DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH ーMY REQUIEMー 作:ユキユキさん
ー雪広ー
EDENコミュニティエリアをアミちゃんと並んで歩く。アミちゃんは嬉しそうに、そして楽しそうに俺へと話し掛けてくる。まぁ美少女に好かれるってことは俺的にも嬉しい、たとえそれが初対面だとしても。…だが、そんなデート紛いの状況を続けるわけにはいかない。アミちゃんには悪いが…、
「そろそろガラクタ公園へ行かないか? URLも入手したし、これ以上…二人を待たせるわけにはいかんだろ。…ナビットくんも恐いし、…ハッキングでもされたら最悪だぞ?」
と言えばアミちゃんは、
「…う~ん、そうだね。流石にこれ以上はマズイかな?」
とのことで俺達は、デート紛い中に入手したURLでガラクタ公園にへと向かうことにした。
俺とアミちゃんは揃って空を飛び、ガラクタ公園らしき場所へ降り立つ。そして俺達の前には一人の少女、…この娘がアッキーノなのか? …チャットキャラの面影があるから、きっと…アッキーノなのだろう。何か馬鹿っぽいし、うん…アッキーノで間違いないな。俺がそんなことを考えながら、アッキーノ(仮)を見ているとアミちゃんが、
「やーやーお待たせ、AI◎BAこと相羽アミです。隣にいるのがYUKKIこと佐藤雪広さんです、揃ってヨロシク!」
自分の紹介と共に俺のことも紹介しちゃったよ、…とりあえず頭を下げとこう。
ペコリ…
そんな俺を見て仰け反りビビってから、気を取り直してぎこちない笑顔で…、
「EDENでは初めましてだね~! アッキーノこと白峰ノキアでっす! ヨ・ロ・シ・クッ!」
と名乗った。やっぱりアッキーノか、…本人もやっぱり馬鹿っぽいなぁ~。そんな二人は互いに笑顔、良い感じじゃないか。
…と思ったのだが、アッキーノことノキアちゃんの顔が膨れっ面になり、
「じゃなくて遅いよっ! 何してたのよっ! こんな場所で一人っきりだったんだよっ!?」
と騒ぎ出した。…正直知らんがな! と言いたい、…があえてのんびりと来た為に何も言えん。でもアミちゃんは、ノキアちゃんの怒りっぷりを気にすることもなく、
「それよりもブルーボックスは来てないの?」
と聞く始末、…大物ですね。それを聞いたノキアちゃんは、顔を赤くして…、
「あの薄情者は既に来てますよ!? ちょっ、信じられますぅ~!? アイツさ…『俺、ちょいユーレイ探してくるわ。』とかとか言って私を一人にしたんだよ!? イケメンだからってチョーシに乗ってさ、ジコチュー的な!? 白い少年のユーレイがウワサになってるだか何だか~? 見つけてどーすんすか~? ヒカガク的で意味が……!」
騒ぐよりも喚いているってのが正しいか? いや、意味は変わらんか。
ギャ~ギャ~喚くノキアちゃんに対し、俺とアミちゃんは顔を見合わせて苦笑する。そんな俺達の反応に対しても彼女は喚く、…しかし、
「…うらめしや。」
そんな彼女の背後からフード姿のイケメンが…。ノキアちゃんの耳元でそんなことを囁けば、
「どぅわひょんぎゅわぁぁぁぁぁっ!?」
凄い変な叫び声と共に引っくり返りましたよ? …パンツがモロ見えだし、……黒か。ノキアちゃんの黒いパンツを見た俺は、アミちゃんに思いっきりつねられたりしたわけだが、…俺は悪くないよね?
…ノキアちゃんの驚きっぷりに、驚かした張本人であるフード姿のイケメンも、
「ちょ…、ビビりすぎだっての。」
若干引いている。驚かされたノキアちゃんは、転がった姿のままに彼を見て、
「な…なんだ、アラタじゃん…。ただのアラタじゃん…っていうか! 私を一人で置き去りにしたどこぞのアラタ!? あんたの血は何色だぁぁぁぁぁっ!?」
ジタバタと暴れるノキアちゃん、そんな姿にフード姿のイケメンも呆れている。当然、俺達も呆れている。
そんなノキアちゃんを無視して、フード姿のイケメンは俺達に対して、
「…初めてだよな、こっちで会うの。俺は真田アラタだ…、テキトーによろしく頼むわ。」
と簡単な自己紹介をしてきた。それに習って俺も自己紹介、ついでにアミちゃんのことも。俺が紹介したことにアミちゃんもご満悦、…ただ一人だけ、
「無視すんな! …ついでに自己紹介くらいちゃんとしなさいっての! …ねぇねぇ、このアイソない奴がブルーボックスだなんて、イメージ違くない? アッチだと面倒見がいいアニキっぽかったのにさ、こっちだとこんな感じのイケメン無駄使いってゆーか? …そう考えたら見た感じ雪広さん? もほぼオナジ的な? イケメンだけどキョーボーオーラが滲み出てますけど、…っていうかサギだよ!? あのプリチーなハリネズミは!!?」
アラタくんのついでに俺をもディスるノキアちゃん、……アホの娘は無視するに限る。
アホの娘ノキアちゃんを無視して、俺達は話す。…アラタくんは俺達が来る前にこの辺りを探り、ナビットくんがいないかと行動していたらしい。ユーレイ探しのついでにってことのようで、結果は空振りだったようだ。それどころか人っ子一人もいない、いる筈のハッカーすらもいないとか。…不気味ですな、…ノキアちゃんはガクブル状態。そんな状況に、
ピピピピピ…ッ!!
再び着信が鳴り、そして強制的に…、
『やぁやぁお待たせ! ナビットくんだよ! 集まってくれた君達にプレゼントだよ! …これは、世界を変える奇跡だよ!』
ナビットくんが現れ、その言葉と共に何やら違和感が!
「…これはハッキングだ! 俺達は全員、ハッキングされているようだ!」
アラタくんがそう叫ぶと、ノキアちゃんは頭を抱えて震えだし、アミちゃんは俺に引っ付いて震える。
そして……、
新規プログラム─『デジモン・キャプチャー』がインストールされました。
…何かが勝手にインストールされた、アラタくんは苦虫を噛み潰したかのような顔。ノキアちゃんは頭を抱えながらも混乱し、俺とアミちゃんも顔を見合わせて困惑する。…アラタくん曰く、『デジモン・キャプチャー』というのはハッキング・ツールらしい。…というかデジモンってあのデジモンなのか? 俺の疑問をノキアちゃんが代わりに尋ね、アラタくんはそれを肯定する。…そうか、…デジモンか。…俺の知らないデジモン世界のようだ、…どうなるのさ。
手際よくアラタくんは色々と調べ、デジモンはデジタルモンスターの略でいいらしい。…ハッカーが使うヤバいプログラムがデジモン、そんなモノが俺達にインストールされた!? その事実にノキアちゃんは目に見えて動揺し、俺とアミちゃんは頭を抱えてアラタくんは冷静だ。つーかアラタくんはハッカー肯定派か? 動揺していたノキアちゃんはめっちゃ嫌がっているけど。それを見ていた俺は、とりあえずアンインストールを試そうと…。
…何となく予想はしていたけど、アンインストールが出来ませんな。あ…、それにノキアちゃんが気付いた。めっちゃ取り乱して削除しようとしているけど、アラタくんが危険だからという理由で止めている。更に取り乱し…、
「!!?」
…俺は何かしらの気配を感じ振り返るが、…何もいなかった。…気のせいか? そう思っていたんだけど、俺と同じように気配を感じたっぽいアラタくんが走り出した。…もしかして捕まえる気だったり? 俺的にそれは難しいと思うな。
あっちはアラタくんに任せ、俺はアミちゃんとノキアちゃんを見ておかないと。…特にノキアちゃんが帰りたがっている、うん…今日はこれまでにしよう。何かあってからでは遅いし、…っていうか何かあったわけだし。まずはこの二人を外にへと送って…、そう思っていたんだけど。…帰り道に壁が出来ていますな、…これは帰さないというナニカの妨害ですかね? …先へ進むしかないってこと?
今にも泣き出しそうなノキアちゃんをアミちゃんが宥め、俺は壁を調べるも知識がないから分からない。これはもう進むしかない、先へ行ったアラタくんの安否も気になるし。それを二人に伝えるが、ビビっているノキアちゃんがそれを拒否。…仕方がないからノキアちゃんをアミちゃんに任せて、俺はアラタくんを追うことにしよう。アミちゃんが俺と一緒に行きたがっていたけど、ノキアちゃんを一人にするわけにはいかんでしょ?
俺は走ってアラタくんを探す、ガラクタ公園を抜けた先はクーロンと呼ばれる場所。EDENと同じ電脳空間なのに雰囲気が全く違う、アラタくんの姿もない。更に先にへと行かねばならないか、…不安だけど仕方がないわな。公園にいるアミちゃんとノキアちゃんのことも気になるけど、先にいるアラタくんの方が危険だもんな。
…そして更に先へ進むと遠目で見える人影が、…それに気付いた瞬間に目眩がする。片膝を付いてしまった俺に、背後から声を掛ける存在が、
「…雪先輩!!」
アミちゃん…!? 何故追ってきた!? …ノキアちゃんは!? そんなことを思っていると、アミちゃんも俺と同じように不調をきたして…。
そんな時…いつの間にかアミちゃんの前に、見知らぬ人影が現れてナニカをした。そしてその人影は俺にへと向き直り、その手を俺に……。視界が暗転し、その中で俺にナニカが刻まれたような気がした。…俺のことはいい、…アミちゃんは大丈夫なのか?
……どれくらいの時が経ったのか、気付けば俺は人影にナニカをされた場所に突っ立っていた。…っていうか、さっきのは一体何だったのか? ちょいと考えてから気付く、…アミちゃんは? アミちゃんも同じような目に遭った筈だけど。そう思って周囲に視線を向けてもいない、何処に!? …と思ったら、
「ぐぅ~……。」
俺の足下にて、身体を丸めて寝ていました。…俺も咄嗟のことでテンパり気味だったからな、まさか足下に…って気付けよ俺。そして寝るなよアミちゃん、…可愛いからいいけど。
とりあえずアミちゃんを叩き起こし、無事であると確認する。アミちゃんも寝惚けていたが現状を理解し、お互いに問題なしと知って安心したみたいだ。…にしても流石はクーロン、噂通りの危険なエリア。何が起きるか分かりませんな、…まぁ危険っていうのはアミちゃんやアラタくんから聞いて初めて知ったんだけど。…本当に俺はEDENを知らない、こんなご時世なのにね。…とにかく、アミちゃんは無事。後はアラタくんだな、…何処まで行ったんだか。
アラタくん探しを再開させますか、そう思った矢先、
「「!!?」」
俺達の視線の先から人が、…人が歩いてくる。近付いてきて分かったが、先程のユーレイと同一人物じゃないかね? …ガラにもなく驚いてしまった。アミちゃんも驚いて警戒し、俺の背後に隠れる。……さて、どうする? 俺達は向かってくる人物を警戒し、直ぐに動けるよう構えた。