お家に帰ろう   作:睡眠人間

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獅子は我が子を千尋の谷に突き落として後悔する

「お前って本当にバカ」

「うっせ」

 

 神楽と星海坊主と別れて数時間後、穴の空いた雪子の店では銀時が飲み潰れていた。グラスを片手にテーブルに突っぷすフワフワの白いつむじをつんつんしながら雪子は笑う。

 

「そんなになるなら言わなきゃよかったのに」

「……うっせえ」

 

 この男は懐に入れた人間を大切に護ろうとする節がある。死んだような目で生気のかけらもない顔をして、見えないところでその手を離さないようにしてくれる。神楽のこともそれはそれは大切に大切に思っていたのだ。だから突き放す選択をした。そしてこうして飲んだくれている。

 銀時の選択の理由も何もかもお見通しの雪子は呆れてしまった。なんでそんなバカなことをしようと思ったのか、本当に意味がわからない。まあそれに乗っかった雪子も雪子だが。

 

「そっちだって神楽の味方にならなかったろーが」

 

 コイツ神楽の敵になった自覚があったのかと思いつつ肩をすくめた。

 

「私は味方のつもりだよ。あの時に庇ったって神楽の為にならないからね。そうするように願ったのはアイツ自身だ。……ま、それでも縋ろうとしたところを見るに、まだまだガキってことだけど」

 

 神楽は自立して大人になりたがっている。否、新しい自分になりたいのだ。そこに到達するまでに余計な手出しは無用。そう思って雪子は敢えて神楽の不安げな視線を無視して背中を向けた。そうやって彼女は大人になったからだ。いってらっしゃいと穏やかに見送る松陽の眼差しに目を背けて、自分から修羅の道を歩んで自分の正体を突き止めようとした。

 獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすと言うが、それをやろうとしたのである。

 

「……そりゃそうだろ。ガキなんだから」

 

 銀時はガラスに張った水面に視線を落として呟いた。

 

「いつかガキは巣立っていっちまうんだから、せめてそれまでは、家族と一緒にいるべきだろ」

 

 それは偽らざる銀時の本心だった。

 家族と呼べるのかはわからない。だが少なくとも雪子は家族と思っていたらしいあの空間は、確かに終わりを迎えたのだ。それは松陽と雪子が連れ去られ松下村塾が燃えた日だったり、二人を取り戻した後にそれぞれの道を歩むと決めた時だったりする。

 現在は再びあの松下村塾へ帰ることもあるがそれでも昔のようにみんなで一緒に住むことはなくなって、過去の生活は断絶されたと言える。

 

 だから銀時は知っている。家族なんて繋がりがいつ途切れてもおかしくはないことを。明日にでも消えてしまう存在であることを。

 もちろん宇宙最強のえいりあんはんたーとやらがすぐに死んでしまうとは思っていない。それでも生ある者は必ず死ぬ。だからこそ神楽には手遅れになる前に家族と一緒にいて欲しいと思ってしまった。

 それは自分が叶えることができなかった昔の願い事だった。

 

「そもそも俺から来てくれなんて頼んだ覚えはねーよ。元々アイツも里帰りするための資金を集めるーとか何とか言ってたんだ。丁度いいんだよ、これで」

 

 銀時の自分を納得させる為に声に出した言葉に後ろ髪を引かれる思いを感じ取って、雪子は深いため息をつく。ここまで来たら銀時は余程のことがない限り動かない。そして彼を動かしても神楽のためにはならない。雪子は本気でそう思っていた。

 

「それもそうだね。いつ銀時がロリコンに目覚めるかもわからないし、早めに離れられて正解だわ」

「俺はロリコンじゃねー」

 

 そんな覇気のない声で否定されても説得力がない。神楽を自分から拒絶したという事実が銀時の中にしこりを残しているのだろう。ここまで人間関係に対してグダグダしているのも珍しいが、それは雪子の前だからだ。仮に新八や他の面々が目の前にいたら銀時はいつものようにふざけたバカ面を晒してふんぞり返るに決まっている。

 

「つーか昔馴染みってなんだよ。銀さん聞いてないんですけど」

 

 そして雪子もまた目の前にいるのが銀時だけだからこそ、素直に質問に答える気分になりながらもはぐらかしたい気持ちになった。グラスの縁を持ってぷらんぷらんさせ興味ないですみたいな顔をしているがチラッチラッ雪子の方を見るのが面白いので。

 

「私の母親が夜兎ってことは知ってるでしょ? んで夜兎の中でも有名人だったんだって」

「へー。………それだけ?」

「うん」

 

 雪子が頷いてそれきり口を開かないので銀時は今度こそガンッと勢いよくテーブルに突っ伏したのだった。

 

 

 

「よっ。見送りに来てやったぞ」

 

 片手を腰に、片手を上げて挨拶した雪子に神楽はちらと視線をやってからフイと地面に落とした。つい昨日神楽を傷つけたのだからまあそうなるかと思いつつ、隣で警戒心を強める男に向き直る。

 

「なんだテメー。神楽ちゃんはやらないぞ」

「もらわねーよ。見送りに来たっつってんだろハゲ。銀時は来ないらしーし寂しいかなって思って来てやったわけ」

 

 ざっくばらんな態度から本当に神楽を取り戻しに来たわけではないようだと判断し、警戒を解いて星海坊主は雪子を見上げる。

 ここはターミナルの待合室。星海坊主と神楽はこれから地球を出発するのだ。そのお別れを言いに来たと雪子は神楽の隣に座る。神楽は顔を上げないままだ。

 

「地球はどうだった? 楽しかった?」

「…………」

「ま、色々世話してやったからさ。その思い出話でもしてやろーかと思ったけど……そんな気分じゃないらしいね」

 

 沈黙を貫く神楽はふつふつと怒りが沸いてきた。なんでそんなふうになんでもない様子でいられるのか訳がわからなかった。神楽の心はこんなにも嘆いているというのに、雪子にそういった感情が見られず貼り付けたような営業用の明るい声が聞こえるので混乱したのである。

 

「約束、果たされなかったね」

「!」

 

 約束。隣に立てるくらい強くなったら雪子のことを教えてもらうという約束を、神楽は達成しないまま離れようとしている。一番教えて欲しいことを知らないまま終わろうとしている。それが酷く悲しくて悔しくて……神楽はようやく雪子と目線を合わせた。やっぱりそこには空回りした笑顔があった。

 

 どうして雪子は平然と人を殺せたのか。戦いに身を投じていたのか。それを神楽は特に知りたかった。容赦なく刀を血に染める姿に兄を重ねたからだった。

 

「あ、それは……」

「しょうがないんじゃない? このままいても神楽は強くなれないし。約束なんて忘れて故郷に帰ればいい。地球にこだわる理由なんてないよ」

 

 だけど、雪子が本当につんとした赤の他人みたいな顔で言い放つから、神楽の大きな瞳にジワッと水の膜が張る。

 

「……なんで。なんでそんなこと言うネ」

 

 好きだと思っていたのは自分だけだったのか。こんなにも大切に思っているのに、雪子には伝わっていなかったのか。途端に自分が情けなくなって神楽はポロポロと涙を零した。まろい頬を伝って落ちる涙に雪子はぎくりと固まり星海坊主は怒髪天を衝いた(そんな毛量は存在しないが)。

 

「クラァッ!!! 神楽ちゃんを泣かせるたァいい度胸してんなクソアマ! 表出ろや!!」

「……ぁ、え、えと、か、神楽」

「もういいヨ」

 

 嗚咽の隙間から冷たい拒絶が転がり落ちて、ああ自分は神楽をこんな酷い気持ちにさせていたのかと雪子は自覚する。

 

「もういい。サヨナラ」

 

 目元を乱暴にゴシゴシ拭いて荷物を手に取ると神楽は足早にその場を去った。星海坊主は雪子を親の仇でも見るような厳つい顔で睨みつけていたが、すぐに神楽の後を追っていく。その際に。

 

「……お前さんは母親とは真逆だな」

 

 なんて言い残して消えていくものだから雪子は失敗を悟ってソファに背を預けて顔を両手で覆った。

 

 ……怒らせた。いや泣かせた。あんなにも年の離れた娘を。あんなにも慕ってくれたかわゆい子を。

 雪子は女の子と小さな子が昔から苦手である。ギャーギャー騒ぐうるさいクソガキどもは別にして、子どもは触っただけで潰してしまいそうで怖いからだ。生物としての根本が違っていてゾワリと嫌な感じがするのだ。

 

 しかし神楽にはそのような感覚を持ったことはなかった。ある程度成長している上に同じ夜兎族だからだろう。それでも雪子にとって神楽は紛れもない子どもだし、子どもにあんなにも懐かれる経験はあっても、自分から可愛がりたいと思うほど気に入った経験は初めてで、どうしたらいいのかわからなかった。

 

「絶対やりすぎたじゃん」

 

 精神的に強くなってもらいたくてあんな風に突っぱねる態度を取ったつもりだったが、逆効果だった。完全に嫌われた。神楽に嫌われた。雪子はオロオロした。銀時や桂が見たらギョッとするくらい動揺していた。

 どうしようどうしようと悩みウダウダしていると誰かに肩を揺さぶられていることに気づく。はっとしてまばたきをすると神楽と同じくらい可愛がっている新八がいた。

 

「雪子さん! 神楽ちゃんもう出発しちゃいましたか!?」

「えっ?」

「早く答えて!!」

 

 いつもの大人しい様子からはかけ離れた強引な行動に目を白黒させて、雪子はしどろもどろになりながら答える。

 

「ええと……まだだと思う。つってももう船の中にいるんじゃ」

「わかりました! まだ間に合うんですね!?」

「でももう……ってちょっと!」

 

 聞くなり新八はゲートの方へと駆け出していく。雪子は呆然とそれを見送って数秒後、慌ててその背中を追いかける。さっきまでの落ち込みっぷりはどこへやら、キッと強気に目尻を上げて颯爽と検査場を走り抜け立ち塞ぐ警備員に鼻フックを決めた。

 やっちまったもんはしょうがない。神楽は今頃船の中。連れ帰ることは不可能だ。だけど新八はそう思っていないらしかった。無我夢中で走り去る少年に雪子は希望を乗せて足を運ぶ。いつの間にか口角が上がっていた。不思議な子だな、と雪子は思う。

 

 雪子が追いかけていることに気づかないまま梯子を俊敏に登り詰めていく新八は、今まさに出航しようとしている船へと大声を張り上げる。

 

「神楽ちゃーん、どこへいくんだァァ!! 僕ら三人揃って万事屋だろォ!!」

 

 神楽に届いているかもわからないのに必死になって叫ぶ姿に、雪子は息を呑んだ。新八は汗を額に浮き上がらせて懸命に梯子を登りながら神楽に届けと言葉を紡ぐ。

 

「バカに何言われたかしらないけどあんなのの言う事きかなくていいって! 給料もロクに払わないんだから! 僕一人じゃあのバカは手に負えないよ!」

 

 息を呑んで、そして、ククと腹を抱えて笑う。新八は何が神楽の為になるとかどれが正しいとかそういったことは一切考えていない。ただ万事屋の神楽ちゃんが大切にしているものを大切にしようと、護ろうとしているのだ。あまりに真っ直ぐで純粋な光に雪子は眩しそうに目を細めた。大人として不甲斐なかった。

 

「帰るなよォ! まだ一緒に万事屋ではたらこうよ!!」

 

 そうだな。雪子は新八を見上げてにっこり笑う。その通りだ。銀時、新八、神楽。この三人が一緒じゃないと万事屋とは言えない。もうそんなところにまで三人の信頼関係は来てしまった。

 私はそれを粉々に壊そうとしたんだ。雪子は改めて自分のしでかしたことを反省して、さーて神楽を連れ戻すぞと腕を回して……ピタと止める。

 

「なんだ、あれは……」

 

 巨大な船底でえいりあんが蠢いているのを発見した。赤黒いグロテスクな肉の塊が蠕動したかと思うとみるみるうちに膨れ上がり、それは船を覆い尽くす巨大えいりあんへと変貌した。成長スピードが半端じゃない。一体どこから侵入して、どうやってあそこまで馬鹿でかくなりやがった。

 

「なんじゃありゃああ!! アレ? こっち来てない? ウソこっち来てない? やばいやばいああああああああ!!」

 

 新八は目の前に迫る船とえいりあんの塊に目を瞑ると体を引っ張られる感覚に瞼を持ち上げ、次いで内臓が飛び出てしまうほどの浮遊感に襲われて悲鳴を上げた。

 

「あああああああああ!!!」

「舌噛まないようにな」

 

 雪子にしがみついたまま数十メートル下へと落下し、急速に迫る地面に新八は死を覚悟した。あと少しで激突するというところで雪子が壁を蹴り上げくるっと数回転、衝撃を殺して軽やかに地面に降り立ったことで無事だったが、吐き気が込み上げてきて手で口元を覆う。

 

「ぅ、雪子さん……ありがとうございます……」

「それはこっちのセリフ」

 

 新八の背中をさすりながら雪子は続けた。

 

「さっき神楽に故郷に帰ればいいって言って泣かせてさ」

「それは酷いです」

「う。だって強くなって欲しくて……」

 

 はー? 新八はカチンと来た。その感情が表に出てきてしまったからか雪子が急にオロオロし出すので、雪子さんってこんな人だったっけ? と思いつつ怒りのまま口を開く。

 

「雪子さんもあのバカと同じですね、神楽ちゃんのこと何にもわかってない! 神楽ちゃんがどれだけ銀さんや雪子さんを大切に思っているか……」

「わ、わかってる! わかってるから、そう言って、泣かせて……反省して……」

 

 次第に雪子の語尾が弱まっていって、新八の背中をさする手が止まる。

 

「あの三人じゃなきゃ万事屋じゃないって、新八に言われて気づいた。だから神楽を連れ戻そう。あの子は君たちと強くなるんだね」

「……そうですよ。だから、後でちゃんと神楽ちゃんに謝ってください。そしてたくさん怒られてください」

「は、はい」

 

 なるほど、自分に非があるとわかっているから弱気なのか。それとも神楽を泣かせてしまったことをそれほど後悔しているのか。新八はその珍しい様子に、雪子さんも神楽ちゃんのことがちゃんと大切なんじゃないかと安心した。

 

「なんだ、てめーらまだいたのか」

 

 星海坊主が二人のそばに降り立って、ターミナルに不時着したえいりあんを強い眼差しで射抜く。

 

「まさか野郎がまだ生きていやがったとは。俺としたことがツメが甘かったな」

「は? あのえいりあんお前が仕留め損ねた奴なの?」

「ああ。ちゃんと息の根を止めたつもりだったんだが……うぐぅっ!?」

 

 言い終わる前に雪子が星海坊主へ鋭い蹴りを入れ、背後からの突然の暴力に星海坊主はなすすべもなく後退する(頭じゃなく本体が)。

 

「何しやがんだ!」

「おいハゲちゃんと始末しろよ! めんどくせー仕事作りやがって!」

「ああん!? 神楽ちゃんのことが気が気じゃなかったんだよ仕方ねえだろ!」

「仕方ねえで済む問題じゃねーんだよハゲ!」

「ハゲハゲ言い過ぎだ馬鹿野郎!!」

 

 いつになく怒る雪子は好きなだけ星海坊主に向かって暴言を吐くと懐から電話を取り出してどこかへ連絡をかける。その内容から雪子が以前言っていた組織や警察に関連した何かなのだろうと新八は当たりを付けた。

 

「そんなに慌ててどうしたんですか」

「このターミナルはアルタナを使って稼働している……言わばエネルギーのポンプ。いくらでも餌は湧いてくる。だからあのえいりあんが急成長したわけ。んで同時に潰しても潰しても死なないバケモンになっちまった」

「そ、そんな……」

「しかもターミナルは天導衆の大切な箱庭で、破壊は厳禁。今のところ手の打ちようがない。くそ、処理に手間取るの嫌いなんだよ。………おい松平のオッサン、仕事だ仕事」

 

 電話の合間に雪子がそう漏らし、しばらく電話でのやり取りをした後に民間人の避難指示をテキパキ出して「よしここから離れるぞ」と二人へ言った。

 

「離れるってどういうことですか!」

「えいりあんがターミナルにくっついた以上あれを止める手段はターミナルごと吹っ飛ばすしかない。犠牲者ゼロで終わらせるにはね」

「で、でもさっきターミナルは破壊厳禁だって」

「だから電話で確認書類すっ飛ばして許可取ったんだって。ほら、そういうわけだから行くよ。ここも危ない」

 

 マジでか。ターミナル関係の判断を下せるって雪子さん相当の上層部の人間だなあとお決まりのように新八が遠い目をする。雪子に腕を掴まれて立ち上がるも、星海坊主は避難方向とは真逆の……えいりあんの方を向いていた。

 

「ハゲも避難対象だコラ」

「もう俺は疲れた。ツッコまねえからな。……神楽ちゃんの姿が見当たらねェ。きっと他の連中を気遣って船に残ってるんだ」

 

 続々と避難する人たちの波に逆らって駆けつけようとする星海坊主に待ったをかけたのは新八だ。

 

「僕もいきます。神楽ちゃんはほっとけない」

「よく言った新八。当然、私も行く」

「……ガキ、てめーは邪魔だ。帰れ。こっからここは戦場だ。てめーらみてーなひ弱な生き物にいられたら迷惑なんだよ」

 

 星海坊主は戦場を見据えたままだ。その背中に殺気が募る。息苦しいほどの威圧感に新八は気圧される。それは本物の狩人の目だった。

 

「ここは俺達の居場所だ。……そうだろ、雪子」

 

 そして、隣で平素の顔をしている雪子を見上げて、まさかと声にならない声で囁いた。嘘だ、そんな……じゃあ。そこまで考えたところで新八は深呼吸をした。今は考えている暇がない。僕は神楽ちゃんを助けないといけないんだ。

 

「……でも僕は」

 

 そう口にした瞬間、新八に向かって星海坊主の傘が振り抜かれる。防御する間も無く新八の背後に迫っていたえいりあんが叩き潰され、ただの肉塊へとなって転がった。

 

「俺達の生きる場所は違うと言ってんだ。これ以上神楽に関わるな。これ以上神楽を苦しめるな。人が簡単に変われると思っているのか?」

 

 星海坊主は言い残してえいりあんへ突撃する。新八はすぐには動けなかった。生き物としての根本的な違いをまざまざと示されて、圧倒されていたのだ。

 たしかにここはか弱い人間には危険過ぎる戦場。しかし新八はただの人間ではない。己を律し自分の大切なものを護る侍である。故に、一歩後ろに下げかけた足をザッと前へ踏み出した。

 

「大丈夫。変われるよ。私も変えてもらったから」

 

 雪子は新八の背中をバシンと叩く。かなりの力が込められていて背骨が折れるかと思うくらい痛くてじんと痺れが全身を駆け抜けた。うっと痛みを我慢する新八へニッと悪ガキのような屈託のない笑みを見せると、雪子は戦場へと走り出す。

 

 ただの獣としてではない。ただの雪子としてただの神楽を護るために。

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