もう最後からそんなに立ってたの!?
となった作者です。
えぇ本当にすみません
リアルがクソ見たいに忙しくてちょっとずつ書いてたのが思った以上の文字数になって直しては書いてを繰り返してたらこんなに月日がたっていました。本当に申し訳ありません
と言うのも今回の話に登場させるキャラのためにこのすばを何度か読み返したのですが、色々と考察とかしまくった結果1万文字の文章を20回近くボツにしては書き直してを繰り返した結果こんなに時間がたってました…
一応最後までのプロットは大体できているので何とか最後まで書いて行きたい所存です。
茜色の空に冷たい風
太陽が地平線へと近づき肌寒さを感じる時間帯
町、もとい王都は夕焼けに照らされて家々から光が灯り、更には煙突から煙が登り始める。
しかし王都故だろうか、大通りには未だ人混みが出来ており活気に溢れていた。
テレビで見た百万ドルのネオンな光景と言う物をふと思い出したが、そのような物よりも王都の方が何倍もの価値があるように感じたのはやはり実物との違いだろうか
「そういえば明日はお祭りだったね」
クリスが思い出したように辺りを見渡す
確かに周りに目を向ければ大通りの隅には出店用の木材やらが置いてあり、頭上を横切るように家から家へと小さな垂れ幕が張られているのが見える。
だが普段の王都を知らない分、それがお祭り用の物だとは自分一人では気が付かなかっただろう
全ての物が新鮮に目に写る、長い入院生活であった自分には海外を含め他県にすら行った記憶は無い、こうして街を歩けること事態が自分に取っても奇跡に近いと言うことを改めて噛み締めた。
そしてお祭りも言わずもがな参加したことはない、知識としては各地の有名な祭りに出向くバラエティー番組を視聴したくらいのものであり、体験した事は少なくとも記憶にはなかった。
故にお祭りにはとても興味がある。
「そっか、ユーリ君はお祭りを体験した事が無いんだったね。じゃあさ、明日一緒に……」
そう言った瞬間にそっと手を前に出し、クリスが『ソレ』を言い終える前に会話を遮る
会話を遮るのはマナー的に悪いと思えるが今回だけは勘弁してほしい。
お祭りと言うイベントは楽しむ他に相手をお誘いするのも重要だが、ここはクリス、つまり女性からお誘いするより男性からお誘いするべきだろう
そう言った決まりはないが初めてのお祭り故に誰かを誘うことに憧れていた為、自分から誘いたいと思っていたのだ
明日一緒に行きませんか?
そう一言、クリスをお誘いする。
しかしこの言葉は多少恥ずかしくもある。何たってデートのお誘いなのだから
ちなみに豆知識ではあるがデートとは親しい間柄の男女が日時を決めて会う約束をデートと呼び、本来は恋愛要素は入ってはいないとのこと
だが最近では一般的に恋愛要素を含めた意味を持つことが多いと言われている。
今回のデートのお誘いはクリスとは特別な関係に至ってはいないために普通の意味となる。
ただそれでも女性を誘うと言うのは少々勇気がいることを知った。生前はそんな事自体経験することがまず無かったし、初体験と言うものだ
クリスは少しの間、きょとんとしたが一瞬間を置いてすぐにいつもの無邪気な笑顔へ変わった
「うん!一緒に行こう。折角のデートのお誘いだし」
お誘いは成功、感激しながら小さくやったと心の中でガッツポーズを取る。
この世界に来て、いや自分に取っての大きな成功であろう
これには拍手を贈っても良い、ブラボーと心の中で自分に向けて拍手する
「でもさユーリ君」
にんまりとしながらクリス何かを思い付いたように言葉を続ける
「まだ夜までには時間が空いてるし、明日からと言わずに予習がてら今からデートするって、どうかな?」
そう言われてはっとする
確かに明日からの必要はないし、今日は前夜祭
地理に疎いと言うこともあるならば今日から下見もかねて廻れるではないか
こう言った事に気が回らないのはやはり経験不足によるものだろう、教訓として覚えることにする。
では改めて……
今から一緒に遊びませんか?
「うん!行こう、ユーリ君!」
◇
王都は流石と言うべきかあっちでガヤガヤこっちでガヤガヤとアクセルと比べ物にならない位に賑わっている。
道行く道には前夜祭と言うこともあってかズラリと出店が並び、その匂いを辺りに振り撒いていた。
その匂いで自然と腹の虫が泣き、切なそうなメロディーを奏でそうになった為に適当にクリスと食べ歩きをする。
行儀は悪い様に見えるがこれこそがお祭りの醍醐味だろう
最低限のゴミ捨てなどのマナーさえ備えていれば文句を言われる事はない。
そうしてクリスと少しの間、様々な物を見ながら通りを練り歩く
道には前日と思えないほどに露店が出ており、それは日本でも見知った物が多々あった。
フランクフルト、焼きそば、お好み焼き
りんご飴、綿菓子、チョコバナナ
冷えたエールにビー玉入りのラムネ
定番のヨーヨー掬いや果てには金魚掬い擬きすらあった。(擬きなのは小魚が小型モンスターの一つだとか)
冷やかしにならない程度、店を覗き見て小腹が空いたら購入し、二人で食べる
前夜祭ではあるがこの雰囲気を満喫していた
そして道を歩いているとクリスが立ち止まった
「露店のギャラリーかな?珍しいね」
呟くクリスの視線の先には沢山の絵が飾ってある露店
店と言うよりは仮設のテントと言ったところだろうか
あまりパッとした感じはなく、少し薄暗い
またテントは準備中のためか半ばまでしか建てられておらず、そのせいか少々近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。
ふと、露店の絵を覗いて見る
金髪の綺麗な人形のような見目麗しい少女が書かれた肖像画やその他に此方の世界では良く目にする家々とは違う、自分の記憶からしたらイタリアの町のような風景画
そんな風景画の隣にはこれまた火を吐き、周りを焼き払い、人々の恐怖を体現したかのような怪物が書かれた見事な水彩画が飾られている
しかし種類が多い、先程の絵の他に眼だけ書かれていない虎の屏風絵等、絵がテントのそこかしこに並べ立てられており、少々異様な光景である。
そしてそれらの絵は並べられたばかりなのか値段はかかれていないため、売りには出されていないようだ
その代わりなのか絵が置いてある所の横のスペースには彩り豊かに衣服が展示されており、値札がつけられていた
此方は売りに出している物なのだろう
並んでいる服はほぼ女性用の物であり、タキシードドレスと言った変わり種からディアンドル、カーディナルと言った歴史書でしか見たことが無いような民族衣装がずらりと並んでいる
値段も見た目とは裏腹に良心的な数字であり、中々に材質は良い
機能性についても行動を阻害され難い様に設計されているため、誰かにプレゼントととしても喜ばれるだろう
「どれか気に入りましたか?」
服を少々不躾ながら眺めていると後ろから柔らかい、優しい声が掛けられる。
振り向くとそこには顔にインクを着け、画材の様な物を両手いっぱいにした美男子が立っていた。
このギャラリーの店主だろうか。
「おっと自己紹介がまだでしたね、私はこの店の経営者の虎堅 春仁(とらかた はるひと)と申します」
やはり店主であったか
これはこれはと自分も自己紹介をする。
ドーモ初めましてトラカタ・ハルヒト=サン、クチナシ・ユーリです
アイサツは大事、古記事にもそう書かれている。
「クチナシ…ユーリ…失礼ですが、もしかして貴方は日本人ですか?」
小さく確かめるように日本人と言うワードを囁く
そう言う彼もこの世界ではあまり見ない焦茶色の髪をしており、顔の骨格も日本特有の平たい顔であった。
見た感じの年齢は20台なかばか後半、自分より先にこの世界へと来た転生者だろう
『彼の雰囲気…アイツに似ているな…』
ふと、仮面から男性の声が聞こえた。
気のせいだろうか慢心した王様のような…国民アニメでも聞いた事があるような…
まぁそれは置いといて、先程の質問である転生者で間違いないと答える。
「やっぱりそうでしたか、見たところ大分若いのにこの世界に転生して来たと」
春仁はふむと頷き此方を見ながら何かを考え込んでいる。
多分自分が死んだ理由でも気になったのだろうか
「いえ、少し聞きたいことがありまして…もしよければお茶でもどうです?」
春仁が聞きたいことがあると言うがこれは多分日本の事だろうと当たりをつける、半ば勘に近いが出会って間もない転生者に気になることと言えばそれ位しかないだろうと思ったからだ
クリスと前夜祭を堪能していた所ではあるがちょっとした休憩として話に付き合うのも良いとは思う
勿論、クリスの意思を聞いてからであるが…
「どうしたの?ユーリ君?」
ちょうどのタイミングでクリスが此方へと来た。
その為、簡潔ながらも春仁の紹介をして今までのやり取りを説明する。
「うん!ユーリ君が良いならいいよ」
快い返事、そして嫌な雰囲気を一片足りとも感じない所を見ると嫌々と言った事は無さそうだ
「それではお二人様ご案内、ゆっくりして行ってくださいね」
◇
独特な絵の具やインクの匂い
乱雑に積まれた本や紙の束に書きかけの絵
天井には空飛ぶ何かの骨格の模型が飾られている。
出された紅茶は綺麗に透き通り、香りはとても芳しい
味に関しては生前に紅茶を嗜むことは無かったので評論家のようにここがこう美味しいとは言えないが砂糖を何個か入れたのでそこそこ甘く飲みやすい
春仁の店に招かれ彼の御弟子さんにお茶と菓子を入れて貰い、それらをつまみながら皆で軽い談笑を交える。
その時間はゆっくりと流れ、和ましい
春仁との会話は何て事ない、転生前の日本の事であった。
どんな事が起きたのか、または新しい発見等々であり目を輝かせながら聞き入るその様子はまるで童心に帰っている様であった。
特に自分が此方に来る直前にあった歴史的大ニュースであるジャックザリッパーの正体等にはとても食いついていた。
そんなこんなで話が盛り上がり、時間も過ぎたのでそろそろお暇させて貰おうかと考え始めた時であった。
「すみません、ハルヒト先生いますか!」
慌ただしく扉をノックする音、そして焦りが混じった声色が扉から聞こえてきた。
何であろうか、突然の事で会話が途切れて時間に空白が生まれたがハルヒトが少し待っていてくださいと立ち上がり、扉を開ける。
「お待たせしました…ってあれ?誰かと思えばクレアさんじゃないですか、どうしたんですか?」
扉を開けた先に立って居たのは綺麗な白いスーツで固め、腰に剣を刺した麗人
クレアと呼ばれた件の麗人はかなり焦っている様子であり、そのためスーツに少し皺がよっている。
「あのアイ…ッ!イリス様が此方に入らしていませんか?一緒に祭りを歩いているときに見失ってしまいまして探しても見つからなくて…此方に来ていないかと思ったのですが」
「あぁ、アイ…じゃなくてイリス様ですね、今日はお見えになっていませんが」
「あぁそんな…ここにも来ていないとなると何処へ行ってしまったんでしょうか、あぁお嬢様…」
項垂れ今にも膝を付きそうな残念美人のクレア
見ている側としては初対面と言えどもその姿は思うべき人を心配している様子がありありと見え、少々気の毒だと思ってしまう。
放って置く事もできるがあまりにも気の毒な姿に手を貸すくらいはしてあげよう、そう頭を過るが今はクリスとデート中と言うこともあり、自分一人で決める訳にはいかない、その為に相談しようとクリスの方に振り向く
だが振り向くと同時にクリスと視線が合い、そして自分の内心を悟ったのか一つ頷いた。
根っからの善人なクリス故に今の心境は通じたのだろう、一緒に人探しをしようとクレア達に歩み寄る。
「あの~もし良ければアタシ達も探して……」
「お嬢様の事なら体のほくろの数からスリーサイズに『自主規制』の周期まで全身全体爪の指先隅々まで細かく調べて…」
ぽんと耳を覆う柔らかい感触
何やら危険を感じ取った表情のクリスが自分の耳を塞いでいる。
しかし塞がれる直前に聞こえた事で全てを察した
触らぬ変態に仏無し(誤字に非ず)
吹いて消える蝋燭の様に良心が消し飛ぶ、クリスも同じだろう
それより良心で助けようとした自分達の善意を返して貰いたい…いや返してきたら返してきたで何か余計な物まで返って来そうな気がするためやっぱりいらない
君子危うきに近寄らずならぬ変態には近寄らず
嘆きの変態を芸術家が慰めると言う光景を無情にも眺めていた。
閑話休題
「お見苦しい姿を見せてしまい、すみません…」
あれから数分、落ち着きを取り戻した件の麗人、クレアは少々恥ずかしそうにしていた。
「それでお嬢様を探すのを手伝ってくれる人と言うのは貴方達か?」
キリッとした態度、自分でなきゃ惚れてるねと誰かが言いそうなくらい様になっているその姿は素直にカッコいい
だが先程のアレが脳内にこびりつき、どうも変な感じがする。
しかしそれはそれとして居なくなったお嬢様と言うのはどう言った人物なのだろうか
「その前に少し確認したい事があるのだが良いだろうか?ハルヒト殿、あれを貸してほしい」
話を聞こうとした時、先にクレアがハルヒトからベルのような物を受け取り机に置いた。
「これは嘘を看破する魔道具だ、気を悪くさせてしまうとは思うが必要な事であると理解して欲しい」
良いかと確認を取るクレア
この世界に嘘発見機があるとは少々驚きだ
しかし嘘発見機で質問されることに気を悪くすることはない、例えばただの人探しならばそこまで相手を疑うことなく頼み事をできるだろう
だがあって数分の人でさえ多少は怪しまねばならない立場にいると言う事から多分相手はかなりのお偉いさんだと推測する。
もし自分が同じ立場ならクレアと同じようにするだろう、偉い人は石橋を叩いて渡るのだ
「それでは始めましょう。貴方達は国家に仇なすものですか?」
「それはないね」
クリスと同様に自分もないと答える
そもそも国家に仇なす理由を持ち合わせてはいない
不当な逮捕や危害を加えてくるなら抵抗はするがそれだけだ
「では2つ目、いくら可愛いからと言ってお嬢様を襲ったり拐ったり、イヤらしい事はしないと約束できますか?」
「いやいや、する訳がないよ…」
クリスが少々引き気味に返答する。と言うより初対面の娘が可愛いからとセクハラするのは普通はしないし思いもしない
そんな事は当たり前である。勿論貴方も可愛いからと言ってすぐに手を出す訳ないだろう
「え、えぇ…そうですとも、私もお嬢様がいくら可愛いからと言って手を出す訳な……」チンッ!
……ん?今鳴らなかったか?
「いや、鳴っていません」チンッ!
部屋の空気が凍りつく
これには何とも言えない、柔和な笑みを浮かべ会話を眺めていたハルヒトでさえ今は表情が引きつっている。
「次の質問に移りましょう…」
ナチュラルにポーカーフェイスをしたまま彼女は話を流す
嘘を看破する道具を自分で出しながらその道具で墓穴を掘るとは思って居なかったのだろう
しかしこれはある意味ヤバいのではないだろうか
「性的には手を出してないのでセーフ!」
軽いスキンシップだから大丈夫と開き直るクレア、その姿は何故か堂々としており、言動はちょっとアレだが妙に気迫に満ちている。
ふと、質問を続けるクレアを見てもしかしたら自分達よりこの御付きが一番お嬢様にとって危険なのではないか、そう思った。
◇
「私は彼方を探す、見つけたら必ずハルヒト先生の店に連れてきてくれ」
そう言いながら人混みに消えるクレア
「アタシはあっちを探して見るよ」と別方面の人混みに消えるクリス
先程質問を全て解答し、一応信頼されたようなので改めてクレアが探すお嬢様の捜索を各自始める
本来ならば捜索を手伝う必要は全く無いのだが、あれほど取り乱す姿を見せられたら流石にかわいそうと思ってしまった。
懐からクレアに貰った写真を取りだし、迷子のお嬢様を改めて確認する。
野暮ったいローブを被り、そして透き通るような青い目、つまり俗に言う綺麗な碧眼が写っていおり、端から見ても中々の美少女だ
『ユーリ』
何処からか声が聞こえた
『ユーリ』
聞き間違えかと思ったがやはり声が聞こえる
しかもこの声は…
『聞こえるかユーリ』
忘れはしない
昼間に聞いたばかりのその声は重く深く厳格な雰囲気
これは初代様の声に似ている
背中に冷や汗が流れた
『そう怯えるなユーリ』
そう言われても未だに緊張してしまうのは仕方がない事だろう
だがそれは一旦置いておく、何か用があるから話しかけてきたのには訳があるのだろうか
『迷い子を探すのだろう、だが汝に取ってそれは厳しい』
全くもってその通りである。
人探しなど生まれてこのかた、したことなどない
またこの人混みの中では身長的な意味も含めて探すのは難しいのは明白であった。
『故に力を貸そう、仮面を付けよ』
先程と同じように真剣な声
その真剣な声の通り力を貸してくれると言うのは本当だろう
言う通りに仮面を被る
『これからお前に力を授ける、本来ならアサシンの一部しか扱えぬ物だが仮面の力として与えよう』
一瞬だけ視界が白くなり直後に高揚感が体を支配する。
この遺伝子から発せられる高揚感
遺伝子の一つ一つ螺旋が組み替えられ更新されている感触
これはスキルを更新した時と同じ感覚であった。
徐々に白くなった視界が元に戻るとそこには別の世界が移っていた。
灰色に染まる視界
道を歩く人々はまるでマネキンのようになり、世界から色が抜けている。
『これはタカの目だ、一部のアサシンが持つ特殊な超感覚だ』
慣れない視界に少々落ち着かないが少し待つと視界は元に戻った。
『このタカの目は味方は青く写し、目標は金、敵は赤く輝き、市民は写らない』
つまりこれでお嬢様を探す事ができると言うことか
しかし先程見た時、市民しか見えなかった
『次に彼処にある教会に登れ、ここでは一番高い建物だ』
示された場所はクリス教会
その教会の大きさはやはり王都ならではと言った大きさであり、別の建物より頭一つ出ている。
そこそこな高さ故に少し骨が折れそうだ
早速置いてある木箱と大樽を足蹴に上へと飛び上がり、民家の梁に掴まる。
そこから更に登り、屋根の上へと転がり出た。
目標の教会までまだ距離がある
後ろに下がり、助走を付けて次の建物に飛び乗り、そのままの勢いで次の建物に飛び移る
それを繰り返し教会が目前に迫ったとき、飛び出してレンガでできた教会の出っ張りへと飛び移った。
飛び移ったは良いが次の所までに手が届かない、その為、メリクリウスを起動し無理矢理壁に張り付き、そして上の壁の切れ目に飛び上がる。
壁登りのスキルがあって助かった。
それが無ければ自分は登れなかっただろう
吊り下げ式のランプでぷちターザンをし、次の梁へ飛び移り、そこから更に上へと壁を登り、遂に一番上に到達した。
『ついたか、町を見渡して地形を覚えよ』
また示された場所は天辺から少し横にはみ出ている部分に言われた通りに登り、町を見渡す
普通に地図を買った方が早い気もしなくはないが頭に地形を叩き込んで置けば地図を見ずに町を歩ける
例えば明日のエスコートとか…
そんな事を考えながら道を覚えて行くが何故かすんなりと頭に入る
はて、こんなに自分は記憶力がよかっただろうかと首を傾げるが多分仮面の能力だろうと思いあまり気にしないことにした。
『覚えたか?なら次にやるべき事はもうわかるだろう?アドバイスはここまでだ』
見渡せるほどに視線が通るこの場所
ここならば遠くまで見ることができ、目標を発見することは容易いだろう
遠くを見渡すように、猛禽類が獲物を狙うようにタカの目を起動させ目標を探す
灰色の人混みが暗い海を連想させるように広がり、人が蠢くその様はまるで波のようである。
灰色の世界は嫌に冷たく感じた
まるで相手を殺すために見つけるような…
すると視界の端にちらりと金色に光る物が一瞬移り、再び消える。
今のはもしや
今のは迷子のお嬢様だろうか
一瞬しか見えなかった為に気のせいだとも思えるが手掛かりがない今は向かうしかない
見失う前に行くにはスピードが命
高い場所に登り一瞬とは言え手掛かりを掴めたのは良かったがこの高さが仇となる。
教会は隣の建物よりもかなり高いため飛び移る訳にも行かない、地道に降りるのは少々時間が掛かるだろう、これでは見失ってしまうかも知れない
少々焦りを感じながら、ふと下を見ると落ち葉を掃除したのか荷馬車に大量の枯れ葉が積まれているのが見えた
それを見て思い出す、あの時ベルディアから逃げる為に藁山へと飛び降りた時の事を…
思い立ったが吉日だ、あの時のように腕を羽のように広げ、そして大空へと飛び立った
空中に浮いた体は重力に従い高速で落下し枯れ葉の山に着地する
ガコン!と荷馬車から少々大きめの音がなるが気にせずに目標を追うためそこから飛び出した。
『見事なダイブだユーリよ、我等の兄弟ですら失敗して足を折るものすらいたと言うのに、もしや我等アサシンの血が入ってたりはしないだろうな?』
どうやら飛び立ったのが相当以外だったのだろう、アサシンの血筋では無いかと思われているようだ。
だが確か母方の血に外国の血がほんの少し混ざっていたと言うのは聞いた事があるため、もしかしたら何処かで繋がっている可能性は捨てきれない
まぁ今となっては確かめようが無いし割りとどうでも良いと思っている、そんな事より今は人探しだ
人混みを掻き分けて潜り抜けると目標が消えた路地の前にたどり着いたがやはりと言うべきか路地は夕暮れ時と言うこともあってかとても薄暗く、何も見えない、だがタカの目はそれすらも見通すことができる。
そんな暗闇を見通すためにタカの目を起動した瞬間、視界は灰色に染まり暗闇に隠れていた物全てが浮き上がる
でこぼことした石畳、それによく分からない木箱や樽、木片等が乱雑に置かれており足元は大分悪そうだ
そしてタカの目が見通したその先には金色に輝く目標が確りと見えた
だが様子がおかしい、どうやら壁を背に座り込んでいるようだ
調子が悪くなったのだろうか駆け寄り、お嬢様のお姿を拝見する
野暮ったいローブ、綺麗な金髪、整った顔
クレアに渡された写真と同じ顔であるが実際には写真以上に気品が溢れている可愛らしいお嬢様だ
初対面でもとても可愛らしいと思える容姿は写真で見るよりも美しい
しかし聞くにはとても大人しい娘であるとのこと、それならば今回の行動もクレアがあれほど心配するのも納得である
あの取り乱し方と墓穴の掘りかたには少々引いたが…
とそれは置いといて今は少女の容態だ、少々失礼してローブを捲り確認する
「……zzZ」
寝ている、迷子になって疲れたのだろうか
疲れたとは言えこんな所で寝るとは肝っ玉が太いのだろう、別状がない事に安堵しため息をついた。
しかしこんな所で寝ていては風邪を引いてしまう、ここはさっさとハルヒトの店に連れて行ってしまうのが良いだろう
背負おうと屈んだ時にふと視界の端に何か映る
お嬢様の首元に何か刺さっている、針…いやとても短い矢だ
これは…
その時、ふいに足音が後ろから聞こえたために振り返る
「おっと、すみません」
振り替えると鎧を纏った兵が二人立っていた
昼に門の前や町中でちらほら見た警備隊、日本で言う警察的な組織の連中だろう
「此方にお嬢様が居ると聞いて来ました警備の物です」
捜索隊の連中、クレア辺りが連絡を回したのだろうか
「はいクレア様から此方に居られるとお聞きし参りました。お手数お掛けして申し訳ありません、お嬢様は此方で運びます」
ちょうど良いタイミング、自分は身長が低いためお嬢様を背負って運ぶのは少々キツイと思っていたところである。
お嬢様を引き渡そうとして…やめた
少し引っ掛かる事があるからだ
先程この警備達はお嬢様がここにいると聞いて来たと言った
しかもクレアの指示でだ
なら何故クレアはここに来ないのか、あの人ならば居場所がわかった瞬間に誰よりも先に飛んで来るはずである。
しかしクレアは来ていない
何か魔道具で伝えたならば話はわかるがなら何故ピンポイントで居場所がわかるのだろうか
そもそもの話、お嬢様の首に刺さっている物からして故意に誰かが眠らせたのは事実だろう、それを連れ去るために来たのだとしたら
またお嬢様と言うとおりこの娘が国の貴族か重要な立ち位置にいるならばクレアが始めにした国家に仇成す者と聞いた意味がわかる
そしてそれを人である自分達に聞いたと言うことは人間に裏切り者がいると言う意味だろう
ならば最後に確証を得るためタカの目で捜索隊の連中を見る
世界が灰色になり、人の顔がマネキンのように見え、そして
タカの目に映った警備隊の色は赤色であった
何回も書き直しているため、文がおかしかったり矛盾している場所があると思いますが、そっと教えてくださりますと嬉しいです。
感想お待ちしております。