チョコボと剣姫の不思議なオラトリア   作:隣乃芝生

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皆様からのコメントを返せておらず本当に申し訳ありません!沢山のコメントありがとうございました!この場を借りて御礼申し上げます。


チョコボとオラリオの夜

 いつも以上に騒がしい一日を終え、夜も深まったオラリオ。ロキ・ファミリアの拠点『黄昏の館』に急遽用意された一室にて、アイズは横になっていた。

 

「むにゃむにゃ・・・」

「クー・・・クー・・・」

 

 アイズが今日ダンジョンで発見した不思議なモンスター、チョコボ(ジャガ丸号)の部屋である。

 一応テイムした責任者として、当分の間一緒の部屋で眠ることにした(主神、並びにエルフの少女と狼人の青年からは強い反対があった。)アイズは中々寝付けずにいた。

 

「むにゃ・・・ジャガ丸号・・・もふもふ・・・」

「クエー・・・クー・・・クエー・・・」

 

 既にチョコボはベッドの中で眠っており、チョコボを挟んで反対側には付いてきたアイズの同居人ティオナがチョコボを抱き枕にして眠っている。

 万が一に備え、両隣の部屋には冒険者が詰めて(某エルフ少女と狼人青年含む)いるが問題は無いであろう。

 

 それにしても・・・と寝返りを打ち暗い部屋の天井を見詰めながらアイズは食堂の騒動の後の出来事を思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり・・・何や、自分は別な世界から来た・・・言うんかいな?」

「クエッ。」

「嘘や無いな・・・まじかー・・・クリスタル間の移動やと・・・バハムートのヤツ何してんねん・・・」

 

 食堂を片付けた後、再びロキの部屋に集まりチョコボにカバンの中のアイテムを再び出して貰い、これらのアイテムについて話を聞いたところ驚くべき話が出て来た。

 

 ロキがチョコボから話を聞きだすと、

 

 

曰く、自分が持ってるアイテムは『不思議なダンジョン』という場所で手に入れたりした物。

 

曰く、お腹すいた。

 

曰く、『不思議なダンジョン』とは世界各地に点在する入る度に階層の構造が変化する迷宮であり、自分は友達の『モーグリ』達と共に旅をしながらダンジョンに挑んでいた。

 

曰く、友達は沢山居る。

 

曰く、最近はモンスター村という魔物と人間が住む村を拠点にしていた。

 

曰く、その村に住む『シロマ』のシチューは美味しいが、時々造るポーション類は刺激的な味。

 

曰く、ティオナが投げたポーションがソレ。

 

曰く、ところが最近、村の近くに『不思議なダンジョン』がまた現れたので潜っていた際に美味しそうなナッツを見つけたので近付いたら何かを踏んでしまい・・・気が付けば通路に倒れていてアイズに拾われた。

 

 

 ・・・時々関係ない所に話が飛ぶのを正しながら何とか聞き出し、まとめた話に集まった全員が驚いた。

 

「潜る度に階層の構造が変化するダンジョンだと・・・しかもそれ以外にも迷宮の悪意(ダンジョンギミック)が有るのか・・・」

「そんな物が世界各地に有る・・・人がモンスターと共存する世界・・・成る程、確かに彼が居たのは別の世界なんだろうね。」

「しかし、厄介じゃのう。ジャガ丸号が此方に来たという事はそのダンジョンと此方のダンジョンに繋がりが有るという事か?」

 

 ガレスの指摘に全員が頭を抱えた。

 

「洒落にならねーだろそれ・・・」

「マッピングを毎回やり直さないといけないってことー!?」

「ジャガ丸号以外のモンスターも出て来たり?」

「・・・ティオネ、今日ダンジョンで彼以外のモンスターや構造の変化は見られたかい?」

「いえ!ジャガ丸号を見付けたこと以外は、異常はありませんでした!」

「そうか・・・皆、暫くの間はダンジョンの調査をするよ。しっかりと準備をしてダンジョンに挑んで欲しい」

 

 フィンの言葉に冒険者全員が頷き、何処から調査すべきかを話し合い計画を練る。

 

 そんな風に話し合いの進む中、ふとアイズがチョコボを見るとどこかソワソワとしていた。

 

「どうしたのジャガ丸号?」

「クエー、クエー、クエッ?」

「あー自分は何処を調査するのか?やて・・・」

 

 その言葉に全員がチョコボを見る。

 

「そっか、ジャガ丸号も冒険者だもんね」

「でも、私達だと言葉判らないわよ?」

「・・・クエッ?」

 

 ティオネの言葉にチョコボはロキを見た。

 

「あーそっか、・・・ウチら神々はダンジョンに行ったらあかんのよ。大量のモンスターに襲われるさかいな」

「クエー・・・?」

「『こっちではそうなの?』・・・ってちょい待ちそれどういう意味や?」

「クエッ。クエークエッ」

 

 チョコボが何やら青い宝石の様な物をロキの手に渡し説明すると、ロキはそのまま固まった。

 

「まぁギルドに登録したりとか、暫くはジャガ丸号も忙しいしね。直ぐにダンジョンに行くのは無理かな?」

「クエッ・・・」

 

 石像と化したロキを置いといて、団長であるフィンがチョコボを諭すが、チョコボはダンジョンに行けないと残念そうに落ち込む。

 

「・・・だが、異変があったら色々お前に聞くし、その間にダンジョンについて学んだり、我々と意思疎通が出来る様になれば良いだろう」

「クエー・・・クエッ!」

「わかってくれたみたいだな」

 

 コクコクと頷くチョコボの頭をリヴェリアはそっと撫でた。

 

「クエ~・・・?」

「・・・何というか・・・その・・・思ってた以上にモフモフしているな・・・」

 

 少し頬を緩ませて優しくチョコボの頭を撫でるリヴェリアを見てアイズは尋ねた。

 

「リヴェリア・・・もしかして触りたかった?」

「ち、違うぞアイズ!?」

 

 顔を赤くしてチョコボの頭から手を放すリヴェリアを見て、ティオナとアイコンタクトを交わすとチョコボを両側から持ち上げてリヴェリアに近付ける。

 

「・・・私とティオナのおすすめは胸元の羽毛。・・・抱き付くと、とってもモッフモフ」

「気持ちいーよー?」

「クエ・・・?」

「・・・クッ・・・!?」

「リヴェリア様まで誘惑するなんて・・・!?なんて恐ろしいモンスター!?」

「レフィーヤ、落ち着きなさいよ」

「・・・野郎・・・!」

「いやベートさん、ジャガ丸号悪くないし寧ろ困ってるっスよ!?」

 

 ロキ・ファミリアの騒がしい夜はこうして更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな騒動を思い返しながらアイズは寝台で寝返りを打った。目の前には寝息を立てるチョコボがいた。

 

 

(別な世界から来たモンスター・・・)

 

 

 自分の真横で寝息を立てる黄色い鳥をそっと撫でる。

 

「クエー・・・」

 

 ロキが、クリスタルがどうとか言っていた意味は判らないが、この人畜無害な見た目の暢気なモンスターと自分が出会ったのは、神が驚くほどにとてつもない出来事なのだろう。

 人とモンスターが言葉を交わし、共存する世界から来た自分達と同じ冒険者のモンスター。

 

「君は、どうして私と出会ったのかな?」

「クエー・・・クエー・・・」

 

 複雑な心情を抱えながらアイズは眠りにつくまでチョコボを撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・以上が、現在集まった情報になります」

「そう、ありがとう。」

 

 バベルの頂上に有る居住地にて一人の男が報告を終えた。

 

 男の目の前には、この上なく美しい女が居る。

 

 花すら霞み、月も恥じらう・・・否、万人が『美しい』と想うほどの美を持つ女神は憂いを帯びた表情を浮かべ、男が手渡した黄色いハネを眺めていた。

 

「美しく、純粋で、・・・そして、優しくも強い輝きを放つ日溜まりのような暖かな魂、素晴らしいわ。どれ程の経験を積んで魂を磨き上げたのかしら・・・」

 

 見付けたのは偶然、迷宮から帰還した子供達が朝とは違う輝きを放つのをいつも通りバベルの上から眺めて楽しんでいた自分の目にソレはダンジョンから現れた。

 

「・・・貴女様がお望みなら、今直ぐに献上致します」

「あら、ありがとう・・・でもまだダメよ?」

 

 忠臣の言葉を嬉しく思いつつも首を横に振る。

 

「だって、あの子『この世界の誰よりも』強いもの。・・・貴方よりも・・・ね。」

「・・・・・・は。」

 

 女神は己に絶対の忠誠を誓う男が、表情は変わらないままに戦意を滾らせ、魂を輝かせ始めたのを見て笑みを浮かべた。

 

「あの子が、周りの魂を何処まで磨きあげるのか、そしてあの子自身がどう輝きを放つのか・・・」

 

 並みの男共が見れば一目で恋に堕ちるような顔で、その女神は窓の外を見る。その視線の先には、燃え上がる焔のような色合いの塔の一室。

 

 

「本当に・・・楽しみだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・クエッ?・・・クエー・・・」

「んーふかふか・・・ぐぅ・・・」

「・・・ジャガ丸号・・・もふもふ・・・すぅ・・・」

「・・・クエェェェ・・・」

 

 その頃、何かを感じて目覚めたチョコボは両側を挟まれた上に抱き付かれ、身動き出来ない事に気付いた。

 

『放して下さい!今直ぐにアイズさんをあの黄色い魔物の魔の手から・・・!?』

『落ち着きなさいよレフィーヤ!?』

 

『・・・チッ!?』

『だ、団長・・・ベートさんが・・・』

『あはは・・・はぁ・・・』

 

 何故か自分をたくさんモフって来たりと、とても賑やかなこの世界の人々。

 明日はどんなことがあるのだろうか、とチョコボ楽しみにしながら再び眠りについた。

 

 

 

 

──その日、自分を探す白い少女の夢を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ヤバイ。めっちゃヤバイ。

 

 

 ロキ・ファミリア主神、ロキは自室で一人頭を抱えていた。

 

 目の前のテーブルの上には雑多なガラクタが所狭しと並べられていた。

 そう、チョコボから預かったアイテム類である。

 

 

───まず、この別世界のアイテム類がヤバイ。

 

 

 ポーション類は『エリクサー』や『ハイポーション』等、此方にも似た物も有るためまだ(他のアイテム類と比較すれば)大丈夫である・・・多分。

 

 だが、他のマジックアイテムはチートだ。

 

 例えば──ダンジョンから拠点に一瞬にして帰還できる『テレポのしおり』等の『しおり』類。

 

 誰でも読めば魔法が使える『魔法の本』シリーズ。

 

 チョコボが身に着けていた、ドワーフにすら未知の金属『チタン』で出来た『チタンのツメとクラ』。

 

 金の量が非常に多い金貨『ギル』・・・の山。

 

 これ等異世界のアイテムを自分にも判別出来る様にした『確信のカード』等のカード類。

 

 

 他にも有るが、どれもダンジョン攻略の助けとなるアイテムばかりであり、このオラリオで市場に流せばその価値は計り知れない。

 

 

───が、天界きってのトリックスターをして頭を抱えさせた物は・・・青く美しい宝石・・・『召喚石』である。

 

(バハムート、シヴァ、イフリート、ラムウ、タイタン、アスラ・・・しかもオーディンもやと・・・!?あのド天然なんちゅう物別世界に持ち込んでくれとんねん!つうかマジで何者や!?)

 

 『召喚石』とは、一時的とは言えど天界の超越存在(デウスデア)を地上に召喚し力を借りるための魔力を内包した魔石の事である。

 

 一瞬しか顕現できない代わりにデカイ一撃を叩き込むか、少しの間召喚されて手伝いをするかの二種類だがその価値は計り知れない。

 

 そして・・・これらチョコボが持ってきた召喚石の対象である超越存在達は、天界から多くの神々が地上に遊びに行く為に、仕事が多すぎて休めない神々である。

 

 仮に・・・バハムート等が地上で召喚された場合・・・自堕落に過ごす神々を見たらどうなるか・・・

 

(灼かれる!オラリオごと更地にされてまう!?)

 

 浮かれた神々に、街とダンジョンごとメガフレアを撃ち込まれ、灼き尽くされる光景が頭を過ぎり、ロキは思わず顔を青くする。

 

「あかん・・・あかんで、まだまだやらなあかん事あるねんから!?」

 

 ・・・実際、召喚石から自分たちに向けてストレスが漂ってくるように彼女には感じていた。

 また、地上ではなくダンジョンにて『神威全開で』召喚された場合・・・大問題となってしまう懸念もあった。

 

「・・・これはウチが買い取りせなあかんな・・・胃と財布が痛いなぁ・・・」

 

 チョコボから買い取るアイテムと返すアイテムを選び、買い取り金額を考えていたロキの前に『ソレ』は転がってきた。

 

「・・・何やこの木の実?」

 

 それは一見するとクルミ程度の大きさの何の変哲も無い木の実であった。

 

「あの腹ペコが見逃すとは・・・さては忘れとったな?んでもって何の木の実やねん。もう今更滅多な事じゃ驚かんで?」

 

 『確信のカード』を使っていたロキの目は、そのアイテムの効果を把握した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『レベルアップの実』

 

・レベルがいっこ上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、いつも以上に騒がしい一日を終えたオラリオで、胃痛を訴えた1柱の女神が医神の元に急患として運ばれたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、聞きましたか?ロキ・ファミリアの『剣姫』が新種のモンスターをテイムしたらしいですよ?」

 

 とあるぼろ家で少女は隣に眠る相棒に声を掛けた。

 

「ロキ・ファミリア?あんな大手ファミリアの事なんか俺たちとは関係ないだろ?」

 

「でも、『黄色い鳥型モンスター』らしいですよ?」

 

「!?いや、でもそんなはずは・・・」

 

「違いますか?でもリリは話に聞いた『チョコボ』の様に思いますよ?」

 

「そ、そんな訳無い!あいつには上手く誤魔化してダンジョンに潜ったんだからな!」

 

「意地っぱりですね」

 

「う、うるさい!明日も早いんだから早く寝ろ!」

 

 怒って毛布を頭から被った相棒に溜息を吐いて、少女は再び目を閉じた。

 

 




次回、エイナさんの受難を挟んでようやくダンジョン予定。

貴方が好きなモンスターは?

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