東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。


第30話「いつも通り」

早朝に掛かっていた霧は晴れ、時折吹く穏やかな風がメインストリートを歩く人々の羽織っていたカーディガンを揺らし、農村部では新茶を摘む(農)達にエールを送る。

そんな中、ログインした自転車バカは机の引き出しから一枚の紙を手にとって眺めていた。

 

 

(えーと、"東方人物カレンダー"の予約待ちはどこまで消化したっけ……お、今月は霊夢か)

 

 

文に簡単な連絡をして博麗神社に飛ぶ。どうやら今日は旦那と二人きりのようだ。例によって賽銭(300円)を入れて機嫌を取った所で、縁側に腰掛け本題に入った。

 

 

「カレンダー?」

 

「えぇ、順番待ちが霊夢さんでしたので、写真を撮らせて頂けないかと……」

 

「そーいや言ってたな。"順番待ちに入れといて"って」

 

「あー…言った言った。思い出したわ。でもいま二日酔いで頭痛いのよね…はぁ」

 

 

ガラスコップに注いだ水を片手に、頭を押さえて苦痛に顔を歪める。

物は試しとばかりに、自転車バカは寄り添って囁いた。

 

 

「姉御ォ、撮らせて頂けるんなら"弾幕舞踏会"で考慮しまっせ?」

 

「よっしゃ!綺麗に撮ってよ!!どうしよう!この格好で良い!?それともオシャレな服に着替えた方が良いかな!?」

 

「いえ、普段着で結構です。寧ろ普段着でお願いします。じゃあ行きますよー!」

 

「バッチコーイ!」

 

 

先程のけだるさは何処へやら。キラキラと目を輝かせた霊夢は、文の指示で境内をうろつきながら写真撮影に興じた。

 

 

「霊夢!それ違…あーあ、イっちまいやがった」

 

「まぁまぁ、楽しそうだし良いじゃん?」

 

「ったく……霊夢も霊夢だが、お前もお前だ」

 

「何が?」

 

「良いのかよ?実行委員長が八百長発言なんぞして」

 

「大丈夫大丈夫、何をどう考慮するかなんて一言も言ってないし」

 

「お前……変な所で頭良いな」

 

「お褒めに預かり光栄っす」

 

 

何となく話をしていたが、霊夢の呼びかけで二人は賽銭箱のある本殿へと移動した。撮った写真を見て五分程悩んだ末

"一番笑顔が良い"

というしんたんの理由で決まった写真を元に、作成したカレンダーを販売所で売った結果

 

 

「21部か……やっぱあの人すげー人気なんすね」

 

「ま、なんだかんだ言っても巫女ですから。男女人妖を問わず人気者なんですよ」

 

「それに関しては同意するんすけど……シード権はどうします?」

 

「そうですね〜、既に選ばれてる訳ですし、渡さなくて良いでしょう」

 

「ですね、一枚あれば充分だし。じゃあ、とりあえず売り上げ金の一部渡しに行ってきます」

 

「行ってらっしゃい♪」

 

 

腕の装置で博麗神社に飛ぶ。場所が階段の途中でない辺り、どうやら前回のはバグのような物だったらしい。

 

 

「あれ、レミィさん?」

 

「あら、こんな所で会うなんて奇遇ね。いえ……こうなる運命だったのかしら?」

 

「さーせん、籠いっぱいの野菜を持ってそんな台詞言われてもあんまりカッコよく見えないんすけど」

 

「台詞とのギャップがあり過ぎて寧ろ滑稽だわ」

 

「じゃあウチの冷凍室で腐りそうだったこの野菜たちは要らないのね?」

 

「調子乗ってスンマセンでした」

 

「分かればよろしい」

 

 

深々と頭を垂れて野菜を受け取る。これが異変の時には凄まじく冷徹になるのだから、人気も出る筈である。

 

 

「ふっ、何だこのデジャヴ……ってこれ二回目?」

 

『聞くな、知らん』

 

「まぁそれはともかく。いつも悪いわね」

 

「礼には及ばないわ、引っ張り出して来たのは咲夜だもの」

 

「あんなバカでかい部屋よく掃除出来るわね、私なら金詰まれても悩むわ」

 

「えっ冷凍室?冷凍庫じゃなくて?」

 

「何だ、まだ知らなかったの?レミリアの所はね、普通の冷蔵庫や冷凍庫じゃ食材が入りきらないの」

 

「だから冷蔵室とか冷凍室を作ったのよ、部屋くらいの広さにしなきゃ足りなくって」

 

「流石紅魔館……移動がセグウェイなだけはあるな」

 

「そう言えば見せた事無かったわね、見に来る?」

 

「是非!」

 

 

重々しい音を立て、冷凍室のドアを閉める。コートを壁に掛け二人は部屋を後にした。セグウェイの自転車バカにペースを合わせ、レミリアは低速飛行で飛ぶ。

 

 

「いやぁ広かった、そして寒かった。あれ二部屋とも咲夜さんが掃除してんの?」

 

「えぇ、そうらしいわ」

 

「らしい?」

 

「又聞きしたから本当かどうか定かではないのだけど、他のメイド達がやりたがらないからあの娘が……って事らしいわ」

 

「まぁ無理もないよ、あんな寒い部屋掃除しろって言われたら俺だって断るもん」

 

「そんな程度の忠誠心じゃ、見守り隊としてはまだまだね。心臓を捧げるくらいの意気込みがないとこの先やっていけないわよ?」

 

「捧げるって言ってもなぁ…”レミィたんペロペロ!ハスハス‼モグモグ‼”とか言ってる奴らとは仲良くなれそうにないんすけど」

 

「だ、誰がちっぱいか!最近やっとフランよりもでかくなったのよ!?」

 

「んなの知ったことか!んなこと一言も言ってねーよ!ってかさりげなく触らせようとするの止めろ!殺す気か!」

 

「うるさいうるさーい!私が触れって言ってるんだからいいの!」

 

「だから止めろって!今日のアンタおかしいぞ!俺たまたいさんと咲夜さん敵に回して生きてられる自信ねーよ!すでに背筋が寒いもん!ジョジョ宜しく大量のナイフと拳が飛んでくる未来が目に見えてるもん!」

 

「うぐっ。たった一人の保護部隊に死なれても困るし、致し方ないか……」

 

 

掴まれた腕を払いのけると、手形がくっきりと付いて赤くなっていた。

何が悲しくてラッキースケベと引き換えに命落とさにゃならんのだ。エルリック兄弟もビックリな等価交換だわ。いや、そもそもコレ等価交換なのか?

 

 

「ったく、痴女か己は。童貞弄ぶのもほどほどにして下さいよ」

 

「ち、痴女じゃないわよ。変な事言わないで」

 

「俺知ってますよ、たまたいさんがR-18推奨の設定にしてるの。どうせアレでしょ、アンタら夜の弾幕ごっこで

”俺のスピア・ザ・グングニルがスカーレットシュゥゥゥーッ!!”

”超!エキサイティン!”

とかやってんでしょ?」

 

「言うか!そんなムードの欠片もない台詞!初夜なんか滅茶苦茶ロマンチックで……」

 

「初夜ぁ!?事あるごとにズッコンバッコンやってるっつーのか!畜生、もうお前の保護なんか止めてやるううう!」

 

「あっこら!ったくもう、誰よあんな童貞拗らせ過ぎてもうじき魔法使いにジョブチェンジしそうなの保護要員に選んだの!あ、私か。ちょっ、待ちなさーい!」

 

 

セグウェイを全力ですっ飛ばしたが、割とあっさり捕まった。その様子をカメラで録画していた文は背後に咲夜が立っていた事に気づくも

「面白いから良い」

という事で、不法侵入した罪だけ償って残基を一つ減らしただけで済んだ。後で撮った映像を送るという条件付きで。

 

自転車バカはピチュった文と共に職場まで飛び、椛を呼びつけて手当てをさせた。

 

 

「あっ!そ、そこはっ、もっと優しくしてぇ……///」

 

「誤解を招く表現は止めて下さい、怪我の手当して欲しくないんですか?」

 

「あんだけ汚い花火咲かせたのによくそのぐらいで済みましたね」

 

「自然治癒力はスキマ妖怪の折り紙付きですから、この人の数少ない取り柄なんです」

 

「お願い椛、ふざけたりしないから真面目に手当して。それ以上言うと心の傷が開いちゃう。折角治りそうだったのに」

 

『自覚あったんだ……』

 

「止めて!そんな哀れむような視線を向けないで!こういう時に限って息ぴったりなのが今は辛いよ!精神的にくるものあるよ!」

 

「これに懲りたら、もうパパラッチまがいの行動は止めるべきでしょう」

 

「そうそう、”清く正しく”やった方が良いんじゃないっすか?」

 

「おぉ、(正論過ぎて)こわいこわい」

 

「」

 

 

ピチューンという音と共に、文は本日二度目の抱え落ちをした。が、

 

 

「まだだ、まだ終わらんよ・・・!」

 

「あ、まだ残基残ってたんすね」

 

「何か用事でもあるんですか?」

 

「えぇ、地底の雑誌の件でちょっと」

 

「雑誌?」

 

「忘れたんですか?今日は表紙を撮る日でしょう?」

 

「あ、そっか。確か地上(こっち)に出てくるって言ってましたね」

 

「もうすぐ待ち合わせの時刻なので行きましょう、自転車バカさん」

 

「場所ってどこでしたっけ?」

 

「守谷神社です、此処からだったら歩いてすぐですよ」

 

 

 

 

「お、居た居た。こんちはー」

 

「あれ、てっきり飛んでくるかと……わぁ凄い格好。人のこと言えないけど」

 

「なるほど、自滅したのね」

 

「あはは、紅魔館の警備体制があんなにしっかりしてるとは思いませんでしたよ。やっぱあそこで盗撮するのは至難の業ですね」

 

「あんだけ派手に散った割には回復が異様に早いんすよ。直後なんて赤いブロックがそこら中に散らばってたのに」

 

「……了解、大体察した。要するに、パパラッチまがいのことやってたからお仕置きされたんだね。説明台詞ありがとう」

 

『どういたしまして』

 

「とまぁ前置きはこのくらいにして、随分と張り切ってますね。姉妹揃って着物姿とは」

 

「凄いでしょ!サイズ色合いもろもろひっくるめて特注なんだから!」

 

「それぞれこの世に二着とない一張羅よ、こういう機会にこそ使わなくっちゃ」

 

「うん、木陰が良い感じで日光を遮ってますし、これなら取り直しせずに終わりそうですね。今から三枚ほど撮りますのでポーズはお任せします。なんかそれっぽく見えれば良いんで」

 

((アバウトだなぁ……))

 

 

パシャッという音と共にフラッシュが焚かれる。撮った写真を元に製本した月刊誌は、59部という過去最高の売り上げになった。

 

 

「観光してから帰る、お燐たちに土産も買わなくちゃいけないし」

といった古明地姉妹を人里まで送り、一段落した自転車バカ。何気なく時刻を確認すると、ログアウトまであと二時間だと気づく。

 

 

(どうしよっかなぁ、本来の世界行ってもいいけどそれでも余るよなぁ……そうだ、アリスさん家に行こう。そういやここ最近行ってなかったっけ)

 

 

再び腕の装置を使い、魔法の森へと飛ぶ。時間をかせぐだけなら歩いていっても良いのだが、

 

 

(森の瘴気に当てられるわ迷子になるわでろくな事なかったし、飛んだ方が賢明だよな。うんうん)

 

 

苦い思い出から目を背け、アリスの家へと近づく。ドアをノックしようとしたが、中から声が聞こえたので手を止める。

 

 

(何だろう…話し声…?いや、違うな。これは…歌?)

 

 

神経を耳に集中させて聞こえてきたのは

 

 

「上海がー♪居るからー♪さびしくなんて なーい♪」

 

(……えっと)

 

「さびしくなんて なーーい♪」

 

(滅びの歌かな?)

 

「さびしくなん……」

 

 

ドアを開け、無言の圧力でその場を静める自転車バカ。段々と顔が赤くなっていくアリスに目を合わせ、大きな声で挨拶代わりの第一声。

 

 

「1週間会わなかっただけでこの始末……何なんだお前は!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




おまけ。

文「私が言うのもアレですが、いつも忙しそうですね」

自転車バカ「別に忙しくないっすよ。俺の手は何時どこで必要とされても良いように常に片方開けてありますから」

こいし「……お姉ちゃんどうしよう、私お土産でいっぱいいっぱいなんだけど」

さとり「いや、今のはそういう物理的な意味じゃなくてね?」
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