何と言うか、嬉しさとプレッシャーがとても凄いですがこれだけは言わせてくださいね
読んでくれた人、評価をくれた人、誤字報告くれた人、そして感想を書いてくれた人達
本当にありがとうございます!!!
もうね、嬉しすぎて死にそうだったよ
と言うことで次話投稿
黒く全てを飲み込むかの様な闇
光を一筋すら通さぬ闇が自分の体を覆っている
何が起きたのだろうか
あの仮面に触れた所までは覚えているがそこからはプッツリと記憶がなく気がついたらこの場にいた。
辺りを見回して見るがやはり闇、音すらない
暫しの間、この不思議な空間にいることに呆けていると、ふと気配を感じる。
しかしその気配はとても研ぎ澄まされ、例えるなら猛禽類に睨まれた様な感覚であった。
絶対的な何かがいる、だが場所が一切掴めない
辺りを警戒したまま、じっとしていると不意に光が灯った
青い蒼い炎、それが燭台に火を灯すように順に灯り辺りを照らす
そして周りが照らされた時、それらは現れた。
色とりどりのフードを被った者、あの触れた仮面と同じものを着けた者、男、女、子供等々
老若男女、選り取り見取りの軍団
一人一人が濃厚な死の雰囲気を持ち、それでいて冷たい殺気を体に纏わせ此方を見ていた。
「久しき人の子か」
音もなく、気配もなく、それでいて圧倒的なそれは突如として目の前に現れた。
牛の様な角が生えた仮面、見上げるような巨躯
血がこびりついた様な黒き大剣を持ち、全てをその剣を持ってして死へと誘う雰囲気
周りの者達とは文字通り桁が違う、圧倒的な威圧感を出す、まるで死その物を具現化したかの様な存在
それが立っていた。
その圧倒的な威圧感は決して逃げることができない圧倒的な差を感じさせ、自ら首を差し出したくなる。
自害など生温い、生物としての恐怖
そんな死その物が目の前に立っていた。
「怯えるな無垢な童子よ」
それから発せられたのは厳格なる声であった。
それは何よりも重く低く冷たい、一つの言霊の様に自分の体を止める。
気分は昆虫標本の様にピン止めされた虫の様だ。生きてる心地など殆どない
いや、死を前して居るのだから生きてはいるのだろう
「汝、何用で此処へ来た。虚言は許さぬ」
圧倒的な雰囲気と生物としての差、抗うことのできない運命を感じさせるその声はただの質問であっても恐怖しか沸くことはない、
質問されただけ、ただそれだけ
当たり前な事であり、普通の質問
なのに足は震え、声も震え、腰も抜けそうになる。
しかし答えなければ死ぬだろう、むしろ答えても死ぬかも知れない
だが少しでも長く生きたい、そう本能が言っている。
正直に事のあらましを順に喋る
女神の依頼である神器の回収、実際はその女神の従者の手伝いでそれっぽい物を見つけたが故に渡そうと触れた所此処に来てしまった。
途中震えにより、舌が回らず何度も噛んでしまったが文字通り必死に説明する。無論、嘘偽りはない
むしろ嘘など吐く事に意味があるのだろうか
「その言葉に嘘偽りはないな?」
ゴーンとまた鐘が鳴り響いた
その音色はやはり背筋が凍るような音であり、本能的に体が震え、体を丸めてしまう。
しかし最初とは違い、妙に鐘の音が鳴り響きながら突如として音が聞こえなくなった。
恐る恐る体勢を戻し、目を開ける。
次の瞬間、周りの景色が全て変わっていた。
大量に舞う白き鳥の羽
何処かを山の麓
黄昏時の幻想的な黄金の空
浮かぶ雲の割れ目から神秘的な光が幾重も降り注ぎ、この光景を一つの宝石としていた。
一度死んだ身であるからこそ理解する。
見た感じここは幽谷ではあるが例えるなら、ここは言わば三途の川、生の行き着く先、そして全ての終着点、そう言える場所であると
「童子よ」
死が語りかけてくる。
それは処刑を言い渡さす審判者の姿に見えた。
しかしその姿はまさに恐怖であり、畏れのあまり体が震える
「晩鐘は……」
「待ちなさい!」
判決を言い渡されるその瞬間
何処かで聞いた声が聞こえ、見たことがある光が真上から差し込み一人の女性が降りてくる。
その姿は神々しく、幻想的な光に包まれながらもはっきりとわかる美貌
あれは、いやあの御方は……
「其処までです、名も無き山の翁よ」
クリスの主神にして幸運を司る女神エリス様、その神だった
◇
「其処までです、名も無き山の翁よ」
女神エリスは初めて会った時は慈愛に満ち、優しさを常に纏っていた
しかしそれらは一変して鳴りを潜め、厳格な雰囲気と共に山の翁と呼ばれたそれを視線で貫いている。
「彼は私の従者であり神託を叶えし者、故に手出しはさせません」
その後ろ姿は女性らしい細さと小さき背中であったが死を前にして動じず、依然として纏う勇敢さはとても大きな山の様であり、女神に相応しい神気が溢れていた。
「もしそれでも彼を罰すると言うならば全力を持って貴方を封印しましょう」
そうエリス様が言い放つと神気が増し、濃厚な死の気配とぶつかり合う。
それは一つの渦となり、人智を超えた経験は死神が笑って鎌に首を当てるように意識を刈り取ろうと周りを飲み込む
しかし何故だろうか、大地をしかと踏み締め、歯を食い縛り、それに耐えた
例えるなら恐怖だ、恩人、いや恩神の姿が気を失ったら最後、二度と観ることが出来なくなってしまうかもしれない。
そんな恐怖と想像が頭を巡るが為に自分は耐えた。
そんな時間が数十分、体感では数時間に感じられる時間が過ぎた所だろうか
時間の概念がわからないが故にとてつもなく長く感じる時間の中で先に口を開いたのは山の翁の方であった。(口を開いたと言うと語弊があるかもしれない。正しくは言葉を発したと言うべきか)
「女神エリスよ、その言葉、真なる事か」
「はいその通り、事実です。」
エリス様は強く頷き、事実だと肯定する。それはとても力強い返答であった。
「ならば良い、異教徒の神であろうともこの世界の神、信じるに値する」
その言葉を皮切りに殺気から死の気配まで全て霧散する。
それに対し、エリス様も神気を徐々に納める。
「やけにあっさりと信じますね、貴方に取って異教徒の神は信じられない物と思ってましたよ」
「汝、異教徒の神ではあるがこの世にて終わりの先に持つ番人なり、我は真なる我を模倣した紛い物に過ぎず、故に真なる汝の言葉こそが正しき物なり」
そう言う山の翁の口調はとても優しく、先程の声色が嘘のように柔らかい物であった。
「童子よ、汝の天命は未だ来ず。案ずるがよい」
殺気が全て消え失せ、また先程まだ鳴り響いていた鐘はもう聞こえない。
助かった、ただただその事を実感した。
「しかし女神よ、汝は一つ誤解をしている。」
淡々とした声で話を始めたがその雰囲気は少し気まずさが混じっているような気がした。
「汝の童子は晩鐘は聞いたが名は示されてはいない、故に童子に天命は未だ来ず、ただ真なる事を聞いたのみ」
まさかの発言であった。しかしあれほどの威圧を出して起きながらただの尋問だったことに驚愕し腰が抜けそうになる。
それなら早く言ってよじぃじ
「つまり私が出てくる必要はなく、私はいらない子であったと……」
その言葉にエリス様はプルプルと震え始める。確かにあの庇う姿はとても神々しく綺麗ではあったがもしかして意外にノリノリでやっていたのだろうか
だとしたら気まずい、自分が迷惑かけてしまったが故にとても気まずい
なのでフォローしておくとしよう
エリス様、とってもかっこよくて綺麗でしたから気にしないでと
実際庇って貰った時や駆けつけてくれた時はとても頼りがいがあり、そして安心した。だからこそ早とちりにしたってそれはとても嬉しい事であったと励ます。
キャー!ステキー!エリス様ー!流石貨幣にもなってる女神様ー!
ちょっと悪のりしたがこれは本心の一つである。
「いえ、まぁ確かに少し格好はつけましたがそれは威勢をつけるためで」
あわあわと顔を赤くし捲し立てるエリス様、その姿は先程の神々しさを感じさせず、とても可愛らしい
そんな微笑ましい光景に思わず可愛いと口から溢してしまった。わざとじゃないよ?本当だよ?
「うぅぅぅ……」
頭から更に湯気を上げ、顔を更に茹でタコの赤く染め、両手で顔を隠し踞ってしまった。
その光景は先程まで緊張感で張り積めていたと言うのに既にいつもの日常の様に戻っていた。
ふと、気がついた。
何故いつものと思ったのだろうか、ここに居るのはエリス様と山の翁だけ
いつもの日常、まるでエリス様がいつも近くに居るような……
「童子よ、名は何と言う」
少し考えに耽っていたところ、山の翁が話かけてきた。その雰囲気は例えるなら地元の公園で出会ったおじいさんの様に言葉に重みはなく優しさがあった。
それ故に始めに緊張していたのが嘘のようにすらすらと自己紹介が出来た。
「クチナシ・ユーリか、良い、実に良い名前だ」
「ではユーリよ、汝、童子とは言え暗殺者の名を持つ者、故にあの仮面を持て」
あの仮面とは此処に来る原因となったあの仮面であろう
しかしあれは特典、どんな効果があるかは知らないが特典をもう一つ手に入れてしまうことになる。これは回収されてしまうのではないだろうか
そもそも他人の特典を扱うことはできるのだろうか
「我が身は既に主無き身、故に幼き汝の力となろう」
力を貸してくれる、つまり自分は扱えるのだろう
しかしエリス様は許してくれるのだろうか、特典は一人一つ、何か誓約が掛かってもおかしくはない。
何故ならばもし持ち主が手放す事になった場合、魔王軍や他の人に悪用されないようにその人専用にしている可能性がある。
「その事に関しては私から話しましょう」
いつの間にか羞恥心から復活したエリス様が少しドヤりながら胸を張る。まぁその胸は偽乳であるためにただただ悲しさが溢れるが……
「特典は一人一つ、これはわかりますね。もちろんもし持ち主が手放す事になったとしても他人に悪用されないように大体の物はロックが掛かっています。」
「しかしそのロックが掛かっている神気やそもそもロックが必要ない能力系とは別に他人にも扱えてしまう神器があります。それを私は優先して回収していたのです。」
ふと転生前の神器カタログを思い出す、確か禁止された物だと言っていたがあれも全てそう言った欠陥があり、とても強過ぎる物や特典配布後に危険性が見つかり禁止された物もあるのだろう
「えぇ、その通りですユーリ君、未だにそう言った欠陥品の神器もまだまだあります。そしてこの山の翁もその一つです。」
「ですが一部の力をロック、そして使用者を貴方に固定するとして、今回は特例で差し上げます。」
その言葉に少し驚く、この死その者である山の翁が危険と言うのは言わずもがな本能がわかっている。ましてや女神であるエリス様ならその危険は十分に承知していよう。
その為、有無言わず回収してしまうと思って居たからだ。
能力に制限をかけたとは言え特典は特典、貰ってしまって良いのだろうか
「ユーリ君なら大丈夫だと思ったので今回は特別に許可します。あえて言うなら手伝って貰った報酬ですね」
そんなに簡単に信用して良いのだろうか
「短いとは言え近くで見ていた女神の目は狂いは無いですから」
その女神は多少天然であるのが心配だが女神がそう言うなら大丈夫なのだろう。棚から牡丹餅的な物であり、少々不安はあるがありがたく貰う事にする。
力はあればあるほど良い、溺れる危険性はあるが自分の場合は弱くそれ故に生き延びるためにも必要な物であるからだ。
「話は終えたか、新たな契約者よ」
エリス様と話している間にずっと黙っていた山の翁が語りかけてくる。
その心使いに感謝しながら終えた事を伝えた。
「そうか、ならばこれだけは覚えよ」
「我らの力は鞘の中の刃、闇に生き、光に奉仕するもの、そは我らはなり」
それだけ言うと山の翁とその周りの者達は一斉に風景に溶け込み、気配が消える。
どうやらお開きのようだ
「では私達も帰りましょうユーリ君」
微笑みながら軽く手を握ってくるエリス様に頷き、帰る事にする。
次の瞬間、転生した時に見たような光が足元から満ち溢れ、光に覆われると同時にまた意識は暗転した。
◇
薄暗く橙色の光
鼻を少し刺激する埃の匂い
頭の後ろから感じるとても柔らかい物
恐る恐る目を見開くと教会の天井が目に入った。
「あっ…起きた、調子はどう?ユーリ君?」
影になるように自分の顔を覗きこむクリス
どうやら無事戻ってこれた様だ
「本当に冷や汗物だったよ、まさか外に探しに言っている間に仕掛けを解いて特典に触れているなんて、今度から絶対に手で触っちゃダメだよ。布で包むとかトングで取るとか……」
神器の回収方法が何やらバッチい物を触るが如くの扱いにとても違和感を覚える。神器は一応神から貰ったものなので汚くはないだろうがお金は他の人も触るから汚いと言う理論と同じやつなのだろうか
しかし説教と言うよりは注意をしているクリスの顔を見上げながら思う。
クリスの膝は柔らかいと
先程からツッコミを入れなかったが起きた瞬間膝枕と言うのは意外と驚く、そして恥ずかしい
だが悪くない、暫しの間であるが膝枕を堪能する。
「まぁ今回は無事戻って来れたから良かったよ」
そっと頭に手を添えられ、優しく撫でられる
「疲れたでしょ、もう少しこのままで良いよ」
そのまま優しく慈しむ様に撫でられ、膝枕を継続させられる。
あっ……これダメになる……絶対ダメになるやつだ
人をダメにするソファーならぬ人をダメにするクリス好評発売中、お値段異常のエリスにてお買い求めください(現品残り1)
今のは何であろうか、お値段異常のNiToRo?爆発しそうな何かが頭を巡るがすぐにクリスの膝枕で霧散する。
しかしダメになる前に脱出をする事にした。
素数を数えて落ち着け、タイミングを見逃すな
ステンバーイ…ステンバーイ…Go!
ゆっくりと頭をぶつけない様に膝枕からするりと抜け出す。good escape‼
「もういいの?」
また後でお願いしますとだけ伝えて特典を見ることにした。
特典は仮面、ドクロの様な仮面であるが見た感じ少し不気味なだけであってあまり危険な感じがしない。
しかし触れたらあの場所に飛ばされて偉い目にあったことから少しトラウマである。
「託された特典にはもう一部ロックかけてあるから使っても大丈夫だよ」
恐々とまごついていた自分にクリスが苦笑いしている。その言葉を信じ恐る恐る仮面を被ってみた。
刹那
世界が急速に溶けた、いや自分が世界に溶けた
自分の存在自体が薄くなり音が消える。言うなれば気配遮断と言った所だろうか
まさに暗殺者にはうってつけな特典である。
「後、これは特典じゃないからこれも良いよ」
そう言ってクリスが差し出して来たのはケースの中に仮面と一緒に入っていた籠手と肩当てであった。
籠手の方はとても意匠が凝ってはいるがその造形は芸術品と言うより気品と信念、そして機能性を重視した作りになっている。
右手には既に自分で製作した籠手があるので左手に装着、大きさを調整して取り付ける。中々しっくりとした。
しかし着けて見るとふと一つピンの様な物があった。
「その籠手はちょっとした仕掛けがあってね、そこのピンを外して、ここを動かすと……」
クリスの言うとおりに動かすと籠手のしたから小型の刃が飛び出した。成る程、暗器か
右手に似たような物がついているが此方の方が質はとても良い
何度か刃を出し入れさせ感覚を慣れさせる。
「後この肩当てはマントがつけられる様になってるね、マントはこれかな?」
クリスがタンスにしまってあった黒い布を肩当てに付ける。
マントは少し小さめの物であり、しかし長さからして片腕をすっぽりと覆うくらいの大きさはあった。
引っ掛かって邪魔になるかも知れないと思ったが後ろに回せば邪魔にはならない
黒い布の方は何やら万能布と書いてあったがシルクなのかとてもつけ心地は良い
「何か凄く暗殺者っぽくなったね」
馬子にも衣装と言った所だろうか、素朴ではあるがしっくりとくるそれらは確かに冒険者と言う風体であった。
しかし透明になり掛かっているとは言え仮面のせいで物凄く怪しく見える。
これは必要な時に被るようにしよう
荷物を纏めてその場を後にした。
いかがでしたか?未だに文章はまだまだと言った所ですがお楽しみ頂けたでしょうか?
小説を読む、書くと言った物は自分にとってとてもリフレッシュになるので書いていますが皆様も書いて見ませんか?(突然の布教)
最近突如として評価や感想を沢山頂けたので改めて小説と言うものがとても楽しくなりました。
そして今回が多分年内最後の投稿になると思います。
皆様、来年もどうぞよろしくお願いします。
ps.次回からは少しシリアスな展開になる予定
これからもユーリ君をよろしくね、良いお年を~