Fate/Imaginary Fragment 作:パックスX
完成された魔術師な士郎・凛・桜がカルデアに来る話
第1節「マスター」
―人理継続保障機関フィニス・カルデア第1会議室―
亜種並行世界より無事、人類最後のマスターである「藤丸立香」が帰還を果たしひと段落下ある日の事だ。
ダ・ヴィンチはマシュ、及び各部署代表にあたる職員数名を会議室へと集めていた。
「さぁ会議を始めようではないか」
「会議…はよろしいのですが、今日の議題はなんなのでしょうか?」
マシュがダ・ヴィンチへちゃんへと質問する。
「よくぞ聞いてくれた! 今日の議題はマスターについてだ」
「マスター? あの、先輩になにかあったのですか?」
「いやいや立夏くんは至って健康そのものだ。今日の議題のマスターとは”今後カルデアに必要となるであろうマスター”についてだよ」
その言葉に、各部門のスタッフ達も一瞬ざわつく。
そう、いつかはこの問題を解決せねばならない時が来るとはスタッフ達も思っていたのだ。
「現状カルデアのマスターは時間神殿での戦い後も彼1人だ。その後の新宿、アガルタとどうにかなってきてはいたが、今回の件でいよいよその体制の問題が浮き彫りになったという訳さ」
そう、今回の亜種並行世界の一件で藤丸立香は肉体のみを世界に残し、意識は別の場所へと飛ばされた。これについては”過去にも似たような事例”があったが、今回の件でいよいよマスターの体制について見直さねばならない時が来たのだ。
ダ・ヴィンチちゃんは説明を続ける。
今まで、時間神殿での戦いまでの約1年半の時間は「彼」1人に任せるしかない状況だった。
しかし外の世界も1年半という空白がありながらも無事動き出した今、彼1人にマスターを任せる必要性はない。
しかも今回の様に彼が何らかの窮地に陥った場合、もし同時に別の特異点やイレギュラーな事態が発生してもカルデアはどうする事も出来ない。
だからこそこの現状をどうにかせねばいけないという事だ。
「しかしマスター問題については……」
マシュが言いよどむ。
「はい、問題がある為今の今までこの体制が続いてきました」
魔術部門の代表者が言葉を続ける。
「事実魔術協会は、藤丸君に開位を与えつつも協会側からマスターとなるべく人物を送り込もうと計画していました。
しかしそれは現状難しい状況であると判断され計画は凍結状態となっています」
そう、魔術協会側からしてみれば藤丸立香という一般人の存在は邪魔なだけだが、多くのサーヴァントと縁を結び、人類悪、人間の獣性から生み出された七つの災害であるビーストⅠ及びⅡを打ち破り、世界を救ったという事実は変わらない。
英霊と共にある彼を裏から消そうという計画もあったが、百をも超す英霊がいる中それを実行するのは不可能だと判断され計画は頓挫。
調査団を派遣しデータの解析などを行った結果、カルデアの英霊召喚システムには縁が大きくかかわっている事も分かり、また藤丸立香という存在が重要となっている事も分かっていた。
だからこそ問題なのだった。カルデアの人間と話し合いをした所
「もし普通の魔術師が来よう物なら英霊たちは受け入れないだろう。彼らが求めるのは『魔術師』ではなく『人間』だ。こればっかしは我々でもどうしようも出来ない」
と結論が出されていた。もし魔術師を送り込んで殺されでもしようものなら貴重な魔術師の存在を失うだけでなく英霊の反感をかってしまう事となる。これだけならば魔術協会側を有利にできる状況となるだけなのだが問題は英霊の存在だ。
ふざけた話だが、封印指定の執行者を向けるなど英霊相手でも1人か2人程度ならどうにかできる手段が協会側にもある。だがカルデアには数多の英霊がいる。
その中でもとりわけ問題とされているのが「マーリン」や神代の英霊だ。
現代でギルガメシュ叙事詩やマハーバーラタの再演など始められたらたまったものではなく、彼らが本気を出した場合協会側もただ事では済まないと判断されているのだ。同時に特異点への対処も彼らがいないと出来ないのも事実であり、うかつに手を出し取り返しのつかない事態となった場合どうしようもできなくなるからでもある。
その為結局の所アニムスフィアの後継者問題が決まるまでの権限剥奪、同時に供給ストップという形で事態は平行線を辿っている。
「と事態は平行線を辿っているわけだが実は動きがあった。
何を思ったのか、興味を持っただけなのか、あの”魔法使い”であるキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが連絡をよこしてきてね」
そんなダ・ヴィンチの言葉に今度こそ会議室内が大きくざわつく。
それもそのはずだ。
「キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ」
宝石翁などと呼ばれる彼は現存する数少ない魔法使いである。
「そ、その第2魔法の担い手はなんとおっしゃって……」
スタッフの一人が恐る恐る尋ねる。
「隠し事は無駄だと思って現状を話した所、一つの興味深い話をくれたよ。
彼が観測したいつかは消えてなくなる剪定事象の世界の一つにとある3人の魔術師の存在がいるらしい。そこの彼らに接触した際にこっちの世界での出来事を話したら大変興味を持ったそうでね。先のない剪定の果てに消える世界に留まるくらいなら、こっちの世界で協力したいと話していたそうだ」
更にスタッフ達はざわつく。
それもそうだ。ゼルレッチとの接触だけでも驚きだと言うのに、並行世界からこちらに協力したいと言っている存在がいるとは思いもよらなかったのだ。
「ですがその3人がこちらの世界に来る事は可能なのでしょうか?」
「それについては大丈夫なようだ。その世界へのレイシフトはゼルレッチの言う通りに座標などを合わせれば可能との事だし、話がまとまったら彼も出てくるらしい」
「それに今はカルデアにはいないが前例として「宮本武蔵」の存在もある事だ。可能と言えば可能なのだろう」
「では……」
「ああ、カルデアとしてはこの世界の魔術師を引き入れるリスクよりも並行世界からの……宝石翁のお墨付きともいえる者たちをマスターとした方が良いと考える。暗い話にはなるが、もし”何か”あったとしても”この世界”の人間でないならどうとでも良い訳が効くし”処理”も出来るからね」
「それでその3人の魔術師というのは一体どういう?」
「ああ、ゼルレッチ氏の言うには並行世界の第5次聖杯戦争の生き残り
マスターとしての適性を持ち
人間としての心を持ちながらにして
魔術師として完成された存在だそうだ――」
「という訳で。早速だが立香くんにはレイシフトしてもらおう」
「はぁ……とりあえず説明はさっき受けましたけど、今回はレイシフト先の並行政界で魔術師の人と会えば良いんですよね?」
「ああそうなるね。レイシフト先は君もよく知る冬木市だ。こちらからレイシフトすればあちらが異変を察知し接触してくるだろうって話だよ」
「分かりました。じゃあマシュ、今回も存在証明とかよろしくね」
「はい! 今回の並行世界へのレイシフトは武蔵さんの件でかなりデータは取れましたので今回は大丈夫だと思います」
『アンサモンプログラムスタート
霊子変換を開始します
レイシフト開始まで あと3、2、1……
全行程完了』
亜種並行世界
AD.2014 並行剪定世界 冬木
「幕間」
――第5次聖杯戦争
それはイレギュラーを含んだ、とある世界では最後の聖杯戦争とされる戦争
その結末は幾つかあるとされ、カルデアに召喚されし英霊の中にも、その聖杯戦争の記憶を持つ存在はいる。
例えばそれは青き少女の話
とある騎士王と少年の物語であり
例えばそれは赤き少女の話
正義の味方、少年の歪みに向かい合う物語であり
例えばそれは桜色の少女の話
全てが異質、英霊ではなく人の物語である
だが今回のそれは違う
世界が枝のように分岐するように、一つの聖杯戦争でも更なる別の結末を迎える事もある
これは、全く別の結末を迎えたとある3人の人間の新たなる旅路への序章だ
第2節「赤き魔術師」
「という訳で冬木市に無事到着したけど……ここはどこ?」
「ふむ……どうやら教会の近くの森のようだな」
「私もどことなくヘラクレスと戦った記憶がありますね」
今回のレイシフトにあたってはレイシフトメンバーが限られていた。
冬木と縁のある英霊はランスロットを初めとしいたがどうやら今回は第5次聖杯戦争と関係のあるサーヴァントと一部側面のサーヴァントしかできなかったようだ。時代や年代が関係しているのであろうか。
今回はその中でも気にしているようだったエミヤとアルトリアの2人を連れて来た。
特異点でもなく大きな戦闘になるとは考えにくいので大丈夫だろうという判断である。
ちなみに2人はまだ並行世界の調査としか伝えていない。
なんでもダ・ヴィンチちゃん曰く「伝えると面倒な事になりそうだから」との事だ。
伝えないのはそれはそれで面倒な事になりそうな気がするのは立夏の思い違いではないだろう。
『お、どうやら無事着いたようだね』
『先輩、辺りは大丈夫そうですか?』
「うん、とりあえずは平和そのものかな」
「ところでダ・ヴィンチ氏よ、今回のレイシフトの目的はなんだね? 並行世界の調査と聞き及んでいるが」
『よくぞ聞いてくれた! ずばりカルデアに必要となるであろう新たな3人マスターとの接触さ。既にゼルレッチ氏とは話が付いているそうだから、冬木にレイシフトした時点で相手から察して出てくるだろうとも』
「なっ!? 新しいマスターだと!? しかも冬木で3人の魔術師となると……」
アーチャーの脳裏に浮かぶのはかつて殺そうともした自分でありながら自分でない存在の「衛宮士郎」、よく家にきていた儚げな後輩「間桐桜」、そしてかつては師匠でありマスターでもあった……
瞬間、何かがアーチャーを目掛けて飛来した
「ッ!?」
突然飛んできたガンドを干将・莫邪で撃ち落とす。
隣を見ればセイバーもマスターを守るように立ち、風王結界に隠された剣を構えている。
「あら、久しぶりだけど元気にやってるみたいね……
アーチャー」
「凛……」
アーチャーは言葉に詰まる。
幾分か歳を重ねたようだが、そこにはアーチャーにとっては命の恩人であり、師匠であり、同級生であり、マスターでもあり、またいつかどこかの時空では恋人でもあった存在……遠坂凛がそこにはいた。
「なーに辛気臭い顔見せてんのよ。
恐らく私はあんたが知る遠坂凛じゃないだろうし、逆にあんたは私の知るアーチャーじゃないのだろうけど――
また会えて嬉しいわ、アーチャー」
「――ああ、私も会えて嬉しいよ凛
それに……随分と成長したな、うっかりは治ったのか――遠坂?」
アーチャーが優しい表情で言ったその言葉に凛は少し驚いた顔を見せ、やがて優しく微笑み
「相変わらず一言多いのよ、あんたは
――でも、お疲れ様、あんたも頑張ってきたのね……士郎」
今までカルデアでは見たことの無いような優しい雰囲気なエミヤと、イシュタルにそっくり……というか恐らく依り代となった少女の展開する固有結界(仮)に置いてけぼりなマスターと、どこか優し気に見守るセイバーであった。
「セイバーもお久しぶりね」
「ええ、元気そうで何よりです、凛」
「それとあなたが……大師父の言ってたカルデアのマスター「藤丸立香」で良いのかしら?」
「はい、えっと……遠坂凛さんでよろしいのですよね?」
「ええそうよ、遠坂6代目の継承者にして五大元素使いの魔術師なのがこの私、今回はよろしくね藤丸君」
「よろしくお願いします、遠坂さん」
一通りの挨拶を終えた一行は、森の中ではアレなのでと話の場を遠坂家へと移す事とした。
―遠坂邸―
「私が知るのは並行世界の10年前の事だが、変わらんなここも」
「そっか、エミヤは遠坂さんのサーヴァントだったんだよね」
「ああ、召喚時はまさか上空に放り出されるという乱暴な事このうえなく、掃除に令呪を使われるとは思ってもみなかったがな」
「ちょっとそこ、余計な事言わない!」
そんな2人の様子を見て、苦笑いをするセイバーであった。
「さて、本題に入るわ」
その一言で、場の空気が変わる。
アーチャーとセイバーは真剣な表情となり、立夏もまた気を引き締める
「大師父からおおよその話は聞いてるわ。人類悪と人理焼却、特異点……それと現状についても。
きっぱりと結論を言わせてもらうと、私達はそちらの世界へと行き協力しようと意見はまとまってるいるの」
「……凛、分かっているとは思いますがそれはこちらの世界を離れるという事になりますよ。それでもあなたは……」
「ええ、もちろん分かっている。最悪また大師父に頼めば戻ってこれるとはいえ、別の世界へ行くというのはどういう行為か。でもね、そっちの話を聞いたら止まっちゃいられない人がいるの……あなたも分かるでしょう?」
「士郎……ですね」
「ええ。それに私も、悪くないなと思っちゃって。数多くの英霊と共に世界を駆けるなんていうのもね」
「ところで凛、今話にも出たがあの小僧と……おそらくは桜くんだろうな、彼女はどうした?」
アーチャーは凛が出て来た時点で残りの2人がおそらくは衛宮士郎と間桐桜であることはおおよそ察していた。
だが遠坂邸に着いても2人が出てくる気配はない。
「2人は引継ぎ作業をしてもらってるわ」
「引継ぎ……?」
立香が首を傾げつつ尋ねる
「ええ、なんたって私は冬木の管理者。父も言峰もいない今このまま「はいさようなら」で出てく訳にもいかないのよ。
だから正式にこの地の管理とか諸々を引き継がなきゃいけない訳」
土地の管理についてはエーデルフェルトに
教会についてはそのままカレン・オルテンシアが
そしてその他裏の管理の一部を蒼崎橙子が
前者を桜が、後者を士郎が受け持ち調整の最終段階に入っていた。
「なるほど、それでレイシフトに指定された時期が今だったってわけですね」
「その通りよ。そして今夜には2人も帰って来るだろうし、後はもうこの世界と別れを済ませる、ってだけの段階よ。
済ませ次第大師父に連絡。すぐにそちらの世界へと渡れるっていう算段なの」
その後通信でのダ・ヴィンチちゃんからの説明や、今後の予定を立てて会議は終了となった。
時刻は15時を回ったところだった。
「まだ2人が帰って来るには時間があるわね……
そうだ、アーチャー。今から士郎の家に行って2人の帰りを待つんだけど、折角だからあなたの料理、久しぶりに食べたいわ」
「了解した。では食材を買いつつ向かうとしよう」
―道中―
「エミヤの料理は絶品だからねーカルデアでも大人気なんですよ」
「ええ、彼とタマモ、ブーディカの作る料理はいつも美味で私は幸せです」
「玉藻ってのあの九尾の狐の玉藻前よね……それにブーディカって……今から行くのが楽しみだわ」
最近エミヤはタマモキャットと共にパッションリップやメディアにお料理教室を開いているのだが、それがばれるのはまだちょっと先の話しだ。
「ところで凛、先ほど蒼崎という名が出ていたが、それは蒼崎姉妹のどちらだ?」
魔術の世界でも有名な蒼崎姉妹だが、その妹は第5魔法の使い手であり、姉は封印指定を受けている冠位の魔術師という恐ろしい姉妹だ。
「姉の蒼崎橙子さんの方よ」
「よく彼女に接触できたな……私は生前会う事は無かったのだが」
「ええ、まあ偶然彼女の弟子と知り合ってね、その子は魔術師というよりは魔術使い見習いだったんだけど、そこから両儀の家に繋がったのよ」
聞き覚えのある名前に立夏が反応する
「両儀って、もしかして両儀式の事ですか?」
「あら知り合いだったの?」
「いえ…彼女実はカルデアにもサーヴァントとしていまして」
「あら、それは驚きね。まあ直死の魔眼なんて持ってるしね、彼女」
実のところ彼女の本質は魔眼なんてもので済まされるものではないのだが、今は関係の無い事だ。
「そこで彼女の旦那さんと出会ってね」
(え!? 式ってまさかの人妻だったの!? いや彼氏っぽいというか大切な人がいるって話はあったけど!)
「その彼女の旦那っていうのがなんというか……一般人ではあるんだけど、ものを探す事に長けててね。元々関わりがあったらしいとはいえ、まさか日本の真裏にいた橙子さんを10日間で見つけてくるとは思いもしなかったわ」
「ず、随分と凄い一般人ですね……アルトリアみたいに直感か何か持ってそう……」
「本当にそうよ。
まあそれのおかげで彼女に接触出来て、冬木の面倒ごとの一部は頼めたわ。引換の報酬に間桐の遺産のほとんどやアインツベルンの遺産もあったからむしろお釣りを渡したい、って喜んでたけど。
彼女人形師だし、アインツベルン関係のは特にね」
(人形師……? あれ、どこかで最近聞いたような……)
「あの、その人形師さんもしかして眼鏡掛けてませんでしたか?」
「ええ、掛けてるけど……それがどうかした?」
(やっぱり武蔵ちゃんが言ってた人形師かー……)
世界の狭さと、思わぬつながりやら真実をしった立香であった。
第3節「衛宮」
―衛宮邸―
「さあ上がって。今日は藤村先生は来ないから大丈夫よ」
衛宮邸に到着した一行。
今ではほとんどの時間を冬木の外で3人は過ごしているが、藤村家の人や一成などが管理や掃除をしつつ保っているらしい。
「ここも懐かしいですね」
「俺は初めてくるけど……良いお屋敷だね」
どこか夏の孤島で見た気がしなくもない建物に自身の田舎の実家を重ね合わせつつ立夏は足を踏み入れる。
後で聞いた話だがなんでもこの屋敷には一時期セイバーだけでなくエミヤやライダーがいたり、キャスターやランサーも足を運んでいた時期があるらしい。
カルデアとは比較できないがそれでも十分凄い場所だ。
屋敷で腰を落ち着けると、さっそくエミヤは料理へと掛かる。
その間にセイバーと立夏は凛に特異点での出来事やカルデアでの生活について話していた。
外も闇夜に染まり始めた頃
玄関の引き戸が開く音が屋敷に響いた
「あっ、帰ってきたみたいね」
凛は玄関へと向かい2人と何やら話しているようだ。
数分すると、再び居間へと戻ってきた。
その後ろには一人の青年と女性がおり……
「初めまして。俺は衛宮士郎だ。
凜から話は聞いてるよ。これからよろしく頼むな」
「初めまして。私間桐桜と申します。
これからよろしくお願いしますね」
衛宮士郎と間桐桜がそこにはいた。
「まあ立ち話もなんだし、アーチャーの料理ももうほとんど完成しているから食べながらでも話しましょ」
その後は至って平和な時間だった。
士郎と桜を交え夕飯となり、今後についてや彼らについて話を聞き、良き時間となった。
―衛宮邸縁側―
夜も深まり満月が空に輝く頃
マスターである藤丸立夏が眠りに着いたのを確認し、アーチャーは縁側へと足を運び腰を掛け月を眺めていた。
ここはエミヤシロウという存在にとっては始まりとも言える場所だ。
あの時も空を眺め、切嗣と――
「ここにいたのか、アーチャー」
後ろから、衛宮士郎が声をかけてきた。
「何ようだ、衛宮士郎」
いつかと変わらぬ口調だが、その声に棘は無い。
答えを得た彼にはもう不要なものだ。
「いや、おまえと話がしたくてさ」
そういいつつ衛宮士郎はアーチャーの隣に腰をかけ、月を眺めつつ言葉を紡ぐ。
「アーチャー、お前は英霊へと至った
だが俺は英霊には至らなかった
それが良いことなのか悪いことなのか正直今でも分からない
……俺はあの聖杯戦争の後、世界を回った
そこには悲劇も喜劇も、希望も絶望も色々あった
多くの人を救ったとは思う
だけどそれは、俺の手の届く範囲での話だ
きっとおまえみたいな”正義の味方”ではないんだろうな」
「俺の隣にはいつも凛と桜がいた
歩みを進める先には眩しい星(セイバー)の輝きがあった
だからこそ俺は、お前とは違う一つの形に至った」
「この世界に未練はないと言えばうそになる
藤姉にはきっと泣かれるだろうな……
だけど一つ確かめたい事がある」
「俺はこの世界で歩みを進めて来た
そんな俺が今どこにいるのかを知りたい」
「アーチャー
――いや、エミヤシロウ
全ての準備が整った後で良い
俺と刃を交えてくれないか」
「――良いだろう、衛宮士郎。
今後マスターと共に世界を駆けるであろうお前の実力、試させてもらおう」
「手加減は無しだぞ、俺(エミヤ)」
「もちろんだとも、全力でいかせてもらうぞ、オレ(衛宮士郎)」
―衛宮低のある部屋―
そんな男と男のやり取りが交わされる中、ある部屋では女子会が開かれていた……
「……って事はなに? カルデアには私の体を依り代にしたイシュタル神と、桜を依り代としたパールヴァティ―、ジャガーマンと化した藤村先生にオルタ化したあいつや士郎のお父さん、更には大量のセイバーに別世界のイリヤスフィールまでいるって事……あぁ、頭痛くなってきたわ……」
「いいじゃないですか、楽しそうで。それにお料理が得意な英霊もいるんですよね? 今から楽しみですよ、わたし」
「ええ、雪山の上に建つカルデアでは娯楽が少なく食事とは皆のモチベーションを保つ重要な役割を果たしています。サクラ、今からあなたが彼やタマモと共にキッチンへ立つのが待ち遠しい。もし彼らが円卓に居たならば、我々は後1年は戦えた……」
「まあそれも良いけど、私たちはマスターとしてなるべく行くのよ。そこら辺もちゃんと忘れないようにね」
「分かってますよ、姉さん。 ……でも、私たちは英霊の方々に受け入れてもらえるのでしょうか……」
「……絶対にとは保証できません。ですが、あなた達なら大丈夫でしょう。リンとサクラは魔術師でありながら、魔術師らしくない。決して貶している訳ではありません。カルデアにいつ人たちが求める人間とはあなた方のような人であると、私は思います」
「そうかしらね……ま、無理だろうが何だろうがもう決めた事。最初に受け入れられなかったら、後から仲良くなるでも戦うでもして受け入れてもらえるように努力するだけよ」
………………
…………
……
第4節「収斂の極地」
翌日
―アインツベルンの森―
森の中にある開けた場所に人影があった
「さて、約束通り戦いを申し込むぞアーチャー」
「ああ分かっているさ。私にとってもいつしかと違って恨みも殺意もない純粋な自分自身との戦いだ。正々堂々受けてたとう」
向かい合うは2人の男。
衛宮士郎とエミヤ――
同じ名を持ちながら、全く別の人生を歩んだ2人の戦いが始まろうとしていた。
近くで2人の戦いを見て巻き込まれないのか、思いもしたがどうやら桜の魔術……つまりは虚数魔術によりもしこちらに剣や弓が飛んできても飲み込むので大丈夫らしい。
そんな中、ふと衛宮士郎が凛へと赤い布を渡す。
「凛、これは預かっていてくれ。あいつとの戦いには使いたくない」
それを見て、立香は首をかしげる
「それは何ですか……?」
「これはマグダラの聖骸布って言ってな、男性に対して大きな拘束力を持つ布なんだ。あいつに対して効果が高いのは分かってるが、これを使って勝てても実力とは言えないからな」
まあ普段は惜しみなく使うが、と付け足しながら衛宮士郎は答える。
「良い心がけだ、衛宮士郎。だがこちらも手加減はしないぞ」
「ああ
――――それじゃあ、始めようか」
瞬間、空気を裂く音が響く。
エミヤは弓を射り、士郎は手にした干将莫邪で弓を落とす。
次の瞬間にはエミヤは投影した剣をかの英雄王のごとく放つ。
だが相手も衛宮だ。全く同じ剣を投影し放ち相殺される。
戦いは正しく一進一退
同じ存在であるからこそ、相手が何をしようとしているのか、一挙手一投足がお互い分かり、拮抗しあう。
本来ならば英霊であるエミヤに選曲は傾くだろう。
しかし今回に至ってはそうならない。
何故ならばこの衛宮士郎は魔術師として完成された存在だ。
魔力も、練度も、何もかもが昔とは違う。
何手交えた時だっただろうか。
エミヤの動きが急に止まる。
お互い傷を負いながらも、決め手には至っていない。
「衛宮士郎、お前はまだ本気を出していないだろう」
「それはこっちのセリフだエミヤ」
「――固有結界
おまえが衛宮士郎であり、そしてあらゆる衛宮士郎の中でも完成された存在だというのならお前も至ったはずだ
凛や桜と共にありながら、それでも至ったであろうその世界を見せてみろ!」
「ならば遠慮なくいかせてもらうぞ!」
体は剣で出来ている
I am the bone of my sword.
血潮は鉄で心は硝子
Steel is my body,and fire is my blood.
幾たびの戦場を越えて不敗
I have created over a thousand blades.
ただ一度の敗走もなく、
Unaware of loss.
ただ一度の勝利もなし
Nor aware of gain.
担い手は星を背に
Aim for the glow of stars
剣の丘で花と生きる
Together with the sparkling flowers
故にその生涯を誇りに思い
Ask for one polar
その体は
My whole life is
無限の剣で出来ていた
"unlimited blade works“
――その景色は、とても美しいものだった
そこに広がるのは荒野と歯車の浮かぶ空でも、広がる荒野と夕焼けに染まる空でも、絶え間なく雪の吹雪く闇の雪原でも無かった
雲が絶え間なく流れる青空と、広がる丘。丘には無限の剣と共に、青、赤、桜、白色の花が咲き誇り、地平線には大きな月が輝く
これこそが、衛宮士郎の心象風景だった
言葉はいらなかった
再び戦いが始まる
エミヤは再び古今東西の剣を士郎に向けて掃射する。
土煙が舞い、士郎の姿が見えなくなるが……
瞬間、エミヤの頬に一筋のキズが出来た
「っふ、銃撃とは、ここからがお前の本領発揮という事か!」
土煙が晴れるとそこには、銃を構えた士郎の姿があった。
構えるは投影されたコンテンダー。かつて彼の憧れた正義の味方が使っていた銃だ。
「あれは……」
立香はカルデアに居る同じエミヤの名を持つアサシンと、エミヤ・オルタを思い出しながら呟く
「起源弾。今士郎が撃ったのは唯の銃弾だけど、本来は彼の養父が残した銃弾か、士郎自身の骨の一部を使った弾を用いるわ。士郎の起源は剣。そんな特殊な起源を持つ彼の銃弾は、被弾すれば体の内部から剣が突き刺さるという効果は絶大な代物よ」
もっとも、同存在であるアーチャーには効果が無いのだろうけど、と凛は付け足し説明した。
そして再び彼らは何手か打ち合った後、エミヤはとある剣を投影する
「このままでは埒が明かないな
――許せセイバー」
その手に握られるは黄金の聖剣
彼にとって星である女の持つ剣――
本物には至らない。だが、その輝きは――
「――そうか、なら俺も応えるべきだな」
その人生で彼は多くの剣を見た
宝物庫から放たれる原典である剣を見た
守護者となった自身の投影された剣を見た
ラスト・ファンタズム。星の様に輝く剣士の持つ剣を見た
王を選定する黄金の剣を見た
幾度となく投影をし、無限とも思える剣を使って来た
数多の剣を持ちてなお、彼は求めた
一振りの剣を
彼は鉄を打った、鉄を打ち続けた
宝石の如く輝く女と、桜の様に儚くも力強い女と共に歩みながら、既に亡き雪の似合う少女も思いながら、
地獄に落ちても忘れない運命の夜を胸に秘め
そして彼は生涯で唯一、オリジナルの刀を作り上げた
その刀の銘は――
「『無銘』
この世のどこにも残らない、幻とも呼べる剣――
故に刀に銘はいらず、名は無い」
この刀こそが、衛宮士郎の至った極地を象徴する剣である――
「―――この光は永久に届かぬ王の剣
永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)―――」
「―――収斂こそ理想の証
我が身は剣と共にありて、限界を超える―――」
無銘――名もなき刀は迫りくる黄金の輝きを受け止め続ける
「「うおおおォォォォ!!!」」
男と男の想いがぶつかり合い――
そして
そして
そして
光が晴れた
そこに立つ2人の男の手には剣が握られ――
エミヤの握る、とある王へ届かんとする剣が崩れ消えた
「オレの剣は想いこそあれど、所詮は贋作
――己の限界を超え、唯一つの本物を持つお前の勝ちだ、衛宮士郎」
………………
…………
……
第5節「別れの刻」
あいつとの戦いの後、俺たちはこの世界を去る準備を整えた
準備は2日程度で終わり、いよいよ明日の朝日が昇る前にはこの世界から並行世界にあるカルデアへと世界を超える。
今日はこの世界に居れる最後の一日。
故に俺はといえば最後の、この世界に居る人たちへの挨拶に回る事を決めていた
「これはこれは衛宮ではないか……半年ぶりだが、達者にしていたか?」
「ああ、もちろん。一成はどうだ?」
「こちらも無病息災、元気にやっとるよ」
「そうか、それは良かった」
「ところで衛宮、今回もすぐに出るのか?」
「そうだな、明日には出発する予定だ……それに、次は長くなると思う」
「ふむ、それは残念だ……まあ衛宮の事だ、心配はいらんだろう。達者でな」
「ああ”またな”一成。そっちこそ元気でやれよ」
「で、何しに来たわけ?」
「お前も知ってるだろ、俺たちが
「知ってるよ。桜と遠坂と一緒に並行世界へって話だろ。僕はもう魔術とは縁を切った唯の一般人だ。魔術師でもなければ、後継者でも間桐の当主でもない、唯のサラリーマンなんだよ。別世界でもどこでも好きに行ってくれ」
「慎二おまえなあ……」
「桜から聞いたが並行世界の人類の危機とか本当にバカだなあ、衛宮は。いつまで正義の味方続ける訳?」
「それは勿論、死ぬまでだろうな」
「……あ~あ馬鹿馬鹿しい」
「でもな慎二、俺は確かに多くの人を救いたい。だけど、自分の大切な物は守りとおすつもりだ」
「……やっぱ馬鹿だな衛宮は。それで藤村とか冬木に残した人を悲しませてどうすんのさ」
「それは……」
「ま、いいよ。誰が悲しもうが僕には関係ないことさ。
さ、僕も忙しいんでね。ここらへんで失礼させてもらうよ」
「……ああ、じゃあな慎二」
「はっ、精々並行世界でも死なないように頑張れよ、衛宮
――それと桜の事、頼んだぞ」
「素直じゃないな、おまえも――」
「……爺さん、イリヤ、俺がここに来れるのも今回が最後になりそうだ」
「まだこっちの世界に未練が無いと言ったら嘘になるけどさ、誰かが困ってたら放っとけない性分だからさ……」
「並行世界に行っても、爺さんの夢を叶えられるように頑張るし、イリヤの事だって絶対に忘れない」
「だからさ、見守っててくれよ、爺さん、イリヤ――」
「これはこれは、まだ何か用がありましたか? 衛宮士郎」
「ああ、もう今夜には去るし一言挨拶をな……と思って」
「私はあなたに告げる言葉なんかありませんが」
「そうかい」
「ええ」
「…………」
「…………」
「……それじゃあ冬木の事は頼んだぞ」
「ええ、私もこんな体質ですしいつまでここにいるかも分かりませんが、手続きや管理はしっかりとしますのでご心配なく」
「――それと、もしあちらに人間が大好きで大嫌いな刺繍男がいたら、よろしく伝えておいてください
――憧れた事は出来ましたか、と」
「ん~やっぱ士郎のご飯は美味しいわね~!
また腕あげたかしら?」
「ああ、海外とかじゃ色々な人に出会って、いろいろな料理を学べたからな」
「そうか~……」
「そういえば桜ちゃんや遠坂さんは?」
「2人とは今日は会ってないよ」
「そっか~士郎と2人での食事なんていつ以来ぶりかしらねぇ……」
「……藤ねえ、今日の料理は腕によりをかけて作ったからいっぱい食べてくれよ」
「言われなくてもそうさせて頂くわ!」
「士郎はさぁ~もう明日には出ちゃうんでしょう?」
「ああ、そのつもりだ」
「そっか~……夢、叶えられそう?」
「……まだ途中といった所かな」
「そうよねぇ……お姉ちゃんはいつまでも応援してるから、頑張るのよ士郎」
「ありがとうな、藤ねえ」
「うんうん、素直でよろしい!
それじゃあ、そろそろお暇させて頂くわ」
「藤ねえ、体には気を付けるんだぞー。もういい歳してるんだからさ」
「士郎こそ、色々頑張るのは良いけど、無理しがちなところあるんだからちゃんと自分の事を考えなさいよ!」
「分かってるよ藤ねえ。
――いつも心配してくれて、応援してくれてありがとうな」
「――当たり前でしょう。私は士郎のお姉ちゃんであり教師なんだから。
士郎がどこにいても応援してるわよ」
「――”またな”藤ねえ」
「士郎こそ”またね!”」
最終節「Fate/Grand Order-Another New World-」
カルデアに3人の人間が訪れはや1週間
最初こそ色々あったが、今となってはカルデアに馴染みつつあった
―ある者は闘い
「ほう、現代の人間としてはやるようではないか。だがまだまだだな」
「はぁ、はぁ……ランサー、夕飯増やしてやるから助けてくれ」
「師匠がああなっちゃ俺は止められないな。ま、人生諦めも肝心ってわけだ坊主」
「馬鹿弟子、貴様も最近腑抜けておるからな、まとめて掛かってこい」
「ランサー……ご愁傷さまだ」
「いやオレまだ死んでないですからね!?」
―ある者は共に料理をし
「うむ、聖域の戦力が天元突破なのだな」
「いえいえ、私もまだアーチャーさんには及びませんので」
「桜君、もう君は洋食に至っては私と同じ域に達しているだろう。そう謙虚になるでない」
「そ、そうでしょうか……」
「ああ勿論だとも。桜君、カルデアには騎士王が数多とその他ケルトの連中やら、世界各地の英霊が多くいる。故に料理の幅も広がるのでな、期待してぞ」
「はい! ところでアーチャーさん? 先ほどから様子をうかがってる私と同じ顔をした神々しい方や、胸が凄い方、それと脚の凄い方になんか悪だくみしてそうな方々は一体……」
「おっと気づかれてしまいましたか! いや~、違うとはいえ私のオリジナルとなった人間がどんな方かと見に来てみれば、先客がいらっしゃいましたので」
「あの、私は今日も料理のお勉強で見学をしに……」
「私はいつも通り手伝いにきただけですよ」
「わ、私はちょっと立ち寄っただけよ!」
「……アーチャーさん、これは?」
「いや桜君、これはだね、セイバーが何人もいるのと同じような事情がだね」
「後でお話し、お願いしますね?」
「聖域かと思ったらいつの間にか時空を超えた月をも巻き込む昼ドラの現場と化していたのであるな。キャットは巻き込まれたくない故に本能に従い避難するのだワン!」
―ある者は教鞭を振るい
「つまり、宝石魔術とはその溜めた魔力量によっては魔法に等しい力を発揮する事もあるの。また他者に飲ませたりする事で一時期的とはいえ魔力の増大やパスの接続など使い道は様々でね――」
「――と、今日はこんな所かしらね。
こんな感じで良いのかしら? ロード・エルメロイⅡ世」
「ああ良いだろう。出来れば得意分野をを中心とし全般的に教えてやって欲しい」
「あら、それならロードの方が得意でなくて?」
「それは基礎であればな。宝石魔術や第2魔法などは専門外だ。それに私は生憎ながら教えは出来ても実践は出来んのでな」
「あら? それならここには私よりよっぽどすごい魔術師の英霊がいると思うのだけど」
「……キャスタークー・フーリンのルーン魔術、メディアの失われた時代の大魔術、玉藻の前の呪術……教える側にどうにも偏りがあってな。おかげで緊急回避やらガンドやらは得意だが。今後彼に必要となるのは現代で生きるための魔術だ。だからこそエレナ女氏などの現代魔術に精通した者たちが必要でな」
「なるほどね、それで私が」
「そうだ。衛宮士郎に至ってはあまりにも特異すぎるが、君や間桐の娘ならこなせるだろう。間桐桜という女もかなり異質ではあるがね……」
―ある時は共に戦い
「モードレッドは前方のゴーレムを蹴散らしてくれ!
刑部姫、前方の様子は?」
「はいは~い、空から見る限りじゃ前のゴーレムだけかなー。
衛宮さんたちはそのまま前身でだいじょぶそうだよー」
「そうかい、なら遠慮なくぶっ飛びな! ゴーレムなんてルーマニアで見飽きてるんだよ!」
「まったくキメラなんて品が無いわね。二人とも、遠慮なく片付けちゃって良いわよ。支援はまかせなさい」
「了解した。聖槍、抜錨」
「Arrrthurrrrrr!!」
「まったく、ワイバーンなんて羽虫みたいに五月蠅いですね。アストルフォさん、空からの敵襲はまかせます。百貌のハサン達はそのまま各所の偵察にあたってて」
「御意」
「了解マスター! でもマスターは一人で大丈夫なの?」
「ええ、こんな竜牙兵ごとき、影を振るう事も無く髪を用いた使い魔でどうにかなりますから」
『司令官代理。これは彼らを招き入れて正解でしたね』
『そうだね、今までは立香くん一人だったが故にどうしても作戦に限りがあったが4人に増えた事で四方から攻める事やまた遊撃隊と支援隊に分かれるなど作戦の幅が広がったのは大きい』
『それにしても凛さんたちは凄いです。人間でありながらサーヴァントに引けを取らない戦いをしています。私も万全であれば先輩をお守りしながら戦えたのですが……』
『マシュ、今の君は仕方ない。
それに我々には彼らからの情報を纏め状況を見極め指示や各々に伝達をし纏めるという大きな仕事がある。今はそれを全力でこなそうではないか』
『はい、そうですね!
……先輩達はそのまま進んで大丈夫です。敵の本拠地が近いので桜さんと士郎さんは一度合流を。その後3方から同時に攻めいる作戦を展開したいと思います。
なので凛さん達は――』
―ある時は語り合い
「……あなた方は、この世界で共に戦って下さるという選択をして良かったのですか?
元の世界から離れるという選択を私はしたことが無いので分かりませんが、悩まなかった訳は無いと思うのですが……」
「そうだな……確かにどうするかは迷った。けれども世界が大変で誰かが困ってると知ったらほっとけなくてな」
「私はそんな先輩がほっとけなかったから着いて来ちゃいました。もう決して離れないって決めたんですから」
「私もよ。まあそれ以外にもこちらに現れた人類悪……Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ/Rは討伐されたようだけどまだ残りがいる。そしてそれが別の世界に現れないという訳でも無さそうなのよね。それと歴史の相違も気になる点があるし――」
「俺としては3人とも自分なんかよりよっぽど頼りになりますし、助かってますけどね」
「そうか? 立香はサーヴァントへの指示とかが的確で俺も学ぶことが多いぞ」
「そうですか? そう言って下さると…嬉しいです」
「自信を持ってれば大丈夫ですよ。もう一人の戦いじゃないんですから」
「そうですね……あ、そういえばそろそろ夕飯の時間だ」
「今日の料理当番はパールヴァティ―とアーチャーだったかしら」
「となるとインド料理か……まだまだ奥深くまでは知らない分野だな……」
「ふふっ…今後に期待してますよ、士郎さん」
「そういう桜こそ、ブーディカに――」
新たに仲間を加えたカルデアは、今日も賑やかに日常を送る――
――そう、これにて男独りでの戦いは終わった
3人の新たなる人間を加えた物語の幕が開く
7つの特異点と終局の地を巡る戦いは見事に成し遂げられた
魔神柱を巡る新宿、アガルタ、SE.RA.PH、そしてセイレムでの戦いは終わりを迎えようとしている
では次にきたる物語は何か
亜種並行世界にてその偏角を見せた■■■■■■■■■■
ゲーティアが顕現したが故に連鎖的にビーストが顕現する宿命を負った世界
とある王の追うビーストⅢ/L
不穏な気配を見せる■■・■■■■■■■とビーストⅥ
この世のどこかに顕現したビーストⅦ
断章を経て未来へと続く物語
だが、忘れてはいけない
――過去の物語に、一つだけ辻褄の合わない地がある事を
未来を見たが故に残された、過去の致命的な見落とし
終局を迎えてもなお顕れなかった英霊達
そう、かの地は今もなお運命の刻を刻み続ける――
特異点X
AD.2004 ■■■■■■冬木
始まりの地にして終わりの地
全ての謎は、原初の地にて時を刻む
―人理の防人―
―古代の大気魔力―
―特異点F―
―聖杯―
―カルデアスの灯―
―剪定事象/編纂事象―
―光帯無き特異点―
そう、全ての謎は解決される為にある――
各種設定
並行世界の第5次聖杯戦争
Fate,UBW,HFと3つのルートを全て混ぜ込んだ挙句、HAも経験したかのような結末を迎えた聖杯戦争。
中身は自分でも想像しきれていないので省略ですが、結果として士郎、凛、桜はそれぞれが魔術師として完成される道を辿ります。それについては本編で書いた通り。
イリヤについてはどうするかをかなり悩んだけど、扱い切れなそうなので……
この世界では、聖杯戦争後大河や士郎、桜に見守られる中静かに息を引き取ったってイメージしてます。
セイバーについてはFateルートのような結末を迎えた後に消滅しています。
桜が髪を用いた魔術を使っているのはイリヤから受け継いだって感じですね。
後マグダラの聖骸布はもちろんの事カレンより貰っています。
凛は宝石魔術だけでなく、ルヴィアの使う宝石を媒体とした特殊なルーン魔術も使える
つまり
桜はイリヤスフィールから
凛はルヴィアから
士郎はカレンから
なんらかの魔術や礼装を受け継いでいる。
というのを1回くらいやってみたかった。だって敵とか仲間の技や切り札を主人公やヒロインが使うってなんか燃えるじゃん。とかいう妄想の産物。
でも一体どんなルートを辿ればこんな事になるのかは不明。
2014年にした理由は2004年の聖杯戦争から10年後というのもあるのですが、2017年にしちゃうと士郎と凛が30歳になってしまうのだ。
衛宮士郎(30)
遠坂凛(30)
間桐桜(29)
よりかは
衛宮士郎(27)
遠坂凛(27)
間桐桜(26)
の方が字面が良いし。
士郎がセイバーをアルトリアと呼んだり凛と呼んだりしているのはまあ幾年かの時間が経っているのと関係性が変化していたという事で。
つまり士郎は3人と関係を持っている……爆発しろ。でも凛に桜も最終的には子を作り継承していかなきゃいけないんだから良いと思うの。