何故俺は足掻いているんだ?
人は時に生存するためならば他者をも蹴落とす。人類が生き残っているのが確固たる証拠だろう。性懲りも無く決め付けるのは良くないことだと?ハハッ死にそうなのに論理的思考が出来ると思うか?
「ちくしょう、何でこんなことに」
俺は今四方を獣に囲われている。四面楚歌ってやつだな。彼女とデートした帰りに唐突に現れた魔方陣によってこんなクソみたいな状況に追い込まれたんだが……
「どーせならテンプレ主人公の如くチート能力寄越せっての」
「グルルル…」
居るかも分からない神に向けて文句を言っていると、1匹の獣が襲いかかってくる。
「チッ」
こちとらインドア派の帰宅部なんだよ!横へと飛び退くが勿論そこにも獣は居る。条件反射のように噛み付いて来るのをなりふり構わず前へ転がる事で回避すると、すぐさま立ち上がり全速力で逃げ出す。
「てめぇら見たいな化け物相手してられっかって〜の。相手して欲しけりゃ定番の最弱スライムもってこいや」
何とか避け逃げているが一切の知識がないこの状況。知識もなけりゃ武器だってない。たまたま柔道をやってたとか、空手をやってたとか、そんなある種の主人公補正。ご都合主義なんぞある訳もない俺にはただ走ることしか出来ない。幸いここは森の中なのだろう。木々を縫うようにして逃げる事が出来た。
「これ絶対追いつかれるよなぁ、まだ死にたくないんだけど?」
さて、死なないためにはどうする?出来る限りの事をやるしかないよねぇ。まずはチート能力探しだ。神と会っていないだとか、王女様と会っていないとか関係ねぇ。望むべき最適解はチート能力でパパっと終わらせることだからな。
「どう確認するか…テンプレに頼るしかねえよな。
ステータスオープン!インベントリ!」
はあ?何も反応しねえじゃねえか!ステータス制じゃない?スキル制か?それとも技能オンリー?まてよ、技能?
「観察!」
ネーム…空也・裕翔
クラス…
能力…力→10
硬さ→8
速さ→25
知能→14
幸運→7
技能…観察Lv?魔力操作Lv?魔力放出Lv?神速Lv?
称号…神速の勇者
よっしゃ!!神速の勇者だと?レベルが分からない?ちくしょう…分からないことだらけじゃねえかよ、だが頼れるのは…
「これで発動してくれよ『神速』」
ズドンッ!!
「グハッ!いってええええ」
……なぜだ、何故俺の視界は木で埋まっているんだ、何故俺は木に衝突してるんだ?
「それどころじゃねえよ、追いつかれちまうじゃねえか!」
急いで背後を確認すると
「は?」
獣達の姿がない?隠れたのか、だとすれば何故だ?ちくしょう疑問しか出てこねぇ。誰か答えをくれよ!なんかよこせや!俺は何をしたんだっけかなぁ、ああ、『神速』使ったのね。
「あれぇこの能力チート過ぎないぃ」
とりあえず神…いや、神様に向けて祈りでも捧げておこう。