お家に帰ろう   作:睡眠人間

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高杉と桂が松下村塾に通うようになってから吉田家は引っ越していません。なので講武館も高杉家も歩けば行ける状態です。いつ爆発するかわかりませんね!

高杉父、堀田妹捏造です。

相変わらず作者は江戸時代の武家をまったく知らないまま書いてます。雪子があかんことを口走ります。
ラブコメ()、キャラ崩壊酷い、シリアス編の気休めに書いたものです。別世界と思ってください。なんだこれと困惑しながら読んでください。


男女の幼馴染ってなにそれファンタジー

「ねえねえ、あの子って銀時がいいなって騒いでた子じゃね?」

 

ちょいちょいと先を歩くヅラの袖を引っ張って指差した。

河川敷にうら若き男女が並んで立っている。

片っぽは最近ここいらに引っ越してきたかわいらしい子だ。

といっても年齢は上で体の発育も良く、お姉さんと呼んだほうがしっくりくるタイプ。女の勘で結構なビッチだと思う。

派手でも整った顔立ちのあの子に、銀時がそう呟いてたのを覚えている。

 

年の差、身長差もあって姉弟に見えなくもない。

てか男の子のほうに見覚えしかないんだよなぁ。こちらに背を向けているから表情まではわからないが可愛げのない仏頂面に違いない。

それなのに女性の頰はぽっと染まっていて、ヒューヒューお熱いねぇ! なんて冷やかしたかった。

動こうとした途端ヅラに腕掴まれたから行動に移せないが。

 

距離が離れてて正確に聞き取れなかったけど、どうやら一緒に出掛けようと誘われているようだ。

つっても好意ありまくりで仲を深めいずれは……と彼女の望みががっつり見えている。

 

二言三言話すと、彼女は目に涙を浮かべて走り去っていく。入れ替わるように登場する私達に気づいて無茶苦茶嫌そうに舌打ちした。

 

「高杉くーん、フっちゃって良かったのかな? 自分の趣味に合わなかったのかな?」

 

私がこうくるとわかりきっていた高杉はうるせェ黙れと一蹴する。

 

「お前の好みじゃないしね。尻軽そうなボンキュッボンは銀時だし。それに未亡人でもないときた」

「……⁉︎」

 

心当たりがあるヅラが驚愕に目を見開く。なんでわかるかって? 世の中のお母ちゃんは息子のエロ本の在処を探さずともわかるもんなのよ。

 

「河川敷に流れ着いたの持って帰るのは勝手だけど、本棚の下とか定番じゃない? 掃除した時に見つけて言葉失っちゃったもの。隠すんならもっと考えてよ」

「ああ、この前部屋に置きっぱにされていたの、ヅラの持ち物だったか」

「ヅラじゃない桂だ! いや違う、それは銀時のものであって俺のではない!」

「へぇあいつそんなの持ってたんだ」

 

全部真っ赤な嘘です。バカどもの下心なんてダダ漏れだ、女の勘ナメんな。

けど良いこと聞いちゃった。本棚の下にあるらしい。今度探って松陽に見せよう。

 

にしても即席の作り話にのってくるこの男、存外ノリノリである。

しかし一人だけ痛い目にあわないのも不公平だ。おめーらは等しく地獄に堕ちるがいい。

 

「まぁ恥じることはないよ。高杉なんて……いや、私の口から言うには重過ぎる……」

「高杉、一体どんな趣味なんだ? ○○○(ピー)か、それとも○○○○(ピー)か⁉︎」

「てきとうな事言ってんじゃねェよ」

 

そんなくだらない話をしながら帰ると、真剣な顔した松陽が待っていた。

 

「晋助、少し話があります」

 

別室に消えた二人を見送ってからずっと家にいた銀時に聞いてみる。

 

「何があったの、あれ」

「さァな。しらねーよ」

「もしかして例のブツが見つかったのか。○○○○(ピー)ならまだしも○○○○(ピー)はアウトだからな……」

「ヅラァおめーのほうがアウトだ、チェンジしろチェンジ」

 

さっきまでの話が尾を引いてヅラが怪しい発言をしている。

うーん、もしそうだったら私も交えて家族会議とか面白そうじゃない? 居た堪れないやつを精神的に追い詰めるっていいよね。

 

「あ。そうそう銀時、お前が気になってた近所のお色気おねーさん、高杉に告ってたよ」

「へっ、へえええええ。え、俺? 気になってねーし? 全然興味ねーし? むしろアレ好きとか趣味悪りィんじゃねェの?」

 

鼻をほじりながら必死に弁解する姿が滑稽。その後小さな声であっぶね……としょんぼりしていた。何が危なかったのかは本人のみぞ知る。

なんだかやる気だったのに戦う前から負かしてしまって申し訳ない。お詫びに良い情報を教えてやることにする。

 

「銀時……。お前の、その……ああいう本、本棚の下から見つけちゃったけど私は気にしてないから。でもこれから半径50メートル以内に入ってこないでね」

「えっ」

 

銀時は数秒静止してからダラダラと冷や汗を流す。

実は見つけてないけれど先んじて注意しておくことであらためて別の場所に隠させるのである。そうすることで私が目にすることはないだろう。私ってばなんて優しいの。

 

そうこうするうちに居間に戻ってきた高杉が今まで以上に不機嫌そうだった。ここまで怒っているのも珍しい。

早歩きで外に出て行ったから声をかけるタイミングもなく、難しい顔をする松陽にわけを聞いた。

 

「実は晋助に許嫁を、という話があるようで……なんと高杉家の当主の使者を名乗る方がここにいらしたんですよ」

 

ほう、息子に暴行するクソ親父の?

あのほっ……、ほりうち、ほりなか……ほりかわ? 堀川をボコボコにして勘当されかかっていたが、その前に高杉が家を出た形になっているから、もう一切干渉しないと思ってた。

 

奉行所に届け出をしていないらしく戸籍上はまだ親子関係にある。だから高杉を連れ戻しに来ても門前払いをしにくいのだ。

 

その使者は無理やり連れ帰るつもりだったが本人の意思も聞かずにそうするのはいかがなものか、と松陽が苦言を呈した。中々引き下がらなかったようだけど、松陽が根気よく宥めて今日はお引き取り願えたとのこと。

 

「酷い奴だったぜ全く」

 

通りであんなバカが育つわけだ、と銀時はぶつくさ言う。なんでもカッと頭に血が上って悪口ばっかり垂れ流してたって。使者がそんなのであれば雇い主の人格もわかる。

 

というかね。

 

「い、許嫁って……ふふっ」

「どうして笑っているんですか?」

 

その声は責めるよりも純粋な疑問が込められていた。それが余計に笑わせにくるから、どうしようもない。

 

「だってあいつ結婚がどうとかってやつじゃないじゃん。人付き合いからダメでしょ……っ」

「それブーメランしてっから。特大だから」

「うっさいバーカ」

「オメーがばーか」

 

言い合っていると、静かに考え事をしていたヅラがまさかと瞠目した。

 

「さっき家を飛び出していったが、やつの親父殿に会いに行ったのではあるまいな」

「………」

「………」

 

顔を見合わせてダッシュで高杉邸に向かう。

これは心配などでは断じてない。厄介事センサーが反応しているからだ。だからまったく心配してない。

誰に言い訳するでもなく思いながら漆喰の塀に沿って走り、やがて大きい門前に着いた。高杉はとっくに殴り込み───まぁ実家なのだから言い方もおかしい───済みで、まさに一触即発な雰囲気。

 

いきなり飛び出すのも一興だが話がややこしくなっても……いいかもしれない。だが今度は二人ががりで掴まれてしまい、動けなかった。だから私は幼児かこのヤロー。

 

「頼むから動くんじゃねェぞ。絶対ややこしくするだろ」

「そんなわけあるけどいいじゃんか」

「天邪鬼が過ぎるぞ雪子!」

 

門に隠れてヒソヒソ話す。

それでも現在進行形で高杉親子のピリリとした睨み合いは続いていた。こっそりと窺えば高杉をそのまま大人にしたような男性が立っていた。うわぁ親子そっくり。

 

「俺はもうこの家の人間じゃない。テメーに指図されても従う理由はねェ」

「それはお前がほざいているに過ぎん。手続きもされていないお前は高杉家の跡取りで、当主である私の命令を聞く道具だ」

 

言い方はともかくその通りなんだよねぇ。

現状の高杉は家出して縁を切ってやると喚く子供そのもの。成人してないし家族の保護下にいるのが普通なんだろう。ヅラは天涯孤独の身なので大丈夫だろうけど。

 

その筋合いは正しい。無能な役人どもを黙らせたあの頃が懐かしかった。

黙る高杉に気分を良くしたのか高杉父はこうも続ける。

 

「喜べ、晋助。お前は我が家の繁栄への礎となれるのだぞ。何故なら婚姻相手はあの堀田様の妹君だ」

 

盗み聞きする私達に激震が走る。

 

「ね、ねぇ…………だれ? 堀田って」

「覚えとらんのか。よく高杉に絡んでいた上級武士の跡取りだ。しかしどんな奇縁で親父殿はあの家に近づいたのか……」

 

え、堀川じゃなくて堀田だったの。

でも一文字しか違わないしどうでもいいか。

 

あ、思い出した。たしか前に……

 

『お、おい貴様ら……このままで済むと思うなよ。絶対……絶対に後悔させてやる……!』

 

とか言っていた。これがどう私達の後悔へ繋がるのかいまいちピンとこないのだが、とにかく堀田の復讐の一つではあるのだろう。

うーん、別に困らないかなぁ。むしろどうぞもらってくださいって感じだけど。

 

「一生添い遂げろとは言わん。婚姻さえ果たせばあとは自由にするがいい。ああ、それとも……」

 

高杉父はいやらしく目を細めると顎を指先で撫でながら言った。

 

「もし本気で好いている相手がいるなら連れてくるといい。良家に値するかどうか見定め、私が納得したら解消してやるが」

 

どうする? と勝ちを確信する高杉父。息子に何の興味も抱いていないのだろう。松下村塾にいる程度の情報しか得ず使者を差し向けたのがその証拠。

そんな子いるわけがない。一歩譲って親しい女の子もやつには存在しないのだ。

哀れな高杉。お前はいいやつだったよ……。

 

さーて帰ろっと。

心中で別れの挨拶を済ませ、それなりに満足したので帰ろうと立ち上がり、しかし抑えられていたからうまく進めずに三人仲良く地面に転がった。そして物音を聞きつけた高杉親子に見つかる。

 

「なっ、何者だ貴様ら!」

「…………!」

 

閃いた顔をする高杉が私の腕を掴んで立たせた。

全身にさっと視線を走らせて苦悶の表情を一瞬浮かべると、くるりと体の向きを変えて父親に澄まし顔を見せる。

 

あっ何この手遅れ感。

 

「高すっ───」

「父上。こいつが父上のお眼鏡に適う相手です」

 

仮にも本気で好いている相手を親に紹介するにはぞんざいな態度だった。

けれどあまりの発言───表情もキャラも合ってない───にぽかんとするしかなく、ただ後ろで銀時とヅラが驚いて叫ぶのを聞くしかなかった。

 

 

「それで晋助の彼女のフリを? これはまた凄い事になりましたね……」

 

経緯を話すと松陽は笑った。どうしてそうなった、とでも言いたげの呆れをたっぷり滲ませて。

その台詞私が言いたいよ。

 

「しかし珍しい。嫌なら断ったりするでしょうに、雪子はそうしないんですか」

「今回に限っては面倒そうだし高杉父相手に猫被んの疲れるし、最初は突っぱねたんだけどさ……」

 

思い返すと腹立たしい。

高杉は許嫁を回避したかったのだ。誰かの思い通りになる事をよしとしない奴は、そこへ普段から揶揄う私への意趣返しをも加える。

 

上手くいけば父に一杯食わせられる。

そして私への日頃の恨みもやり返せる。

まさに一石二鳥だ。高杉にとっちゃ今だけは僥倖なのだろう。

 

しかしそれをぶち壊すのが私。あいつらの望みを可能な限り引き裂いてやる。従うフリをして高杉を弄ってやるのだ。

 

ほくそ笑む姿を見て気を揉んだ松陽だったが、ほどほどにしましょうねと窘めてあとは任せた。

任せられたので期待に応えましょう。

 

長期的に演じるのは性格的に二人とも耐えられない。よって一回で勝負を着けるべくお見合い的なアレで片付ける事にした。

 

勝負服とでもいうのだろうか、白群(びゃくぐん)色の着物に白い帯、濃紺の根付でぴしりと着付ける。簪で長髪を纏めれば深窓の佳人感すごい。こんな事良家のお嬢様は思わないでしょうけど。

 

鏡の前で最近磨きがかかってきたと褒められる作り笑顔の最終確認をしてから、二人で高杉邸へと向かった。

 

召使いさんに案内された先は落ち着いた雰囲気のある一室。

襖の開かれた庭から鹿威しの清涼な音がした。

下座のほうに高杉と私が隣に並び、向かい合うようにして上座に高杉父が座る。

緊張感でいっぱいのやつを少しでも和らげてやろうと、机の下で膝をポンポンした。気づいてこちらを見るのでウインクをする。

目は血走り悪意に満ち溢れた邪悪な表情。この時の高杉の心情は察するに余り有る。ご愁傷様、お前はもう逃げられない。

 

正面に顔を向けた頃には私は綺麗な笑顔を貼り付けていた。

 

「初めまして。高杉晋助さんとお付き合いをさせてもらってます、……吉田雪子と申します」

 

名字がなくて怪しまれるのも面倒で松陽の名字を借りたのだが返って心臓に悪い。吉田さんなんて呼ばれたら死ねる。昇天する。

 

「ああ、愚息が世話になっている。今後一切顔を見ることもないだろうから覚える必要はないな」

「まぁ。意地悪なことをおっしゃるのですね」

 

愚息は否定してやらんが一応こいつも会話する気は最低限あるらしい。

どんな経緯で付き合うようになったとか、どこが好きだとか、胃の中のものをぶちまけてしまいたくなるほどの質問が飛んでくる。一問一答する度に頰を殴られるような感覚に陥った。

 

なんだこれ気持ち悪っ!

 

「ほう。今は私塾で勉学に励みながら同棲していると?」

「その言い方はよせ」

 

ピシャリと高杉が訂正する。

 

「ダーリン照れ屋さんですからね。……私は別に、ど、同棲でもいいのですけれど」

 

ぽっと頰を赤らめる。吐き気を抑え渾身の演技でなお続けた。

 

「それに彼、いっつも私にべったりで困っちゃいます。朝から晩、お風呂や寝床まで……本当にどんな教育しているのですか、高杉家の男性はみなこうなのですか」

「晋助、お前……」

「違っ……!」

 

などなどあらぬ話を吹き込んでおく。私が女であることを利用してあることないこと好き勝手にな。

それに冷静を装って慌てる高杉を見て溜飲を下げていた。

息子の知らぬ面を彼女に暴露され動揺する高杉父。始まりは別れさせる気満々だったけど、私の発言に翻弄されて威厳が半減していた。

 

「ふ、ふん。貴様らが真剣に考えて交際していることはわかった。だが教養もない輩に息子をやるわけにはいかん」

 

話で食い下がるのは平行線を辿るだけだとやり方を変えてきた。琴や舞、華道や茶道など花嫁に相応しい技術を持っているかのチェックをされる。いやだから気持ち悪いって……。

浪人の開く私塾に通う娘ならばこんなこと出来まい。そんな余裕をのせた顔はだんだん曇っていく。

 

ええ、そうでしょうとも。私を誰だと思っているのかしら? クソババアから始まってスパルタ教員にしごかれまくったのよ? このくらい朝飯前である。というか体に刻みついている。

 

琴で演奏するときなんか途中から高杉が三味線持って来て乱入したぐらいだ。

ウズウズしてたもの、絶対やると思った。

しかしそこは譲り合い精神を生まれた時に削ぎ落とされた二人。まったく合わない。合いの手という概念がないからだ。

 

初めは静謐で華やかな調べが、やがて挑発的で乱雑なものへと変わる。互いに煽ってばかりで曲調は荒れ音のぶつかり合いになった。

曲目は同じでも弾き手に協調の心がないからもはや雑音と言っても差し支えない。

 

「あーもう、後から入ってきたんだからお前が合わせろよ」

「この曲は三味線が主旋律だ。つまりオメーが合わせるのが正しいに決まってんだろーが」

「はぁ? んなもん関係ねーだろ。臨機応変に対応しろよ。だから女の子と二人きりになっても会話できないんでしょーが」

「二人きりになる女なんてテメェしかいねェ」

「松下村塾の女の子たち、あんまりお前に寄ってこないものねぇ」

 

手と口を動かして喧嘩のような共演をしたり。

そんなことをやっていると、高杉父が何とも言えない顔をする。

 

「……貴様、猫を被っていたな」

「あ。まあ、はい。そうですね」

「倅と交際するなんて一体どんな物好きかと思っていたら、こんな子とは……。それに嘘に付き合ってくれるほどの優しさがあるのか」

 

んん? 変な風向きを感知する。

あれほど嫌味なおっさんだったのに今は長い睫毛を伏せるおじ様。高杉父は顎に手をやって思考を巡らせる。

 

「いっそこれもありか」

 

なんか不穏な一言漏れてますけど?

 

「父上、俺は許嫁をもらうつもりも権利もありません」

「はっ。勘当覚悟の愚息は言う事が違う」

「俺がこの家にいても邪魔なだけでしょう。俺は父上が大嫌いですし、父上もそのはずだ。この関係に固執するのはやめにしましょう」

 

家族の縁をあっさり捨てようとする高杉。そして少し考えると頷いた高杉父。

うーん、この親子殺伐としてんなぁ。

 

「こんな出来損ないを婿にやったところで私が恥をかくだけだろうからな」

 

この人の根底にあるのは家の繁栄。

だから息子も道具としてしか見ないし使えないと思ったら切り捨てる。

縁談の話を消すのは容易ではないだろう。それでも家族の関係を消すほうを選ぶのだ。

 

「どうだ? 最後に一緒に奉行所まで届け出を出しに行くか」

「ええ。構いませんよ」

 

……ほんとに殺伐としてんなぁ。普通じゃないよ。

そうして親子は薄ら寒い笑顔のようなものを浮かべて歩いて行く。

 

「私としては嘘でなくともいいのだがな」

 

最後にそんなことを言ったから意識的に記憶から削除してやった。その際高杉と目があったのでぺっと唾を吐いておく。

調子乗んなよコラァと伝えたのである。

 

「ところで晋助」

「……なんですか」

「あの子が言っていた事は本当に嘘なのか? お前は嫁入り前の娘にそんな事をしているのか?」

 

などと大変な誤解───しかし高杉父は私の発言を真に受けていただけである───が生み出されていたが、後処理は息子に託すことにする。

 

 

そのまま奉行所へと向かった親子の後ろ姿を見た。

あれも一つの形なのだろうか。家族というきってもきれない縁の。あの二人はそれを無くす。それは果たして正しいのかな。

 

戸籍上は違くても血が繋がっていれば家族か。それとも血は繋がってなくても絆があれば家族?

ひとつ言えることは、あの男はそんなものに縛られないということか。

 

「いいのかなぁ」

 

釈然としない思いを抱えて家に帰る。すると部屋が騒がしく、うるせェなと襖を開けば顔にぺしっと何かが当たった。

床に落ちた、あは〜んうふ〜んな本を拾う。

ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら無言で見た。

 

「いやね、これは違うの雪子ちゃん。別に隠し場所変えようとしてたわけじゃないから。ほんとに全然違うから」

「そうだぞ雪子。もう帰ってくるとはしらず焦って転んで飛んでいったわけじゃないんだぞ」

 

ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら。

豊満な胸だとか肉感の良い太ももとか、情欲に染まった表情だとか。己にはない未知の世界が広がっていて頭の中が白くなる。

 

ぱたん。

 

「─────この変態!」

 

大きく振りかぶって顔面に直撃させた。この日以来男子陣の部屋を勝手に掃除しないようにと家族会議で決まった。




ひでぇ茶番だ。
軽ーく勘当って言葉使っていますが、実際は重いですよね。

幼馴染のこういう話ってアリかなと考えながら書いていたらシリアス編真っ青の文字数になりました()
雪子の得意技:投げっ放しジャーマン

お粗末なものをすみませんでした。
後悔はしていません。
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