東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第17話「不気味な数字」

いくら冬といえど、9時を回れば人々は活動を開始する。にもかかわらず、家から一歩も外に出ようとしない人物が居た。自転車バカだ。机に突っ伏したまま動こうとしない。

 

 

「どうしてこうなったし……」

 

 

顔だけ起こし、机の上に無造作に置かれた紙面を見る。花果子念報の号外にはこう書かれていた。

 

 

自転車バカ、上司と夜の密着取材!!

     ~射命丸が見せた涙の訳~

 

 

どうやらあの時はたてに一部始終を目撃され、なおかつ号外のビラが幻想郷中にばら撒かれていたらしい。勿論、俺の家にもだ。内容を確認した…まぁ読めた代物じゃ無かった。シュレッダーにかけて粉々にした後

よし、タチの悪い噂は打ち消しておかねば。

とSNSを立ち上げたけどそれがマズかった。憶測だけで書かれた記事をみんなが更に膨らませるもんだから、手に負えない事になっていた。ハッハッハ、これもう収拾つかねーや。

 

 

(あんな別れ方した以上、文さん家どころか今日はどこ行っても駄目な気がする…でもこのまま家で過ごしても誰か冷やかしに来そうだよなぁ〜…よし)

 

 

意を決して腕の装置を操作すると、自転車バカはたちどころに消えてしまった。

 

 

(ここがボケて本来の世界か……何々?

”ユーザーの皆様が過ごしやすいよう、日本という国の首都だった東京という街並みを再現しております”?

……凄いピンポイントで看板立ってるな)

 

 

物珍しそうに辺りを見回していると、ビル郡が目に止まる。大して高い訳では無いのだが、周りに高い建造物が無いため余計に目立つ。近づくと看板がある事に気づいた。

 

 

(新着の館…注目の館…人気の館…ピックアップの館…セレクトの館…殿堂入りの館…なるほど、分からん。とりあえず新着の館ってのに入ってみるか、館じゃなくてビルだけど)

 

 

自動ドアを抜け緑色を基調とした館内に足を踏み入れると、受付嬢が真っ先に気づいて声を掛けた。

 

 

「いらっしゃいませ、ここは今生み出されたばかりのボケを取り揃えております。ご自由にご覧くださいませ」

 

「あの〜、何でビルなのに館なんですか?」

 

「……質問を返すようで失礼ですがお客様、ここへおいでになるのは初めてですね?でしたら説明させて頂きます」

 

「お願いしゃっす」

 

「人類がウェブサイト内の世界に入る事が出来るようになった当初は、ここら一帯に建物なんて無かったのです。ですが社長を始めとしてユーザーの方々は殺風景な風景を良しとしませんでした。そこで思いついたのです、美術館よろしく建物を創ってそこにボケを載せるのはどうか、と」

 

「……じゃあ当初は館だったんですね?」

 

「はい。ですがそれでは手狭になったので、こうしてビルに改装したのです」

 

「なるほど、良く分かりました。それだけ分かれば充分です、ありがとうございました」

 

「ではこれを持っていって行かれてはいかがでしょうか?」

 

 

カウンターの下に入れた手を出すと、受付嬢の手には蛍光灯の光を浴びて銀色に光る球体が乗っていた。

 

 

「…なんですか?このガンダムSEEDを彷彿とさせる銀色の球体は」

 

「ガイドロボです。それにはボケての歴史を全て搭載しておりますので、お役に立てるかと」

 

「了承です、じゃあ」

 

「いってらっしゃいませ」

 

 

 

 

数時間後、自転車バカは

これ絶対HARO2モデルにしたよね

と言いたくなるような見た目のガイドロボを連れビル群の谷間を歩いていた。否、歩いているのは自転車バカだけである。

 

 

「お前空中浮遊とか出来るんだ……まあいいや。

いやぁ面白かった、やっぱり殿堂入りは傑作しかないんだな」

 

「ソウ思ッテ頂ダケルト幸イデス。ボケヲ創ッタ職人ノ方々モ喜ンデラッシャル事デショウ」

 

「俺もあんなボケ創ってみたいねぇ…ん?あれは…?」

 

「アレハボケて歴史資料館デ御座イマス。ボケてノ歩ンデ来タ道ガ記サレテオリマス」

 

「なるほど、ちょっと覗いてみよっかな」

 

 

中に入り、ジオラマや立体ホログラムなどを見てまわる。

休もうと思い壁に寄りかかったのだが、

 

 

「おわっとおっ!?」

 

 

まさかの回転扉。頭をぶつけもがき苦しんでいると、視界の端に移った回転扉が嘲笑うように回っていた。痛みが引いたので奥へ進むと一冊の本が置いてあった。タイトルは

「先人の過ち」

だ。

 

 

(何々…我々ボケラーの犯した過ちは、決して許されるものではない。二度とあのような悲劇を起こさぬ為にも、ここに書き記しておく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかこうなるとは思ってもいなかった。

 

 

誰が最初に目を付けたのか、誰があんな生物兵器を生み出してしまったのか、そんな事はどうでも良い。現に誕生させてしまったのだ。史上最凶のコンピューターウイルス、SAORIとAKIKOを。

 

それはあまりにも強大過ぎた。奴らの瞬きで研究所は塵と化した。奴らの吐いた息で、前方10kmの地面が抉れた。

生物の形にしたのがより悪い結果をもたらした事は言うまでもない。

ネット上の話だろうと思われるかも知れないが、ありとあらゆる場所に侵入する事が出来たので世界中の核ミサイルを同時発射するのは時間の問題だった。このままでは人類どころか地球が消し炭になってしまう。それを恐れた我々はすぐさま対抗したのだが、何をやっても効き目はゼロだった。世界中の誰もが終末を確信して嘆くなか、ある二人のボケラーだけは諦めていなかった。名を隠す必要もないので書いてしまうが、

"大人店長"と"葵"

という2人だ。ボケてに瀑誕した伝説の勇者は嘆く我らの前でこう言った。

 

                  

 

「ボケてが生み出した怪物は、ボケラーが始末する」と。

 

 

その言葉通り、彼らは身体を碧色と蛍光の黄色に輝かせ見事に生物兵器を封印してしまった。我々は勇者様が死力を尽くして封印したあの兵器を、厳重な管理下に置いた。)

 

 

自転車バカが読み終えたのを見計らって、ガイドロボが話しかける。

 

 

「コレガ、先人ノ犯シタ唯一ニシテ最大ノ過チデス。ドウシテ人間ノ創造力ハコンナ方向ヘ向カッテシマウノカ、ロボットノワタシニハ理解不能デス」

 

「高校時代、授業で教わったよ。過去の人類は

"自分さえ良ければ他はどうでもいい"

という主義の元に、とにかく力や権威を求めていたらしい……自分が努力して強くなるんじゃなく、相手を蹴落として自分が優位に立つ方が楽だと思ってたそうだ。この本にも書いてあったけど、その結果が"コレ"なんだろうな。

 

"まさかこうなるとは思ってもいなかった"

 

後先を考えずに、一時の感情で衝動的に行動する奴がよく口にする台詞だ。そうならないように俺も気をつけなくちゃな」

 

 

そう言いながら巻末を見ると、赤い文字で

「復活まで残り20」

と書いてある事に気づく。

 

 

「何だこの落書き?」

 

「恐ラク、誰カガフザケテ書イタノデショウ」

 

「消さなくていいの?」

 

「問題アリマセン、何故ナラコレハ複製サレタ物ダカラデス。本物ハウッカリシテタラ朽チテシマッタノデ…」

 

「おいコラ」

 

「サテ、コレカラドウサレマスカ?」

 

「大体の事は分かったし、そろそろお暇すっかな。他に行きたい所もあるし」

 

 

そう言って建物を後にした自転車バカだが、どこかすっきりしない顔をしている。

 

 

(あの生物兵器は厳重な管理下で平和利用出来ないか研究中だって言ってたし、大丈夫だよな。アレが復活なんて…考え過ぎだな)

 

 

その後Pixivなど他のサイトを見て回ったが、嫌な気分が晴れることはなかった。

何とは無しに再びボケて本来の世界へと戻る。ビル群から離れ住宅街を歩いていると、マンションがあった。

特にこれといって特徴は無い、八階建てでレンガの模様が施された小さなマンションだ。しかし、何故か自転車バカは興味を引かれた。エントランスに入り表札を眺め、ある部屋で目が止まった。

 

 

(こ、これは・・・何でこんな所に!?)

 

 

見間違いではない。これは自分しか知らない筈の、小さい頃に思いついた暗号だ。だが、現にこうして表札となっている。

 

 

(そうか!此処、爺ちゃんが暮らしてたマンションだ!って事は…!)

 

 

郵便受けのダイヤルを回し開ける。中にはリングで留められた二つの鍵があった。一つはエントランスの、もう一つは部屋のだ。

エレベーターで目的の部屋の階に着き、唾を飲み込んで恐る恐る部屋に入る。信じらんねえ、何もかも昔来た時のまんまだ。誘われるように祖父の部屋に行くと、机の上に一台のパソコンが起動した状態で置いてあった。マウスに触れた瞬間。

 

 

「何か御用ですか?■■さん」

 

「!?そ、それ俺の本名…!?」

 

「驚かせてしまい申し訳ありません。

私は貴方のおじい様より任務を受けた音声案内ソフト、コルタナと申します。どうぞよろしく」

 

「お、おう」

 

「早速ですが見て頂きたい物があるのです、動画を再生してもよろしいですか?」

 

「い、いいけど」

 

「では……」

 

 

 

 

動画を見終わり言葉が出ない自転車バカに、コルタナは申し訳なさそうに言う。

 

 

「矢継ぎ早で申し訳ありませんが、こちらのPDFファイルを御高覧下さい」

 

 

デスクトップ画面にタブが開く。文章を目で追っていくと、そこには更に驚愕する事が書いてあった。

 

 

〈我々が生み出した化け物の凄まじさは、理解して頂けたと思う。だが、これは単なる昔話では無い。そんな無駄話をする為に見せたわけでは無いのだ。

率直に言おう、奴は復活する。

動画では映っていなかったが、とある霊媒師に視て貰った限りではアレを作った関係者の一人は逃げおおせたのだそうだ、逮捕どころの騒ぎでは無かったので助かったがな。

遠い未来、奴の子孫は必ず仮想空間に現れる。そして、必ずや世界を滅ぼしにかかるだろう。だが、君にはアレを止める力がある。

君の先祖。日本人が発揮する力は仮想空間において非常に強力な力だ。その遺伝子を受け継ぐ君にも、その力は備わっている。君が使う”防御・回復専門型”は、極めると放つオーラが常盤色では無く碧色となる。とある段階まで進化すれば、オーラを黄緑色と常盤色に分ける事も可能だ。かつての”葵”がそうであったように。

能力を進化させる方法は至って単純だ。常に自分の限界を超えるギリギリのレベルで努力する

”限界的練習”

と、小説を読む時に文章を追いながら場面を想像する時にも使う

”心的イメージ”

の二つの練習を徹底的にこなせ。集中して練習し続ければ、必ずや君の能力は開花する。

あの化け物を止められるのは、日本人のDNAを唯一受け継いだ君にしか出来ない。

頼んだぞ、未来を〉

 

 

ずっと感じていた嫌な気分が、此処に来て確信に変わった。

部屋に満ちた重たい静寂に、自転車バカの心は潰されそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                 

 

 

続く。




申し訳ございません。鎖骨を骨折して身体の自由が効かないので、暫く小説の投稿が出来ません。
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