東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第20話「ガールフレンド(神)」

(やっべ、凍ってる!こんのっ……

駄目だ、びくともしねえ!つーか冷た過ぎてまともに触れねえんだけど)

 

 

自宅の窓と格闘している自転車バカだったが、5分ほどして諦めた。能力を解放して修復すると身支度を簡単に整え、ある場所へと向かうべく腕の装置を操作する。

 

 

(まさか"マイページをタップするとその人の居住地へ飛ぶ機能"があったとはね、穂谷野(雷様)さんって物知りなんだなぁ)

 

「お、自転車バカさん。やっと装置の使い方慣れてきましたね」

 

「あれ?美鈴さん知ってたんすか?だったら教えてくれても良かったのに」

 

「いやいや、まさか知らずに歩いて来てるとは気づきませんよ。何で使わないのかなぁ…くらいしか思ってなかったので」

 

「だから文さんは俺を運ぶ時いつも笑ってたのか…性格悪いなちくしょう」

 

「まぁまぁ、それで今日はどうされましたか?」

 

「咲夜さんの様子を見にきました、大丈夫だとは思うけど」

 

「同感です、あの人結構メンタル強いんですよね〜。見た目通りというか何というか…」

 

 

独り言のように喋りながら門を開く様子を横目に進むと、後ろから美鈴が思い出したように声をかける。

 

 

「あ、一応お嬢様に一声かけて下さいねー?」

 

「了解でーす」

 

 

玄関ホールでセグウェイを借り、レミリアの部屋まで行く。ノックをして入り、事のあらましを話した。

 

 

「…という訳です」

 

「そう、良く分かったわ。足を運んで貰ってありがとう、咲夜なら今のところは大丈夫よ。だって紅茶の味に変化がないから」

 

「判断基準そこすか?」

 

「あの娘は見た目に出さないからね……そのかわり、内面が荒れると紅茶の味が変わるの」

 

「ほえ〜、ちなみにどんな風に?」

 

「不安になると苦く、動揺すると甘く、落ち込むと辛く……といった具合になるの。数十年前に発見した法則よ」

 

「紅茶が辛く…?」

 

「不思議でしょう?でもなるのよ、何入れてんのかしら…」

 

「一番変わったのってどんなのだったんすか?」

 

「そうね…キッチンから爆発音が聞こえたのが一番かしら」

 

「ばっ……!?」

 

「見てた訳じゃないから詳しくは知らないし知りたくもないけど…咲夜曰く

"ティーバッグを入れたら爆発した"

そうよ」

 

「マジっすか…。ま、まぁ良いや。特に問題ないんならこれで」

 

 

帰ろうとする自転車バカを見ながら、記憶を辿るレミリア。

 

 

「確かアレ儚月抄……あ、思い出した。

待ちなさい自転車バカ。せっかく来たのだし良いこと教えてあげる」

 

「良いこと…?」

 

「フランの部屋へ行ってみなさい、何かある筈だから……私から言えるのはこれだけよ」

 

「は、はぁ」

 

 

不敵に笑うレミリアに、何となく悪寒を覚えた自転車バカだった。

妖精メイドから貰った地図を頼りに廊下を進む。

 

 

(たまたいさん達は出払ってんのか〜、せっかく来たんだし挨拶したかったな…っと、この部屋か)

 

 

レンタルしたセグウェイを止め壁際へ寄せる過程で、中途半端に開いたドアの奥からフランを含め複数の声が聞こえる。だが悲鳴のたぐいは聞こえない、どうやら食事中ではないようだ。安堵する自転車バカだが、一応用心して部屋を覗いてみる。

 

 

("良い事"ねぇ、弾幕ごっこなら即帰……あ)

 

 

30cm程開いたドアから覗いて見えたのは、

 

 

「お姉ちゃんも妹なのー?」

 

「一緒に遊びましょー♪」

 

「や、やめてください…///」

 

 

フランとこいしが依姫を囲む、何とも微笑ましい光景だった。

 

 

(依姫!?なんでこんな所に…は、今から聞くとして。

どうしよう、声掛けたほうが良いか……もう少し眺めてても良い景色だよなコレ。いや待て、あんまりこの状態だと不審者扱いされて殺られるか…?うん、それは嫌だな)

 

 

「どうせ暇でしょー?」

 

「そ、それはそうですが…」

 

 

ドアを開け放ち、丁番に身体を少し預けて提言する。

 

 

「こいしちゃんとフランちゃん、悪いけどそいつから離れてくれるかな?依姫の横は俺の指定席なんでね」

 

『ほえ?』

 

「自転車バカさん!助かったぁ〜」

 

 

ほっとした表情を浮かべてEXコンビのサンドイッチから抜け出し、自転車バカに駆け寄る。勢いで抱きつこうとする依姫だが、すんでの所で交わされた。

 

 

「避けた…だと…?」

 

「バ、バカやろう!秒速100メートルで走れる奴のダッシュなんか受け止められる訳ないだろうが!今のだって気づいたら目の前に顔があったからね!?前回それで吹っ飛ばされたじゃん!」

 

「あ」

 

「ったく……二回目とはいえ良く反応出来たな俺」

 

「前回?え、何?このお姉ちゃん、自転車バカの知り合いなの?ノリの良さはカップル並だけど」

 

「二回目ってどーゆー事?カップルってゆーかお笑い芸人じゃない?」

 

「そういう心の声って普通は隠すもんじゃないの?

まぁいっか、知り合いっつーか……友達って言ったほうが正しいかも。な?」

 

「えぇ、そうですね。この方とは天界で知り合ったんです、その時もさっきみたいな事をしたので"二回目"なんです」

 

「確か俳句モデルの件で行ったんだよな…モデルは天子さんだったっけか」

 

「あ、それ見た事ある!寒椿 日盛りの天界(そら)で……何だっけ?」

 

「打ち薫れ。でしょ?」

 

「へえ、2人とも知ってたんだ」

 

「だって、お姉さまが面白がって毎回買ってくるんだもの」

 

「私も同じようなもんかなー。

"いいこと、こいし?こういう情緒が理解出来ないようでは地霊殿の当主は"とかって」

 

「それすっごい分かるー!本人は格好つけてるつもりなんだろうけどちょっと何言ってるか分かんないだよねー!」

 

「そうそう、それでこっちが"は?"って反応すると"えっ?ひょっとして伝わってない?"みたいな顔するのが可愛いんだよね〜♪」

 

『まぁ結局は我慢出来ずに抱きついちゃうんだけどね』

 

 

『ねー♪』と言い笑い合う二人の部屋に、依姫と自転車バカは居なかった。

勝手に盛り上がっているフランとこいしを後にして、廊下を進みながら会話を続行。

 

 

「何にせよ助かりました、ありがとうございます。もうヤダあの人達」

 

「ふっ、まぁお疲れ様と言うことで。つか、丁寧語はやめて欲しいって言ってたよな?話はそれからだ」

 

「そう…だったね」

 

「そもそも何で地上に?」

 

「実は稽古中に倒れたらしくて…気がついたら家のソファーだったの。それを姉様に報告したら

 

"10日程地上で観光してくると良いわ、迎えに行く時は連絡するから"

 

って、それで飛ばされたのが紅魔館だったって訳」

 

「で、なんやかんやあって今に至ると」

 

「まぁそんな感じかな……ここセグウェイあったのね」

 

「空が飛べない人用に貸し出してるんだってよ、レミィさんから聞いた」

 

「へぇ〜」

 

「それはそれとして。これからどうするよ、行きたい所とかある?」

 

「とりあえず八意様の所かなぁ…」

 

「そこは前にも行ってるんだったっけ、なら道は分かるか?」

 

「分かると言えば分かるけど……正直言って記憶が曖昧なの。もう随分前の事だし」

 

「なら案内しようか?竹林までの道なら覚えてるし」

 

「お願いしようかな♪」

 

 

 

 

「ふう…こうして持つとコートって重いな」

 

「でも紅魔館から来たにしちゃ、あんまり濡れてないウサ」

 

「鯖の味噌煮さんの所まで飛んだからかな、竹林内は雪があんまり降って無かったし」

 

 

世間話に花を咲かせて永遠亭の応接間でくつろぐ自転車バカ、依姫が永琳と話をしているので終わるまでは暇な身体だ。当の依姫には「一緒に居ても良い」と言われたが、彼女の目がキラキラしているのを見て断ったのだ。自分が居ては邪魔になると感じ取ったのだろう。

 

暫くすると、永琳の診察室から2人が出てきた。依姫の興奮が冷めやらぬうちに寝床の話を持ちかけると永琳はあっさり承諾した。曰く「一緒に居て面白い」らしい。"自転車バカがログアウトする時に永遠亭へ送る"という条件付きだが。

 

肝心の"依姫を永遠亭まで送る手段"を模索していた自転車バカだったが、優曇華の彼氏に"座薬神 レモ吉"というユーザーが居る事を確認出来たので解決した。

 

 

「さて、これで問題はあらかた片付いたし?」

 

「レッツ地上観光!早く早く〜!」

 

 

依姫に引っ張られる形で永遠亭を後にする自転車バカ、依姫のテンションが高いままなのは永琳効果だろうか。

 

 

「青春してるわねぇ……」

 

 

と永琳が呟き、皆が同意する。そんな穏やかな空気に、襖を開け輝夜が入ってきた。

 

 

「ったくテンションたけーなおい」

 

「ねぇ輝夜、一応まだ営業時間だから言葉遣い気を付けてくれない?誰に聞かれてるか分からないんだから」

 

「いやいや、こんなクソ寒い時期に来る奴なんて……あ、居るわ」

 

「でしょ?てゐと優曇華、悪いけど着替え手伝ってあげて」

 

『承知しましたー』

 

 

それから十日後。

 

昼を過ぎ、太陽に照らされる二つの影が長く伸び始める時間帯。姉の豊姫から"永遠亭に居る"という連絡があったので、依姫と自転車バカは永遠亭に向かっていた。観光終了の合図だ。

 

 

「ごめんな、結局俺が行きたい場所しか行ってなくて」

 

「謝ることなんて無いよ、全部回るには無茶だったんだし。自転車バカが普段どういう事をしてるのか見れたから充分」

 

「そっか、なら良かった」

 

「それに……」

 

「うん?何か言った?」

 

「…何でもない!姉様待たせちゃってるんだし、早く行こう?」

 

「だったら永遠亭まで飛ぶか、その方が早いし」

 

「そうだね」

 

「よしきた。肩でも手でも良いからどっか身体に掴まってな、じゃないと2人同時に飛べないのは言ったろ?」

 

「じゃあ…えい♪」

 

「……何してんの?」

 

「えっと…恋人繋ぎ?」

 

「身体に掴まるだけで良いって今言ったよな?」

 

「言われたけど…これなら確実でしょ?」

 

「そりゃそうだけどさぁ……」

 

「……」

 

 

さて、改めて状況を確認しよう。夕日が差し込む迷いの竹林の入り口付近で、若い男女が腕組んで恋人繋ぎをしているのである。

冷静に考えれば

 

 

『〜〜〜〜っ///』

 

 

当然こうなる。

 

場の空気に耐えられなくなり飛んだ2人だが、飛んだ先の永遠亭で(豊姫を含む)全員から冷やかされたのは言うまでもないだろう。あまりの恥ずかしさで何も言えなくなった依姫を自転車バカが庇って弁明をした分だけ、更にからかわれるという悪循環を抜け出すのにかなりの時間を要し最終的には

 

 

「あーもうめんどくせえ!豊姫さん!依姫お借りしますね!」

 

「おっ、チューか?チューするんか?」

 

『ヒューヒュー!お熱いですなぁ!』

 

「いよっ、御両人!入籍はいつだい!?」

 

「嫁と子ども授かって家庭円満なおっさんかテメーら!いい加減にしろ!」

 

 

俯いた依姫をエスコートして屋敷の外へと連れだした。正門から顔を覗かせ、追いかけて来ないと分かると壁にもたれかかって座り込む。

なんか今ので10年分の生命力使った気がする。

 

 

 

「やれやれ、これだから外見年齢と精神年齢が釣り合ってない奴は…」

 

「…///」

 

「あ〜その、何だ。久しぶりに会えて俺は楽しかったよ、姫のあんたにゃ食い物が口に合わなかったかもしらんが」

 

「…//」

 

「そういや、綿月姉妹の許可があれば俺が月に行くことも出来るんだよな。それな……」

 

「ありがとう」

 

「うん?」

 

 

落ち着いたのか、ボソッと喋りだした。聞き漏らさないように立ち上がり、尻に付いた雪を払い落とす。

 

 

「楽しかったのはこっちも同じだよ」

 

「…そっか」

 

「それと、貴方ならいつでも月へ来て良いから。親友特権ね」

 

「マジか、ありがとう。そんなのあるんだ」

 

 

もう大丈夫だろうと判断し中に戻ろうとすると、依姫が袖口を掴んできた。

振り返ると、彼女は泣きそうな顔をしていた。

 

 

「どうして……?」

 

「な、何が?つか何の事?」

 

「どうしてトークしてくれなかったの?何でこっちから話しかけた時しか会話してくれなかったの?」

 

「……あ、LINEの話?」

 

「ずっと待ってたんだよ?今日はどんなお話出来るかなって……楽しみにっ、してたんだよ……?」

 

 

とうとう泣き出してしまい、戸惑う自転車バカ。どうしたものかと考えていると、依姫に正面から抱き着かれた。

やべえ何だコイツ超良い匂いする。

などと心の中でほざいていると、肩に頭をうずめた依姫が質問した。

 

 

「私の事、嫌いになったんだよね?だからっ、話しかけてっ、くれなかったんだよね……?」

 

「いやいやいや、無いって。嫌いになってないって。色々ドタバタしてただけなんだって」

 

「嘘!だったら抱きしめ返してくれたり壁ドンするなりしてくれたっていいじゃない!

嫌いだから出来ないんでしょ!?」

 

 

……お前実は泣いてるフリしてて己の願望吐き出してるだけとかじゃ無いだろうな。

覚悟を決め、依姫を引き剥がした上で塀に押し当ててお望みどおりに壁ドンしてやった。

正確には壁ドンじゃなくて片手ドンだけど細かい事は気にしない。

 

 

「嫌いな訳ないじゃん、寧ろ一番好きだから毎年一押し投票してるんだろうが。

……言わせんなよ恥ずかしい」

 

 

目を逸らし顔を真っ赤にして言った自転車バカを見て、依姫も同じように赤くなっていた。

が、この上なく満足そうに微笑んでいた。

 

 

「……あ、やっべ。そろそろ落ちなきゃ」

 

「もうログアウトするの?」

 

「しなきゃ遅刻するんでね、んじゃ」

 

 

身体が発光し、虹色の光の粒となって雲散していった彼を眺めていたが

 

 

「依姫ー?そろそろ帰らないー?」

 

「あ、はーい!今行きまーす!」

 

 

今は親友でも、いつか、絶対……!

 

月明かりの下、依姫は踊るように姉の元へ駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




おまけ。

はたて「何か念写したら自転車バカと月の姫が仲良く腕組んでる写真撮れたけど」

文「じゃあ明日の一面はこれで決まりね」

にとり「本人が知ったらどうするかね」

自転車バカ「こうするんだよ」

三人『!?』

※このあと滅茶苦茶雷神と化した穂谷野(雷様)にしばかれた。
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