東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。


第32話「君のための」(後編)

「こ、小傘ちゃん・・・!」

 

「会長、そんなに急いで何処へ行くの?」

 

「いや特に決まってはないんだけど……ちょうど良かった、手ぇ貸してくんない?」

 

「断る」

 

「な、何でだよ。まだ何も言ってないじゃん」

 

「言わなくても分かるもん。どうせ、八雲紫の説得とかそんなんでしょう?」

 

「ど、どうしてそれを!?」

 

「みんな、説明してあげて」

 

 

パチン、と小傘が指を鳴らす。すると、建物の陰から自転車バカを囲うようにして"小傘ファンクラブ"の会員たちが出てきた。

 

 

「今さっきスキマ妖怪から連絡があったんでな。話は全部聞かせて貰った」

 

「あんたにゃ名誉会長として、まだまだ頑張って貰いてえんだ」

 

「そう簡単に辞めさせてたまるかってんだ!」

 

「紫さん……仕事早えな畜生!」

 

「悪いけど、そういう事だから。貴方が二度とそんな気を起こさないように」

 

「今ここでとっ捕まえて」

 

「八雲紫に突き出す。さぁ、大人しく言う事を聞いて!」

 

「くっそ……!」

 

「全会員に告ぐ!名誉会長を取り押さえて!」

 

 

小傘の号砲で一斉に飛びかかろうとするが、自転車バカが能力を発動させバリアを展開した為、未遂に終わる。何人かは飛びかかったのだが、ゴムボールを押したかのように優しく押し返されてしまった。

 

 

「会長、どうして反抗するの?私たちは、ただ貴方に辞めて欲しくないだけなんだよ……?」

 

「ごめんね。いくら小傘ちゃんが命の恩人でも、こればっかりは首を縦に振れない」

 

 

まっすぐに、小傘を見て話す自転車バカ。その瞳には、迷いや後悔といったものが微塵も存在していない。あるのは確固たる決意だけだ。

 

 

「何で…何でそんなに…!前にも言ったでしょう!?私は、私は…!」

 

「小傘ちゃん……」

 

 

こみ上げる嗚咽に出そうとした言葉をかき消され、俯いてしまう小傘。閉じた唐傘の柄を両手で握りしめ、溢れる涙を堪えようとするのだが、一度熱くなった目頭は制御が効かない。ポロポロと、頬を伝って地面へ落ちてゆく。

能力をコントロールし自身を覆う半円の中に小傘を入れた自転車バカは、近寄って小傘の頭に手を乗せる。

 

 

「誤解があっちゃいけないから1つだけ言っておく。俺は、君らの事が嫌いになったから辞めるとかそんなんじゃ無い。これだけは知っといて欲しい」

 

「……」

 

 

そう言って小傘が半円から出るくらいに離れると、両手に力を込めて⭐︎を1つだけ出す。放り投げられた⭐︎は地面に触れた瞬間、強烈な光を放つ。収まったのを感じて目を開けたが、そこに自転車バカは居なかった。後に残ったのは、なるべく声を出さないようにしてすすり泣く小傘と、それを黙って見ているファンクラブの会員たち。

声をかけようにも、適当な言葉が出てこない。動こうにも、足が言う事を聞かない。

そんな重々しい雰囲気の中、二人の少女がこちらへ走って来た。藍と橙だ。会員たちが話しかける。

 

 

「今さっき、ここら辺が物凄く光ったのを見て来たんだが…遅かったかな?」

 

「ん?貴女は確か…」

 

「藍さんじゃないですか、八雲紫と一緒じゃ無かったんですか?」

 

「ゆ、紫様が此処に居たのか!?」

 

「いや、ここには居ませんけど…?」

 

「そ、そうか」

 

「藍しゃまぁ…」

 

「本当、どこ行っちゃったんだろうな。うちの主は」

 

「……はぐれたんですか?」

 

「はぐれただけならどんなに良かったか…」

 

「?」

 

「実は……」

 

 

 

 

「なるほど、そういう事だったんですね」

 

「あぁ、これでも手当たり次第に探し回ってるんだが…」

 

「足痛い…」

 

「……まさか、飛ばずに探し回ってるんですか?」

 

「"飛ばずに"じゃない、"飛べない"んだ」

 

「飛べない?」

 

「どういう訳かさっぱり分からないが、何故か飛べなくなってるんだ。おかげで一苦労だよ」

 

「うーむ…とりあえず状況を整理します。

藍さん達は、走り回って八雲紫を探している。そして小傘ちゃんは、その八雲紫から"自転車バカを捕まえろ"という連絡を受けた。CCで送られて来たので他にも連絡を受けた人は居ると聞きました。ここまでは良いですか?」

 

「大丈夫だ、問題無い」

 

「"彼を捕まえたら、連絡を寄越すように"とも言われてるそうです。こっちが連れて行くか向こうが赴いてくるかは分かりませんけど、八雲紫に会えるのは確かです」

 

「ほ、本当!?」

 

「この状況で嘘ついてどうすんの。」

 

「そ、そうだよね…」

 

「なので、良かったら彼を捕まえるのに協力してくれませんか?貴女方が捕まえれば……ね?」

 

「分かった、手伝おうじゃないか。橙も、問題ないよな?」

 

「はい、藍しゃま!」

 

「決まりですね、じゃあ俺達からCCでメッセージを送っておきます」

 

「ありがとう、よし橙!自転車バカを追うぞ!紫様よりは楽だ!」

 

「あいあいさー!」

 

 

走り出した二人を見ながら、ある程度回復した小傘は自分に言い聞かせるように呟く。

 

 

「そうだよね……形あるものは、いつしか姿を変えて消え行くんだよね。これは絶対に避けられない理。だったら、例え今日が醜くなってもここに在れるなら、その方が良いよね」

 

 

その頃、自転車バカは妖怪の山の麓まで来ていた。

 

 

「はぁ…はぁ…ここまでくれば大丈夫だろ…!」

 

 

ロープウェイに乗り込み、椅子にどっかりと座る自転車バカ。全開に開け放った窓からは快い風が吹き、火照った身体を冷まして汗を蒸発させてくれる。息が整い、いくらか落ち着いてくる。冷静さが戻ったところで、景色をぼんやりと眺めながらこれからを考える。

 

 

(まさか小傘ちゃんに話が伝わってたとは、もう人里には戻れないな。俺ん家もチェックされてるだろうし……おし、守谷神社まで行くか。あそこの神三人衆に相談してみよう)

 

 

「と思っていた時期が俺にもありましたよこんちくしょー!!」

 

「ほれほれ〜、しっかり避けないとそこの野犬よろしく肉片になりますよ〜?」

 

「どうしてこうなったし!相談があるって言ったよね!?助けて下さいって言ったよね!?何で俺襲われてんの!?おかしいだろ!」

 

「襲うとは人聞きの悪い……これは弾幕ごっこよ。それくらいは知っていると思うけれど?」

 

「こんなの弾幕ごっこじゃないわ!ただの避けゲーよ!」

 

「だったら避ければいいだろ!……じゃなくて。早苗ー、後で肉片始末しておいてねー?」

 

「了解しましたー♪あ、戸棚に栗ようかんがあるので食べても良いですよー♪」

 

「ひゅう!早苗ってば太っ腹ぁ!」

 

「よっ!現人神!」

 

「呑気で良いよなてめーらはよう!!うおっ、あっぶね!」

 

 

先程から危なっかしい避け方をする彼を見るに見かねた早苗は、一度攻撃を止めた。

 

 

「全くもう……これnormalですよ?これくらいで苦戦してどうするんですか」

 

「はぁ……はぁ……。やかましい!永遠に拙きeasyシューター舐めんなよ!

大体なぁ、俺らが弾幕避けるのに使うのは指と目だけなんだよ!こんな全身運動で避ける弾幕ごっこなんて初めてなの!VRどころの騒ぎじゃないの!分かる!?」

 

「だから難易度抑えてるんじゃないですか」

 

「うるせえ!てめーらと違ってこちとら空なんか飛べやしねーんだよ!」

 

 

文句を垂れながらも両手に⭐︎を生み出す。目を瞑って地面に⭐︎を思いっきりぶつけると、人間が直視すれば失明する程の閃光を放った。最も神である守谷一家には目くらまし程度にしか効果が無いが、視界を奪うには充分だった。

 

 

『くっ…目がぁ…!』

 

「よっしゃ今の内!」

 

 

追い討ちをかけるように、もうひとつの⭐︎を早苗達にぶん投げて走り出す。強烈な光を背中に浴びながら"守谷神社参拝ルート"と標識のある道を下っていく。

彼女らの目が戻った際に、ロープウェイに乗っていては身動きが取れなくなるからだ。

 

 

(早苗の奇跡でどうにかして貰おうって魂胆だったけど……信仰の為だけに捕まるのは御免だし、あそこも近寄らないでおこう)

 

 

「くっ、遅かったか…!」

 

「誰かと思えば……八雲の所の式神じゃんか」

 

「連絡は受けてますよ、一足遅かったですね」

 

「あの人は何処に?」

 

「下山したのは間違いないだろうけど、あいにくと見てなくてね。ロープウェイは使ってないだろうから、まだ妖怪の山(この中)に居ると思うよ?」

 

「どうもありがとう。よし、行くぞ橙!」

 

「はい!」

 

 

二人が視界から消えるまで走り去ったのを見て、諏訪子は屋根に座っている二人に話しかける。

 

 

「……どうしてアンタ達は捕まえる側じゃないのか、聞いても良いかい?」

 

「だってさ、椛?」

 

「いや、文様が答えて下さいよ。私は貴女に付き添ってるだけなんですから」

 

「アンタ達なら本気にならなくても、人間一人捕まえるくらいは朝飯前だろうに……まぁ私らにも言える事だけど」

 

「あの人に加勢する訳でもなく、かといって捕まえる訳でもない……ただ眺めてるだけ、ですか?」

 

「えぇ、あなた方の仰るとおりです。私は彼がどうするのか、黙って見守ろうと思います。

初めて出来た信頼の置ける部下であり、浮気相手ですからね。部下のやる事にいちいち口を挟む程、幼稚な上司ではないつもりです。

それに、これはあの人自身の問題なんです。私がどうこう言える代物ではありませんよ」

 

「あの文様がそこまで考えた上での行動だと分かった以上、下っ端の私は付き添う事しかしません。以上が捕まえない理由です」

 

「そうでしたか……良い上司を持ちましたね、自転車バカさんは」

 

 

参拝ルートを駆け下りていく自転車バカを待ち受けていたのは、トムとにとりだった。

 

 

「うっそだろ……!にとりさんにも連絡来てたん!?」

 

「うん、連絡が来たよ。他の連中は取り逃がしたようだけど、私は容赦しない。絶対に捕まえてみせる」

 

「"保護が終われば消える"だって…?

何いってるんですか!貴方ほどの恩人を、そう簡単に辞めさせるわけにはいかんのです!!」

 

「……ッ!?」

 

 

にとりの弾幕が止み、突如として辺りが暗くなる。よく見ると、水色のオーラをその身に纏ったトムから線のような物が上空へと伸びている。それは上に上がる程太くなってゆき、模様が付いているのが分かる。見上げた先では

 

 

「嘘だろ。これが、トムさんの・・・!?」

 

「貴方に見せるのは初めてでしたね。そうです、これが能力を発動した俺です。世間一般ではレヴィアタン(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%B3)と呼ばれるそうですが」

 

「これがどんなに危険か、今更言わなくても知ってるだろう……大人しく降参するんだ。血を見るのは、お互いの為にならないからね」

 

「……!」

 

 

空を埋め尽くす程の巨体は口から炎を吐き、鼻から煙を出す。身体全体を覆うのは鱗だが、鎧と言われても納得してしまうだろう。ギラギラと光る瞳は自転車バカの方向を向いてはいないが、彼をビビらせるには現れるだけで充分だった。

第六感は"今すぐ逃げろ"と激しく反応しているのだが、脚が震え思考も止まっている自転車バカになす術は無かった。

人の居なくなった守谷神社の鳥居に腰掛ける椛は、同じく横に座り足をブラブラさせている文に話しかける。

 

 

「……八雲紫から連絡を受けた妖怪達が、アレを目印に集合しつつあります。如何なさいますか?」

 

「どうもしないって。さっき言ったでしょう?」

 

「しかし、いくら何でもやり過ぎです。下手したら彼……死にますよ?」

 

「黙ってなさい、椛。例え生命の危機に晒されようとも、私はあの人を助ける真似はしない。絶対にどうにかするって信じてるから、ここで終わるのを待つ。貴女は状況説明をすればそれで良いの、今どんな感じ?」

 

 

葉団扇を握る文の左手が震えているのを見て、椛は視線を戻しながら答える。

 

 

「全員……集合しました。自転車バカを囲うようにして立っています」

 

 

夥しい妖気に囲まれ、呼吸が苦しくなった事で正気に戻った自転車バカ。反射的に能力を発動しようとするが

 

 

「あぁ…終わった…」

 

 

360度。自身を飲み込むかのような、その悍ましい妖気を感じて身体中の力が抜けていく。

 

 

「海の怪物に…妖怪に…魔法使いに…吸血鬼に…ははっ、凄え面子」

 

「みんな、君に救われたんだ。君が居たから、今ここに居るんだ」

 

「降伏しろ、自転車バカ。さもなくば、フランの餌にしてやる」

 

「お願い、今すぐ"引退宣言"を取り消して。あたしは、貴方を傷つけたくない。上海だって同じ気持ちよ」

 

「貴方が居なくなったら、誰が地底を宣伝するというのですか?」

 

「前にも言いましたが、貴方がいなければ本当に寂しくなりますよ。どうかこのままで……」

 

「信じてた"大切"が贋物であっても、その脆さ…その弱さ…わちきには、何よりの宝物と言えるの。だから、お願い。降参して」

 

 

皆の言葉に、思わず笑みが浮かぶ。止まっていた思考回路が、再び動き出す。

 

 

「確かに、ここでの生活はすっげー楽しいよ。ここでみんなに元気を貰えるから、辛く厳しい現実世界で生きていけるんだ。ボケてを知らなかったら、それこそ今の俺は無いだろう」

 

「だったら…!」

 

「でもな、全ては現実世界あってこそなんだよ。現実世界での生活が成り立ってなきゃ、此処に来る事は出来ない。人生を懸けたレースがあるなら、尚更な」

 

「人生を懸けたレース……?

思い出した。そう言えば盟友、4月に"ヒルクライムレースがあるから"って言って3日ほどログインしなかった事があったね」

 

 

にとりの言葉を聞いて、全てが繋がったトムが驚きながら疑問をぶつけた。

 

 

「……え?まさか"自転車バカ"ってそういう意味なんですか?」

 

「そのまさかっすよ。俺は"自転車競技"で食っていこうとあがくアマチュアロードレーサーです。

でも、今年で結果を出せなかったらもう次は無い。そうなったら、2度とここに来る事は無いでしょうね」

 

 

自転車バカの言葉に戦慄する一同、「2度と」の意味を理解したのだ。

 

 

「そ、そんなのって・・・!」

 

「今年の11月に、自転車人生の存続を懸けたレースがあるんです……まぁそこまでのレースでも結果は求められるんすけど。その大会で結果を出せば、どうにかなる筈なんです。だからこそ、全てが終わったら俺は消えます。未来が消えないように」

 

「そんな状態で、私を保護していたのか?己の人生が危ういのにも関わらず……どうして教えてくれなかった?」

 

「だって聞かなかったじゃん」

 

「ふざっけるな!!"サーヴァントフライヤー"!」

 

 

レミリアの背後に浮かび上がる紅い魔法陣から、勢いよく放たれるコウモリ。目で追うどころか反応すら出来ない自転車バカは、まともに喰らって倒れてしまう。

 

 

「いってぇ・・・!」

 

「……ふん。これでもう動けまい、咲夜?」

 

「既に連絡済みで御座います」

 

 

「どう?捕まったかしら……って、聞くまでも無かったみたいね」

 

 

「流石、仕事が早くて助かるわ」

 

「お褒めに預かり光栄で御座います」

 

「じゃあこの子は貰ってくわね、みんなお疲れ様」

 

「ッ!」

 

 

のたうちまわる自転車バカを飲み込むように大きく開いたスキマが閉じる。それを見届けた一同は解散するのだが、椛が何かに気づいた。

 

 

(あれ、八雲紫の式神が居ない…?木陰に隠れて見てた筈なんだけど…?)

 

 

橙色の優しい灯が、塞ぎ込んだ横顔を照らしていた。

 

ドサッと、スキマから出てきた自転車バカ。地面に横たわった状態で辺りを見回すが、周りはゴツゴツとした岩山があるだけで他には何もない。

藍色に染まりつつある空は、彼の胸に空いた隙間を包むような気がした。それほどに綺麗な夕焼けだったのだ。

 

 

「考えは変わったのかしら?」

 

 

声がした方向を向くと、傘を持って不敵に微笑む紫が居た。その背後にはいびつな形でスキマが開いており、中にある無数の目は自転車バカを見ていた。

 

 

「だいぶ、吹っ切れた顔してるわね……良いわ、答えを聞かせてちょうだい?」

 

 

痛む身体を無理やり起こし、胡座をかく体勢になる。そして、紫以上の笑顔で自転車バカはこう答えた。

 

 

「 」

 

 

答えを聞き、笑い合う紫と自転車バカ。ひとしきり笑った後、自転車バカが能力を発動して怪我を治すのを見て、紫は隠れていた藍たちに問う。

 

 

「どうして此処に居るのかしら、"しっかりした"式神さん?私は旅に出たと言った筈よ?」

 

 

岩陰からおずおずと出ながら、藍と橙は代わる代わる答えた。

 

 

「紅魔館のメイドが、私と橙をスキマに放り込んでくれたのです。そうでもしなければ、紫様の視線をかいくぐってスキマに入るのは不可能でした」

 

「紫様が旅に出るとおっしゃったのは承知してます。橙たちは、それを辞めさせたいから貴女を探し回っていたのです」

 

「そう……主人の言いつけも守れないなんて、式神失格ね」

 

 

藍たちに背を向け、開いたままのスキマに入ろうとする紫を、橙が制す。

 

 

「たった一人!ボケラーが引退するのを寄ってたかって辞めさせた癖に…自分はわがまま言いたい放題!?ふざけるのも大概にして!」

 

 

「ちぇ、橙……?」

 

 

橙の反撃に戸惑う紫、勢いを得た橙は更に続ける。

 

 

「確かに今朝の藍しゃまは酷いこと言ったし!普段なら笑って流すようなジョークを聞き流せなかったくらい紫様の機嫌が悪いのも原因だけど!

 

その腹いせに自転車バカさんを弄ってもて遊ぶ紫様はもっと酷いよ!

 

大体橙たちを飛べなくしたのだって、どうせ紫様が境界弄ってやった事じゃない!紫様っていつもそう!ちょっと正論言われてハブてると必ず面倒事起こすんだもん!その迷惑極まりないストレス発散方法どうにかしてよ!そんな馬鹿げた事で赤い通り魔の相手する橙たちの身にもなってよ!すっごく大変なんだからね!!」

 

 

傘で顔を隠し、立ちすくむ紫。どうやら図星のようだ。橙はふくれっ面で紫を睨み、隣に居る藍はオロオロ。それらを見て全てを理解した自転車バカは、立ち上がって紫に言う。

 

 

「紫さん……少しお話したい事があります。だから、そのまま動かないでいて下さい」

 

 

能力を発動し、右手にありったけの力を込める。すると手の平に、黄色と限りなく黒に近い緑色の光を螺旋を描いて放つ岩が出来た。自転車バカを見ながら少しずつ後ずさりをする紫は、怯えた目つきで話しかける。

 

 

「いや、あの……自転車バカさん?」

 

 

にっこりと笑い大きく息を吸い込んだ自転車バカは、激しく湧き上がる憤懣のマグマと共に解き放った。

 

 

「ふざけんなよクソババアァァァァ!!」

 

 

自転車バカ渾身の掌底から解き放たれた岩は時速160km/hで紫の頬をかすめ、背後にそびえる岩山を粉々に破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




おまけ。

自転車バカ「ふざけんなよクソババアァァァァ!!」ドゴォォォン!ガラガラガラ

紫「……」 (´⊙ω⊙`)

藍&橙「……」 (΄◉◞౪◟◉`)

自転車バカ「何かいう事は?」

紫「すんませんっしたァァァァ!!」

藍&橙(スライディング土下座!?)

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