東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第18話「仲直りミサイル」

(うーむ、にとりさんが電話に出ない……忙しいんかな?)

 

 

"あの日"から数えて、3日ぶりのログインとなった自転車バカ。雑誌の件で電話を掛けているのだが、先ほどから何度かけても

[ただいま留守にしております。ピーという発信音の後に、お名前とご用件をお話下さい]

という音声しか聞こえてこない。諦めて通話を切る。

 

 

(そういや、作業に集中する時は携帯をマナーモードにするとか言ってたっけ。だったら直接行くか。そのほう……)

 

 

「自転車バカさん!?居ますか?居るならドアを開けて下さい!」

 

「!?そ、その声は文さん?」

 

「あぁ、今日は居るんですね。良かった…じゃなくて!」

 

「あぁはいはい。今開けますよ」

 

 

相変わらず心臓に悪いタイミングだが、いつもと違いかなり慌てふためいている様子。玄関を開けると声色通り、焦燥感を全面に押し出していた。

 

 

「何でそんな焦ってるのか知らないけど、とりあえず中に入ったらどうです?」

 

「本来ならそうするべきなのでしょうが、今はそんな悠長な事言ってられないんです。アレを見て下さい!」

 

「アレって………!?」

 

 

外へ出て、文が指差す方角を見る自転車バカ。その先は妖怪の山なのだが、どこかおかしい。

 

 

「……文さん」

 

「言わんとする事は大体想像がつきますが何でしょう?」

 

「何すかあの砲台みたいな突起物は?この距離から見えるってそうとうデカイっすよ?」

 

「現在調査中ですが、おそらく見た目通りかと」

 

「それからもう1つ。アレとにとりさんの携帯が通じないのは関係あるんすか?」

 

「あるも何も、アレ作ったの彼女ですから。昨日の夜には無かったんですが、朝起きたらああなってました」

 

「マジかよ…で、本人は何て?」

 

「昨日の夜、彼女がツイッターで

"にとり's工房が売れない…"

と呟いたのが最後です。それ以来連絡がつかなくって……」

 

「売れないから大砲?うーむ、さっぱり分からん」

 

「椛を現場に向かわせたのでそろそろ連絡が……来た」

 

 

振動するスマホを取り耳に当てると、通話口を遠ざけたくなるくらいの声が聞こえて来た。

 

 

[もしもし、こちら椛!文様、応答願います!]

 

「あんたにしては時間かかったじゃない、何かあった?」

 

[申し訳ありません、にとりの家に結界が張られていたので解くのに手間取ってしまいました]

 

「面倒なことを……それで?肝心の彼女はどうだったの?」

 

[それが……]

 

 

椛が次の言葉を発する前に、二人の元へ霊夢がやってきて疑問を口にする。

 

 

「ちょっと、何なのよあれは!」

 

「霊夢さん!どうしてここへ?」

 

「久々に勘が働いたのよ。気がつけばあんな物がそびえ立ってるし」

 

「相変わらず冴えてますね…流石博麗の巫女」

 

「で、あれは何?」

 

[今メインシステムらしき物体がある部屋に居ますが、画面を見る限り……これは本を積んだミサイルみたいですね]

 

「本?だったら放っておいても大丈夫なんじゃないの?」

 

[それが、そうもいかないみたいで……]

 

「にとりはどこに居んのよ?本人に説明させりゃいいじゃない」

 

[すぐそばに居ますが、彼女は使い物になりません]

 

「どういう事?」

 

[精神撹乱剤でも持っていたのでしょう、目の焦点が定まっていません。よだれ垂らして笑ってます]

 

『うわぁ……』

 

「そ、そのメインシステムとやらを止めることは出来ないの?いくら中身が本でも見た目が物騒だから勘違いされるわ。

下手すりゃ戦争が始まりかねないし」

 

[………]

 

「ちょっと、今のツッコミ所でしょうが」

 

[そうですね、本当に戦争が始まりそうです]

 

『はい?』

 

[今気が付いたのですが画面の表示に

松ダイナマイト

とあります]

 

「ダイナマイトの中でも最も威力が高いと言われる松ダイナマイトですって…!?

なによそれ…それじゃ唯の大量殺戮兵器じゃない!」

 

「椛、ミサイルの大きさってどのくらい!?」

 

[全長が178cmで、直径が30cmです。完全にダイナマイトを元にしてますね。こいつらがあと数十分で発射します]

 

 

一瞬、霊夢と文が黙りこむ。だが、すぐに声を揃えてこう叫んだ。

 

 

『はぁ!?』

 

「ちょ、すぐに止めなさい!」

 

[今やってます!けどここにも結界があって…発射までに間に合いそうもないです!]

 

「また結界!?ホント面倒な事を……!」

 

 

苛立つ霊夢だが、そこは博麗の巫女。頭を掻き毟りつつも幾つかのパターンを想定した上で問いかける。

 

 

「椛、着地点はどこ?」

 

[えっと、紅魔館…人里…魔法の森…博麗神社…妖怪の山です。にとりは何がしたいんでしょう?]

 

「クーデターでしょ」

 

[ど、どうしたら……!]

 

「文、着地点に居る妖怪に片っ端から連絡して」

 

「な、何て言って…?」

 

「どうせ逃げろって言っても聞かないだろうから迎撃してもらうわ」

 

「出来ますかね?」

 

「やらなきゃ自分らの家が駄目になるだけよ。それに、あんなのが炸裂したら周りにも被害が及ぶの。断る意味はないはずよ。ほら、時間無いんだからはやくして」

 

 

言われた通りに電話を掛ける文を横目に、霊夢はボケっとしていた自転車バカにも指示を与える。

 

 

「あんたにも協力してもらうわよ、自転車バカ?」

 

「え?」

 

「え?じゃないわよ、あんたの力があれば私の労力が半分で済むの。だから協力して。因みに拒否権はないからね?」

 

「いや、断るつもりはないけどさ…俺に出来る事あんの?」

 

「あんたの能力を使うわ」

 

「能力って…これ?」

 

 

右手に力を入れて、ソフトボール程の球体を作る。

 

 

「そう、それ」

 

「これでミサイル防ぐのか?確かに防御&回復型とは言われたけども…橋直すくらいしか出来んぞ?」

 

「防げるわよ、出力を最大にすれば良いんだから」

 

「最大って……具体的にどうすれば?」

 

「順を追って話すわ。以前にとりに絡んだチンピラ追い払おうとしてブチ切れたことあったでしょう?」

 

「あぁ、あったねそんな事」

 

「あの時、普段と色が変わったのは覚えてる?」

 

「そういえば黒っぽい色だったような…ってか見てたような言い草だな」

 

「見てたも何も偶然近くに居たし。あの状態なら私の"夢想封印"がギリギリ防げないくらいの強度にはなるわ」

 

「マジで!?アレそんな強かったの!?俺すっげえ!」

 

「集中」

 

「え?」

 

「話は最後まで聞きなさい」

 

「さ、さーせん…」

 

「でもその程度の強度じゃ足りないから、合図したら"ソレ"を限界まで展開してちょうだい、"二重大結界"と"拡散結界"で強化&援護するから」

 

「おぉ、何とも心強いお言葉…」

 

「あら、連絡は終わった?」

 

「はい。霊夢さんが仰ったとおり、皆さんとてもノリノリでした」

 

「だから言ったでしょう?あんたは穂谷野と一緒にここで迎撃に当たって、一番手薄だから」

 

「了解しました、連れて来ます!」

 

 

 

 

「あ、そういや博麗神社は?」

 

「あそこは大丈夫よ、だって萃香と勇儀がいるもの」

 

「鬼が二人かよ…それなら大丈夫だな」

 

 

様子を想像して思わず鼻で笑っていると、自宅まで向かった文が戻ってきた。

が、自分のように旦那を抱えてはいない。

注意して見ると、文の傍で黒い雲に胡坐をかいて座る人が居る。

青いスーツを着た穂谷野(雷様)は、勾玉のような模様が三つ入った小さな太鼓をリング状に八つ浮かべている。雲からは絶えず、小さな稲光が走る。

 

 

「すっげえ…空飛んでる…!」

 

「そういえば、この姿を見せるのは初めてだったね。私はスイッチを入れるとこうなるんだ、中々便利だよ」

 

「"此処"に住まうボケラーは沢山いますが、飛行出来る能力を持っているのは私の旦那様のみです」

 

「あぁそれから、他のメンバーには私から連絡しておいた。今は心の準備をしているだろう…号砲一発でスイッチを入れられるように」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「椛がSkypeを繋いでいるので参加して下さい、無線の代わりです」

 

[発射まで5分切りました!すみません、やっぱり間に合わないです!皆さんお願いします!]

 

[だってさ、聞こえたかい?勇儀]

 

[あぁ、ばっちり聞こえたさ。こっちは準備万端だ、どっからでもかかって来な!]

 

[テンション高いねぇ…ま、無理もないか。久々に大手を振って暴れられるんだからね!社にゃ塵ひとつ当てないから安心しな、霊夢!]

 

「……頼りにしてるわよ」

 

[咲夜?これが終わったら博麗神社で宴会よ、今の内に門番と一緒に酒の用意でもしてなさい]

 

[ふふっ…畏まりました]

 

[ねぇねぇお姉さま?今日は最高の天気ね!なんだかワクワクしてきちゃった♪]

 

[それもそうね、曇り空なら結界を張る必要もないし。今日は喘息の発作も起きそうにないし]

 

[なんの気兼ねもいらんだろう……スカーレット家の恐ろしさを思い知るがいい!]

 

[ふん!私とアリスが手を組んだら無敵だって事、見せてやるぜ!]

 

[まさかゴリアテを使う日が来るなんて…整備しといて良かった]

 

[わわっ!ど、どうしましょう!?]

 

[ここは私らがやるから早苗は下がってて……でないと本気、出せないから]

 

[これを機に信仰増大だね!]

 

 

霊夢が自転車バカを抱えてアパートの屋根に移り、四人は妖怪の山を睨む。

場数を踏んでいるのか肩に余計な力が入っていない、恐らく文と旦那は大丈夫だろう。問題はコイツだ。

少しでも力を出せるように、肩を叩いて励ます。

 

 

「出番よ、出来る範囲で構わないから展開して」

 

「……おっけい」

 

 

両手を重ねて突き出し、目を閉じる。

あのファイルに書いてあった”心的イメージ”とは即ち、心の中で描く風景や想像力を働かせる事を意味する。

だから小説を読むにも使うなどと書かれていたのだ。

言葉のせいで少し遠回りしてしまったが……

数学で展開図を解く時

能力を使う時

心的イメージは必ず使っている。寧ろ数学に関しては使いこなせるよう、かなり努力してきた。

やって出来ないことは、無い筈だ。

 

身体から溢れ出した黄緑色と常盤色のオーラが、螺旋状に渦を巻いて天へ昇っていく。

 

 

「・・・ッ!?」

 

 

イメージを働かせようとするが、頭が痛みだす。描いた風景にノイズが交じり、上手く出来ない。

これが限界だとでも言うのか。今の俺には、不可能な領域だと。

螺旋が崩れ、オーラが歪みだす。

 

ふざけるな……限界だなんて誰が決めた!

 

ノイズを振り切り、痛みを無視して作り上げる。出来上がったと同時に、椛のカウントダウンが終わり無数のミサイルが発射された。

 

 

『自転車バカ!』

 

「自転車バカさん!」

 

「があああああああ!!!!!」

 

 

雄叫びを上げて展開したシールドは、止まる事なく突き進む。

 

 

「拡散・二重大結界!!」

 

 

シールドにミサイルが衝突した瞬間、耳を塞がなければ鼓膜が持っていかれる程の轟音が轟き粉塵が舞い上がった。

収まったのを感じて目を開けるも、砂埃で何も見えない。

 

 

「ど、どうなったんだ…?」

 

「手応えはあったわ、結界が破られた感触は無かったから大丈夫な筈なんだけど…」

 

[k…聞こえ、m…ますか…?文様、聞こえますか?]

 

「椛?大丈夫なの?喋ってる口だけが無事、なんてオチじゃないでしょうね?」

 

[えぇ、大丈夫です。ちゃんと生きてますよ、にとりも無事です]

 

 

文が通信を取っている内に視界が晴れてきた。

それに気づいた霊夢は目を細め、大きく見開いた。

 

 

「……どうやら、防ぎきったらしいわね」

 

「うっそだろ…!」

 

「これは凄いな…!」

 

 

 

「ねぇ、パチェ?」

 

「……どうかした?」

 

「種族的にはやっちゃいけないんだろうけど、神様に感謝する事があるの……何だか分かる?」

 

「私でも分かるよお姉さま。それは、あの事でしょう?」

 

 

 

「長い事生きてきたが、こんな面白い光景に出会えるとはねぇ…」

 

「昔の人は訳の分からない物事に出くわした時、それを"鬼"と言ったそうだが…今なら分かる気がするな」

 

「同感だね、ありゃ本当の意味での鬼だ」

 

 

 

「なぁアリス…」

 

「何?」

 

「お前、これを魔法で出来るか?私にゃ無理だ」

 

「どうかしら、神綺様なら出来るかも知れないけれど…」

 

 

 

「凄いのは凄いが…どうせならこっちまで覆って欲しかったかな」

 

「それは無茶ってもんでしょ…あの子は人間だよ?妖怪でもなければ、早苗みたいに現人神でも無い」

 

「奇跡だ…自転車バカさんが奇跡を起こした…!」

 

 

 

全員が見つめるその先…正確にはミサイルの着弾地点ほぼ全土を、常盤色の障壁が覆っている。

問題のミサイルは全て障壁で止まっている。全弾がひとつ残らず、破壊ではなく分解された状態でだ。

結界を解いた椛がPCを操作して解析する。

 

 

「そうか…あの人の能力は"防御&回復型"!応用して、ミサイルを組み立てる前の状態に戻したんだ!」

 

「ただし、ニトログリセリンだけは爆発した。あれは衝撃にめっぽう弱いからね」

 

「にとり!正気戻ったのね!」

 

「あんな轟音で五月蝿いと感じない方がおかしいよ、色々と迷惑を掛けたね…申し訳ない」

 

[にとりさん…どうしてこんな真似を?]

 

「すまない、全ては君と文を仲直りさせようと思ってやった事なんだ」

 

[はぁ?]

 

「花果子念報の号外を見て、居ても立っても居られなくなったんだ。このままじゃ、取り返しが付かなくなると…」

 

[そりゃ勘違いだよ、そもそも俺と文さん仲違いなんてしてないし]

 

「え、そうなのかい?」

 

 

一つ、深いため息を付いて頭を掻く。

 

 

[普段から散々

”あんなゴシップ記事信じる馬鹿が居たら見てみたいね”

とか言ってた癖に、まさかアンタが引っ掛かって鵜呑みにするとは……]

 

「さ、さーせん……」

 

「霊夢さん、この騒動の主犯とっちめて貰っていいっすか?」

 

「良いわよ、誰?」

 

「姫 海 棠 は た て」

 

「よしきた」

 

 

その後、はたての姿を見たものは居ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




怪我の具合が少し落ち着いたので今日から更新して参ります。
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