エターナル……」

 

「それを使って今まで通り探偵を続けるにゃ。この事務所には人外がたくさん来る、依頼をやってる内にコカビエルの情報も入ってくるんじゃなゃい?……それでも探偵を続けたくにゃいってなら話しは別だけど」

 

「冗談。続けるに決まってんだろ、おやっさんから引き継いだこの店をそう簡単に潰す訳に行くか」

 

「……その意気で……す……」

 

「お、おいっ!!」

 

顔を真っ赤にして倒れ伏すシロを急いで駆け寄り受け止める。

 

「あっつ!!何でこいつの身体、こんなに熱いんだ?クロ、お前なんか知って……」

 

後ろの姉猫又に問いかける前に、背中に柔らかくもハリがある形容しがたい感触が。

 

「お前……、何して……?」

 

「ご、ごめんにゃ。すっかり発情期のことをわ、忘れてたにゃ」

 

「発情期だぁ?まあ、猫なら発情期もあるだろうが……、それって猫相手じゃねぇのか?」

 

「普通の猫にゃら……、そうだけど……、私たちは猫又は厳密には猫じゃにゃいにゃ……。だから、人間相手にも発情はするにゃ……」

 

「つまりは、サカッてるわけか。お前らが猫に戻れば、俺に襲い掛かってくることはないんだろ。という訳で直ぐに猫になれ。お前らだって好きな相手で処女捨てたいだろ」

 

「……好きでもない相手に……、発情なんか……、しませんよ……」

 

「そうにゃ……。別に逸識なら……、問題ないにゃ……。私たちは……、感謝してる……。野良猫だった私たちを拾ってくれたことに……。白音と一緒に……、話し合ったんだにゃ……、逸識になら……、抱かれても……、いいって……」

 

「お前ら……」

 

手を額に当ててつつ上を仰ぐ俺に、更にトドメの言葉を投げかけてくる。

 

「だからにゃ……」

 

「「抱いてにゃ♪/……抱いてください」」

 

「はぁ~。たっく……、お前ら後悔すんなよ。俺だって初めてなんだからな、うまくできなくても文句言うなよ」

 

ぼやきつつも、目の前で艶やかな姿を魅せる二人に俺は一歩踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を感傷的になってんだか……」

 

あの時は結局仙術まで使われて、死ぬ一歩出前まで搾り取られた。

 

まあ、今回もだが……。

 

仙術のおかげかは知らんが、アッチ方面に関しては超人的になっちまったせいか最初のころに比べれば、かなり精神的に楽にはなったけど……。

 

「おら、起きろ白音。お前今日は日直で早めに出るって言ってなかったか?」

 

ベッドで微睡み続けている猫又姉妹の片割れに、問いかけると持ち前の猫の反射神経で文字通り飛び起きた。

 

「義兄さんっ!!何で起こしてくれないんですか!?」

 

「昨日の仕返し♪」

 

顔を真っ赤にして睨んでくる白音に、昨日の仕返しも込めて、かなり皮肉げに微笑んでやる。

 

「……ああもう、今回のことはきっちり話し合いましょう」

 

「あいよ」

 

全裸で部屋を出ていく白音を見送りながら、まだベッドで夢の国にいる黒歌を起こすためシーツを剥ぎ取る。

 

「起きろ黒歌、今日はお前も学校だろうが」

 

「……あと5分」

 

「定番の言い訳してねえで、はよ起きろ。俺まで間に合わなくなる」

 

「……逸識がハードボイルダーで送ってくれれば、モーマンタイにゃ……」

 

「別にいいが……、周りの嫉妬の視線がうっとおしいんだよな」

 

2ケツして学校行くと周りからの嫉妬の視線も多いが、それはまだいい。

 

問題は蒼那や椿姫、リアスに朱乃が滅茶苦茶機嫌が悪くなる。

 

それを更に黒歌が火に油、いやガソリン……、じゃまだ温いな、液体燃料位だな、とにかく注ぐわ注ぐ。

 

教室の空気なんかギスギスを通り越して、合戦場みたいになるから新任の英語教師がノイローゼで倒れたのは記憶に新しい。

 

「2ケツはいいけど、頼むから大人しくしとけよ。後で謝りに回るのは、全部俺なんだからな」

 

「りょ~かいにゃん♪」

 

「ほんとに分かってんのかね?たく………、とりあえず着替えて学校行くぞ、しっかり送ってやるからギリギリ間に合うだろ」

 

「はーい♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教科書入れた……、携帯持った……」

 

制服の裏に縫い付けてあるホルスターもしっかり確認する。

 

「エターナルメモリにギジメモリ……持った」

 

「逸識~、早くしないと遅刻確定にゃ~」

 

「元はと言えば、お前がもっかいシたいとか言い出すからだろうがっ!!」

 

ハードボイルダーの後ろでヘルメットを被ってスタンバッてる黒歌にチョップを喰らわせながら、シートに飛び乗りながらキーを挿す。

 

「しっかり捕まってろよ、飛ばすからな」

 

「はいにゃ~♪出発進行~!!」

 

アクセルを全開でけたたましい排気音を響かせながら、ガレージから飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駒王学園に続く道をフルスロットルで飛ばしたせいか、ちらほらと駒王学園の制服を着た生徒が目立ち始めた。

 

「この調子なら遅刻しないですみそうだにゃ」

 

「ああ、なんか朝から無駄に体力と精神力を使った気がすがな……。って、あれは……」

 

視線の先にいたのは、項垂れた坊主頭とメガネにどや顔をしているのは、

 

「イッセーか……」

 

ってことは隣にいる黒髪の女は……、

 

「兵藤の彼女かにゃ?」

 

「そうらしい、ここで役に立つのがこのチケットだ」

 

胸ポケットからチケットを取り出す。

 

「それ……、この前の依頼の報酬のオペラのS席チケットじゃにゃいかにゃ。でも、それをどうするにゃ?」

 

「簡単だ、アイツラに渡す」

 

並んで歩いている二人の横にバイクを止める。

 

「よう、イッセー」

 

「逸識先輩!?それに黒歌先輩!?どうしたんですか?」

 

「お前とそこの彼女さんにプレゼントだ」

 

イッセーにチケットの入った封筒を渡す。

 

「なんすかこれ?」

 

「オペラのS席チケットだ、そこの彼女さんと一緒に行くんだな」

 

「い、いいんですかっ!?」

 

「ああ、俺は先に行くからゆっくり彼女さんと登校デートを楽しむんだな」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

「じゃあな」

 

アクセルを吹かして、学園に向かう途中黒歌から声が掛かる。

 

「逸識、気づいたかにゃ?」

 

「ああ。あの子、堕天使だろ」

 

「おそらくにゃ」

 

「狙いは何だと思う?」

 

「おそらくは兵藤の神器(セイクリッド・ギア)が狙いなんだと思うにゃ」

 

神器(セイクリッド・ギア)か……」

 

「な~んかきな臭い臭いがするんだよにゃ……」

 

「……ちょっくら調べて見るとしますかね」

 

 

 

 

結局のところは堕天使の狙いは全くといっていいほどわからかったが、またしても黒歌が火に油、いや火に液体燃料を注いでまたしても教室の空気が死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んで、週末。

 

駅前の噴水広場で彼女を待っているイッセーを上空から監視しているレンズの瞳があった。

 

「監視の目は上々だ……」

 

 

 

 

 

 

数分前

 

 

「にしても、アイツ気合い入りすぎだろ。なんだ、あのホテル入る気マンマンの服装は?」

 

イッセーから数十メートル離れた所で監視していたが、

 

「さすがにこれ以上接近するとバレるな……。まっ、こういう時こそコイツの出番だね」

 

ベルトにぶら下がっているホルスターから青いボディーのデジタルカメラを取りだし、ギジメモリを装填する。

 

『Bat』

 

デジタルカメラから蝙蝠タイプのガジェットに変形した、バットショットに命令を伝える。

 

「イッセーを監視してくれ、なんか動きがあったらスタッグフォンに連絡いれてくれ」

 

バットショットが手から飛び立つのを確認してから、手に持っていた缶コーヒーをゴミ箱に投げ込んでからバイクに跨がる。

 

「これが吉と出るか凶出るか……、まさに神のみぞ知るってとこか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーのデートはなんというかベタ、それに尽きた。

 

でも、ベタだからこそ失敗はしない。

 

イッセーにしては頑張った方だろ。

 

「これなら心配ないだろ……」

 

こっちもあんまりイッセーに構ってる暇は無いのだ、何故ならば、

 

「ちーす、来たぞ~朱乃」

 

サボる時の等価交換として、約束の神社の境内の掃除を命じられたので来たというわけだ。

 

「あらあら、三十分の遅刻ですよ」

 

「三十分位いいだろうが、ちゃんと来たんだし」

 

「よくありません、お母様にちゃんと紹介して外堀から埋めて行こうと思ったのに……」

 

「なんだって?声が小さくて聞こえなかったんだが?」

 

「い、いえ、なんでもありません。逸識君は境内の方をお願いします」

 

「あいよ~」

 

ちゃっちゃと終わらせますかね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼食に朱璃さんお手製の純和風御膳をいただき、午後のお掃除もスムーズに終えお駄賃がわりの豆大福をありがたく頂戴し【朱璃さんの豆大福はマジで旨い、和菓子にはうるさい黒歌と白音が絶賛。事実、これを食べてから市販の豆大福が食えなくなった】、帰路についていた時に、知らせは突然舞い込んできた。

 

「バットショットからのライブ映像……?まさかっ!?」

 

スタッグフォンを急いで開いて見ると、そこにはイッセーと人間にはあり得ない黒翼が生えた女が映っていた。

 

「ちっ!?マジかよっ!?バットはなんとしても俺が着くまでに時間を稼げっ!!」

 

バットショットに指令を送り、一本のギジメモリをスタッグフォンに装填する。

 

『Stag』

 

スタッグフォンをライブモードに展開し、夕暮れの空に飛ばす。

 

「お前はバットの加勢に行け、俺も直ぐにバイクで向かう」

 

信号が無い分、空からの方が早い。

 

俺が着くまで無事でいろよ、イッセー!!

 

Sideout逸識

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side イッセー

 

「死んでくれるかな?」

 

今日は夕麻ちゃんとの初デートだった。

 

失敗しないようにマニュアル本もしっかり読んだ。

 

逸識先輩からもらったオペラも行った【はっきり言って何一定るかわからかったけど】

 

なのに……、

 

(何で俺はいきなりKill you宣言されてんだ?これが噂のヤンデレか?)

 

「さよなら、イッセー君」

 

そう言って夕麻ちゃんの両手から放たれた光槍が、スローモーションで飛んでくる様を眺めながら思ったのはただ一つだけ。

 

(まだ童貞捨ててないのに、死にたくない)

 

この一言に尽きた。

 

どんな痛みかは想像も出来ないが、とにかく痛いんだろう。

 

そう思って襲い来る痛みに備えて、目を閉じた。

 

けれど、

 

(……あれ?)

 

想像していた痛みはいつまでも経ってもやってこなかった。

 

怯えながら薄目を開けると、そこには、

 

「……コウモリに、クワガタ?」

 

青色のコウモリと黒色のクワガタが光の槍を受け止めてくれていた。

 

「なんだこれ?」

 

2つの機械に問いかけても、答えは返って来ない。

 

代わりに、

 

「イッセー!!無事か!?」

 

「逸識先輩!!」

 

俺が最も信頼する先輩からの問い掛けが返ってきた。

 

Sideoutイッセー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 逸識

 

「よう、随分と俺の後輩を可愛がってくれたみたいだなぁ。ええっ、醜い地上に堕ちた天使さんよ」

 

宙に浮いている堕天使に問い掛ける。

 

「アナタ何者?」

 

「俺か…、俺は……」

 

ロストドライバーを腰に当てると、ベルトが展開される。

 

「通りすがりの探偵さ」

 

ベストの裏側のホルスターからガイアメモリを取りだし、

 

『Eternal』

 

ソウルスロットに装填する。

「……変身」

 

『E』の文字が一回転し、足下から白の台風がスーツを形成する。

 

∞の複眼が輝き、エターナルローブが風に揺れる。

 

蒼色の焔が刻まれた右手を突き出し、親指を地面に向ける。

 

「さあ、お前の懺悔を訊いてやる」

 

「人間の分際でっ!!」

 

投擲される光の槍をローブから取り出したエターナルエッジを使って、切り裂きながら呆然と俺の変身眺めて呆けている後輩に、怒鳴り声を上げる。

 

「何やってんだ、イッセー!!さっさと逃げろ!!」

 

「ハ、ハイッ!!」

 

一目散に逃げるイッセーを確認してから、目の前の敵に集中する。

 

「何でアイツを襲った?少なくともアイツはただの高校生だ、『裏側』なんか知らない世界で過ごして来たんだぞ」

 

「私達の計画に邪魔だったから、ただそれだけよ」

 

「お前……、まさかそのためだけにイッセーに近づいたのか?」

 

「ええ、それが何か?」

 

「てめえ……、ざけてんじゃねぇぞ!!!」

 

ローブに格納されているメモリの中から一本のメモリを取り出して、マキシマムスロットに装填する。

 

『Rocket MaximumDrive』

 

突然虚空から身体の周りに大量のロケット弾が出現する。

 

「なっ!?」

 

「弾け飛べっ!!」

 

堕天使に向け、周りのロケット弾をあらんかぎり射出する。

 

それはまるで生肉に群がるピラニアの如き勢いで。

 

爆発と閃光が交互に消えて行く中で、標的の堕天使の姿はなかった。

 

代わりに、

 

「があああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

「イッセー!!」

 

公園の入り口の方から聞こえた断末魔に心当たりしかなかった。

 

「どうやら仲間がアイツを始末したみたいね。悪いけど、目的は達したから引かせてもらうわ」

 

空に飛び立ったアイツを追撃したい、空を飛ぶ手段もあるにはある。

 

がしかし、

 

「イッセーの方が先だ、まだ間に合う可能性もある」

 

上空に逃げ去った堕天使を忌々しげに睨み付けながら、悲鳴が聞こえた方向に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲鳴が聞こえた方に行くと、そこにいたのは、

 

「リアス……、朱乃……」

 

真紅の髪をなびかせながら佇むリアスと従者のように一歩下がった位置にいる朱乃だった。

 

「アナタは誰かしら?」

 

エターナルに変身すると声に強いエフェクトがかかる。

 

だから、初見で俺だと分かる人はまずいない。

 

「俺だ、逸識だよ」

 

ソウルスロットを元の位置に戻して、ガイアメモリを抜き取る。

 

すると、頭からスーツが崩れて俺の顔があらわになった。

 

「アナタ神気(セイクリッド・ギア)持ちだったの?」

 

「正確には少し違うけどな。ところで、イッセーは?」

 

「私が呼ばれた時はもうダメだったわ。だから、悪魔に転生させたのよ」

 

さっきから朱乃の刺さるような視線を感じるんだが、理由は追々考えよう。

 

「そう……か……。わかった、あと頼む」

 

そう言って、踵を返した俺にリアスからお声が掛かる。

 

「明日の放課後、旧校舎のオカ研部室に来て、いいわね」

 

「わかった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイクで走りながらふと空を見上げると、満月が夜空を彩っていた。

 

「帰ったらブランデーでも開けるか……」

 

イッセーのことを助けられたかもしれない……。

 

そんな考えが頭をちらつく、本当にアルコールを摂取しないとストレスでどうにかなってしまいそうだった。

 

Sideout 逸識




なんかめっちゃ長くなった……。

なるべく早めに投稿する予定だったのに、予想以上に手間がかかった。

まあ、でもかなりの力作なので感想プリーズ、よろしくね!!
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