ハンター業に勤しみつつ、最近調査兵団に入団していた為、遅くなりました。
スラッシュアックスばかり使っていてそろそろ別武器を使おうと画策中。
それはそうと、空き時間にラブライブとWORKING‼を通し視聴してきました。
雰囲気ってやっぱり浸らないと分からないものですね。
それではどうぞ!
ワグナリアで数少ない兼任者と呼ばれるスタッフがいる。
矢澤にこと原田玲央。
ホールをメインで働いているのが、矢澤先輩だ。
つまみ食いやイタズラを頻繁に行うのが悩みどころだが、それ以上に汎用性に富んでいて、ホールとキッチンの両方をこなせるという技術は強みだ。
矢澤先輩は時給が上がるというメリットを取って兼任者という立場を選んだようだ。
見習い<一人前<兼任者≦チーフ=料理長補佐の順で時給が変わってくる。
原ちゃんがこの前、研修バッジが取れて一人前になると同時に、キッチンメインの兼任者として登録された。
東條先輩が流れで兼任者にしてしまったというから始末が悪い。
あの人もイタズラ好きだからな。
ただ、人との距離感が上手いというか、苦笑いで許してしまうような程度のイタズラだ。
本人の人柄もあるんだろうけど。
「優君。にこちゃん見なかった?」
「矢澤先輩? いや、キッチンじゃないか?」
雨のせいでお客の足元が汚れている。
だから、軽くモップがけをして泥とか水滴を掃除していた。
人も少ない今ならサッとできるからな。
「原田君も知らないみたいなの。松岡さんは休みで、そのヘルプでキッチンに入ってるのかとも思ったんだけど……」
というか、その構成でシフトが組まれていたはずだ。
店長が矢澤先輩にそう頼んでいたのを覚えている。
原ちゃんも一人前まで成長したけど、まだメイン一人で任せるのは不安というマッツンの話で原ちゃんがメインで入る日は矢澤先輩がキッチンに入っている。
そして矢澤先輩がキッチンに入るという事は、ホールが減るので東條先輩やオレ、ことり、星空の中から三人がホールに入る。
今日はオレとことり、東條先輩が入っている。
「……マッツン今日いないよな?」
「え? うん、松岡さんは休みだよ」
抑止力が居ないという事は、やりたい放題という事だ。
「冷蔵室行くぞ」
「え?」
嫌な予感というか、行動パターンというか、予想が外れてて欲しいけど……。
無理だろうなぁ。
********************
「せやから、多少のつまみ食いは松岡さんが黙認してくれてるけど、度が過ぎるとお仕置きされるって分かっとるやんな?」
「いや、あの……冷蔵室じゃなくて休憩室でいいんじゃ……」
チェーン店や大きめの飲食店だと、大きめの冷蔵室があって、中に電気なんかも点けられるから問題ない。
中は結構広いからなぁ。
入る時用の防寒着が入口にかかっとる程には広い。
「ん?」
「……なんでもないデス」
なんや、さすがにデザートのパット食い現行犯で見つかったんは、堪えたかな?
そして、作り置きのデザートと小鉢の状況の確認と管理簿の記入をやりに来たウチと鉢合わせって訳やな。
結構長い時間冷蔵室に入る予定やったから、防寒着も装備しとるし、問題ないと思う。
「松岡さんも玲央君も材料無駄にしないで作り置きしてくれとるし、にこっちも期限ギリの選んでるんは分かるけどな」
ワグナリアの様なチェーン店は、デザートが出来合いのモノが直接納入されるか、既定の材料が送られてくるのが普通だ。
それを作り置きで冷蔵庫に保存してる。
「そりゃ、松岡さんと玲央君がデザートの味を再現できるようになったけど、それでも食べ過ぎだと思うんよ。それにこの前、松岡さんの吸ってる煙草にハッカ油を垂らすイタズラもしとったな」
喫煙所で盛大に咳き込んで、深呼吸しようとしてハッカ油の清涼感でまた咳き込むというループをしてた。
落ち着いてから、「矢澤ぁぁぁぁぁぁ!!!」って叫んどったしなぁ。
タバコの事はよう知らんけど、そういう吸い方をすることもあるらしいし、気を抜いたところでの完全な不意打ちだったから
「まぁ、アレは松岡さんが直接制裁しとったし、そこはええとしても。今回のつまみ食いのお仕置きは必要やと思うんよ」
ビクッとにこっちの肩が跳ねるのが見える。
ああ、何をされるか分かっとるんやろうね。
WASHI WASHIは必要やろうなぁ。
「えっと……冗談……よね?」
幸い冷蔵室で逃げ場も無いし、思う存分とWASHI WASHIできる。
そう考えて、手を伸ばそうとした瞬間。
「矢澤先輩! まさかデザートつまみ食いしてないですよね!?」
ガチャっと音を立てて冷蔵室の扉が開けられた。
佐藤君とことりちゃんだ。
しまった、外部の介入を考えてなかった。
「チャンス! でかしたわよ佐藤!」
そう叫ぶとスルッと小柄な体を生かして二人の間をすり抜けて出て行ってしまった。
これは追いかけないといけない。
「佐藤君、ことりちゃん。デザートの被害状況確認しといて! ウチはにこっちを追いかけるから!」
二人の間を通ってにこっちを追いかける。
あの子すばしっこいからなぁ。
前も撒かれたし、見失うわけにはいかない。
「にこっち~、待ちぃ~!」
********************
客がいない時、ホールスタッフやキッチンスタッフは何をやっているか。
掃除だったり、仕込みだったり、意外と仕事はあるものだ。
「あれ? いくら客が居ないからって、ホール誰も出てねぇのはまずいんじゃね?」
今日は希先輩、佐藤ちゃん、南さんだったはずだけど。
しかもキッチン側のヘルプに入ってくれているはずの矢澤先輩も居ない。
仕込みがひと段落したから周囲を確認してみると、誰も居ない。
いやいや、ホラーじゃないんだから。
「冷蔵室の方から話し声聞こえるし、在庫管理でもしてるのかね?」
煮物系の小鉢が完成したし、後は盛り付けて、粗熱を取ってからラップをし、冷蔵室へ保存する。
割と煮物系の作り置きは保存時に気を遣う。
粗熱を取らないとすぐに悪くなるからだ。
「マッツンは今日休みだし、俺が頑張らねぇとなぁ」
キッチンの仕事は一通りできると先日マッツンから合格を貰えたわけだが、一通りできることと一日を問題無く通して勤務できるかは別問題なのだと言っていた。
マッツン曰く、「五回リフティングができた人間にいきなり百回リフティングをしろって言うのは無茶ぶりだろ? 大切なのは五回出来たリフティングを十回、二十回と増やしながら確実にできる様にして、百回を目指すことだ」との事。
分かり易いのか分かり難いのかが、分からないっスよマッツン……。
「矢澤先輩! まさかデザートつまみ食いしてないですよね!?」
ん?
佐藤ちゃんが冷蔵室の方で叫んでるな。
また、矢澤先輩がつまみ食いしたのか。
マッツンもいい加減何らかの制裁を加えるべきだろ。
「まぁ、マッツンも矢澤先輩も仲がいいからなぁ」
見ていると喧嘩するほど仲がいいを地で行っている関係だ。
男同士だってそういう関係は滅多に無いと思う。
「さて、煮物を小皿に取り分けるかな」
鍋ごと冷めるのを待つより、小皿に盛り付けてからの方が早く冷める。
中々使える豆知識を仕事で得たものだ。
煮物の鍋を持ったまま、小皿が並べてあるところへ運んでいると……。
「原田! どきなさい!」
その言葉が聞こえて、振り向く前に鍋を持った手元近くに気配を感じて慌てて鍋を上にあげる。
危なかった。
煮込みたてのこの鍋が、万が一ぶちまけられたら、矢澤先輩が大火傷を負うところだ。
「あぶねぇ!? 矢澤先輩、気を付けて……!?」
鍋を上げた状態で注意しようと声を上げたが、最後まで言い終わる前に、グワシッという効果音が出そうな勢いで胸を掴まれた。
なんだ!?
しかも、まさぐられる様な感覚とフワッとしたいい香りが後ろから感じた。
「捕まえたでにこっち……って、にこっち随分固くなったなぁ」
「いや、希先輩、俺っス、原田ッス」
ああ、これがWASHI WASHIなんだな。
まさか身を持って体験するとは思わんかったが……。
「え? キャァ!?」
短い悲鳴と共に、抱き着かれたような状態になっていた手は離れてくれた。
危なかった、鍋も俺の方も……。
いやぁ、かわいい声だなぁ。
「ご、ごめんな玲央君。にこっちが上手く避けたみたいで……」
「あー、気にしてませんので大丈夫ッス。それより、希先輩火傷とか大丈夫っスか? 熱い鍋持ってるんで……」
見た所火傷とか怪我は無いようだし大丈夫だろうが、一応確認する。
「うん、ウチは平気。いやぁ、にこっちに逃げられたわ」
アハハ~っと、恥ずかしそうに笑う希先輩の表情は俺にグッとくるものがあった。
赤面した希先輩とかめったに見れないからね!
「ああ、マッツンに報告しとくんで今日の所は良いんじゃないっスかね?」
「せやね、明日にこっちが怒られるんは忍びないけど、しゃあないかな!」
哀れ矢澤先輩。
マッツンのお仕置きがまた味わえるよ!
さて、前書きでいろいろ書いておりましたが、筆が止まってしまっていたのも事実です。
友人に相談した所、「ひとつのネタで詰まるなら、別のネタを用意して詰まったらネタを変えたり、新しいネタに切り替えるとまた書けるようになるぞ」
と、助言を貰いました。
何か新作か、止まっている作品を更新するかもしれませんのでその時は楽しんでいただけると幸いです。
それでは、評価や感想を頂けるとモチベーションに繋がりますので、ぜひお願い致します。