言い訳と言うよりも本当にこの世からエタる所でしたが何とか復帰し、投稿出来たのでどうぞお読みください
その代わり少し長くなりすぎたので半分に分けてお送りします。
p.s風邪は侮ったらいかん……
ぼんやりとした頭
霞んだ視界
布団の温もり
カーテンの隙間から漏れ、溢れる光が朝が来たと言う事実を認識させる
未だ覚めぬ体を布団から起こし、ボヤける頭をシェイクして寝癖と共に意識を戻す
自分の異世界での1日が今日も無事に始まった
◇
「おはようございます、ユーリさん」
そう優しく微笑み挨拶を交わすのはこの店の主人であるウィズさん
それに答える様に挨拶を返す
「もう少しで朝ごはんができますから」
なにやら良い匂いがすると思っていたが朝餉を作ってくれたとの事、素直に嬉しく思い、礼を言う。
「いえいえ、どういたしまして」
泊めて貰い、朝食まで頂けるとは思っていなかっために、嬉しい誤算だ。
しかし泊めて貰った挙げ句、朝食をただ食べるだけと言うのは何か申し訳なく感じ、何か手伝える事はないかと聞く
「それなら食器を用意してもらえますか?今朝はキャベツのスープなので」
了解したと頷き、台所の近くにある棚から皿やスプーンを取りだし、テーブルに並べる。
ふとキャベツのスープと聞き、昔見た超激運ショタとチョコレート工場の冒頭を思い浮かべながら台所に視線をやると違和感を感じた。
台所がほとんど緑なのだ、圧倒的に緑なのだ
レタスにキャベツと目に優しい緑色の野菜がそれぞれカットされ、台所を埋め尽くしている。
そして蓋を開け、ウィズさんが味見をしている鍋の中も緑の野菜が煮込まれていた。
「ちょうどキャベツが旬ですから、いっぱい買ってあるんですよ」
ニコニコと微笑みながらキャベツたっぷりの鍋をかき混ぜるウィズさん
その光景に少し後退りをすると後ろに置いてあった木箱に足を軽くぶつける
すると木箱がガタガタと小刻みに動き、震え始めた
中身は緑、キャベツなのだろう
いや、正確にはキャベツとレタスであった、葉がそれぞれ違う
色鮮やかな野菜が詰め込まれ動き出そうと木箱を揺らしている。
そっと視線を外す、自分は何も見ていない
しかし木箱に反応してか冷蔵庫まで揺れていた
端から見ればポルターガイスト現象の様でそこそこ怖い
ただどうでも良い事だがこの場合はガイスト、つまりドイツ語で幽霊と言う意味だが主にキャベツよる現象なのでポルターコールと言ったところだろう
若干のカルチャーショックを受けながら、キャベツのスープが出来るのを待つのであった。
◇
地球時間にしておよそ8時くらいと言ったところだろうか、正確な時間は見ていないためわからないが大体その時間帯、ギルドにてクエストボードを眺める
何をしているか、と聞かれるまでもなく仕事を探しているのは周りから見れば一目瞭然だろう
自分はしがない冒険者、もとい地球で言うフリーターだ
日銭稼ぎをして、飯代を稼がねばならないのは世の常であり、当たり前の事である。
しかし先程からクエストボードを見ているがあまり良いクエストがない
ゾンビメーカーの討伐など割りの良さそうなクエストもあるが昨夜それを知らずにゾンビを倒してしまったため、受けるのは控えた方が良いだろう
また何故か高難易度の依頼ばかりが貼り出されているためにあまり手が出せないと言うのもある。
「最近、何故かこの近辺の弱いモンスターが居なくなってしまい高難易度の依頼ばかり残ってしまったんですよ」
ふと、ボードとにらめっこをしている自分に後ろから受付嬢のルナが話しかけてきた
「未だ原因は不明でして、原因が判明するまでは申し訳ありませんがアルバイト等で日銭を稼いで貰うしか……」
申し訳なさそうに言うルナ嬢は小脇に抱えたアルバイトの求人書を渡してくる。
周りを見ると朝からいる数少ない冒険者も同じ求人書を持っていることから昨日の夜ないし、今朝からこの現象は起きているのだろう
原因不明の事態ならば早急に解決した方が良い
原因については多分ギルドの職員が追求に向けて動いてるはず、ならば人手は多い方が良いだろう
ルナ嬢に原因の追求依頼はないか聞いてみた。
◇
鬱蒼とした茂みを踏み、枝を掻き分けながらも森を突き進む
今のクエストは異変の調査、怪しいところを探索し、この異変を探ると言った調査をしらみ潰しに行うだけの至ってシンプルなクエストである。
今のところまだこの森は調査をされていないらしく、また強いモンスターが生息している所を優先していたため、応援を呼ぶまでは後回しにするつもりであったらしい
それならば、とクエストとしての調査を提案してみた。
そしてその案が通り、この森に調査に来ていると言うわけである。
余談として受付嬢のルナにまだ新米のショタと言うことも相まって少し渋られたが上級職と言う肩書きでゴリ押してクエストを受注した。
この森は比較的弱い生物が生息していると言うが何か不測の事態に備えて煙玉を始めとして色々と逃走用具は用意している。
逃げるが勝ち、生きていれば儲け物
三十六計逃げるに如かず
石橋叩いてヒビ入れる位がちょうど良い
特に
やり過ぎ?
話があらぬ方向にホップ、ステップ、ジャブジャブストレートしかけたが周りを警戒しているため問題なし、地図を確認しながら森を進む
しかし気配と言う気配がない、鳥やリスと言った小動物さえ見当たらないのを見るとやはり異常なのだろう
その時である、少し奥の方で茂みが揺れ動き葉の擦る音が聞こえ、次の瞬間とてもデカイ熊が飛び出した。
その熊には見覚えがある。確かクエストボードに貼られていた似顔絵の一撃熊とか言う高難易度モンスター
しかし様子がおかしい
体の至るところに深く傷が付き、片目は潰れ、片腕が垂れ下がり血を大量に流している。
どう見ても致命傷に近い傷であり、息絶えるまでそこまで時間は要さないだろう
そう思っている間に熊は地面に倒れ伏した。
手負いの獣ほど危険と言われるが限界なのだろう、目を閉じたまま動かない
しかし警戒は解けない、あの熊をここまで追い詰める何かがいるのだから
若しくはギルドの職員か他の冒険者の可能性も考えられたので暫し見守る
だが誰も来ずにただ静かな時間が過ぎ、そして熊の呼吸が止まり死んだのか敵感知にも反応しなくなった。
これは調査した方が良いだろう、近づく前に一本ナイフを作り出し投擲する。
ナイフは吸い込まれる様に熊の頭に突き刺さるが反応はない、あまり死体に傷はつけたくはないが万が一生きている可能性を考慮しての行為だ。
動かない事を確認してから近づき、体を漁る
逃げるときにできたのだろう擦り傷、その他に肩や腹、切り飛ばされた腕は断面が広いからには剣、それもかなり段平な両手剣で切られた傷がある。
大きな切り傷であるのに対し、素人目から見てもわかる鮮やかな太刀筋
これをやったのはかなりの腕前を持っている者だ
しかしこの初心者向けの森に逃げてくるとは余程の強者なのだろう、もしかしたらやった奴がこの異変の原因かもしれない
他の冒険者やギルドの職員と言う考えも無くはないがアクセルは初心者の町であり、上級の冒険者は主に王都を活動拠点とするとも聞いた。
その為、ここまでの技量を持った冒険者がいる可能性は低いだろう
また更に熊の死体を漁るが、切られた痕に違和感があった。
斜め上から下へと切られている、身長が高いものが切ったとしても刃は湾曲を描くか下へ着く様に切り口が残る筈だ
切り口は先程言ったように斜め上、つまり何か乗り物に乗った、例えるなら騎士のように馬上から切り落とされたと考えられる。
しかしそこまで考えて一つふと思いついた。
この足跡を辿れば熊をやった奴に会えると
単純だが異変解決の一歩になるのではないかと思いつく
願わくば味方でありますようにとエリス様に祈りながら追跡をするのであった。
◇
好奇心は猫をも殺す
本来は心配は猫を殺すと言った諺らしいが詳しくは知らない
では何が言いたいかと言うと、今現在、自分は見るも怪しい廃城の前にいる。
ここまでの経緯を延べると熊の足跡を追跡し、争った形跡がある場所まで来た。しかしそこにあったのは馬の蹄の痕、熊をやった奴は騎士で間違いではないと確信を得たは良いが蹄の痕がとても大きい物であった。
それに興味、もとい調査のためと割り振り、馬の足跡を追跡すれば見るからにおどろおどろしい廃城に出たと言うわけである。
馬が近くにいると思い、探してみたが小さな小屋と草が延び放題の花壇、そして古い藁の山があるばかりであり、馬や人の影や形は見当たらない
多分、件の者は城の中にいるのだろう。不法侵入にならないように少し古めのノッカーを鳴らし、訪ねる意思を見せる。
コンコンと風と木の葉の私語だけが聞こえる静寂さの中でノッカーの音は嫌に響いた
しかし何も反応がない
もう一度鳴らすがやはり反応はなかった。
この城は見た目通り誰も住んでいないのであろう
ただ少し気になる扉に手をかけるとあっさりと扉は開いた
だが扉に鍵はかかっていた。正確に言うならば引っ掛かっている。
誰かに鍵が壊された痕が残っている。しかも真新しい
つまりこの城には誰か、いや何が住んでいるのは間違いない事であり、調査の必要があるのは確かである。
少々子供特有の好奇心に駆られ、調査と称し探検をすることにした。
◇
今の自分は年相応の冒険心に浮かれ、古い城内を探索していた。
炊事場、客間、大きな使用人用の食堂
どれもが古びてはいるが埃は被っておらず、深々とした雰囲気を醸し出していた。
こう言った場所に対して心を表すならワクワクと言った所だろう
大体の人は昔味わった事があるあの感覚だ。
沢山ある部屋を一つ一つ好奇心の赴くまま開けて見るがほとんどは使用人の部屋であった。
ただ使用人の部屋を少し見てみると内装は少々豪華な女性の部屋と言った物ばかりであり、質の良いメイド服が各々の部屋にあった事からほとんどの使用人はメイドと言うことがわかる。
この城の持ち主は余程のメイド好きだったのだろう、良い趣味をしている。
そんなこんなで部屋を調べ、もとい探検しながら城内を探索していると最上階へと続く場所に出る。
率直な感想としてお金かけてるな、としか出てこない
しかし途中で主人の部屋の様な場所もあったが見栄を張った金のかけ方ではなく、悪徳貴族の様な少々派手な装飾や高そうな壺、よく分からない絵画ばかりが並んでいた。
私的には芸術のげの字も知らず何とも言えないのであまり興味は引かれない。
余談だが本当に美しいと心から思ったのはエリス様だろう、女神だからと言うのもあるがあれこそ自分は美だと言える。
そんな芸術品の数々を尻目に奥へと進むと最上階の部屋の前へとたどり着いた
流石は最上階と言った所だろうか、わかりやすく言うならばそれは扉と言うにはあまりに大きな物だったと言えるだろう
分厚く、重く、そして装飾が多過ぎた。まさにお城の扉だった。
冗談はここまでにして扉に手を掛け、押し開ける。
やはり少し古いのか、少々軋む音を出しながら扉は徐々に開いた。
「あっ……」
誰かの声が聞こえ、ひょっこりと顔を出すと、そこにはエプロンをつけ、叩きを持った首なしの鎧騎士が大勢のアンデットと掃除をしていた。
「誰だ!」
一番奥に居た首なし、多分このアンデットのボスであろう奴が声を上げると大量にいるアンデットがそれぞれ手に持つモップやホウキを構え始めた
そこは剣とかでは無いのかと突っ込みたくはあるが妙に迫力満点である。
圧倒される光景ではあるがいかんせんシュールだ。
「子供がこんな所に何の様だ」
少々失礼ながら失笑しそうになっていると奥の首なしの騎士がそう問い詰めてくる。
その声色はただ問い詰めようとしているようで殺気などは感じられない、もちろん周りの骸骨達からも殺気はほぼない
しかし答えて置いた方が良いだろう、特にボスの首なし騎士、有名どころで言うスリーピーホロウ、またはデュラハンと言えるであろうその騎士は逆立ちしようとも絶対に勝てないと本能が言っている。
取り敢えず町の周りに異変があったために調査をしていたと包み隠さず正直に話す
「調査か……まぁ嘘では無さそうだな」
むしろ嘘をついた所で意味はあるまい、大量のアンデットに囲まれている時点で負けは確定なのだ
一騎当千のチート特典ならばこの状況をひっくり返す事はできるだろうが自信の特典では良くて逃走だろう
もし逃走すらできなければ煮るなり焼くなりされるか引ん剥かれてエロ同人見たいに乱暴される可能性もある。
少年拘束プレイ趣味とか持っていたら別の意味で自分はピンチだ
「いや、そんな趣味を俺は持ってないからな」
ヤらないのか?
「ヤらんわ!」
キレッキレのツッコミをされたが貞操は大丈夫そうだ、しかしならば自分は処分されるのか聞いてみる。
「俺はこう見えて生前は騎士でな、女や子供、ましてやお前の様な戦意が無いものを殺しはしない」
身の保証はされた事に一つの安堵を覚える。しかし周りを囲うアンデットは未だに手にモップ等を持ちながらジリジリと近づいて来ていた。
「ただし、情報が漏れると言うのは都合が……まぁそこまで悪くないが一応数日間は拘束させて貰うとしよう」
どうやら潔く返してはくれなさそうだ
「大丈夫だ、本当にただ少しの間、拘束するだけだ、これは俺のベルディアの名に掛けても良い」
暴れんなよ…暴れんなよ…とか、大丈夫大丈夫先っちょだけ…先っちょだけだから…と言う幻聴が聞こえてくる。いやアンデット達から聞こえるそれは幻聴では無いのだろう
むしろベルディアとやらは大丈夫だろうが周りのアンデットがほぼ確実にアウト、絶対に逃げなければヤバい
「行け!」
ベルディアが指示を出した途端、アンデットが一斉に飛び掛かってきた。
実は自分は昔、友人の家で大量のキャベツが冷蔵庫に詰められ緑一色に染まっているのを見て驚いた事があります。
友人いわく実家から大量に送られてきたらしくキャベツ料理が数日は続くとげんなりしながら言っていたのでキャベツ恐るべしと思いましたね。