時間がかかった上に、今回は短くて申し訳ございません。
オリキャラ三人の設定を出していかなと話を進めづらいのです。
活動報告にも書きましたが、色々つまり気味で、楽しみにしたくださっている方には申し訳ないのですが、不定期投稿になる事をご了承ください。
それでは、本編をお楽しみください。
Live版 WORKING!! 第9話
私、星空凛には兄の様に慕っている人がいる。
お姉ちゃん達が居る中で、弟と妹が欲しいと思った事は結構あるけど、お兄ちゃんは敵わない夢だった。
スクールアイドルとして活動を始めて、アルバイトをことりちゃんの紹介で始めて、そこで松岡さんに出会った。
大学生で、料理長補佐って肩書を持っていて、同い年の男の子みたいに変に距離を詰めて来ないで、それでいて周りを見ていてくれる。
親以外で深く関わった初めての大人の男の人。
第一印象は寡黙な人だと思った。
挨拶をすれば返してくれるし、話しかけられれば会話も弾むけど、基本的に松岡さんから話しかけるところを見たことは無かった。
そんな松岡さんの優しさに気付いたのは、偶々ことりちゃんと休憩が重なった時。
私はいつもの様にラーメンで、ことりちゃんがグラタンを賄いで松岡さんへ注文していた。
ことりちゃんのメニューを見た時に違和感を覚えた。
いつもお客様へ運んでいるグラタンと明らかにチーズの量が違った。
気になり始めると、色々と目についてくる。
私のラーメンもメンマやネギなんかのトッピングが普通より多く入っている。
「あれ? ことりちゃん、これってお店の料理と違うよね?」
「うん、松岡さんって時々賄いでオマケしてくれるんだ」
ことりちゃんは知っていたみたいで、笑顔で食べている。
野菜が多めに入っているのか、チーズの隙間から緑黄色野菜が多く見えるから健康に良いと思う。
「松岡さんってどんな人?」
「松岡さん? そっか、凛ちゃんは入ったばかりだから知らないんだね」
ことりちゃんは元々ここのウェイトレスとして働いていて、μ'sのメンバーでアルバイトをしようと提案された時に、ここを推薦してくれた。
だから、ワグナリアの夕方帯スタッフの中では松岡さんの次に長く働いていることになる。
その次が佐藤さんになるらしい。
「近くの大学の学生さんらしいんだけど、アルバイトに来てからすぐに料理長に気に入られて、料理長の技術を教え込まれて、夕方帯の責任者になったんだって」
料理長の顔を見た事無かったけど、松岡さんに任せているから夕方帯に出てこないのかもしれない。
少し女の人と話している時に一歩引いたような印象がある人。
にこちゃんとよく言い合っている印象がある。
「みんなの好きな食べ物を良く知ってるし、体調とかを見てトッピングとか変えてくれるからスタッフの中だとかなり松岡さんの料理当番の時の人気って高いの」
そう言われてここ数日の賄いを思い出してみる。
元気いっぱいだった時は、チャーシューとかひき肉とかが多くトッピングされていたし、ちょっと落ち込んでいた時とかはメンマとかお野菜が多かった。
その時は気づかなかったけど、思い出せば出すほどにいろんな気遣いが見えてきた。
「ふーん、あまり話したこと無かったから知らなかったにゃ」
「凛ちゃんって初対面の人ってワンクッション置くもんね」
そんなつもりじゃなかったんだけど、そう言われれば自覚がある。
ちょっと恥ずかしい。
その日から松岡さんへの印象が少しずつ変わっていった。
********************
俺は料理長補佐と言うアルバイトにはちょっと過ぎた役職を貰っている。
ワグナリアの職場で、仲の良い人間は夕方帯のバイトに多い。
稀にヘルプで午前から入ることもあるが、基本は夕方帯をメインに勤務している。
「マッツンって、本当に矢澤さんや星空さんと仲が良いよな」
喫煙所で佐藤ちゃんからそう指摘された。
確かに、東條や南とは普通に話すが、あの二人は遠慮と言うか壁が他のメンバーよりも無いかもしれない。
矢澤は接し方に遠慮がないから、徐々に対応が変化して行って今の形になっている。
星空は最初こそ双方に壁があるような他人行儀というか、普通のアルバイトの同僚程度……といった関係だった。
俺個人としても踏み込むことも無く、無難な会話と無難な接触。
これを崩してはいなかった。
「うーん……。一定以上の接触が多いからからな? 東條や南なんかは距離感一定だろ?」
「だな。マッツンって彼女居らんの? バイト先の女の子とか矢澤さんと星空さん以外に仲良い人居ないけど……」
サラッと失礼な。
まぁ、大学生にして彼女いない歴更新中の身の上では説得力はないけどねえ。
「居ないな。俗に言う『いい人』止まりが多いタイプだ」
「あー」
納得したような顔でそう呟く佐藤ちゃん。
悲しいかな、その認識は友人全般に納得されたからな。
怒りも起きない程にいつもの事である。
「納得しやがったな『忍ぶ恋』」
「それを今口にするんじゃねぇよ、『都合のいい人』」
ただ、いつもの事であっても、ツッコミって大事だと思うんだ。
手痛い反撃を食らっても仕方ないのだ。
少し目尻が熱くなってきたな。
双方こめかみ辺りに青筋が見えている気がするが、一種のコミュニケーションで済む。
同性同士ならこの程度の言い合いも出来るのだが、こと女性となると一歩以上引いてしまう。
友人からも良く言われる俺の欠点だそうな。
「マッツンの相手の事を立てるようなスタンツって割と女性受け良さそうなんだけどな」
「そもそもが恋愛対象に見られてない」
「……あぁ」
憐みの視線を向けられた。
いや、自虐ネタとして使っちゃいるが、簡単に頷かれると悲しい気持ちになる。
「昔、惚れてた女性に恋愛相談されたこともあるぞ?」
「やめろ! それ以上自分を傷つけるな!」
割と昔だからもう立ち直ってるんだがね?
当時は一人部屋で涙を流したものだ。
「まぁ、そういう事もあったってことだ。今はバイトしつつ勉強って感じだな」
「何目指してんの?」
「料理人。大学では経済学と経営学を学んでる」
料理の修行をしつつ、バイト代を貯めて自分の店を出すのが目標だったりする。
なので、ここの料理長の技術というのは非常に自分にとって大事なのだ。
「流石大学生、目標とかしっかりしてるんだなあ」
「高校卒業ぐらいである程度は道筋考えておいた方が良いぞ。……ってお前は問題無いか」
思い出すのが休憩室で経営学の本とブティック系の雑誌を読んでいた佐藤ちゃんの姿。
どこまでもこいつは、筋金が入っていると思う。
「あれ? オレ、マッツンに話したっけ?」
「休憩中に読んでるモノで予測できるわ」
夢も目標も人それぞれ。
他人にできることはあまり無いのだ。
「……いい参考書知ってるから後で教えるよ」
「あんがと、ここは秘密で……」
「わかってるよ」
甘酸っぱいなぁ。
年齢としては、三年前ぐらいかな?
それしか離れていないのに、青春してるな。
大学生になって恋愛経験平均以下って……。
ちょっとブルーになったある日のバイトの休憩時間。
いかがでしょうか?
現在、活動報告にてアンケートを実施しております。
期間は未定ですが、内容は設定厨の悪い癖でたまっている設定集の中から、いくつか作品化できそうなものを挙げています。
興味があるものとかが見つかりましたら、コメントで教えていただければ幸いです。