東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第13話「秋を祝おう」

午前9時。

 

ここは人里のメインストリートから少し離れた場所にある住宅街。その中のアパートに、1人のボケラーがログインした。

 

 

(う〜寒ぃ、昨日までも充分寒かったけど今日は特に冷えるな。やれやれ、窓なんか結露で真っ白じゃねーか…ん?真っ白?)

 

 

ふと思い立って窓を開けると、予想通りと言えば予想通りな風景が飛び込んできた。目の前に広がる住宅街が、雪化粧をしているではないか。このまま眺めて過ごすのも悪くないのだが、ある人物と会う約束を思い出し、出掛けることにした。

 

普段と違う景色を楽しみながら歩くこと10分、寺子屋の近くに差し掛かった所で、公園から無数の笑い声が聞こえてくる。よく見ると大妖精とチルノが子ども達と雪合戦中だったので挨拶すると全員が手を止めて振り返り、チルノが声を掛けた。

 

 

「あ、自転車バカだ。おーい!こっち来いよー!」

 

「おいっす、久しぶりー。舞踏会以来だな」

 

「言われてみればそうだなー。もう怪我は治ったのかー?」

 

「それくらいは見て分かろうよチルノちゃん…

あ、お久しぶりです。あの時は乱入してすみませんでした」

 

 

深々と頭を下げて謝罪する大妖精を、自転車バカは笑いながら制する。

 

 

「いや、謝ること無いって。むしろ盛り上がったし。ついでに尺稼ぎも出来たからね、一石二鳥って奴だよ」

 

「そうだよ大ちゃん、こいつの言う通りじゃん」

 

 

とチルノが頭の後ろで手を組んで呑気に言うと、子ども達が代わる代わるツッコミを入れた。

 

 

「お前は反省しろ!」

 

「いて、何するのさ!」

 

「うるせえ!お前がバカルテットのメンバー全員引き連れてステージに上がるからこの人びっくりしてたじゃねーか!」

 

「うっ」

 

「それにあの時ノープランだったろ!大ちゃんの

"何も考えて無かったの!?"

って声、スタンドマイクが拾ってたぞ!」

 

「そ、そうだったんだ…//」

 

「まぁ落ち着こうぜ、尺稼ぎ出来たってのは事実なんだしさ」

 

「気遣って頂いてありがとうございます、自転車バカさん」

 

「……アンタは優し過ぎるんだって。叱る時は叱らなきゃ」

 

「そんなに優しいか?普通じゃね?」

 

「優し過ぎだよ、現に僕たちがタメ口聞いても怒らないじゃないか」

 

「そりゃそうだけど…」

 

 

その時。フェンスの向こう、教室の窓から慧音が呼びかけた。

 

 

「おーい、そろそろ大休憩終わるぞー!」

 

「ほらチルノちゃん、戻ろう?」

 

「むぅ〜」

 

「一番遅い奴は頭突きだぞー!」

 

『それだけはやめてー!』

 

(血相変えて走るほど痛いのか…あ、なんか急に寒気が。俺も喫茶店に避難しようかな)

 

 

程なくして到着。店内は昼前という事もあり、いつもより賑わっている。

 

 

(さて…どこに座ったものか)

 

「あ。自転車バカさーん、こっちですよー!」

 

 

声がした方角に居た人物。瞳は赤色で髪は黒髪のセミロングだ。服装は紅葉色のジャケットにキャスケット帽をかぶり、ショルダーバッグをかけたジャーナリスト然とした出で立ちをしている。

呼ばれるままに席へ座り、ネックウォーマーを外した。

 

 

「なんだ、もう来てたんすね文さん」

 

「まぁ最速の異名を持つ者としては、これくらい昼飯前ですよ」

 

「…もしかして腹減ってます?」

 

「もしかしなくても減ってます。冬の朝が苦手なのは知ってるでしょう?今朝だってトーストとコーンスープしか食べてないんですから」

 

「よくそれだけで持ちま」

 

「あ、店員さーん!注文お願いしまーす!」

 

「聞けよ!」

 

 

10分後、頼んだ品を綺麗に片付けた文はお腹をさすりながら満足げに言った。

 

 

「ふぃ〜、これで明後日まで何も要らないですね」

 

「まぁ、そんだけ食えば十分でしょうよ。あ、それはそうと…」

 

 

遮るように扉が開き、(農)が四人入ってきた。

 

 

「いらっしゃいませー!!空いている席にお座り下さいねー!!」

 

「………」

 

「…なぁ、マジでどうする?このままじゃ」

 

「んなもんおめーが言わなくても分かってるさ。ここに居る4人全員がな」

 

「穣子さま…」

 

 

「…自転車バカさん?」

 

「なーんか重たい雰囲気ですねあいつら、何言ってるか聞き取れないけど」

 

 

気にかかりそのまま眺めていた2人だが、胸ぐらを掴んで殴り合いを始めそうになったので慌てて止めに入る。(農)が緑色のオーラに包まれて唖然としているところで事情を聞く。

 

 

「何があったか知らないけどさ、暴力だけで解決するってのは関心出来んな」

 

「ここは人々の憩いの場です、決して争いの場ではありません」

 

『こ、これは一体…?』

 

「何があったのか話してくれるんなら解除するよ、ここじゃ迷惑になるから外でな」

 

 

会計を済ませて店を出る。通行の邪魔にならない場所まで行くと、着くや否や言った。

 

 

「その」

 

「待て、俺から言う。元はと言えば俺が言い出した事だからな。実は…」

 

 

 

 

「なるほど、それは厳しいなぁ」

 

「だろ?あそこまで落ち込まれるとドッキリ仕掛けた側としても辛くてな…」

 

「収穫祭がフードフェスタに形を変えてから信仰も供物もさらに減り始めたのもあってよ、流石に見てられないからどうにかして喜んで貰おうと思ってな…」

 

「やっぱり、伝統行事が俗化したのはまずかったか…

それでサプライズパーティーをしようと?」

 

「そうだ。信仰は俺らが生まれる前からあった問題だからすぐにどうにかする事は出来ねぇ、それは分かってるんだ。でも…」

 

「このまま放っておくと次の秋までに信仰が本当に消え失せるかも知れねえ。それだけは絶対に防がなきゃならねえんだ!」

 

『頼む!お二方を救いたいんだ!力を貸してくれ!俺たちの一生のお願いだ!』

 

「……」

 

「自転車バカさん、ここまで真剣にお願いされて断る理由は?」

 

「ない!」

 

 

頭を上げ口々に感謝の言葉を述べる(農)。

その後の話し合いでパーティーの準備が整うまでの間、今週の俳句モデルに秋姉妹を選ぶことでどうにか気を引く、という形に収まった。勿論、文の旦那である穂谷野(雷様)を介して旦那達の協力を仰ぐ事も確定だ。

 

 

「何もそこまでしなくても…」

 

「何言ってるんですか、こういうのはどこからバレるか分からないんですよ?協力者は多い方が良いんです」

 

「その人の言う通りだ、今の時期お二方は当てもなく幻想郷中を彷徨ってらっしゃるからな」

 

「それに、俺らの様子がおかしいのに気付き始めてる。バレるのは時間の問題だ」

 

 

腕を組み、そんなものかと考えていると、視界の端に秋姉妹が映った。

 

 

「…っ!言ってる側から来たし!じ、じゃあ手筈通りに!」

 

 

「…ねぇ、手筈通りって何?もしかして信仰が減ったのは、貴方の仕業だったの…?」

 

「…そんなに秋はお嫌いかしら…?」

 

「え、あ、いや、その…(えっ、早くもばれた!?)」

 

「否定しないということは、肯定と受け取って良いのよね…?」

 

 

返答に困る自転車バカを見て、文と(農)達が素早くフォローに入る。

 

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!誤解ですって!(大丈夫です!発言内容から察するにまだ大丈夫です!)」

 

「そ、その人の言う通りです静葉様!穣子様!(おい、誰か援護してくれ!)」

 

「…何がどう誤解だと言うの?」

 

「じ、実は今週の俳句モデルにお二方が選ばれたんです!(すまん、これで精一杯だ!後よろしく!)」

 

「………」

 

「あ、あの〜、もしもし?(黙っちゃったよ!どーすんだよこれ!?お前後で覚えとけよ!)」

 

「えーー!?遂に選ばれたのーーーー!?」

 

『…は?』

 

 

先程まで固まっていたのが嘘のように元気を取り戻し、生気を失っていた目も輝きだす。唖然とする自転車バカ達を他所に、二人は手を取ってはしゃぎまわった。

 

「え、あの、今週の俳句モデルってあれでしょ!?大昔に現世で流行った"ミスコン"と同じくらいの価値があるっていうアレでしょ!?」

 

「しかもしかも!年間表彰で一位だったら翌年1年間は"幻想郷で最も女子力の高い妖怪"って肩書きが付くんでしょう!?」

 

『キャーーー 』

 

(……なんか"喜びの舞"みたいなの踊り出したンスけど。ってかアレそんな大層な肩書きついてんすか?)

 

(あやや。まぁ仕方ないですね、対象者の写真は全て綺麗に映るように撮ってるわけですし)

 

(なあ農民さん。これは多分セーフだよな?)

 

(…と、とりあえずはバレてねぇみてーだし、結果オーライだ)

 

「…!そ、そうなんですよ〜!いつお伝えしたら良いか相談してた所だったんです〜!(自転車バカさん!今こそ援護を!)」

 

「あ、あの!ここで話すのもアレですし、あの喫茶店に入りませんか?(援護ってこれで良いの!?間違ってたらマジゴメンね!)」

 

「…!そ、それもそうね。行くわよ、穣子//」

 

「そ、そうね、お姉ちゃん///」

 

『では、我らはここで失礼します』

 

 

(農)達と別れて先ほどの喫茶店へと入り、秋姉妹が落ち着いた所で本題へと入った。

 

 

「…じゃあ近いうちに写真を撮らせて頂くという事で宜しいですか?」

 

「ええ、それでお願い。穣子、異論は?」

 

「特に無いよ!」

 

「なら決まりですね、用事があるんで俺は失礼します。(文さん、穂谷野さん達に知らせてくるから時間稼ぎ頼んます)」

 

「行ってらっしゃーい」

 

「それなら私たちは一昨日レティさんと雪合戦した話でもしましょうか?」

 

「何それ無茶苦茶気になる」

 

 

 

 

 

 

 

(さて、一軒一軒回るか。その方が誠意も伝わるだろうし)

 

 

かくして、どうにか気づかれる事なくパーティーの準備が整っていった。

本来なら一軒ずつ旦那たちの家を回る筈だったが、穂谷野(雷様)の

「なんだ、そんな事なら私から皆に伝えておくよ」

の一言で全て解決した。集った協力者の名に自転車バカが知らない人物が多かったのは言うまでもないだろう。妖怪の山中腹にあるコンサート会場を利用した事もあり、2週間程で全ての準備が整った。

 

そして当日、ログインした自転車バカはそのまま秋姉妹を迎えに行く。

" (農)が連れて行くと途中で感づかれる"

という理由で案内役に選ばれたのだ。教えて貰った住所に行き、にとり特製の四輪駆動型人力車に乗せて目隠しをさせる。

 

 

「ねぇ、随分と揺られてるような気がするのだけど、何処に連れて行ってくれるの?」

 

「それを言っちゃあつまらないじゃないですか、もう少し待ってて下さい」

 

「そうよ。目隠しがある以上、黙ってついていくのがレディの嗜みというものよ」

 

(お姉ちゃんは大人だなぁ…)

 

 

さらに揺られる事10分、人力車ごとロープウェイに乗り込んで会場へと向かう。動き出しの振動でびびったのか、姉妹揃って軽い悲鳴をあげる。あら可愛い。

 

 

「ちょ、ちょっと!本当に何処へ行く気なの!?」

 

「今 ゴトン って言ったわよ?」

 

「おおっと、目隠しを取って良いとは言ってないですよ?後少しですから、落ち着いて下さい」

 

『むぅ〜』

 

(またハモった)

 

 

ロープウェイを降り、会場へと駆ける自転車バカ。視線の先では皆が息を殺して並んでいる。勿論、笑顔でだ。

 

 

「…さ、大変長らくお待たせしました。もう目隠しを取っても構いませんよ?」

 

『…………!?』

 

「せーのぉ!」

 

『ドッキリ、大成功ーーーー!!』

 

 

くす玉が割られ、クラッカーが鳴り響き、横断幕が張られる。書いている字は

 

 

『秋姉妹特別感謝祭…?』

 

「それについてはあの四人衆から説明があります。さぁ、降りて下さいな」

 

 

(農)に手を取られ、人力車から降りる姉妹。困惑する二人に(農)が話しかける。

 

 

「黙っていて申し訳ございません。これは、我々からの感謝の印です」

 

「……感謝?」

 

「お二方の信仰や供物が減少傾向にあったのは、我々も重々承知しておりました。どうにかせねば、と思っていたのですが」

 

「我らに出来る事は限られています。なので、今回はこういう形を採りました」

 

「全てはあなた方の喜ぶ顔見たさです…お二方が沈んでいては、我々も悲しくなるのです」

 

「あなた達…」

 

 

少し瞳がうるんでいる秋姉妹に、文が止めを刺しに行く。

 

 

「私からも一言良いですか?」

 

「どうぞどうぞ」

 

「秋に関連する妖怪や精霊はあなた達の他にも居ます、これは周知の事実です」

 

「…確かにそうだね」

 

「ですが、他に居ますか?毎年収穫祭と称して皆が崇める程の妖怪が。

神社を建てられる程に、人々から崇拝される精霊が」

 

『…!!』

 

「もう昔とは違うんです。

もう、お二人が消えて喜ぶ人なんて居ません。

 

あなた方はこの幻想郷で唯一、 秋を司る神様 だと言うことをお忘れなく」

 

 

秋姉妹が泣き出す中、それを上回る声で自転車バカ達がこう叫ぶ。

 

 

「「野郎共!宴を楽しむ覚悟は良いかーー!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

割れんばかりの歓声が会場中に響き渡った。

 

祝杯を挙げて盛り上がっていると、自転車バカが呟いた。

 

 

「あ、忘れる所だった」

 

「どうしたんです?」

 

「さっき文さんが撮った写真、アレ俳句に使っても良いですか?」

 

「アレって…あぁ、秋姉妹が泣いてる写真ですか?良いですよ」

 

「ありがとうございます、句はそうだな、どうしようか…」

 

「それならこういうのはどうです?参考までに」

 

 

冬の朝 感涙消すかの 感謝祭

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




申し訳ございません、急遽書かねばならない短編が出来たのでそっちを優先します。
pixivに投稿次第、こちらも再開致します。
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