何故遅くなったか?用事に勉強に葬式と重なってしまった故にすっかり忘れていたのが本音です。
友人に尻を蹴られて思いだし、急いで書きましたがちょくちょく手直しするかもしれませんが長い眼で見てやってください。
時は過ぎ、自分は教会へと来ていた
女神を象ったステンドグラスから柔らかい光が漏れ、幻想的な神々しさを醸し出す教会内は厳かな雰囲気が広がり、実に神聖な場所であることがわかる。
粗相の無いよう静かに足を踏み入れるが昼過ぎのためか人は片手で足りる程の数しかおらずほんの僅かな足音でも耳で拾えるくらいに静かであった。
抜き足、差し足、忍び足、最後に必殺技仕事人と静かに歩き、ちょうど中央に当たる席に腰を下ろす。
一番前では熱心に祈りを捧げる人がいたが自分はそこまで信神深い訳ではないため無難に中央を選んだ。深い意味はない。
先ほどここに連れてきてくれた恩人(クリスと名乗っていた)は少し用事があるらしく入り口で別れた。すぐに戻ってくると言っていたので多分、お花でも摘みに行ったのだろう。
ちょうど一人と言うのも都合が良い、さっさと祈ってエリス様と会話、もとい天命とやらを授かった方が良いだろう。ある意味今の現状は明日無き身に近い。
早速お手手のしわとしわを合わせて祈る。
エリス~……
エリス様~……
祈ったが何も起きない。もしや祈り方が違うのかと思い、合掌していた手の指を折り曲げ合掌する。合掌自体は形は人によって違うと昔教えて貰ったことがあるがやってみなくてはわからない。
しかし祈るだけでは駄目な可能性もあるのでエリス様に関して強くイメージしてみる。
いあ!いあ!エリス!いあ!いあ!エリス!
相変わらずうんともすんとも言わない事に少し焦りを感じる。もっと具体的な物を意識した方が良いかもしれない。
パッド!パッドのエリス様!ツルぺた女神!
『流石に私でも怒りますよ、ユーリさん』
突然脳内に響いたその声に驚き、足を椅子にぶつけてしまった。痛い
『自業自得ですよ、人をバカにするから罰が当たったんです。』
人と言うより本物の女神、罰が当たるのは当然だろう。しかし何度か祈った時、繋がらなかった故に試行錯誤を繰り返した結果、悪口の様になってしまっただけである。容赦して欲しい。
また私的ではあるがエリス様はもっと麗人であることに自信を持った方が良いと思っている。
筋トレ等行い、他で補えば胸が残念な事などマイナスにならず、むしろプラスになるプロポーションを作り出す事だってできる筈だ。
『ま、まぁわざとではない見たいですし、今回は特別に許しますけど』
チョロい……と思ってしまった事は秘密にしておこう。これ以上言ったならば説教は免れない。
それよりも呼び出す事が出来たなら早速、聞かなければならないことがある。
それはこの世界の常識、でもって自分見たいな流れ者が明日の糧を得るために今一番にやっておいた方が良い事は何だろうか?
『今一番にやっておいた方が良い事ですか……でしたら冒険者登録ですね』
冒険者?と思うが名前の通り冒険するのだろうか?しかし冒険と言う意味で考え、今までの情報と組み合わせると門番などとは違い武具を身に着けた人々がちらほら思い出せる。
例であれば恩人のクリスも腰にナイフをつけていた。
ならば冒険者とはその名の通り敵対勢力、魔王軍と闘う傭兵を指すのでは無いだろうか?
『ええ、その認識で構いません。しかし傭兵と言うよりは何でも屋に近い物でして、場所によってはほぼ日本で言うバイトと同じようなサービス業を受けたりすることも可能です。』
何でも屋、つまり万屋に近い職業であると言うことか、
それならば今現在、絶賛路頭に迷い中の自分でも何とか銭を得ることはできるだろう。問題は最低賃金と福利厚生だがこの世界にあるかはわからない。
しかしこの世界に置ける身分を持っていない自分には四の五の言ってられない、仕事はどの時代も甘くは無いし、先ずは始めなければ結果も何も産まれないのだ。
基本はどんな事でもPDCAサイクル、覚えて置いて損はない。
むしろこの世界の女神であるエリス様が進めた物だ、悪い結果にはならないだろう。
ただ登録と言う意味では冒険者組合、もといギルドのような物があると思うが先ずはそこを目指すことになりそうだ。
思考に沈むのもそこそこにして、エリス様に礼を言う。
『どういたしまして、お力になれたようで良かったです。』
多分忙しい中で自分の問いかけに答えてくれただけでも自分にとってはかなりの収穫である。もしこのまま何も知らなければ冒険者と言う存在に気がつくのはもう少し後になり、結果も全然変わっていた筈だ。感謝、感謝
そう言えばとエリス様が何かを思い出した様に付け加える。
『先ほどあなたをここに連れてきたクリスは実は私の従者でして、色々と力になってくれる様に頼んでおきますね。』
クリスが従者だった事に少し驚いたが教会に行きたいと言う前に連れてきてくれた事を考えれば納得は行く。自分が今現在こうして会話出来ているのに従者が出来ない訳ないだろう。
ただ、手を繋がれたのは少し気恥ずかしかった……美人にエスコートさせるのは少し気が引ける所もあったが悪い気はしない……
『彼女も弟が出来たみたいだと喜んでましたよ。羨ましい限りです。』
成る程、今度クリスには姉の様に接して見るのも悪くはないだろう。ただ問題としては姉なる人物が自分には居なかったのでまだ姉さん呼びするのが限界だと思うが。
『お姉さん……えへへ…』
何か呟きが聞こえた気がしたので再度訪ねて見たが何でもないと言われた。本人がそう言うならば本当に何でもないのだろう。
『それではユーリさん、お気をつけてくださいね。』
ありがとう、エリス姉さん大好き!
と恩返しになるかわからないが姉さん呼び+大好きと言ってみたが。ちょっと、いやかなり恥ずかしい。今度からは普通にエリス様と呼ぼう。
『ふぇ……!?』
何かガタガタと音が聞こえたが多分天界が忙しいのだろう。
たまには息抜きをして欲しいと思い、そのまま祈りの手をほどくとフェードアウトするような感覚が走り、プツリと繋いでいた物が切れた感覚がした。
通信が切れたと言った方が正しいだろう。何も聞こえなくなったのを確認して席を立つ。
ギルドへの道はクリスに聞けば良い、多分外にいると筈である。
もし居なくても幸い、ギルドへの道は店主がくれた地図に書いてあった
次はギルドに向かう為に静かに移動し扉を開き、教会を後にした。
◇
「や、やぁユーリ君!」
教会を出た所にクリスがいたのだが様子がおかしい、顔も赤くして何かあったのだろうか?
「な、なな、何でもないよ!ほら行こう!」
手を繋がれそのままぐいっと引っ張られる。いや、ペースが早いため若干引き摺られると言った方が正しいか
身長差もあるのでペースが早いと合わせるのが大変ではあるが何か取り乱すような事が起きたのだろう。
信頼できる人物であるからこうしてついて行っているが知らない、もといエリス様から何も聞かされてなければ振りほどいて逃げている。
そんなこんなで歩いている最中にクリスが冷静になり、謝りながらペースダウン、自分と歩幅を合わせながら雑談を交え歩くこと数分、ギルドに到着した。
ギルドの扉を開き、中に入るが中は少し薄暗く昼を少し過ぎた辺りなので人は少ない
「いらっしゃいませ!お食事でしたら空いてるお席へどうぞ、お仕事案内なら奥のカウンターへ!」
ウェイターの女性が元気よくお出迎えし、他の通路へと消えていく。
ふと、昔読んだ中世をモデルにした本を思い出した。
「ユーリ君、先ずは冒険者登録をしよっか」
自分は頷き、クリスに招かれる様に奥のカウンターへと進む。ちなみに他の人の邪魔になるといけないので手は離して歩いている。
「そうだ、エリス様からの伝言を忘れてた。」
前を歩いていたクリスが何かを思い出した様でその場で止まり、くるりとその場でターンをしたまま此方を向く
「あそこがギルドの受付で冒険者登録出来るんだけど、実は登録料がかかるから君にポケットの中を見てくれって伝言頼まれてた。」
登録料……やはりどの世界でも手数料がかかるのは当たり前であったか。
ポケットの中をまさぐると小さい袋が入っており、開けると少々のエリスが入っていた。
(ちなみにエリスとはこの世界のお金の単位であってあの女神様ではない)
金額にして10000エリス、クリスが言うには多少飲み食いしても大丈夫な金額らしいがこれがなければぶっちゃけ積んでいたかもしれない。
改めてエリス様に感謝を捧げる。
「ほら、登録しようか」
お金を財布に戻した所でクリスがそっと背中に手を回しカウンターへ通された。
「こんにちは、今日はどうされました?」
カウンターから肩と胸の上部を丸出しにした、扇情的な服装をした受付係が現れた。
集客を狙っての服装だろうがはっきり言って目に毒である、がこれが普通なのだろう。受付嬢の服装から視線を外し、冒険者登録をしたいと伝える。
「冒険者登録ですね。それでは登録料が1000エリスになります。」
先ほどの財布から1000エリスを取り出し、カウンターにそっと置く
「はい、1000エリス丁度頂きましたので冒険者について説明しますね。」
ギルドの規約、クエスト、冒険者の職業についてと基本的な事の説明を受けたがこれは一般的な常識と言った所である。
例えるならば規約は暴れるな、クエストは失敗した場合のデメリット等があるから受ける前には良く考えろ、職業は後でも変えられるから自分にあった物にしろ、と言った具合である。
「それでは登録カードについて説明しますね。」
受付嬢が一つのカードを取り出した。見た感じ某ICカードくらいの大きさのプラカードであり、落とさないようにパスケースでも作ろうと思った。
「この登録カードには冒険者がどれだけ討伐したかが記録されます。そして討伐するとレベルが上がりスキルを修得するのに必要なポイントが与えられますので頑張ってレベルを上げてくださいね。」
ゲームはほとんどやったことはないが要は相手を倒せば経験値が貰え、その分強くなると言う意味だろう。ただゲームとは違い倒せば強くはなるが戦闘経験の差も出てくる筈だ。つまり現実故にどんな敵でも侮れない。油断大敵だ。
「ここまでの説明で何処かわからない所はございましたか?」
今の所はない、もといわからない所がわからない故に無いので大丈夫だと言っておく。
「それでは此方のご記入をお願いします。」
説明を終えた受付嬢から一枚の紙を渡され、覗き込むとそこには年齢、身長、体重等々身体的特徴を書き込む空欄があり、横に置いてあるペンでそれらを埋めていく。
そして書き終える頃に受付嬢が顕微鏡に球体を付けたのような物を出していた。
「書き終わりましたか?では此方に手を翳してください。」
言われた通りに手を翳すと顕微鏡のような物が輝き、下からレーザーが飛び出し、何と言うか改めて異世界と感じる。
そしてレーザーが途切れた頃には自分の名前とステータスが登録カードに刻まれていた。
「少し失礼しますね。クチナシ・ユーリさんですね、ユーリさんは筋力と生命力は平均で、おぉ!魔力と知力がそこそこ高いですね、あとは……」
そこまで言った所で動きがピシッと止まった。まるでリビングスタチューのようだ。
しかしワナワナと震える受付嬢を見て少し心配になる。何か良くない物でも書いてあったのだろうか、身長が足りず覗き込めない。
「ぇぇぇええ!!?何ですか!?この数値は!?」
突然どうしたのだろうか?と言うより何がどうなっているのか見えないから教えて欲しい。
貴女の鈴なりメロンで見えない。
メロンで見えない!(重要)
「敏捷性と器用度、それに運がずば抜けて高いです!」
足が速くて手先が器用で取っても運が良い。はて?何故そんな事になっているのか。前世では文字通り箱入りお坊ちゃんな自分は走る事なんて出来ずほぼ足が速いかなどわからない。手先が器用と言うのはほぼ手だけで遊ぶことが多かったから納得が行く。
しかし運に関してはさっぱりわからない。不運と言うには少し微妙かも知れないが病気で一生を終え、エリス様に出会いこの世界に来た事が幸運として扱われたのかもしれない。
「これならば上級の前衛職、魔法職以外なら大体なれます!ただレベルが上がればそれらになることも夢じゃありません!」
受付嬢が興奮気味に詰め寄ってくるがそこはもう少し自重して欲しかった。先ほど言った毒が更に猛毒へと昇華しているのだから。
何とか猛毒に耐えつつも今現在、自分がなれる職業をピックアップしてもらう。
「こちらがユーリさんが選べる職業です。」
ピックアップされた用紙を渡され、それに目を通す。
冒険者、ソードマン、ウィザード、プリースト、盗賊etcと力を使う戦士や上級の魔法使い以外の最早定番と言える職にはほぼなることが出来るらしい
そして上級の項目に目を通してみるが不思議と一つの職業に目が止まった。
"
盗賊の上級職に近いらしいその職にとても目が引かれる。
名前の通りの職業なのだろうがどんな感じなのだろうか?
「はい、アサシンですね?。アサシンは主に奇襲のスキルに長け、加えて盗賊、格闘、剣術、付与や初級、中級魔法のスキルを持っていることから意外と万能に闘えるオススメの職業です!」
「ただ他の本業よりスキルは劣り、力押しに弱いと言った職業だね」
後ろを振り向くとクリスが立っていた。先ほどから姿が見えなかったが何処かに行っていたのだろうか?
「ちょっと友達に会いに行ってたんだけど少しざわめいてたから戻ってきた所だよ」
ふと、周りを見渡すと確かに少数ではあるがギャラリーのような物ができ、こちらを見ていた。
ふむ、流石にこうまでも注目されてしまうと些か恥ずかしい。早めに決めてしまった方が良いだろうとアサシンを選び登録を済ませる。
いきなり上級職を選ぶことにはやはり不安があるが無理せず自惚れず過信せずと忘れずにしよう。
慢心は人間の最大の敵、とかの有名なシェイクスピアも言っている。
「はい!アサシンですね!!それではユーリさん!スタッフ一同貴方のご活躍を期待しています!!」
ギャラリーは少ないとは言え騒ぎの中心となった自分は様々な賞賛を投げられ顔を赤くしたのは言うまでもないだろう。
◇
「クリス、もしかしてこの子がさっき言っていた知り合いの子か?」
登録を終えた後、クリスに呼ばれて行った所、隣に居た金髪ポニーテールの女性がこちらを見ながらクリスに聞いている。
「そうそう、アタシの知り合いのユーリ君だよ」
「成る程、なら自己紹介をしよう。私の名前はダクネス、クルセイダーを生業としている者だ。よろしく頼む。」
ダクネスと名乗ったその女性はそう言いながら身長の低い自分に合わせるように少し屈み、手を差し出してきた。無論、自分はその手を取り握手をする。
握手をするとダクネスは微笑みを浮かべそっと優しく握り返してきた。気品溢れる握手と言うのはこう言うのを言うのだろう。
ただダクネスに少し違和感を感じる、冒険者としての品がかなり高い様に思えたからだ。むしろ貴婦人と言った方がしっくりとくる。
とても美人であることとこの気品から偉いところからの出なのだろうか、と気にはなったが流石に初対面で聞くのは失礼に当たると思いやめておいた。
ただ始めに出会ったクリス、受付嬢、ダクネスとこの世界は美人率が高いのではないかと疑うくらいには美人さんにばかりである。
しかも遭遇した誰もが好意を持てる人物であることに対して異世界に来て良かったと改めて思った。
「それじゃ自己紹介も済んだようだし、初めてのクエスト、受けてみようか?」
エリス様にありがとうとお礼の祈りを心で捧げながら冒険者としての一歩を踏み出した。
話が進んでない……だと!?……
と思った方、素直に挙手と言いたいところですが次こそはクエストやら何やらを書いて行きたいと思ってます。
と言うより前回のクエストまでと言うのが強ち間違いでは無くなってしまいましたがこれまで読んでくれた方達の為にも遅い文ではありますが続けて行きたいと思っています。