ハイスクールD×D 半熟探偵   作:ポッタ―メン

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不変のN/変わったアイツ

Side逸識

 

 

ピピピピピピピピピッ!!

 

枕元で鳴り響く安眠妨害のアイツ(目覚まし時計)を止めて一階の店舗兼リビングに降りると、ベーコンと目玉焼きの焼けるいい匂いを漂わせながら朝食の支度をするエプロン姿の猫又姉妹が忙しなく動いていた。

 

「うぃっす……。白音、黒歌」

 

「「おはようにゃん♪/……おはようございます」」

 

寝ぼけ眼を擦りながら、カウンターにある新聞を読もうとすると、

 

「……まずは顔と歯を洗って来て下さい」

 

俺の手から新聞が取り上げられ、強引に押されつつ洗面所にたどり着く。

 

「……ハイハイ、朝食の支度をしてくれるお前らには逆らいませんよ」

 

逆らう気が無いと分かったのか、朝食の支度に戻る白音を鏡で一瞥して蛇口から出てくる冷水を顔に当てる。

 

「プハ……、ハア……ハア……」

 

冷水で顔を洗ったためか、寝起きで目覚めていなかった思考がようやく正常に稼働し始めた。

 

(夢……じゃない……な。くそ、また俺は間に合わなかったのかよ……)

 

昨日の記憶が鮮明に甦る、真っ赤な鮮血を撒き散らせて地面に倒れ伏す後輩の姿が。

 

「ああ、やめだやめ。こんな考え……」

 

(リアスが悪魔の駒(イービルピース)を使って生き返らせたみたいだが、その事にイッセーは気づいてんのかね?)

 

流石に殺したと思っていた人間が生き返ったりなんかしてたら、俺は必ず殺しに行く。

 

(自覚がないイッセーを一人で歩かせるのは危険だな、一応今日の放課後は後を付けた方がいいな)

 

今日の予定を頭の中で組み立てていると、

 

「逸識~、さっさとこにゃいと朝ごはん無くなるにゃ」

 

「すぐ行く。だから、俺の分まで食うなよ」

 

俺はまだ知らなかった、イッセーが既に襲われていたことに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逸識くん、少し良いですか?」

 

「どした朱乃?放課後になったら直ぐにでも旧校舎のオカ研の部室に行くお前が、俺なんかに話しかけるて時間を割くなんて天変地異の前触れか?」

 

「いえ、違います。その……、兵藤くんの件と言えば分かりますか?」

 

「ッ!!分かった、直ぐに支度するから3分待ってくれ」

 

机の中に閉まって置いた教科書とノートをバックに仕舞いながら片手でスタッグフォンを操作し、黒歌と白音にメールを送る。

 

「それじゃ行こうぜ。オカ研の部室、旧校舎へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、逸識先輩?」

 

オカ研の扉を開けた先に居たのは、見知った後輩イッセーにこの旧校舎の主リアスだった。

 

「イッセー、何でお前までここにいるんだ?」

 

「私が呼んだのよ、逸識」

 

投げ掛けた疑問に間髪を入れずに答えたリアスにソファーに座るように促され、今までで座ったソファーの中で一番の座り心地を感じていると、この部屋の支配者が口を開いた。

 

「イッセーに逸識、単刀直入に言うわ。私たちは「悪魔……だろ?」っ!!……ええ、そうよ」

 

「あ、悪魔ぁッ!?」

 

「なあ、リアス……」

 

「何かしら?」

 

「いや……、ていうかお前、何も知らない後輩に『私は悪魔です』ってカミングアウトしても絶対遅咲きの厨二病患者としか思えないぞ、なぁ?」

 

リアスの後ろに控えている木場と朱乃に同意を求める。

 

「部長……、その……、流石にその紹介の仕方は無いかと……」

 

「祐斗っ!?」

 

「リアス……、いくら私でも庇いきれませんわ……」

 

「朱乃までっ!?」

 

「だそうだが」

 

「うう……、いいじゃない。シンプルに説明した方がいいって朱乃が言うから……」

 

「いくらなんでもぶった切りすぎですわ、リアス」

 

『ずーん』という擬音語が似合いそうな落ち込みっぷりのリアスは放っておきつつ、説明の続きを促す。

 

「あの……、それで悪魔っていうのは一体?」

 

「そう!!私たちは悪魔なのっ!!」

 

流石リアス、復活が早いな。さっきの落ち込みっぷりは何処へやら?

 

「ちゃんと説明してやれよ、イッセーの頭じゃ理解出来ないだろうからな」

 

「先輩ひどくないすかっ!?」

 

「事実だろ」

 

「ゴフッ!!言い返せない自分が憎い……」

 

Orzになったイッセーはシカトして、さっさと話を進めよう。

 

「そうそう、お前らが悪魔だってことは最初から知ってたよ」

 

「「「!?」」」

 

「……どうしてかしら?」

 

警戒心を強めるリアスに肩を竦めながら説明する。

 

「おやっさんに聞いたことがあるだけだよ。この地を昼はシトリー、夜はグレモリーという悪魔が治めてるってな……」

 

「そう、なら話しは早いわ。私たち悪魔は堕天使と太古の昔から争っているわ。冥界ー人間で言う地獄ね。そこは悪魔と堕天使で二分化されているの、そこの覇権を巡っているってことよ。そこに神の命を受けて悪魔と堕天使を問答無用で倒しにくる天使も含めて三すくみ。それを大昔から繰り広げているのよ。ここまでは分かったかしら、イッセー?」

 

「い、逸識先輩もリアス先輩も何言ってんですか……。そ、そんな天使とか悪魔とか堕天使なんかいるわけ無いじゃないですか、ファンタジーの世界でもあるまいし……」

 

俺とリアスの口が開いたのは、ほぼ同時だった。

 

「「天野夕麻」」

 

「何で……先輩達が夕麻ちゃんの名前を……」

 

「何でって……、お前覚えてないのか?襲われてたお前を助けたのは俺だろ。というかこれに見覚え無いか?」

 

ガジェットにメモリを装填して自立型のライブモードに移行させる。

 

『Stag』

 

『Bat』

 

「あっ!?この前のクワガタに蝙蝠っ!!」

 

「やっと思い出したか、このダアホ」

 

「ねえ、逸識」

 

「あ、なんだよリアス?」

 

「それがアナタの神器(セイクリッド・ギア)?」

 

「いや、厳密には少し違うな。正式には俺の神器(セイクリッド・ギア)は「あ、あの…」」

 

「どした?」

 

「さっきから神器(セイクリッド・ギア)神器(セイクリッド・ギア)って何なんですか?」

 

「まずはそこからか……。神器(セイクリッド・ギア)ってのはだな……」

 

「てのは?」

 

「リアス、頼んだ」

 

「「「「丸投げっ!!!!?????」」」」

 

「えっ、ちょっと逸識、ここで私に話振っちゃうの?」

 

「いや、ダルいし。何でわざわざ野郎に懇切丁寧に説明せにゃあならんのだ」

 

大体俺だって神器(セイクリッド・ギア)については触り程度にしか知らんし、それに神器の記憶(セイクリッド・メモリ)神器(セイクリッド・ギア)は根本的に違うからな。

 

説明の仕様がない。

 

「はぁ~、分かったわよ。天野夕麻がアナタに近づいたのもそれが原因よ。神器《セイクリッド・ギア》には強大な力を持ったモノがあるのよ、だから殺された。まあ、端的に言えば「運がなかったんだな」逸識、私の台詞を盗るのは止めてもらえるかしら?」

 

青筋をたてて顔を近付けてくるリアスをなだめつつ、イッセーの方に向き直る。

 

「さて、イッセー。お前の身には神器(セイクリッド・ギア)が宿っている筈だ。自分が最も強いと思う存在をイメージしてみろ」

 

「自分が最も強いと思う存在……。ド、ドラグ・ソボールの空孫 悟……かな?」

 

「それじゃそれを真似ろ、軽くじゃ駄目だ。強く強く思え」

 

「は、はい……」

 

目を閉じたイッセーがポーズを取って、声高らかに叫ぶ。

 

「ドラゴン波ぁッッ!!!」

 

ブフォwwww。

 

wwwwマwwwwジwwwww かwwwww。

 

イメージしろとは言ったがマジでやるとは……、恐るべしイッセーwwwwww。

 

「なんじゃこらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッッ!!!!!!!」

 

イッセーの左手に赤い籠手が出現する。

 

「それがお前の神器(セイクリッド・ギア)だ。大事にしろよ、お前の一生の相棒(笑)だ」

 

「(笑)ってなんですか、(笑)って!?」

 

「それがアナタの神器(セイクリッド・ギア)、発現させたのなら後はアナタの意思で出し入れ可能よ。そして、それを危険視して殺されたイッセーを生き返らせたの。悪魔としての」

 

言い終わると同時にリアスに朱乃、それに祐斗やイッセーにまで羽根が生えた。

 

「それじゃ自己紹介といきましょう、祐斗」

 

お姉さまスマイルを祐斗に向けると、

 

「僕は木場 裕斗、イッセーくんと同じ二年生だよ。えーと悪魔です。よろしく」

 

イケメンの笑顔はそれだけで一枚の絵画だな。

 

「三年生、姫島 朱乃ですわ。一応、副部長も兼任しております。今後もよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ。うふふ」

 

朱乃はどちらかというと、悪魔より淫魔(サキュバス)の方が似合っている気がするな……。

 

「そして、私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくねイッセー」

 

全員の自己紹介が終わると、こちらに向き直る悪魔たちの視線を一辺に浴びる俺にこの部屋の主から口を開いてくれた。

 

「さて、次はアナタの番よ、逸識。しっかりと説明してもらいましょうか」

 

どうやら次のターンは俺に巡って来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、待てよ。連れが来るまで少し待ってくれないか、リアス」

 

そう言ってから胸ポケットからタバコを取りだし火を着けようとすると、

 

「吸うのならしっかりと説明してもらいましょうか」

 

箱ごと取られてしまった。

 

「分かったよ、ちょうど連れが来たところだ」

 

視線の先には猫又姉妹の黒歌と白音が肩で息をしながら、ドアを開け放った格好で静止していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでアナタは何者なのかしら?」

 

黒歌と白音をソファーの両隣に座らせると、早速リアスから質問が飛んでくる。

 

「俺か?俺はただのハーフボイルド探偵だよ」

 

「逸識、嘘は止めて。ただの探偵が中級堕天使を撃退出来る訳ないでしょう」

 

「おいおい、俺は逃げも隠れもするが嘘はつかない零識織逸識だぜ。少しばかり裏の世界も知ってるだけのただのしがない探偵だ」

 

「そう、ならそういうことにしておきましょうか。それじゃ探偵さん、どうして二人を呼んだの?呼んだ、ということはそれなりの理由があるんでしょうね」

 

「呼んだ理由はちゃんとあるから心配すんなよ。黒歌、白音」

 

両隣に座る二人に合図を送ると、人間にはあり得ない猫耳と尻尾が生えてくる。

 

「「「妖怪っ!?」」」

 

「そういうこと、こいつらは猫又でね。俺の助手兼相棒ってところさ」

 

視線で自己紹介を二人に促す。

 

「3年零織黒歌、種族は猫又。これからよろしくにゃ~♪」

 

「……1年、零織白音です。猫又です、よろしくお願いします」

 

猫又姉妹の自己紹介が終わったところで、今度は俺に視線が向く。

 

「3年、零織逸識。種族は人間だ。そんでもって……」

 

懐から人数分の名刺を取りだし、配ったところで自己紹介を再開する。

 

「探偵兼Bar LazyLifeのバーテンダー。御用の際には電話か直接店に来て、夜は大抵やってるから」

 

営業用のにこやかな笑顔で自己紹介を終了させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?」

 

「は?」

 

何でリアスの顔が不満げなのかさっぱりなのだが?

 

「アナタの神器(セイクリッド・ギア)のことよ、しっかりと教えてもらおうかしら?」

 

「あ~、うん。まあ、教えてもいいか」

 

黒歌や白音に視線で許可を取った上で、ロストドライバーとエターナルメモリを机に乗せる。

 

「これが逸識の神器(セイクリッド・ギア)?でも、こんなの初めて見たわ、それにどの文献にも載ってないし……」

 

当然だ、なんていっても俺の神器(セイクリッド・ギア)の本質はこれじゃない。

 

でも、流石にこれを人前に晒すにはまだ時期じゃないし、それにこんな神器(セイクリッド・ギア)を持ってるなんて知れたら敵討ち(コカビエルを殺す)どころの騒ぎじゃなくなる。

 

だからこそ、

 

(悪いな、リアス。敵を討ったら必ず見せてやるよ)

 

「ねえ、それでどういうことが出来るの?その神器(セイクリッド・ギア)は?」

 

「じゃあ、お望み通り見せてやるよ。出血大サービスだ」

 

ロストドライバーを腰に当て、ベルトを装着する。

 

「…………」

 

『Eternal』

 

白銀のメモリのスタートアップスイッチを押すと、ガイアヴェスパーが鳴り響く。

 

そのままメモリをソウルスロットに装填させた手を一回転させ、顎に触れさせる。

 

「変身……」

 

その体勢のままスロットを展開する。

 

白嵐が吹き荒れリアス達が後ずさると、そこにいたのは白銀の戦士。

 

「……これが仮面ライダーエターナル」

 

「エター……ナル」

 

「そう、永遠の記憶を閉じ込めた神器の記憶(セイクリッド・メモリ)の戦士だ」

 

スロットを元の位置に戻し、セイクリッド・メモリを引き抜くと、スーツが崩れ自分の顔が外気に触れる。

 

「これが俺の神器《セイクリッド・ギア》だ、次からは見物料金が発生するけどな」

 

言いながら左手に装着している腕時計型のスパイダーショックの液晶画面を覗くと、そこには後30分と少しで店を開ける時刻を刻んでいた。

 

「やべぇ……」

 

「「どうしたにゃ?/……どうしたんですか?」」

 

「後30分と少しで店開ける時間だ……。だから、さっさと帰って店開ける準備しなくちゃなんねぇんだよっ!!」

 

「え~、別に少し位遅れてもいいんじゃにゃいかにゃあ?」

 

「……よくないです、今日依頼報告を聞きにくるのって……」

 

「あのうるさい人……かにゃ?」

 

「言いたくないけどビンゴだ。というわけだからリアス、悪いけど今日はここまでだ。いいよな?」

 

顔を額と額がくっつく寸前の距離まで近づける。

 

「え、ええ//大丈夫よ//」

 

顔が赤くなっているリアスから許可をもぎ取り、猫又姉妹を連れてオカ研の部室から出る前に未だに赤くなっているリアスに声をかける。

 

「リアスっ!」

 

「な、何かしら逸識?」

 

「埋め合わせは必ずするから、時間があったら直接店に来てくれ。全ワインマニアが喉から手が出るほど憧れるボトルを開けてやるよ」

 

「か、必ず行くわ//どんな予定があっても!!」

 

「なんだったら朱乃も「大丈夫っ!!一人で行くわ、キングの私もたまには従者を付けずに出かけたくなる時もあるのよ!!」そ、そうか……」

 

いつもと違ってえらく興奮したリアスを眺めていると視界の外から負のオーラが漂ってきたので、そちらを向くと、

 

「リアス……」

 

まるで般若のごときオーラを漂わせた朱乃がリアスの事をものすごい形相で睨んでいた。

 

脇にいるイッセーと木場が生まれたての小鹿みたいにプルプルしてるのは気のせいだろう。

 

(見なかったことにしよう、うん)

 

そう自分に言い聞かせ、俺達はオカ研の部室を後にした。

 

 

 

 

Sideout 逸識

 

 

 

 

 

 




元ネタ解説

新機動戦記ガンダムWフローズンティアドロップ ファザー・マックスウェルより「俺は逃げも隠れもするが~」







どうも~、久々の更新です。

初読者はこんにちは、読んだ事のある方はお久しぶりです。

作者は夏休みの間に死ぬほど面接対策したというのに…………。

AO入試の結果は……、落ちた。

落ちた腹いせにむちゃくちゃして書いた。

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