設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。
事件から一夜明け、自宅にログインした自転車バカを出迎えたのは文だった。
「あれ、何で文さんが俺ん家に?」
「貴方がスキマに飲まれた後、どうなったのか分からなかったのでここで待ってたんです……此処に居るって事は、解決したんですよね?」
「解決しましたけど……まるで見てたかのような言い方っすね」
「えぇ、見てましたよ?八雲紫から連絡が来て貴方がスキマに飲まれるまで」
「わお、文さんにも連絡いってたかぁ……」
頭を掻きながら呟く自転車バカに、文が付け加える。
「私にもというか……貴方が今まで関わった妖怪全員ですね」
「なるほど、だからさとりさんまで居たんすね……ホント面倒臭い事しやがったなあのスキマ」
「面倒臭い事?あの後何があったんですか?」
「全部終わったんで言えるんすけど、実は……」
◆
「あっははははは!それは酷いとばっちりでしたね〜!」
「でしょ?流石の俺もイラっと来ましたね」
「あははは!そ、それで?それを知ってどうしたんですか?」
「俺が逃げるのに使ったアレ使って一発かましてきました」
「逃げるのに使ったアレ……え?アレでどうやったんです?ってかアレ何なんですか?」
「順を追って説明します。
アレは俺たちボケラーが星って呼んでるモノなんすけど、本来はボケを評価する際に使うんです。3段階でね」
「ほうほう」
「でもプロフィールを見て分かるように、"星の合計"ってのがあるでしょ?これと、ひとつのボケで星をいくら貰えたかによって⭐️を自在に変化させる事が出来るんすよ」
「変化、ですか?」
「はい。例えば俺の場合だと、ひとつのボケで貰えた星が3桁いってるし合計も9000超えてるので、昨日みたいに目くらましで光らせる事も出来るんです」
「へぇ〜…凄いボケラーだと何が出来るんですか?」
「文献で読んだ限りだと確か……直径3kmの隕石に変化させたボケラーが1人だけ居ます、"大人店長"って人なんすけど」
「マジでか」
「マジです。まぁ、俺はソフトボールサイズが限界なんすけどねー」
「それでガツンと?」
「はい。能力で強化したのを思いっきりぶん投げたんすけど、いい感じにスキマの頬をかすめて後ろにあった岩山を粉々にしてくれました。あの顔すっげえ面白かったんすよ」
「えっ、どんな顔したんですか?」
「いやね?今から思うと、あのスキマが (´⊙ω⊙`) って顔で固まってたのが可笑しいの何のって」
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!そ、それ見たかったなぁ〜」
「それだけでも笑えるんすけど、藍さん達も (΄◉◞౪◟◉`) って顔だったのがもう……ね?」
「ぶはははははははははは!ま、待って!息が!息が出来ない…あっははははははははは!」
2人の笑いで満ちた室内に再び静寂が戻るまで、五分は掛かったそうな。
笑い声が止み静かになったタイミングで、文のスマホが鳴る。通話が終わり、スマホを手にしたまま話しかける。
「なんか……旦那がいつになく上機嫌なんですけど」
「穂谷野(雷様)さんが?悪いよりはいいじゃないすか」
「それが良くないんですよ……あの人が上機嫌な時に今までロクなことが無かったんですから」
「あ、そういう感じっすか」
「見せたいものがあるって話だったんですけど、なんか怖いのでついて来てくれませんか?」
「了解っす」
かくして、穂谷野(雷様)に指示された場所に向かった二人だった。が、
「……」
「……」
「ふっふっふ、そうかそうか、凄すぎて言葉も出ないってやつかい?当然だね、こんな立派な豪邸を見たら誰だってそうなるさ」
「えーっと…」
「…ナニコレ?」
「目を逸らしちゃ駄目じゃないか。
ごらん文ちゃん…10年間で積み立てた、へそ饅頭の売り上げで建てた豪邸だよ…」
「やめて!!そんなとこ住みたくない!」
「や、屋根の上にギリシャ神話よろしく文さんの銅像が建ってる…こ、これが雷様の裏の顔…!」
「裏の顔とは失礼だな…この家はちゃんとした商売で獲得したんだ。あの銅像だってちゃんと実寸大にしてある」
「何で全裸!?っていうか何本物そっくりに仕上げてんですか!ご丁寧に肌の日焼け具合まで再現してあるじゃないですかやだー!」
「そう怒るなよ、古代ローマの銅像って大体こんな感じじゃないか。ね?」
「ね?じゃねーよ!誰がフルカラーにしろって言ったんですかクソッタレぇぇぇぇぇ!!……っていうかそういう問題じゃないです!ただでさえあのミサイル事件とあいまって人里で
"あっ、ミサイルへそ饅頭の人だ!"
って言われてるのに、これじゃあ"変態ミサイルへそ饅頭"呼ばわりされちゃうじゃないですかー!」
「ぶっははははは!!」
「ミサイル……ふむ、アリだな」
「笑うな!検討するな!慰めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
雄叫びが、妖怪の山に木霊した。
それから4日ほど過ぎ、いつものようにログインした自転車バカに腕の装置が知らせを告げる。
(あれ、お気に入り登録した職人の数が減ってる。誰が……あ、さぬさん居ねえ。垢BAN喰らったか?)
SNSもチェックするが
(みんな似たようなコメントだな……ま、その内戻ってくるだろ。間違って消されたんなら文句いえば復活させてくれるだろうし)
と、様子を見ると称して放置する。本人がすぐにでも復帰しようとすれば1時間も掛からないだろうとの予測があるからだ。
しかし、丸一日経過してもさぬは戻って来ない。そんなに手間が掛かるのかと不思議に思った自転車バカは、彼が消える前に投稿したお題に @taizo と書いてあったのを思い出し、ボケてからログアウトしてアカウントを作ったばかりのTwitter世界にログインする。
(真っ白でなんにも無いな……お、通知が来てる。
"たいぞうさんがリツイートしました"…?こういう感じで来るもんなのか、見てみよう)
通知をタップして彼のページへ飛んだつもりなのだが、ついた場所は談話室と呼ぶのが相応しいとても大きな部屋だった。
暖炉もあればエアコンもあり、ソファーもあれば机もある。机の上には無数のパソコンがあり、キャスターがついた丸椅子もあった。
それぞれが部屋の中でグループを作って談笑しており、中にはパソコンに向かって何か作業をしている者も居る。呆気にとられていた自転車バカは目的を思い出したいぞうを探そうとするが、すぐ近くにいた。ちゃんと目的地に飛べたようだ。相手がこちらに気づいていないのを確認し、輪に混ざって話を盗み聞きする。
「…転載は絶対許早苗…」「…自分も過去にやられた事が…」「…俺の書いたイラストが無断で…」
(誰かがイラスト無断転載したんか。ここじゃちょっと聞き取りづらいな、ちっと移動してっと……)
「何で俺の書いたイラストが転載されてんの?許可した覚え無いんだけど」
気づかれないようにそうっと覗き見ると、さぬが投稿したお題の写真があった。たいぞうを始め、皆がそれを囲むようにして話をしている。
「このサイトは以前自分が利用していたので…」「…本人には既に言った…」「…確認したらアカウントが消えて…」
そこまで聞いて事情を把握した自転車バカはTwitter世界からログアウトし、デスクトップ画面に戻る。
(なるほどね、垢BANされたんじゃなくて退会したのか。そりゃ復帰しないはずだ……とりあえず、妖夢さんにだけは知らせに行こう)
ボケてに再度ログインし、町人Eのマイページから白玉楼に飛ぶ。正門にあるインターホンを鳴らすと妖夢が出たので、「正門に来て欲しい」と頼む。2~3分ほどで到着した妖夢に、ときどきつっかえながらも事情を話した。
「……信じられないかもしれないけど、こういう事なんです」
「全くもって嘘を吐くのが下手ですね。そんなの氷精だって見破りますよ?」
気丈に振る舞う妖夢だが話す声は震えており、彼女と目を合わせないように下を向いたまま話した自転車バカの視界にも、地面に落ちる水滴がはっきりと確認出来た。
頭をあげると、妖夢は腰に手を当てて”あっかんべー”のポーズをした。彼女の目を見ながら、静かにしゃべる。
「俺だって、信じたくないすよ……」
その言葉を聞いても尚、彼女は気丈に振る舞おうとする。その仕草が、過去の自分と重なる。どれだけ助けを求めても見向きもされず、それでも生きていなければいけなかった自分と。
決心するには、充分な理由である。
「で、用件は終わりましたか?こっちも暇じゃないんですからね、これで失礼……」
「まだ終わってない!」
「!?」
「俺は、ただ用件を伝えるために来たんじゃありません。約束しに来たんです」
「約束……?」
「必ずあんたの旦那を、復活させてみせる!今日中にだ!大人しく待っとけよコノヤロ―!」
「へ?いや、あのっ……行っちゃった」
彼の身体が虹色の光の粒となって雲散する。伸ばした腕を引っ込めて虚空を見つめる妖夢に、幽々子が背後から話しかけた。
「良かったわね、愛しの旦那様が戻ってくるわよ?」
「幽々子さま……何故あの人は、ああまでしてくれるんでしょう?」
「何も考えてないと思うわよ。考えるより先に……ってやつじゃないかしら」
「え?どういう……」
「すぐに答えを聞くのは貴女の悪い癖よ、これくらい自分で考えなさい」
そう言って屋敷へと戻る主人を、あわてて追いかける妖夢。
「あ、ちょ、待って下さいよ幽々子さまぁ~!」
◆
それから二時間ほどが経ち、自転車バカはデスクトップ画面で座り込んでいた。
(駄目だ、闇雲に探し回っても見つかる気がしねえ……。そりゃそうか、ネット世界って結構広いもんな。
考えろ、ボケての他にユーザー名のアイコンが出るサイトはどこだ?
その中で、ユーザーのプロフィールが自由に見られるサイトは……。
よし、pixiv行ってみるか!)
青と白のツートンカラーに配色された、ニコニコ超パーティー会場のような巨大な建物がある。掲示板には事務局からのお知らせが張り出されており、一角ではライブ配信を行うブースもある。展示されたイラストや小説、うごイラ。ライブ配信などを見て楽しむ者達の頭上には吹き出しが浮かんでおり、簡単な自己紹介が載っている。
幸いにも平日の為か、人気は少なかった。
(……居た!間違いない、さぬさんだ!なるほど、本人なりに考えがあっての退会だったのか)
彼のプロフィールに書かれてある自己紹介文を読み全てが繋がった自転車バカは、ここに来て動きを止める。
(さて、どうしよう。あんな事言った手前、今更引き下がる訳にはいかないけど……これ俺が首つっこんで解決出来るか?問題が問題だし、
”関係ない奴は引っ込んでろ”
って言われたらそれまでなんだよなぁ。でもさぬさんを心配してる人は沢山居るし、ここで帰ったら約束破りだし)
チラッと、彼のプロフィール写真に目をやる。
そこには、彼が愛してやまない妖夢の写真があった。
(そういや、俺の写真はレース中のにしたんだっけ。あのレース、先輩の命日の月にあったから腕輪つけるかどうか迷ったなぁ……。
そうだ、そうだった!先輩が殺された日も、同じ自転車競技部だったあいつが膝ぶっ壊されてやめた時も、俺その場に居なかったじゃん!)
過去に現実世界で起こった苦い経験を思い出し意を決した自転車バカは、再びTwitter世界へと飛んだ。
(そうだよな。立場は違えど、二人の友が俺の知らないうちに居なくなってんだ。もう、"あの時"を繰り返すのは嫌だ。今度こそ、助けてみせる!)
談話室へと着いた自転車バカは群衆を縫うようにして歩き、たいぞうの元へ近づく。
「……誰お前、何しに来たの?」
目の前に居る彼から。周りの野次馬から。これでもかというくらいに冷たい視線を浴び、一気に緊張度が高まる。
まっすぐ立っている筈なのに、足下がぐらつくような感覚に陥る。
声をだそうとしても口の中が乾ききっており、まともに話せない。身体に活を入れ、土下座をして話す。
「FF外から失礼します。伝言をお伝えしに参りました」
どよめく群衆をよそに、ソファーに座ったままの彼は眉間に皺を寄せる。
「伝言……?」
話を聞いていると確認出来た自転車バカは、そのまま続ける。
「はい、本人は猛反省しております。アカウントを消したのは彼なりの謝罪行為です、”もう二度とマナー違反をしない”とも言っておりました。寛大な処置を切に願います」
その発言を聞き、事情を把握した彼は言葉を返す。
「何で本人が来ないんだよ、舐めてんだろ」
「……ッ!」
胸に何かが突き刺さる錯覚を振り払い、声を絞り出す。
「いえ、そうでは御座いません。本人は
”アカウントの作り方が分からない”
と言っておりました。手ほどきをして来させるにはあまりにも時間が掛かりすぎると判断したので、代理として参った次第で御座います。ご容赦下さい」
「……考えておいてやる。だから帰れ、そんな真似されたままじゃ迷惑なんだよ」
そう言われて周りに耳を傾けると、土下座をした直後よりもざわついているのに気づく。このままでは機嫌を損ねると判断した自転車バカは、ログアウトしてpixivに戻った。さぬに話をするためだ。
「さぬさん、ちょっと良いかな?」
「ちゃ、チャリバカさん!どうしてここが!?」
「それは後で話すから、とりあえず話聞いてよ」
「……」
※以下の会話は、実際にpixivのメッセージで行われた物です。
「ツイッターでたいぞうさんに謝罪の旨は伝えて来たよ、後はあの人がどうするか待つのみ。余計なお節介だったらごめんなさい。」
「本当に何から何まで有難うございます。例の一件ですごく後悔をしてて自分でもどうしていあの様な事をしでかしたのか今ではわかりかねます。
本当はTwitterの垢作ってでも謝りに行くべきなのですが、よくわからなくて本当に困っておりました。本当に感謝の字でいっぱいです。
ボケてについては一応退会する前に”ワッフル”という垢を作っております。戻るか否かはたいぞうさんの反応を見てからですね。」
「全ては友を失いたくないからやった事です、礼には及ばないよ(まさか初ツイートが謝罪のテンプレとはね…)。」
「はい。本当に私は友に恵まれています。貴方の様な友に…折角の初ツイートを無碍にしてしまいすみません…。」
※
「まだ無碍になった訳じゃないよ。あの人が許してくれたら、意義のある初ツイートになるからね」
そういってTwitter世界に飛び、空白のような精神状態で待つこと数時間。反応があった。ファボが来たのだ。すぐさま談話室へ行く。
「無断転載の件はもういいよ。俺も鬼じゃないし、許すよ。二度とやらないでね」
「……慈愛に満ちた処罰、感謝致します。本人に成り代わり御礼申し上げます」
「あー良い、土下座とか良いからはやくどっか行って」
「畏まりました。重ね重ね、有り難う御座いました」
すぐさまpixivへ行き、さぬに伝える。
※
「朗報:たいぞうさんから許しが出た。以下、本人のコメント ”無断転載の件はもういいよ。俺も鬼じゃないし、許すよ。二度とやらないでね。”
さぁ!戻ってこいさぬ!お前を心配してる人は沢山居るんだ!」
「ありがとうございますたいぞうさん!ありがとうございますチャリバカさん!2度と同じ過ちは繰り返さない!さぁ、行こうか!」
※
「……てことだからさ、ひとつ頼むよレミィさん」
「仕方ないわね、貴方の頼みじゃ断れないわ……しっかし、中々やってくれるじゃない」
「まぁ、俺くらいのお人好しになればこんくらいやっちゃうんだよ。あ、みんな来た。じゃ、手筈通りで」
ぞろぞろと、紅魔館に集まるユーザー達。「重大発表がある」と言われて来たのだ。皆が揃ったのを確認し、レミリアが{かりちゅまモード}になって大声を出す。
「運命を操ってさぬを復活させてやるわ!」
「だけどこんなカリスマじゃ…」
「カリスマが伝わってきたぜーーッ!」
『!?』
レミリアよりも数倍でかい声が、敷地内に響く。全員が声の方角を向くと、二階のテラスにさぬが居た。
戻ってきたことに歓声をあげる一同だが、まっさきに妖夢が彼へ飛びつく。
「おかえりなさい……貴方」
「ごめんな、心配かけて。もう何処にも行かないよ」
「心配なんてしてませんよ、必ず戻ってくるって信じてましたから」
「ほんとかよ」
「まあ、私は強いですからね!」
さぬから少しだけ離れ腕を組んでどや顔をする妖夢に、さぬは言葉を返す。
「流石俺の妖夢、可愛いヤツめ」
(まぁ本当は枕がふやけるくらい泣いてたんだけど……黙ってれば気づかれないよね?)
夕焼けをその身に纏って、さらに紅く光る紅魔館。
このあと彼の腕の装置が投稿したボケには妖夢ファンからのアンチコメが殺到し、さぬのガラスハートに入ったヒビが治るまで暫く部屋に籠りっきりだったそうな。
続く。
おまけ。
さぬ「何もそんなボロカス言うことないじゃん……」(´;ω;`)
妖夢「ちょっとコメントした人たち三枚に下してきます」
幽々子「消されちゃうから止めなさい」