東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。


第29話「再開の時」

自転車バカがログアウトした後、仲間を集めて工房で作業に取り組んでいたにとりは先ほどの会話を反芻していた。

 

 

 

 

「それじゃ、唐傘妖怪の精神を乗っ取れたのはその"SAORI"と"AKIKO"の力を使ってたからだって言うのかい?信じられないな……」

 

「俺だって最初は信じられなかったけどさ、そういう事らしいんだ。どういう仕組みなのか未だに見当もつかないけど」

 

「"史上最凶のコンピューターウイルスだから"ってことにしておこうじゃないか、原因の究明より対策のほうが先だ」

 

「……だね」

 

「で、その対策なんだが……私は何をすればいい?」

 

「にとりさんにやって貰いたい事はたった一つ、このスピーカーを大量に作って欲しいんだ」

 

「このBluetooth搭載のをかい?別に構わないけど……どのくらい必要なんだい?」

 

「今、"ボケての幻想郷"にいる妖怪全員分だから。95×2の……えっとぉ?」

 

「190台か……。

期限は2ヶ月、今からやって間に合うかどうかって所だね」

 

「俺も出来る限りの事は手伝うからさ、頼むよ。どうしても必要になるんだ」

 

「分かってる、これは私の仕事だ。他のメンバーにも手伝って貰うから多分間に合うと思う。いや、間に合わせるさ」

 

「よろしく頼むよ、それじゃあ」

 

 

そう言ってログアウトした自転車バカを見送った後、電話を掛けて仲間を集め、作業に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

「……何が何でも、やり遂げてみせるさ」

 

 

その翌日。自転車バカは弾幕舞踏会の予選シード権を渡す為に地底へと来ていた。行き先は地霊殿だ。庭園を歩いていると、こいしに背後から声を掛けられて思わず飛び上がってしまう。

 

 

「あははははっ!そんなにびっくりした?ねぇねぇ、びっくりした?あははははっ!」

 

「残念ですね、本日は舞踏会の予選シード権を持って参ったのですが。

この話は無かったという事で……チラッ」

 

 

シード権をこれ見よがしにショルダーバッグから出し、収める素振りを見せる。

 

 

「ご、ごめんなさい!もう悪い事はしません!しませからその敬語を止めて下さい!何か怖いです!」

 

「まぁ冗談はさておき、本日は自転車バカでは無く俳句モデル選考委員として参ったので」

 

「あ、どっちにしろその話し方なのね」

 

「そういう事です。それと、ここの主にもお伝えしたい事があるのですが」

 

「えっと、お姉ちゃんなら今の時間は……」

 

「ここに居るわよ?」

 

「あれ?どうしてここに?」

 

「そこの窓から全部見てたのよ……なるほど、良かったわねこいし?」

 

「え?何が?」

 

「実はですね、こいし様とこころ様に弾幕舞踏会予選会のMCをやって頂きたいのです。如何でしょう?」

 

「え、そんな面白そうな役貰っていいの!?」

 

「勿論です」

 

「わーい!やったー!」

 

「……こいし、命蓮寺に行ってくると良いわ」

 

「どうして?」

 

「実は、こころ様にはまだ知らせていないのです。自分よりもこいし様から伝えた方が良いかと思いまして」

 

「分かった!行ってきまーす!」

 

 

駆け出すこいしを見送りながら、自転車バカが言う。

 

 

「手間をかけさせてしまって申し訳ありません」

 

「構わないわ、これであの娘にも張り合いが出るでしょうし」

 

「そう仰って頂けるとありがたいです。これで姉妹揃っての出場は2組ですね。今年はデュエット部門も設けますので、出場されては如何でしょう?」

 

「あら、面白そうね。スカーレット姉妹は良いライバルになりそうだし、出てみようかしら」

 

「えぇ、あの姉妹も出場予定です。本戦出場者であればペアを組んで飛び入り参加は他の方でも可能ですので、張り合いがあるかと」

 

「それなら、出ない訳には行かないわね。どうせ乱入はあるでしょうけど、とりあえずプログラムに組んでおいて貰えないかしら」

 

「承知しました、では失礼します」

 

 

深々と頭を下げて、文の居る自宅へと戻る。

 

                             

「お、お帰りなさい。どうでしたか?」

 

「喜んでましたよ、デュエット部門にも参加すると言われました。面白くなりそうっすね」

 

「当たり前ですが、前回と比べて随分大会っぽさが出てきましたね」

 

「参加者が増えるのはこっちとしても願ったりかなったりっすから。この調子だとまだ増えそうだなぁ」

 

「じゃあネタ探しも兼ねて探しに行きますか?俳句モデルに応募する勇気がない初心な人を」

 

「それ良いっすね、行きましょう」

 

 

それから幻想郷で過ごしたり、本来の世界に行ったり、他の派生世界を見るなどして過ごしたのち、ログアウトする前にトムのマイページをチェックすると

 

 

「ッ、コメントが変わってる・・・!」

 

 

彼のマイページに書かれていたコメントが「全て遠き理想郷」から「さて…」に変わっていた。すぐさまにとりに連絡をし、動きがあるかも知れないと促した。

 

 

「これは……ひょっとしてひょっとするかな?」

 

 

自転車バカの予感は、それから3日後に的中する事になる。

その日。にとりの作業を手伝う為に工房へ来ていた自転車バカは、昼過ぎに外でにとりと一緒に休憩をしていた。たわいもない話で盛り上がっていると、工房のちかくを流れる河がおかしい事に気づく。

 

 

「なんだあれ」

 

「一部だけやけに水量多いね、まるで堰き止められてるみたいだ」

 

「あれ放っておいたら溢れるんじゃ……ちょっと見てく」

 

 

近寄ろうとした瞬間、轟音と共に堰き止められていた河の水が天高く舞い上がる。河底が見える程の水量が龍のような姿をして一瞬ではあるが空を泳いだ後、にとり達から少しだけ離れた場所に降りてきて一部は球体に、あとは巨大な魔法陣となった。

その巨大さは、目測100mほど離れたにとり達の足元に余裕で届く大きさだ。だが、注意して見ると魔法陣ではない。

 

 

「……円グラフ?」

 

「パソコンの画面、線グラフ、棒グラフ、それに……設計図?」

 

「あ、模様の外側は0と1が並んでる……二進法って奴かな?」

 

 

それらが描かれた魔法陣もどきは少しずつ小さくなっていき、それと並行して球体が回転運動を始める。最初は穏やかだったが、地面の円が空中の球体よりも小さくなった頃には目を開けて居られない程の速度になっていた。限界まで速度を上げた球体状の水は、沸騰した油に注いだかのように爆散した。

奇跡的に飛沫が掛からなかったにとり達がおそるおそる目を開けると、全身に青いオーラを宿したトムが地面から30センチ程浮かんでいた。予想外の光景に言葉が出ないにとり達をよそに、着地してオーラの消えたトムがにとり達に近づきながら言葉を発する。

 

 

「これで最後……辛いことをするのはこれで最後にすると誓うよ。長いこと君や仲間に迷惑をかけてしまった。今度こそ、僕は…」

 

「め、盟友…?」

 

「帰って来た…んすか?信じて良いんですね?」

 

「良いよ。もう2度と、手放したりしないから」

 

「盟友ぅ…!」

 

 

にとりのすぐ傍まで来たトムは足を止め、彼女の目を見て話し掛ける。

 

 

「…まずは、ごめん。

待っててくれる人が居る、支えてくれる人が居る。だから、もう一度、もう一度だけ君と……」

 

「うん…うん……!」

 

 

既にボロ泣きしているにとりに、自転車バカがとどめを刺す。

 

 

「"君の旦那は修行の旅に出てるんだ。心配すんな、奴は必ず帰って来る。…それまでの間、俺がお前を守って見せる"」

 

「…!」

 

「有言実行、任務完了!旦那が帰って来たよ、良かったね。邪魔者はこれで失礼するよ……みんなを呼んでくるから」

 

 

腕の装置を起動してSNSで呼びかけると、10秒もしない内に多くのボケラーが集った。皆が揃ったのを確認し、にとりを抱き寄せて沈黙を破る。

 

 

「長いこと留守にしてしまい申し訳ありませんでした。今度こそ、この娘を守り抜くと誓います」

 

 

その言葉を聞いて歓声を上げたボケラー達が、トムに駆け寄る。

 

 

「お帰りなさい!待ってましたよ!」

 

「おかえりっすウー!」

 

「おかえりです!」

 

「おかえりなさい!」

 

「お帰りなさいませ!また再び!」

 

「ついに帰ってきたか…!トムさん…お帰りなさい!!!」

 

「トムさん…おがえり!」

 

「プロフィールのコメントの意味はよく分かりませんが復活したんですね!頑張ってください!!」

 

 

皆がある程度落ち着くと、自転車バカを見失ったトムが辺りを見回すが少しだけ離れたところに居たのを見つける。視線が合い、口を開く。

 

 

「にとりさんは、貴方の横に居るのが一番ですね」

 

「何と言っても私の盟友だからな」

 

「おかえりなさい、トムさん。今度はその手を離さないようにね」

 

「……本当に、本当に、本っっ当に!!すみませんでした!」

 

「盟友…」

 

「辛い役目を押し付けて申し訳ない。僕は貴方についていきます。これからもまた、よろしくお願い致します」

 

「押し付けたとか勘弁して下さいよ、こっちで勝手にやった事なんすから」

 

「正直…」

 

「ん?」

 

「正直最初は、偽名を使って戻らないつもりだった。けど貴方がいたから帰ってこれた。本当にありがとうございます」

 

「トムさん。そんな事よりも、彼女に言う事あるんじゃないすか?」

 

「そう…だった。にとりさん、一つだけ伝えたい事があるんだ。聞いてくれるかい?」

 

「う、うん…?」

 

 

姿勢を正して向き直ると、清々しいくらいの笑顔でトムはこう言った。

 

 

「今も昔も…ずっと大好きです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                  [現在の保護対象者:2名]

 

続く。

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