Live版 WORKING!!   作:みずしろオルカ

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 どうも、最近ウーロン茶ばかり飲んでいる気がするオルカです。

 ティーパックを買って、2Lペットボトルで水出ししてます。

 実家から餅が届きました。
 余ったら、フライパンにサラダ油をしいて、弱火でチリチリと両面を焼くと程よくカリカリになるので、そこに強火にした鍋肌に醤油をサッと投入して焦がし醤油にしてあげると、カロリーの塊なジャンクフードができます。

 カリカリ、トロトロなのでやめられない。

 正月の体重増加の原因でもありますが、やめられないのです。


第6話 料理長補佐

 ワグナリアのメニューは幅広い。

 ラーメンやドリア、パフェやサラダ。

 海鮮丼やかつ丼なんかもグランドメニューに存在している。

 

 そこに季節のフェアメニューやコラボイベントのメニューが増えてくるので、調理手順なんかが混乱するほど存在している。

 

 ここで、ワグナリアのメニューの決定方法を教えよう。

 

 料理研究部の様なメニューを決定するチームが決定するか、各店舗の料理長が定期的にレシピを提出してコンペのような形式で決定する。

 

 各料理長は定期的にオリジナルのレシピを考案し、本社へ提出する。

 

「そんでもって、この店では料理長は料理長補佐の松岡にその仕事を投げっぱなしにしてる訳」

 

「他人事だからって、気楽に言ってくれるな矢澤」

 

「知ってるかしら? 月末の夕方帯のシフトの人気って高いのよ?」

 

 大体予想ができるのが微妙な気分になる。

 先ほども語ったが、月末あたりから本社へ提出する試作品レシピを賄いで作り始める時期だ。

 評価をしなければならないが、目新しい料理を食べられるからか、望んでくれている人も多い。

 

「そうにゃ、松岡さんの新作はみんなの楽しみだから人気も出てるよね」

 

「そうなんっスね。でもそれって料理長さんが怒られないんですか?」

 

「あはは……、松岡さんには悪いんですけど、料理長さんの権限の一つなんですよ」

 

 南の言う通り、料理長の権限に代理権限者を立てられること、自身の仕事を代理権限者へ委譲できることになっている。

 店長も同様だが、不在時の命令系統の保持の為の権限だ。

 

 夕方帯は店長のメイン出勤帯になるので、フロア側での店長代理は居らず、フロアチーフが店長不在時のトップとなる。

 料理長代理は店全体での権限としては店長、料理長に次ぐ権限者となっているので、夕方帯は店長の次の責任者になってしまっている。

 何度も思っているが、大学のバイトに何を求めているのか。

 

「というわけで、アンタの今月の新作早く出しなさい」

 

「追い剥ぎかテメェは……。今日は矢澤に南、星空と原田、東條か。今持ってくるから待ってろ」

 

 キッチンへ行き、皿ごとオーブンから出すと、皿をお盆に乗せて運び出す。

 フツフツと脈動するかの様に動くチーズ。

 フワッと鼻腔をくすぐるチーズの匂いの裏に寄り添うように有る海鮮独特の香り。

 

 ズシッと手に伝わる重さ。

 キッチンミット越しに伝わる熱。

 

「うん、良い焼き加減だ」

 

 エビとホタテの海鮮ドリア。

 小さいエビとホタテを使った新作のドリアだ。

 ライスを少なめにエビとホタテを多めに入れた既存レシピとは別路線にした一品で、コスト削減をメインに置いている。

 

「ほい、お待たせ。『エビとホタテの海鮮ドリア』だ。熱いから気を付けろよ」

 

 テーブルに座っている東條達に配膳。

 全員、待ってましたとばかりに目を輝かせてくれているが、毎回この瞬間は緊張する。

 

「ボイルしたエビとホタテをたっぷり使ったからホワイトソースとライスの量が少し抑えられている。まずはご賞味あれってな」

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 

********************

 

 

 評判は上々。

 後はレシピを本社へ送って今月のコンペ終了。

 

「う~ん、やっぱり松岡さんのラーメンの新作が食べたいにゃ~」

 

「本格ラーメンとなると、ベーススープから作ることになるからファミレスじゃ難しいっつの」

 

 それこそ、専用の寸胴鍋に魚の頭やら数種類の野菜を煮込むことから始まる。

 さすがにキッチンの一角を占拠するほどの設備が必要になるし、仕入れも恐ろしいほどに管理が必要になる。

 ファミレスでそれは現実的ではない。

 

「そういえばマッツンって賄いにはいろいろ手を加えてるっスけど、お客に出す皿には手を加えないっスよね」

 

「ああ、賄いはお前らの体調や様子を見て手を加えてるだけだからな。それにチェーン店の料理に手を加えるのはダメだろ」

 

「そんなもんっスか」

 

「そんなもんだ」

 

 原田の言う通り、俺はスタッフの賄いにアレンジを加えている。

 例えば、星空が元気そうだと、腹も空くだろうと期限ギリのチャーシューを加えたり、逆に体調が悪そうだと油を落として野菜を多く入れる。

 医食同源ということわざがあるが、要は食事で持ち直すなら薬に頼らずにっという発想だ。

 

「ちなみに……。俺はある程度冷蔵庫の食材を覚えててな?」

 

 その言葉にビクッと特定の二人の肩が跳ねる。

 心当たりがあるのだから当然だが、逃がすつもりはない。

 

「へぇ、さすがマッツンだな」

 

 佐藤ちゃんも感心したようにつぶやく。

 そりゃ、料理長補佐なんて役職貰ったんだからある程度は仕事しないとね。

 

「ああ、なるほどなぁ。にこっちと凛ちゃんは知ってた~?」

 

 にやりとした笑みをコッソリと休憩室から出ていこうとする二人に投げかける東條。

 ナイスだ、ビクッと動きが止まった瞬間に、二人の後頭部を鷲掴みにする。

 

「あぅ!?」

 

「にゃ!?」

 

 女の子の頭を掴むのはマナー違反ってか?

 残念ながらお仕置きと説教が必要な時はマナーよりもルール違反を優先して対処するのが俺のやり方だ。

 

「さて、ラーメントッピング用のチャーシューとメンマ。後はデザートの杏仁豆腐、ゴマプリン、マンゴープリンをパレットで作ってた分が無いわけだが……」

 

 パレットと言うのはそれなりに底の深い金属容器で、イメージとしてはA4のコピー用紙を二枚並べたぐらいの大きさと手の指程度の深さがある容器っといった所か。

 

 大きさは色々あるが、食材の保管や揚げ物のパン粉や溶き卵を入れておくのに便利だ。

 そのパレットに杏仁豆腐やゴマプリンを流し込んで、冷蔵室で固めると一度に大量に作れる。

 大きめのスプーンで小皿に一定量盛り付ける形でお客に出しているのだが……。

 

「パレットに至っては三分の一は残ってたぞ? 5人前は余裕であったはずなんだがなぁ」

 

「うわ、マッツンおっかないっスわ」

 

 普段あまり怒ったりしないからそう見えるのかもしれない。

 だけど、この二人は何度言ってもやりやがるからな!

 

「あんな? にこっちと凛ちゃんってつまみ食いの常習犯なんよ。ホール側でもパフェ用の生クリームとか何回かやられたし……」

 

 コソッと東條が原ちゃんに耳打ちで状況を説明している。

 ほうほう、パフェ用の生クリームもあったんだったなぁ。

 

「あ、あはは……。何度か注意してるんですけど……」

 

「自業自得だことり。オレやマッツンがいくら注意してもサラッとつまみ食いするからな。一度しっかりと絞られた方がこいつらの為だ」

 

「コラ! 佐藤! アンタにこを見捨てる気?!」

 

 手足をバタつかせながら、佐藤ちゃんへ抗議する矢澤。

 器用だな。

 

「見捨てるも何も、何度も注意したぞ? マッツンに報告してない分も多々あるし」

 

「むしろ今バレたわよねソレ!?」

 

「絶対確信犯にゃー!!」

 

 二人とも暴れるにも力が入ってくるが、たった一言でいい。

 店長へも許可は取ってあるのだ。

 

「二人とも明日から一週間、従業員用、客用のトイレ掃除当番だ」

 

 二人が絶望した表情でこちらを見てきたが、お仕置きだ。

 これぐらいじゃなくては懲りないだろこいつらは。

 

********************

 

 

 別室へマッツンに連れていかれた矢澤先輩と星空さん。

 佐藤ちゃんは笑いをこらえているし、南さんは苦笑いをしつつ困り顔。

 

 東條先輩はイタズラ好きの笑みを浮かべていた。

 

「あの、トイレ掃除って確かに嫌っスけど、罰になる程なんっスか?」

 

 素朴な疑問。

 学校のトイレ掃除とかの当番は確かに嫌なものだが……。

 

「ん? ああ、原田君は知らんのか。飲食店というか客商売でトイレ掃除はある意味鬼門なんよ?」

 

 イタズラ好きの笑みを崩さないまま、楽しそうに俺に説明を始める東條先輩。

 そんなに?

 

「結構働いて来て、原ちゃんもお客に色んな人がいるって分かるだろ?」

 

「え? まぁ、頭沸いてるんじゃねぇかって人も偶に来ますよね」

 

「トイレの使い方も……その、色々な人が居るんだよ……ね?」

 

 南さんの一言で理解できた。

 まともな用の足し方をする人ばかりじゃないのか。

 

 学校だったら自分らが掃除したり使ったりする場所だし、そんな使い方をする人はいないだろう。

 

 だけど、何度も来るかもわからない店のトイレだ。

 ひどい使い方をする人も居るのだろう。

 

「ちなみに一番ひどかったんはな。酔いつぶれてもどしたお客様が使こうた後やな」

 

 うわ、なにそれやりたくない。

 なるほど、そりゃ罰になるか。

 

「ファミレスで泥酔するまでよく飲めるよなぁ」

 

「ビールと酎ハイしかないのにね」

 

「滅多にはおらんけど、居らんわけやないし、玲央君も気を付けてな?」

 

 ホール側にも立つようになったし、恐ろしい情報だ。

 できれば、そんな客には当たりたくないが……。

 

「原ちゃんよ。ここで一年ほど働いているオレからアドバイスだが、そういう珍客にはな……」

 

 佐藤ちゃんが水を飲みながらため息交じりに漏らした言葉がなかなか真理を突いている気がした。

 

「慣れと諦めを持って対応する……だな」

 

「いや、どうなんっスかそれ?」

 

 いやまぁ、対応し切れないのも分かるけどね?




 いかがでしたでしょうか。

 独自設定と独自解釈が多々あります。
 チェーン店のメニュー決めは、基本的にメニュー開発室の様な部署があってそこで行われているの事が多いです。

 全国の料理長がコンペ形式で提出するなんて、私の学生時代のバイト先ぐらいじゃないかな?
 数か月に一度、死にそうな顔した料理長を見てた私はキッチンとホール兼任者でしたね。
 懐かしいなぁ。

 それでは、良ければ感想や評価を頂ければ、やる気と嬉しい感情が燃え上がるので、お願い致します。

 質問もあれば、お気軽に!
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