毎回思うのが待たせすぎだろ!?と思いますが、一時を楽しんでいただけるならこれ幸いです
ではどうぞ!
ボヤける視界
ひりつくような息苦しさ
浮かされるような気持ち悪さ
意識がはっきりして行く内に腹部が熱を持ち、痛みが走る
まだ自分は生きている?
「おぉ目覚めましたか!良かったぁ!先生!先生ッ!!!ユーリ君が目を覚ましました!!!」
声の主は昼間にあったハルヒト
ホッとした安堵の表情をしながら、医者…(多分現状に関しては医者であろう)を呼んでいた
腹部に走る痛み
そうか、私は刺され、そして助かったのだな
痛みが一瞬走り、我に返る思考で見知らぬ天井と言うよりはあまり見慣れていない天井を見ながらぼうっとする
ぼうっとするのは出血したからだろう
『ユーリ君ッッ!』
ふと最後に聞こえた声を思い出す
あれは確かにクリスの声だった
彼女が助けてくれたのだろうか
木製のドアの金具が講義を上げるかのようにギィと鳴り、それと同時に強く打楽器のようにドンと開きながら僧侶姿の者とハルヒトが入ってくる
「気分はどうですかな?何処か調子の悪いところは?」
グイグイと詰め寄ってくるハルヒト、強いて言うならば出血により少しぼぅっとして、刺された場所が少し痛む程度だろう
「そうですか、本当に良かった…」
本当に安堵したように深いため息をつきながら、優しくこちらを見据える
その眼差しは子供を心配するような優しいものであり、自身の家族がお見舞いに来た時を思い出した
…本当に心配してくれているのか
出会った期間はごくわずかとは言え、ハルヒトの人柄の良さがしみじみと伝わる
それよりもだ
イリスは大丈夫なのだろうか
襲撃を受け、気がついたらシェイプなんちゃらと言う魔法で入り変わっていた女の子
連れ去られてしまったのでは無いかと不安に刈られる
「そのことですが…あなた達のお陰で連れ去られる前にクレアさんがアイリス…いえ、イリス様を保護しました」
その言葉を聞き、さらに安堵する
そうか…助けられたのか
良かった良かったと思いながら、おもむろに最後に聞こえた声を思い出す
クリスは何処?
その言葉に一瞬、ハルヒトが口をごもらせる
「ッッ…それはですね…その…」
クリスに何かあったのか
新たな嫌な予感が生まれ、ベットから飛び出す
直後に腹痛、傷がまだ疼いて足に力が入らずにその場で少しうずくまる
「ユーリ君、無理しないでください、クリスさんも無事ですから」
無事?無事とはやはりあの場に来たのは間違いないのか?
「えぇ、その通り…あの場で襲撃に会い、そしてあなたをクリスさんはあなた達を助けようと奴らと戦いそして…」
「刺されました…」
その言葉に背筋の毛が逆立つ
胸の中がドロドロになり、頭からはタールのようなよくわからないものが吹き出すように憤りと感情がごちゃまぜになって脳をかき乱す
「落ち着いてください、ユーリ君!彼女は今隣の部屋で……」
隣の部屋、そう聞いた瞬間、痛みも忘れ、ハルヒトと僧侶を押し退けてただ本能的に…反射的に飛び出し、隣の部屋へと向かう
熱く、じんじんと這い回るお腹の痛みよりも…自身のことよりも彼女の事が大切と思えた故の行動
クラクラと抽象画のように不規則な視界ではあるが、廊下を走り、ノックもせずに扉を跳ね除けるようにして開いた
消毒液の匂いが鼻を擦り、静かな空間に跳ね除けた扉の金切り声のような蝶番の音が伸ばされた飴のように嫌に響く
クリスは布団で眠っていた
包帯を巻かれ、少しだけ血が滲んだガーゼを当てたまま小さく…本当に小さく寝息を立てて横になっている
見たところ傷は元々あった顔の傷以外無いように見えるのは魔法で治したからだろうか
弱々しく眠る彼女に近寄り手を握る
少し冷たい、けども僅かながら感じるぬくもりと先ほども聞こえていた小さな寝息で彼女が生きていることに自然と涙が頬を伝った
「ユーリ君…クリスさんは大丈夫」
追い付いたハルヒトが背後に立ちながら言葉を紡ぐ
「間一髪…クレアさんがその場に間に合い、襲撃者を撃退し、私のところへ駆け込んで来ました、そして治療し、教会にも来てもらい今に至ると言うわけです」
「彼女の命に別状はありません、むしろユーリ君…あなたの方が重症だったくらいだ」
そう言いながらハルヒトは横に立ち、私の肩を支えながら抱く
「ですからユーリ君…彼女の側に居たい気持ちはわかりますが、あなたも部屋に戻って安静にしなさい」
そう言うとハルヒトは私に肩を貸すように支え、反対の肩を僧侶が抱えて、先程まで私が居た
部屋へゆっくりと歩き出す
クリスが刺されたのは私のせいだ…
そんな罪悪感が重く、背中にのしかかり、今すぐ首を掻き毟って嘆きとともに開放したいくらいの後悔が胸中に居座る寄生虫のように激しく鼓動を揺らす
「よいしょ…」
先程の自身のぬくもりが残った布団に連れて行かれ、横になるとなおさら一層、罪悪感が胸にのしかかった
「ユーリ君、キミは今後悔しているでしょう…だけど今は逆に誇りなさい」
「君が居たからイリス様は助かった、君は一人の人を救ってるのだから」
慰めの言葉…しかし少しでも癒そうとするその優しさが今は凄く痛くて…そして嬉しかった…
「君はまだ子どもです…全てを背負う必要はない…」
布団をかけられ、頭を撫でられる
「今、イリス様はクレアさんが別のところで保護しています。そして騎士団が犯人を捜査しています」
「あなたは十分に頑張った…後は大人の問題であり、ここからは大人に任せて、今はゆっくりと休みなさい」
頭を撫でるぬくもりに安心感を覚える
今は少し、そのぬくもりに安心しながら眠りたい…
すがるように…ただすがるように…
くりすをおもいながら…まぶたをとじて………
……………自身を…この身を捧げると誓った……
◇
綺麗に花開く夜空の花火
キラキラと城下に広がる景色に人々は皆、笑顔であり、お祭りを楽しんである雰囲気が全体から溢れている
露天では食べ物や催し物の遊戯が沢山並び、その時期にしか見ることができない光景がより一層、特別な日であると強く認識させるだろう
一人の男がベネチアンマスクのような、お祭り用のマスクを付け、ベンチで露天で購入した串焼きを食べながら、目の前の大通りで踊り合う眩しい人々を眺めている
(街を出ないとな…)
男は今日、街の重鎮を襲撃した
故に祭りに乗じて手配されたルートで街を離脱する予定であった
しかして、予定の時間はまだ先である
故に祭りに参加、ではないが街を後にする前に少しだけ街の雰囲気に浸ろうとしていた
華やかに踊る人々、それを見る目には友達と踊った時の過去の情景が思い浮かび、少し苦々しく思う
(俺も昔はみんなと…)
走馬灯のように思い出したその光景を柄でもないと自嘲気味に苦笑いしながら、思考を吐き捨ててベンチを立ち上がる
(今日はやけに過去の事を思い出す…なんでだ?)
こういった日は何か起こる、過去の経験から男は早々に退散した方が良いと決断をし、食べ終えた串焼きをさの串を包んでいた紙と一緒に丸め、近くのゴミ箱まで捨てに行く
ドンッ…体に軽い衝撃な走った
「なんだぁ?」
悪態をつきながら男は、何かがぶつかった方向を見やれば仕立ての良いチロリアン風な…童話で言う赤ずきんのようなチロリアンドレスに身を包んだ可愛らしい少女が尻もちをついていた
(ん…!?…なんて綺麗な娘だ…)
薄っすらとされた化粧、人透き通るような肌…目立つはずなのに控えめな灰色の髪…人形のような整った美しさと儚さが両立した綺麗な顔に雑誌で見るような長いまつげ
彫刻のような美しさにぬいぐるみのような幼さをかけ合わせた少女に見惚れて固まる
しかし少し間を負けたあと男はハッとして少女に手を差し出す
「だいじょうぶ〜?お嬢さん?」
100%の善意、悪意に塗れて来た男にとって今は従来の故郷の道徳観が働く
コクリと頷いて手を取る少女を立ち上がらせた
ほわりと香る薄いながらも甘い香り…香水の匂いが鼻から脳を叩き、心臓を一瞬、射止める
「怪我とかない〜?汚れてないかなぁ?」
男は少しテンパっていた、綺麗な少女に一目惚れと言うものだろうか
とりあえずテンパりながらも出した相手を気遣う言葉が出せるのは過去の癖であり、両親と学校の教育の賜物だろう
あまり良い思い出は無いが、今この瞬間、男はそれらに少しだけ感謝をした
手を貸して立ち上がらせた少女は申し訳無さそうに、少しあわあわしながら何かを言おうとしている
その隙を逃す男ではない
約束の時間はまではまだある
高校時代の友達とやったナンパを思い出しながら、少し攻めた
「ん?お礼がしたいのかなぁ?」
まだあわあわする少女…その手を握ったまま少し大通り方向へ歩き、会話する
「ん〜じゃあさ、一緒に踊ってくれたら許して上げるね?」
(街を出る時間はもうすぐだけど、ちょっとだけハメを外すのも良いよねぇ)
ちらりと時計を確認しながら、今は目の前の事に集中する男
心臓バクバク、周りの音はスローに聴こえ、自身の手汗が凄いことになっていないか心配するが、少女もテンパっているみたいであり、言うが早いか踊り場まで手を繋いで一緒に飛び出す
曲が始まった
(ちょっとした思い出作りの始まり始まり)
男は綺麗な少女を物にする一歩を決めた
曲は始まり、周りは踊り始めているため少女は逃げることができない
曲が終わるまでの数分間が勝負だ
1…2…3…4とステップを踏み、少しぎこち無いながらも映画で見るようにくるりくるりと周るロールを決め、ながらもキラキラとした踊り場で二人のテンポを刻む
(楽しいなぁ…)
男は可愛らしい少女の今、自身の手の内に入れられて居ることを歓喜しながら今この時間を噛み締めていた
曲と踊りが佳境に入り、さらに熱を帯びていく感覚が男の体を駆け巡る
クライマックス…お互い息を合せて最後にステップを決め…お互い体を支え合うようにフィニッシュした…
(決まったッッ!)
男は心でガッツポーズを取る、少女と踊れた事にやりきった感がとてつもなく出ていたが、まだ終わってない
少し気遣う素振りを見せてまたベンチに移動しながら、次の手を考えて歩く
「またね!お嬢さん!いつか一緒に食事にでも…」
突然、手がスルリと抜け、少女と手が離れる
「どうしたのぉ?ッッ…!?」
振り向いた瞬間、少女は抱きついてきた
突然のハグ、驚いた男は急すぎて体が硬直し、思考回路が一旦白くなる
しかし直後であった…
体から力が抜け、後ろにあったベンチに自身の意志とは関係なく座ってしまう
「あ゛……ぇ゛……」
喉に冷たい感覚…そして火傷するような熱さ
声が出ない
男が最後に見た光景は
左手に血で汚れた小さな刃を纏う…一人の暗殺者だった…
真実など無く、許されることなど無い……
◇
この世界に始めてきた時はまるでゲームのようだと興奮したっけな?
チートのような強力な力、ゲームRPGのような魔物に魔法に魔王の世界
高校生ならば興奮する世界に明日もキラキラと輝いているみたいなすんごい日常に俺と友達は興奮しっぱなしだったなぁ〜
冒険者になって、魔物を退治してチヤホヤされるチーレムが目の前にあって…あの女神の言う通り特典を選んだ
俺が選んだのは『四次元収納』、友達がシンプルに強いのを選んでたから俺は利便性があるこの特典を選んで、沢山物を運んだっけな
それでこの世界をエンジョイして、友人たちと沢山冒険をして…して…そして……
俺だけが残った……
終わらない魔王軍との戦い、戦場で行われる敗残兵の悪逆、ギリギリの人類の存亡をかけているのに私腹を肥やして民を切り捨てる貴族
もう耐えられなかった、日本人とチートと言うだけで戦場に駆り出されて友達とかみんな死んで、次々と来る転生者も戦闘能力が低い俺をバカにしたり、好き勝手やったりして
俺はこんなのを守りたいために戦ったわけじゃない、友達もこんな奴らのために死んでいったと思うと反吐が出て胸からは恨みと辛みしか出ない…
だから魔王軍に取り入って、魔王が世界を統一すれば今よりはマシになるんじゃ無いかって思って…
俺は人類を救うために、人類の敵となる
そのためには人を殺さないといけないときもあったから口調を変えて狂ったように演じて
泥水すすりながら頑張って、俺の能力を使えば密輸し放題だから魔王軍には目をかけてもらって付き従って
魔王軍と繋がりがある者や悪逆な反吐が出るような貴族にも媚び売って
ここまで来たんだ…ここまで来たんだ…アイツが少しでも望んだ平和な世界を実現するためにもここまで来た
なぁ…俺は間違ってたのか?いや、とっくのとうに間違ってるなんてわかってる、わかってた
女神に恩を仇で返す感じだけど、俺にはもう無理だった
間違ったまま進むしかなかったんだ
だから、妥当な終着点なのかなぁ?これがぁ…
なぁ…頑張ったよ…だから俺も…お前のも…とに………あのと…き…みた…いに……一緒に…冒険…し…よ……う……な…
『転生し、再度の生を与えられた汝の所業は許されるべからず…されど汝の思いは間違いにはあらず…人それぞれの思いに違いがあり、苦悩があり、道がある……故に今はその苦悩から解き放たれよ』
眠れ…安らかに……
ユーリ君の設定資料とか需要あるかな…
とりあえずプロットは出来上がって最後までの道筋はできているけども、各時間ががががががががか
まだまだエタらんよ…首をろくろっくびにしてお待ちを!ではまた!!!
ちなみに感想とか評価はいつも励みになっております、ありがとう!
いや、本当に感想とか開いた時にあるとドーパミンとか脳汁ドバドバですよねぇ