東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第10話「Change To Smile」

午前9時、いつものようにログインした自転車バカを待っていたのは喧噪だった。

 

 

(…なんか表が騒がしいな。今日イベントとかあったっけ?)

 

 

考えたところで分かる筈がない。外へ出ようとすると、机の上に手紙が置かれているのに気づく。差出人は文だ。

 

 

{自転車バカさんへ。

今日は人里でフードフェスタが開催されています。先のライブと違い、こちらは由緒ある秋の伝統行事が俗化したものなので参加人数が多いです。私たち妖怪も、旦那様と一緒ではありますが里のどこかしらには居るので回っていればお会いするかも知れませんね。

射命丸より。}

 

(へー、秋の伝統行事かぁ。面白そう。

私たちってことは他のメンツもいるのかな?だったら行くしかないな。この機会に誰が誰の嫁なのか確認しておきたいし)

 

 

軽く身支度を済ませ、玄関を開ける。普段はそこそこ人通りのある住宅街なのだが、今日は気配すらない。皆、出払っているのだろう。その代わりに大通りの方から子供の笑い声や客寄せの声が聞こえてくる。無上の興奮を覚えた自転車バカは通りへと歩いていった。

 

 

 

 

(ふーん……現実世界にも同じようなイベントはあるらしいけど、こっちの方が断然楽しいよなぁ。やっぱ規模がでかいとそれだけ出店の数も多いもんな。

あ、射的やってる)

 

 

懐かしさで人込みをすり抜け出店に近づいていくが、その歩みは止まることになる。店までおよそ五メートルという距離で。

 

 

(……何してんだあいつら)

 

 

視線の先では、風見幽香と頭上に”こはっきー”と表記された男が射的を楽しんでいた。否、楽しんでいるのは幽香だけだ。

おもちゃのコルク銃を使って景品を落とすのが普通なのだが、彼女のソレから放たれる弾はどっからどう見ても弾幕である。可哀そうな程に景品が続々と落ちていくのを見て、堪らず店主が懇願した。

 

 

「た、頼む!からかったのは謝るからもう勘弁してくれ!お願いだ!」

 

「あら、そうはいかないわね。まだ弾が残ってるんですもの」

 

「あの、ゆうかりん?誰が弾幕使って景品落とせなんて言いましたか?」

 

「何よ、このおもちゃの銃を使ってあれらを落とすのでしょう?言われた通りやってるじゃない。ルール違反はしてないわよ」

 

「そっか、ならいいや」

 

「よくねえよ!常識的に考えたら分かるだろ!?」

 

「幻想郷では常識に囚われてはいけないのです!」

 

「限度があるだろ!つーかどっから沸いた守谷の巫女さんよォ!?」

 

 

自転車バカと同じように、遠巻きに見ていた人々が呟く。

 

 

「可哀そうに…今年最初の犠牲は射的屋か」

 

「あのお方を怒らせたらどうなるかがよーく分かったよ。おれらは気ィ付けような」

 

(俗化した弊害はこういう所に出るんだな、きっと。さ、次行ってみよう)

 

 

目を合わせないように、そそくさと場を離れた。

それから程なくして、今度は出店の店員から声を掛けられた。

 

 

「あ、自転車バカさーん!」

 

「はい?」

 

「どこ見てるんですか、こっちですこっち!」

 

「あぁそっちか。分かりづらいわぁ……あれ?そちらの方はもしかして」

 

 

声を掛けた主、文の隣には”穂谷野(雷様)”と表記されたユーザーが居た。

雷神と電車の車掌の服装を混ぜ合わせた格好をしており、中々の高身長でハンサムである。男は帽子を取って丁寧に挨拶した。

 

 

「初めまして、かな。射命丸の旦那です。いつも話は聞いてるよ、こいつの部下なんだって?苦労をかけるね」

 

「こちらこそ初めまして、自転車バカって言います。慣れたらそうでもないっすよ」

 

「私が迷惑かけてる体で話進めるのやめてくれません?」

 

「事実だろ?」

 

「マジでか」

 

「自覚なしかよ…まぁいいや。店出してたんすね」

 

「去年までは見る側だったんだけど、今年から出すことにしたんだ」

 

 

何の店か気になり、2.3歩下がってちらっと看板を見る。

 

 

「へ、へそ饅頭?美味しいんですか?」

 

「美味しいらしいですよ?既にストックの三分の一が売れましたから」

 

「すげえ!大人気じゃないっすか!」

 

「開店から三時間ちょいでこれだけ売れるとはね、正直言って予想外だ」

 

「このペースだと次来たときには無くなってそうだな…俺にも一袋下さい」

 

「五個入りで300円です、毎度あり!」

 

「お、財布にも優しい」

 

 

などという会話をしつつ貰った袋を眺めていると、文に手招きされた。

 

 

「自転車バカさん、ちょっと」

 

「はい?」

 

「実は昨日はたてからこんな画像が送られてきましてね」

 

「これはまた何とも……」

 

「でしょう?本人は

”ひょとしたら自分の夢を念写したかも”

と言ってたんですが、念には念をということで」

 

「分かりました、それとなく探してみます。あとで画像送ってもらってもいいですか?」

 

「ええ、お願いします」

 

「すまないね。手伝いたいのはやまやまだが、店を開ける訳にはいかないんだ」

 

「いえいえ、では」

 

 

それから暫くして。

 

 

(ふう、見た目に反して旨かったな。ちょっと休憩しよう、まだ時間はあるんだ……し?)

 

 

通りから少し外れた道を歩いていると、欄干に寄りかかって橋の上から川に向かって小石を投げている人物が居る。水色のショートボブに酷く傷ついた大きな唐傘お化けを持っており、傘の色は紫だ。今は伏し目がちだが、右目は水色で左目は赤色のオッドアイである。服装は水色のミニスカートで素足に下駄姿。上は白の長そでシャツに水色のベストを着用している。間違いない、多々良小傘だ。

 

 

「おーい、危ないよー!」

 

「へ…?危ないってなに」

 

 

欄干に入っていた亀裂が瞬く間に広がり、崩壊して川へと落ちていく。だが小傘は落ちていない。すんでの所で駆けつけた自転車バカによって助かったからだ。彼女の右腕を握る力を更に加え落ちない場所まで引き寄せ、ようやく一息ついた。手を離し腕を回す。

 

 

「やれやれ間に合って良かった。今の時期、落ちたら間違いなく風邪引くからね」

 

 

もっとも、落ちた所で対して高いわけではないのだが。

 

 

「あ、ありがとう……こうなるのが分かってて危ないって言ってたの?」

 

「まあね、それよりもこの橋から離れてて。直すから」

 

「直すって…」

 

「いいからいいから」

 

 

スイッチを入れ、緑色に光る光球が唐傘と橋全体を覆うイメージを描く。突き出した手に力を込めると、光球は思い描いた通りに動いてくれた。驚く小傘に説明をし、元に戻ると橋の近くにあった椅子に腰掛ける。

 

 

「凄い、ほんとに直った……貴方が自転車バカなのね」

 

「あれ?知ってんだ」

 

「うん、ばんきちゃんから聞いたの」

 

「なるほどね、その繋がりか。

じゃあこっちの質問。どうしてそんなに悲しそうな顔してんの?」

 

「…分かる?」

 

「あんだけ露骨にため息ついてりゃ分かるって。今だって笑顔が引きつってんじゃん」

 

「そっか、バレてたんだ。嘘つくの下手だなぁ、私って…」

 

「……答えたくないなら別に良いからな?」

 

「今は、話したくない」

 

「分かった。独りにして欲しいってんなら俺はこのまま失礼するけど、どうする?」

 

 

そういって立ち上がる素振りを見せると、小傘は腕をつかんで引き留める。見上げる瞳には涙が滲んでいるではないか。

 

 

「待って、行かないで!ひとりぼっちにしないで!」

 

「じゃあ俺はどうすればいい?」

 

「ただ、一緒に居て。それだけで良いから…」

 

「おっけ、それで気分が晴れるなら」

 

 

その言葉を聞き、本格的に泣き出してしまった小傘。ショルダーバッグに入れていたポケットティッシュを差し出した自転車バカだが、それ以上は何もしない。時雨のように泣く小傘を、あざ笑うかのように大通りから聞こえてくる喧噪が、なんとも言えない雰囲気を醸し出す。

 

 

しばらくして、泣き止んだ小傘からティッシュが返却された。

 

 

「ありがとう、少し楽になった」

 

「そりゃ良かった。

……だいぶ減ったな」

 

「あ、使い過ぎた?」

 

「全然、だってまだ三袋あるし何だったらハンカチ持ってるし」

 

「ぷっ、準備良すぎでしょ。綺麗好きなの?」

 

「いや?通り歩いてたら無料で配ってたから一つ貰おうとしたら三つ重ねて配られた」

 

「ふふふっ、あるある。つい貰いすぎちゃうんだよねー」

 

「かと言って返す訳にもいかんしなぁ」

 

「ねー」

 

「……良かった、やっと笑ってくれた」

 

「あ…//」

 

「何があったのか、話してくれるか?」

 

「実は…」

 

 

 

 

「そっか、そういう事があったんだ」

 

「まぁいつものことなんだけどね、でも流石に今回は堪えたよぅ…」

 

「確かに、そのまま行ったら存在が危ういもんな」

 

「今考えるとあんな旨い話なんてある筈ないのにね。馬鹿だからつい騙されちゃうんだよね」

 

「それが元で勝手に因縁つけられて、鍛冶仕事すら出来なくなって」

 

「誰からも相手にされなくなっちゃったって訳。もう私、誰を信じたらいいか分からないの…!」

 

「…」

 

「ねぇ、教えて?私は誰を信じたら良いの?」

 

「それは…」

 

「俺らだよーん!」

 

『!?』

 

 

振り向いた先にいたのは、金髪チンピラ三人組。全員もれなく釘バットスタイルである。

 

 

「こいつらよ!さっきの話に出た張本人!」

 

「なるほど、完全に一致だ。なんの用だ?まさか、あんだけやってまだいじめ足りないってのか?」

 

「そのまさかだよ」

 

「ほんっと、どうしようもねーな」

 

「お褒めいただき感謝するぜ、お礼に目にもの見せてやらあ」

 

 

言うや否や、チンピラ達から妖気が溢れ出す。背筋が凍る錯覚を覚えた自転車バカだが、小傘は傘を庇いながら言った。

 

 

「貴方たち…やっぱり妖怪だったのね!

同じ妖怪なら容赦しないよ!霊夢に比べたらカスだもの!」

 

「んだとクソガキィ!?」

 

「待たんかいコラア!!」

 

「ああん!?」

 

「後で掛けなおす!」

 

『電話かい!!』

 

 

盛大にズッコケた三人を見て、小傘が閃いた。

 

 

「……今だ、喰らえ!対人間驚かせ用に開発したオリジナルスペルカード!

驚雨”ゲリラ酸性雨”ー!」

 

 

三人を覆う程度の暗雲が発生し、バケツをひっくり返したような酸性雨が降り注いだ。

 

 

『あだだだだ!ら、らめえええ!(物理的に)溶けちゃうううう!

はだし○ゲンみたいになるううう!』

 

「ふん!どんなもんよ!」

 

「いや、仕事しろ伏せ字!"つのだ☆ひろ"みたいになってんぞ!」

 

『そこまでだ!手間かけさせやがって!我らのアイドルに何してくれとんじゃゴミがあああ!』

 

「何もしてねーのに偉そうだなオイ!

ってかすっげー良いタイミングで来んなお前ら」

 

『全部そこで見てました!』

 

「なら加勢に来いやボケえええ!」

 

 

続々と到着した小傘ファンクラブの会員が、チンピラ達を縄で縛り上げていく。それを見て、小傘がボソッと呟いた。

 

 

「こんなにわちきのファンって居たんだ…」

 

「お前は決して独りじゃないよ。そもそも俺が最初に見かけたのだって偶然じゃないもん」

 

「そうなの?」

 

「ここ最近姿が見えないから心配してたんだぞ?」

 

「小傘ちゃんは俺たちの太陽だからな!」

 

「こんな感じで今日はずっと小傘ちゃんの話題で里が持ちきりだったんだ。だから探してたんだよ。文さんにも頼まれたし」

 

「じ、じゃあ最近相手にしてくれなかったのは?」

 

「そこでくたばってるチンピラ共を探してたからさ。そういや言うのすっかり忘れてた、さーせん」

 

「余計なおせっかいだったかい?」

 

「ううん…嬉しい、すっごく嬉しい!みんなありがとう!」

 

「何のこれしき!小傘ちゃんの笑顔で俺らはいつだって元気になるんだ!」

 

 

盛り上がるファン達を尻目に、自転車バカは腕の装置を漁る。

 

 

「しっかし、これが事件の発端になった写真かぁ」

 

「あ、それ撮られてたんだ」

 

「はたてが念写で撮ったんだと、ちょっと使わせて貰ってもいいかな?」

 

「何に使うのさ?」

 

「今週の俳句モデルだ。内容はそうだな…」

 

 

                    夜の路地 響く時雨が むせび泣き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。

 




おまけ。

小傘「"物陰から飛び出すよりも驚いて貰える方法を教えてあげよう"
って路地裏に誘われてレ○プされかけて本体ごとボコボコにされるって中々のバカだよね」

自転車バカ「しかもその瞬間を狙って念写されるというね」

チンピラ達『マジすんませんでした』
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