Fate/Imaginary Fragment 作:パックスX
個人的には早く結物語を見たいですね(ひたぎ好き)
※執筆開始から完結までに結構期間が空いてしまった作品ですので若干矛盾している箇所もあると思います。
ちなみに章タイトルのGhostoryは化物語の英語版タイトルより
空の境界×化物語 the Garden of oddities
空物語 こよみキル<前>
其ノ壱
死とは別に人や動物の死だけの事を指す言葉ではない。
僕も一度死んだ経験はあるが、それはまた別の物語だ。今は死について話そう。
一般的には人間や動物の活動停止を指す言葉として多く使われるが、ほかにも多くの「死」が存在する。例えば犯罪を犯し捕まった人間は社会的な死とも言うし、自然の樹木などが枯れれば死んだという事もある。死とは別に命がある者だけに、物だけに使われる言葉ではないのだ。
ではなぜいきなりこのような話題を出したかと言えば、僕こと阿良々木暦は再び死と出会った。
大学生活にも慣れてきた大学一年生の春休みの事である。
其ノ弐
吸血鬼との出会いからいつの間にか二年も経過していた大学一年の春休みのある日。
僕はいつもと変わらない生活を送っていた。朝から彼女であるひたぎと共に過ごし、一緒に昼飯を食べ、ひたぎは午後は久しぶりに時間に余裕がある父親と過ごすらしく帰宅し、午後は暇となってしまった。
僕は大学でも友達がいない。その為誰かと遊ぶという選択肢など最初から無く、特に考えることもなく散歩へと出かけた。
まもなく二十歳を迎えようとする男が一人で散歩。なんとも健康で健全なシチュレーションだ。
散歩を初めて十分程が経ち、ふと何の気もなしに薄暗い裏路地へと入った。
別に怪談話で有名な場所でもなければ、不良がうろついているような所でも無いごく普通のありふれた裏路地。
だが今日に限りその裏路地は異質な存在があった。
和服の妙齢の女
とても裏路地には似合わない存在が、そこに在った。
まるで僕がここに来るのを分かっていたかのように、全てを見透かしたかのような目でこちらを見つめている。
僕は震えた。
その女性の美しさよりも先に恐怖を感じた。
全てを見透かしているかのようなその『瞳』に、恐怖感を抱いた。
其ノ参
「お前が阿良々木暦か?」
その女性はとてもその恰好からは想像出来ない男口調で僕の名前を口にした。
女性の姿を改めて見る。身長は僕と同じくらいか。紙は長く服装は和服。そして圧倒的な存在感。様子を見るに怪異でも無さそうだというのに圧倒されてしまいそうになる。何故だが体が恐怖を感じている。まるで、何か下手な事を起こしたら、この場で殺されてしまいそうな、そんな感覚が。
「……そう、ですが」
やっとの思いで言葉を口に出す。
「そうか。突然だが明日の予定は?」
「え? 彼女とデートの予定がありますけど…」
何故僕は初対面の女性に明日の予定など聞かれているのか。丁寧な言葉遣いになりつつ会話を続ける。
「なら悪いがそいつはキャンセルだな。明日はこっちに付き合ってもらうぞ」
「いや、いきなりそんな事を言われましても…そもそも何に付き合えば良いのですか?」
「まだ何も聞いて無かったのか? なら悪いが説明は後の奴から受けてくれ」
後ろ?
言葉につられ後ろを向くと。
「随分と久しぶりけど何かいいことでもあったのかい? 阿良々木くん」
1年前と全く変わらないアロハ姿の中年……忍野メメがそこにいた。
其ノ肆
「忍野!? なんでここに居るんだよ!?」
「なんでとは酷いな阿良々木くん。ちょっとした用事…というより置き土産を片付けに来たといった感じかな」
「置き土産? その置き土産とやらとあの女性が関係あるのか?」
脇目に和服の女性を見つつ問う。
「大ありだ。というかむしろ、今回の件は彼女が居なければ話が進まない位だ」
話がいまいち読めない。
そもそも今までずっと行方を晦ましていた忍野が何故突然この街に戻ってきたのか。
「説明は任せるから一度俺は帰るぞ」
「任されたよ両儀さん。明日までにこっちの調整はしっかりしておくとするよ」
あの女性は両儀さんというらしい。
恐らく名字であろうが、残念ながら僕は両儀という名字に関する情報を一切持ち合わせていない。
「それとお前の影の中にいるやつ、いきなり攻撃とかしてくんなよ。下手に何かされると存在も、そいつとの繋がりも切りかねないからな」
どういう事だ。
彼女は忍の存在を知っているらしい。
いや、それだけなら良い。忍野から聞いた可能性はある。だが彼女は繋がりもといった。つまり、僕と忍とのペアリングの事だろう。それを切りかねないとはどういう事だ。
そもそも仮に忍の存在を、正体を知っているのなら、それでも勝てるという自信があるのか。
(忍、おまえあの両儀さんとやらと知り合いなのか?)
時間的に起きているかは怪しいが、一応問いかける。
(ムニャムニャ…あのような人間は知らんわい。だが、両儀という名だけなら聞いたことはある。まぁそこにあのアロハの小僧がおるならそっちに聞くと良い。儂は眠いからまだ寝る…)
(いやいやなんか凄い重要そうな事だからできれば教えて欲しいんだが)
(儂は眠いのじゃ…それもこれもお前様があのツンデレ娘と朝から盛っとるのがいけないのじゃよ…)
(済みません僕のせいでした!)
空の境界 終幕破音 story in mystic
式と幹也。夫婦となり、娘も誕生しはや10年。
その日は平日ではあったが式と幹也の暇が重なり、娘の未那を学校に見送ってからはあまり多くはない二人きりの時間を両儀の屋敷で楽しんでいた。
しかしその平穏は突然の来客によりすぐに崩れ去る。
式の作った美味しい昼食を食べ終えて2人が一服していた時の事だった。
部屋に屋敷の者が来て、来客があるという事を伝えて来たのであった。
「今日は来客とかは無い予定だったはずだが、緊急か?」
「いえ、用件はまだ聞いておりません、ただ…」
「ただ、なんですか?」
「蒼崎が来た。そう伝えれば伝わるとだけ一言」
門の前で待っていると伝えられ、式と幹也は門へと向かう。
門で待っていた人物はやはり予想通りの人物だった。おおよそ10年ぶりの再会であるが、彼女の姿は全くと言って良い程変化は無かった。
「お久しぶりです橙子さん。お元気そうでなによりで」
式は黙って彼女の事を見ている。その顔は折角の休日に厄介な事を持ってきそうな人物が現れた事への不満を表しているようだ。
「お久しぶりだな式、黒桐…いや、今はどっちも両儀の名か」
「そうですけど、呼びやすいように黒桐で大丈夫ですよ」
「そうかい。じゃあ昔と変わらない呼び方でいこう」
久しぶりだというのに昔と変わらないやり取りをしていると、式が後ろからやっと出てくる。
「それで橙子、一体10年ぶりになんの用なんだ? わざわざ世間話を…っていう訳でも無いだろ」
「そりゃそうさ。私がこの街に戻ってきたのも式、君に仕事の依頼があってね」
「仕事だ?」
「ああそうさ仕事だ。一つ壊して…いや、殺して欲しい物があってね」
ともかく門ではなんですしと言って、屋敷の内の応接間に移動する。
勿論、屋敷の者には一切関わらないように言ってからだ。
ふと懐かしくなり、黒桐がコーヒーを淹れ、一服してから話は始まる。
「まず質問だ。お前たちは怪異を信じるか?」
「怪異というと、幽霊とか妖怪とか、そういうのですか?」
「それなら巫条ビルでの一件もあるし、いるんじゃないのか」
「そうだな…怪異というのは幽霊や妖怪とは少し違ってな、どちらかと言えば都市伝説や信仰などの存在に近い。まぁ今回はそういう話だ」
「また幽霊退治でもしろってか?」
「いやそういう訳では無い。式、君の直死の魔眼で殺して欲しいのは場所だ」
「場所……?」
「そうだ、正確にはかつて学習塾だった場所…だな」
学習塾。その名からイメージするのはそのまま学生が通う塾だろう。
だがどうしてそのような場所と式の魔眼が関係するのか。
「そうだな、それも含めて詳しく説明しよう」
「まず怪異というのは少々特殊な存在でな。それこそ中には吸血鬼や悪魔なんて物騒なもんもいるが、魔術とは一切関係ない。というよりも魔術の世界とは一線を引いてお互いが不干渉状態になっている。なにしろ怪異自体は魔術師にとって有益な存在という訳でも無いし、そもそもの『在り方』や『仕組』というのが根本的に違うからな。干渉せず、それで極一部では情報を共有しつつ今に至る。だが今回の件は少々特殊でな。私も旧知の知り合いからの頼み事という事でそいつの情報頼りになるが、その学習塾の跡と地脈が重なっていた。そこまでならよくある話だ。なにしろ魔術にも関わる地脈なんて世界中多々存在するし建物の下にある事なんていくらでもある。だが問題はその上で起こった事だ。その学習塾跡には吸血鬼を初めとし、蟹や虎、猫など多くの怪異が短い期間で多く現れ、多くの出来事があった。それによって良くない吹き溜まりのような物が出来てしまったらしい。放っておくと地脈と吹き溜まりが干渉しあって何が起こるか分からないからな、その吹き溜まりを無くしてほしいというのが今回の依頼だ。このままではその場所が小さいとはいえ特異点的存在になり、魔術協会なども動く事態になりかねん」
長い説明を終え、一息つく。
「つまりはその概念的存在を殺して、文字通りその学習塾跡とやらを無にすれば良い、そういう事か?」
「ま、要約すればそんな所さ。どうだい引き受けてくれるか?」
「そんな事言って、どうせ意地でも引き受けさせるつもりでしょうに」
「その通りだ黒桐。日程は1か月後の3月下旬で多少の調整は効くし、こちらかの報酬は交通費滞在費経費を除いて300万だ」
「実際の所はどうせまたなんか変な物でも貰って、それに釣られたんだろ?」
「まあそれもあるな。なにしろ怪異を専門とする連中と魔術の連中は極一部しか接点がなくてね。仮に旧知の知り合いでも中々話は聞けない。だが今回の件で私は報酬に多くの怪異談を知れる。中には怪異とは別な存在とはいえ関わり損ねた吸血鬼の物語もあるみたいだし、話を棒に振るなんてもっての他さ」
……彼女は10年経っても一切変わっていなかった。
「分かった、この話受けてやるよ」
「式、良いのかい?」
「ああ。なにしろここ数年は平穏な日々だったからな。そんな日々も悪くはないが偶には刺激も必要だ」
「式、君も母親なんだから…」
「その一般論も随分と久しぶりだな。まあそうだな、幹也、おまえがその土地とかを調べて危険だと判断したなら引こう。それ良いか橙子?」
「…分かったそれでいこう。だが返事は1週間以内に頼むぞ。先方への連絡もあるからな」
「それくらいあれば幹也なら余裕だよな?」
「……分かったよ、式。とりあえず橙子さん、その学習塾跡の場所の情報や関係者の簡単な情報だけでも貰えますか―――」
三日後
かつて伽藍の堂があり、今は瓶倉光溜という人物が興信所として利用している事務所に集まっていた。瓶倉本人は現在絶賛(強制)外出中であるのは当たり前だ。
「なんだかここにこの3人で揃うと懐かしい感じがしますね」
「ああそうだな。まあ思い出話は置いておいて黒桐、調査結果はどうだった」
「前に調べた浅神家なんかよりはよっぽど楽でしたよ。学習塾跡はかつて叡考塾と言われる塾で、内容自体はごく普通の小学生から高校生を対象とした塾だったようです。特にトラブル等も無かったみたいですが、この塾の親会社が経営破綻した事により叡考塾も潰れ学習塾跡となったようです。その後暫くは解体されることもなく放置されていましたが、地元住民によると数人の人間が出入りしていた時期もあったみたいです。その後8月に原因不明の火災により崩れ去り、本当の意味で学習塾跡へとなった…これが今回の現場ですね」
黒桐は一度区切りコーヒーを飲む。
式は簡単な和装で昔のように柱に寄りかかって話を聞いている。
「それで肝心の関係者ですが、橙子さんの言っていた阿良々木家はおおよそ調べられました。後は関係する人物について少々」
「まず阿良々木家自体は極普通の家でした。家系から怪しい所も無く、犯罪者や魔術師と思われるような人物もいません。そして現在の阿良々木家は両親と兄妹3人が暮らしています。兄が今回の当事者である暦、妹2人が火憐と月火。両親は警察官をしており、妹2人は『栂の木二中のファイヤーシスターズ』という地元で人助けなどをする活動をしていて有名、一方兄暦ですが高校では『不動の寡黙』とも呼ばれ、友達もほとんどおらず数学以外の成績は低く進学校の中でも落ちこぼれ的存在みたいです―――――」
とたっぷり1時間ほどで阿良々木暦と周辺人物、そして街の調査結果を報告し終えた。
「たった3日でよくそこまで調べたな。相変わらずのことながら感心するよ」
「いえいえ、今回はどうにも詳細不明なところが多くて申し訳ないです。それこそ戦場ヶ原ひたぎの病気の原因や、学習塾跡の火災の原因など……」
「まあ黒桐でも調べられないのは無理はない。それこそが今回関わる…怪異と呼ばれる存在だからだろう。普通の人間なら調査できなくて無理もない。むしろ出来ていたら私はお前の存在を疑わなければならんかもな」
「それで幹也、結論としてはどうなんだ? 大丈夫なのか、危険なのか」
「うん…まあ大丈夫だと思うよ。少なくとも専門家とかの同行があれば、の話だけど」
「それなら安心しろ。少々胡散臭い奴だがその街をよく知る男がいる。そいつと一緒の仕事になるだろうからな。それに式には魔眼がある。大体の事象には対処できるはずさ」
そして彼らは一つの物語と関わる事となる。
とある物語の終わりへと。破音の鳴り響く終幕へと。
クロスオーバー物ではFGO×ガルパン、FGO×シュタゲが構想にあったりします。
シュタゲはあまりにも独自設定が多すぎてシュタゲSSを先に書かねばならなそうだけど…
シュタゲ0もアニメが来年から始まるし書けたらなーと。