Live版 WORKING!!   作:みずしろオルカ

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初めましての方は初めまして、以前からご愛読くださいっている方はお久しぶりです。

みずしろオルカです。

リアルが呪いの一年となっておりましたので、投稿どころか肉体的精神的にボロボロでした。

ゆっくりと更新して行きたいと思いますので、楽しんでいただけたら幸いです。



第1話 アルバイト

 北海道にあるチェーン店、ワグナリア。

 

 東京にも数店舗が進出しているこの店、話では北海道の店舗では個性溢れる面々が働いているらしいが、うちのメンバーも負けてはいないと思う。

 

 高校生が働ける時間帯をメインで勤務する六人。

 濃いメンバーが揃っている。

 

 自己紹介をしよう。

 俺は、キッチン担当の松岡智成(まつおかともなり)。

 バイトなのに料理長代理とかいう役職を貰ってる。

 

「店長、キッチンスタッフの増員って望めませんか?」

 

「増員ですか? 確かに夕方帯はキッチンスタッフは足りませんが……」

 

 店長である南さん。

 一応、ホールバイトである南ことりの叔母に当たる人らしい。

 

 バイトは足りないどころではない。

 夕方帯は夕食の時間だから結構な客が入る時があるが、俺やたまに来る昼帯のヘルプ、あとはホールから急遽入ってくれる矢澤しか居ないのだ。

 誰か一人でも休んだら大変なことになる。

 

「昼帯の人間が居るから多くなくてもいいかもしれないが、それでもあと一人は夕方帯のキッチンスタッフは欲しいです」

 

「料理長が入ってくれるなら問題もないのですが……」

 

「あの人は、完全にこの時間は俺に回してますから難しいと思います」

 

 料理長という役職、キッチンの責任者なのだが、その役職の人は基本的に夕方帯には帰ってしまう。

 俺にその役目を押し付けてだ!

 

 ええい、なぜに大学の遊興費稼ぎで始めたバイトでこんな重要ポジションをさせれているのだろうか。

 車の維持費も出さないとならんから、やめるわけにもいかんしな。

 

「せやったら、ウチに心当たりあるから任せてくれん?」

 

「東條……音ノ木坂は女子高だろ? そうそうバイトしてくれる人なんて居ないだろ」

 

「そうでもないよ。音ノ木坂って廃校避けるのに共学化って方法も考えててな、数人だけ男子生徒もおるんよ」

 

 それは初めて聞いた。

 まぁ、大学生の俺は高校の状況とかを調べることも無い。

 女子高なんて更に関わりが無い。

 俺の大学の専攻はビジネス系だし、どうあっても女子高と関わる事は無いだろう。

 

「それは初耳だな。店長が良いなら俺は構わんぞ。雇うのは店長だしな」

 

「いえ、料理長にもその権限はありますし、松岡さんもその権限はありますよ?」

 

「むしろなんで、そんな権限をバイトに与えてるんですかあの料理長!?」

 

 俺も知らない権限があったよ。

 なんなんだよあの料理長。

 

「店長と料理長代理が許可ならウチに任せてくれるんよね?」

 

「ええ、東條さんの紹介なら安心ですし、お任せしますよ」

 

「数人の男子がどんな人間かわからんしなぁ」

 

「あれ? 松岡さんもよく知ってる人やよ? ホールの佐藤君」

 

「身近に居たのな」

 

 佐藤優一、夕方帯の唯一の男性ホールスタッフだ。

 いろいろ苦労してそうで、そのうち胃薬でもおすすめしようかと考えている。

 

 新しいバイトの採用権か。

 俺としては夕方帯にキッチンスタッフが増えてくれるのはありがたいのだ。

 

「まぁ、東條のおすすめなら問題無いか……どんな奴だ?」

 

「いやぁ、カードのお勧めやから、わからない……かな?」

 

「知ってる人間じゃないのかよ!?」

 

 そうだった、比較まともな彼女だけど、スピリチュアルなものが好きだったんだ。

 どんな人間が来るのか……、まともな人だと良いな。

 

 

********************

 

 

 音ノ木坂の共学化の試験運用でオレが入学してから、一年と少し。

 正直な感想を言わせてもらえるのならば、居心地が悪い!

 

「中学のダチにはハーレムとか言われるけどなぁ。そんな良いもんじゃねぇって」

 

 1:9の男女比で過ごしてると、珍獣を見る目線で見られたり、着替えなんかも教室は女子が使うから少し離れた空き教室へ行くことになる。

 トイレだって男性職員用のを使ってるし、男同士でコミュニケーションを取ろうにも、クラスや学年がバラバラで中々コンタクトも取れない。

 

「正直、居づれぇ……」

 

 想像できるか?

 教室で携帯を弄っていると、生理用品が飛び交い、結構どぎつい下ネタが飛び出したりするのだ。

 

 男同士ならその下ネタに乗っかりもするが、女子相手に乗っかる勇気はない。

 人間出来ることと出来ない事があるのだ。

 

「なぁなぁ、君? アルバイトって興味ない?」

 

 授業も終わり、帰宅しようとしていたところで声をかけられた。

 振り返ると、そこには女神が居た。

 

「え、あ……え?」

 

 情けない!

 こんな美人に声を掛けられてドモッてしまうなんて!?

 

「ウチは東條希。ここの三年や。君は?」

 

「えっと、原田玲央、ここの二年です」

 

「玲央君やね? それで、どう? ファミレスのバイトに興味ない?」

 

 ファミレスのバイト。

 確か音ノ木坂からも何人かアルバイトを雇っているって話のファミレスがあったけど、そこだろうか?

 

「えっと、どんな仕事をするんっすか?」

 

「そやねぇ。基本的にキッチンで料理を作る仕事やな。私はホールで接客担当」

 

 このお誘いは正直嬉しい。

 だが、俺が部活に入らず、帰宅部に入っているのは放課後の自由な時間を得るため……。

 

「それじゃ、仕事場に案内するから付いて来てな?」

 

 俺の放課後はゲームとサバイバルゲームの為にあるのだ。

 秋葉原で良い銃を探し、装備を揃えて、フィールドで楽しむ。

 

「学校からも近いから、うちの高校の生徒も多いんよ」

 

 確かに銃を揃えるための資金は必要だが……。

 

「ほら、ここや! 今店長呼んでくるから、ここ座って待っててな?」

 

 そういえば、この前見たライフルはいいものだったな。

 しかし、如何せん高い。

 どこの世界でもそうだが、銃もピンキリだ。

 

「おまたせしました、私が店長の南です。助かりました、キッチンスタッフが不足してて困ってたんですよ」

 

 この前だって、オプション全乗せで六万はするヤツも出てきたのでこれはいいタイミングだと思う。

 

「いえ、自分もいいタイミングだと思いまして」

 

 本当にいいタイミングでの話だ。

 両親からの小遣いも無限じゃない。

 自身で働いて、欲しいモノを買うぐらいの甲斐性は必要じゃなかろうか?

 

「それでは三日後に来てください。詳細はこちらのプリントに書いてますので、次に来るときに細かい部分を説明いたしますね」

 

 これはありがたい話ではなかろうか?

 東條先輩に感謝しなければならない。

 もし働くとなれば、同僚になるのだし、お近づきにもなれるかも?

 

「ありがとうございます。それではよろしくお願いします」

 

 ん?

 いつの間にか、バイトの面接が終わって条件とか書いた紙を渡されている。

 あれ~?

 

「ほな、よろしくな玲央君!」

 

 東條先輩に握手で歓迎された。

 ……ま、いいか!

 とりあえず、親に説明しておかないといけない。

 

 

********************

 

 

「まっつん、新しいバイト決まったって」

 

 声をかけてきたのは夕方帯ホール唯一の男性、佐藤優一だ。

 年齢の差はあるが、仲は良い。

 まっつん、佐藤ちゃんの呼び名で呼び合っているし、たまにプライベートで飯食いに行ったり、遊びに行ったりしている。

 

「佐藤ちゃん、情報早いな」

 

 キッチンとホールを繋ぐ窓。

 ここから料理をホールに渡し、注文をこちらに伝える。

 その窓から顔を出して、会話をする。

 いつもの事だ。

 

「いや、休憩中の真横で面接してたからさ」

 

 それはどうなんだろうか?

 普通、面接とは余計な人間を置かないものでは?

 

「松岡さん、11番テーブルに野菜チーズドリアとナポリタンお願いします」

 

 佐藤ちゃんと話していると、南ことりが話しかけてきた。

 ドリアはすぐだが、ナポリタンは少々時間がかかる。

 

「あいよ。あと、13番テーブルのゴマプリン、そろそろ出せそうか?」

 

「いいえ、まだ食事されてましたから、もう少しかかると思います」

 

 パフェはホールスタッフが作るのだが、プリン等々はモノにもよるが、ウチはパレットで大量生産してスプーンで取り分けている。

 冷蔵庫があるのはキッチン側だからキッチンスタッフが用意する。

 

「なら南さんは8番テーブルのコーヒー確認してきて、オレが13番テーブルの状況見てまっつんに報告するから」

 

「分かりました。佐藤君よろしくお願いね!」

 

 そう言うと、パタパタとホールへ向かう南。

 その後ろ姿を眺める佐藤ちゃんと、佐藤をニヤニヤしながら眺める俺。

 

「……なんだよ?」

 

「いや、うまく隠してんなっと思ってね」

 

「隠したくて隠してるわけじゃないんだけどな!?」

 

 佐藤ちゃんが此処のバイトを始めた理由が彼女、南ことりから誘われたという部分が大きい。

 ホールのメンバーが今より少なかった時に、南が連れてきたのだ。

 そんな佐藤ちゃんだが、南ことりを好いているのだ。

 色々タイミングが悪く、南側に伝わっていないのがまた物悲しい。

 

「コントみたいなタイミングだしなぁ」

 

「うっせぇ、ロリコン」

 

「よし喧嘩だ表出ろ!」

 

 いきなりこちらを罵倒してくる。

 そりゃ、星空とか矢澤とかと仲がいいが、ロリコン呼ばわりは心外だ。

 つか、そんなに年齢離れてねえよ。

 

「悪い! 13番テーブルの状況見てくるよ~」

 

「くっそ、仕事熱心だなオイ」

 

 そう言いつつ、ドリアの用意を始め、耐熱の器に具を盛り付けて、オーブンへ投入。

 茹でてあったパスタを用意し、ホールトマトとウスターソース、牛乳、砂糖、塩、コショウを混ぜてあるモノをフライパンで炒める。

 赤かくなるまで煮詰めたら、野菜やウィンナーを投入。

 玉ねぎに色が移ってきたら、パスタに絡めて完成。

 この時分でドリアの様子を見ると、もう少しという所だ。

 

「13番のゴマプリン出していいぞ? 11番の用意は?」

 

「ナポリタン上がり! ドリアもうすぐだから先に持って行ってくれ!」

 

 ナポリタンを窓から出すと、業務用冷蔵庫からパレットで作ってあるゴマプリンを出す。

 それからスプーンでデザート用に器に見栄え良く盛り付ける。

 

「8番さんコーヒー出しました、松岡さん、料理出ますか?」

 

「佐藤ちゃんが11番のナポリタン持って行ったから、ドリアはもう少し、13番のゴマプリン上がり!」

 

 お客が入っている時はこんな感じだけど、暇なときは本当に駄弁るだけの職場だ。

 これで、きちんとバイトを養えるだけの稼ぎがあるのだから不思議な店だ。

 

「ナポリタン届けてきたぞ、まっちゃん、ドリアはまだか?」

 

「今上がった、熱いから気を付けろよ!」

 

 ダンっとホール側にグラタン皿を出して、溜まった注文が終わる。

 このレベルのラッシュは久々だな。

 

「松岡~? 一息ついたなら洗い物溜まってるから処理しておきなさいよ? その間キッチン立っててあげるから」

 

「矢澤、テメェ落ち着いたの狙ってきやがったな?」

 

「ホールの制服で洗い物出来ないでしょ? 代わってあげるだけありがたく思いなさいよ」

 

 ああくそ、ニヤニヤしやがって……。

 ホールとキッチンの両方をこなせる矢澤は正直貴重な戦力なんだが、いい性格してやがるからなぁ。

 

「にこちゃんって松岡さんと仲良いよね?」

 

「ああ、恋人というよりは悪友かな? 性別の壁を越えた友情ってやつか?」

 

「「そこ! 気持ち悪いこと言わない!」」

 

 ハモってしまった……。




呪いを振り切り、来年は神田明神に初詣等々、しっかりやろうと思います。

来年はゆっくりとでも更新を続けていきたいと思いますので、楽しんでいただければ幸いです。
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