東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第34話「月面旅行」

「さぬ引退事件」より約2週間後、いつものように午前9:00時にログインした自転車バカの前には豊姫が居た。

 

 

「あれ、とよ姉が単独で来るなんて初めてじゃね?どったの?」

 

「あー、えーと、どこから話したものかしら……」

 

「ん?」

 

「実はね、明日月の都で夏祭りがあるの」

 

「夏祭り」

 

「そう、夏祭り。で、今年は私も依姫も店を出したりしないから自由に回れるの。良かったら一緒にどう?

って依姫から」

 

「伝言かよ」

 

「仕方ないじゃない、あの娘

"直接言いに行くとか無理です!"

の一点張りで話聞いてくれないんだもの。かといってイナバを行かせるのは手間がかかるし……」

 

「それでとよ姉が来たって訳か、なるほどね」

 

「どうかしら、結構楽しいわよ?」

 

「行く行く、断る理由が無いし」

 

「決まりね。あ、そうそう。これは本人から口止めされてたんだけどね……」

 

 

大小様々な中華風の建物が立ち並ぶ月の都。

の中にある稽古場で、依姫はただ1人、鼻歌を歌いながらストレッチをしていた。周りでストレッチをしているイナバ達の視線を物ともせずに。

 

 

「……何あれ」

 

「ほら、明日って夏祭りじゃない?その為に今日から依姫様の殿方が此処に泊りがけで来るらしいよ?」

 

「あぁ、なるほど」

 

「でもさー、依姫様も物好きというか変わってるというか……地上の民とお付き合いするだなんて。昔の月じゃ考えられない事だよね」

 

「仕方ないじゃない、時代と共に価値観とか考え方って変わるんだから。

"穢れをむやみに嫌う自分達が一番穢れてる"

って思った上層部が居たから、今ああして依姫様が楽しそうなんじゃない。ってかまだお付き合いまで進んでないらしいよ?」

 

「まぁ、それもそうね、過ぎた事だし。ってかマジでか、戦闘以外はからっきしだなぁ」

 

 

そうして皆が準備運動を終えた頃、豊姫と自転車バカがワープして来た。いち早く気づき目を輝かせる依姫だが、当の自転車バカはスイッチを入れた状態で、黄色と限りなく黒に近い緑色の光を放つソフトボールサイズの岩を生み出していた。

 

 

「依姫ぇぇぇぇぇ!稽古の時間だ!剣を取れ!構えろ!これでも喰らえぇぇぇぇぇ!!」

 

「!?」

 

 

ステップを踏んで勢いよくぶん投げられた岩。久々に会えた想い人がキレている事に戸惑いつつも対象物の観察をし、相殺出来る程度の衝撃波をぶつけた。筈だったのだが、何故かぶつかった瞬間に小規模の爆発が起こってしまう。

 

 

『よ、依姫様!?』

 

 

煙幕で隠れた依姫の姿が、だんだんとはっきりしてくる。完全に煙が消えた頃には、剣が折れて服が所々破けた涙目の彼女が、左腕を押さえるように立っていた。それを見て、自転車バカはスイッチを切る。

 

 

「ど、どうして…?完全に相殺した筈なのに…」

 

「順を追って話そう。俺の能力が細かく分けると二種類あるってのはラインで教えたよな?」

 

「う、うん。"防御・回復型"なんでしょ?」

 

「そうそう。黄緑色だと壊れた物を修理したり怪我した人を治療したり出来るんだ。なんでもって訳には行かないけど」

 

「黄緑色?さっきのは常盤色だったじゃない、英語だと"ハンターグリーン"って言ったかしら」

 

「さっすが、月の民は頭良いねぇ。

そうだよ、あの色は回復じゃなくて防御なんだ。まぁ防御っつっても正確には防ぐんじゃなくて、さっきみたいに受けた攻撃を全く同じ威力で跳ね返すんだけどね」

 

「それでこうなったのね、そうと知ってたら完璧に消せば良かった」

 

「消すっていってもアレだぞ?霊夢の"夢想封印"よりも高い威力じゃないと跳ね返ってくるからな?」

 

「……そんな事してたら、間違いなくこの稽古場は吹き飛んでるわね」

 

「そうなってたら、俺も無傷じゃないだろうな。威張って言う事じゃないけど」

 

「チート呼ばわりされる能力を見事に封じたわね……諦めなさい依姫、今回は貴女の負けよ」

 

「うぅ…悔しいような嬉しいような」

 

 

「依姫様が負けた!?」「戦闘だけは強い依姫様が…!」「豊姫様以外の人に負かされるのって初めてじゃない?」

 

 

ザワザワと騒ぎ出すイナバ達の発言を流し、豊姫がうながす。

 

 

「その格好じゃ稽古出来ないでしょう、一旦着替えて来たら?」

 

 

そう言われ、改めて自分の姿を見る依姫。

 

 

「本当だ、剣まで折れちゃった」

 

「……やった本人が言うのもアレなんだけど、剣って折れたらマズかったりする?」

 

「大丈夫、これの予備は倉庫にあるから」

 

「それを聞いて安心した」

 

「じゃあ着替えて来…」

 

「待てい!まだ話は終わっとらん!」

 

「!?」

 

 

依姫の腕を掴み、目を合わせて問い詰める。

 

 

「お前レミィさんの保護を浮気って言ってたらしいな、え?」

 

「ど、どうしてそれを!?」

 

「テヘッ教えちゃった♪」(๑˃̵ᴗ˂̵)ゞ

 

「お姉様ぁぁぁぁ!」

 

「"レミィさんは今ちょっと旦那が不在だから保護してるだけ"

って散々ラインで伝えたよな?お前にとりさんと咲夜さんとアリスさんの時も同じような事言ってたからその都度説明したよな?あんだけ言ってまだ言うか、ってか俺とお前って友達だよな?なのに浮気ってどういう意味だ。ん?」

 

「あ、や、その…うぅ///」

 

 

(やっぱり、まーだ告白してなかったんだ)

 

(でもこの流れなら言えそうじゃない?)

 

(無理ね、あの娘がああいうのに弱いのは月の常識でしょう?余程の事が無いと言えないわよ)

 

(あの、豊姫様?さり気なく輪に混ざるの止めて頂けませんか?)

 

(そっかぁまだ無理かぁ〜)

 

(順応早いなおい。ってかこれ軽く公開処刑ですよね?)

 

 

周りの視線を受けいよいよ何も言えなくなってしまった依姫。これ以上問い詰めるのは可哀想だと判断した自転車バカは、掴んだ腕を離し彼女の頭を撫でながら促す。

 

 

「もういいや、とりあえず着替えてきなよ」

 

「お、怒ってる…?」

 

「怒ってないって、その格好だと俺がとんでもない誤解受けそうだから着替えて来てって事だよ」

 

「あ、なるほど。行ってきまーす!」

 

 

依姫が稽古場から去るのを見届けて各自、自分で決めたメニューをこなすイナバ達。邪魔にならないよう壁にもたれかかっている二人だが、豊姫が時計を見て呟く。

 

 

「うーん……いくら何でも遅いわね〜」

 

「うっかり倉庫に閉じ込められたとか?」

 

「いやいや、流石にそれは無いでしょー」

 

「だよな、流石にそれは無いよな」

 

 

二人が笑っている所で、着信音が鳴る。依姫からだ。腕の装置を通話モードに切り替える。

 

 

「もしもし?」

 

〈ごめん、うっかり倉庫に閉じ込められちゃった……〉

 

『嘘ぉ!?』

 

〈誰かが通りかかりにドアにぶつかったの、そしたら内側のドアノブが外れちゃって……〉

 

「誰が通ったのか分からないの?」

 

〈分かりません、何せ閉めていたので〉

 

「鍵って外からかけるタイプ?だったら内側から押せばいけるんじゃね?」

 

〈それが、内鍵も付いてるタイプなの〉

 

「ドアの他に出口は?」

 

〈えぇっと……あ、小窓がありました。でも狭いから無理かも〉

 

「だったら壊すしかないな」

 

〈駄目よ!修理費掛かっちゃうじゃない!〉

 

「いや、言ってる場合か!じゃあどーすんだよ!」

 

〈お願い!貴方の能力で開けて!〉

 

「……場所どこよ?」

 

〈稽古場を出て…あ、ごめん。もう電池が〉

 

 

音声が途絶え、3Dホログラムで浮かび上がっていた画面に「通話終了」の文字が入る。

 

 

「くっそ、肝心な所で切れやがった」

 

「あの娘の倉庫ってそんなに建てつけ悪かったかしら?」

 

「……なぁとよ姉、あんたがワープして行く方が早いんじゃね?」

 

「無理ね、あの娘の倉庫が何処にあるかなんて知らないもの。プライベートな事は一切干渉しないようにしてきたから」

 

 

一部始終を聞いていたイナバが話しかける。

 

 

「豊姫様が知らなかったら誰も知らないですよ?」

 

 

「マジかよ……しゃあない、行って来るわ」

 

「分かるの?」

 

「ふっ、この装置を舐めてもらっちゃあ困るな。逆探知して場所を特定するのなんか朝飯前なんだよ」

 

 

通話履歴から依姫を選び、"居場所を特定"の項目をタップする。1~2分程経過すると装置が

「特定シマシタ、ルート案内ヲ開始シマス」

と音を立てる。それを見た自転車バカは、装置を頼りに稽古場を後にした。

 

 

 

 

(此処か、依姫の倉庫って意外とデカイな。もっとこう……プレハブ小屋みたいなの想像してたのに)

 

 

倉庫街の一角にあるそれは、ちょっとした家ほどの大きさがある。しかし、周りも似たような大きさで似たような造りをしている。

 

 

(こりゃナビが無かったら辿り着けてないな……っと、これが問題のドアか。あーあ、こっち側もドアノブ無いじゃん。とりあえず直すか)

 

 

スイッチを入れ、ドアノブがあった付近に黄緑色の球体をそっと当てる。1分足らずで元に戻ったレバー状のドアノブを押すが、開く気配は無い。鍵がかかっている感触がある。

 

 

(あー、ご丁寧に鍵かけて探し物してたパターンか。まぁいい、直るには直ったんだし。中から開けて……ッ!)

 

 

ノックをしようとした時、視界の端に二人の兵士が映る。見つかる前に隠れたつもりだったが、相手の発見が速かった。

 

 

「おい、今の見たか?」

 

「あぁ、誰か居たな。ここは"関係者以外立ち入り禁止"の結界を張ってあるから、倉庫の持ち主を除いて一般人は入れない筈なんだが」

 

「……ふむ、結界が破られた訳じゃ無さそうだな。だったら警報がとっくに鳴り響いているし。余程の手練れと見た」

 

「そんな事はどうだって良いだろう、この中に入る輩は泥棒しか居ないと相場が決まってるじゃないか。さぁ、取っ捕まえるぞ」

 

 

(あれ結界だったんかい!"おぉ、文字が浮かんでるー"くらいにしか思ってなかったよ!つか入る時に何の抵抗も感じなかったんすけど!?

何!?俺ひょっとして人間として認識されてないの!?)

 

 

そうこうしてる間にも、足音は確実に近づいてくる。このままだと依姫はおろか自分の身が危ないと判断した自転車バカは、倉庫の裏へと回りグローブをはめた上でスイッチを入れる。

 

 

(……おし、小窓は閉まってないな。全開にすれば入れるか)

 

 

後ろへと下り、助走をつけて小窓まで壁を駆け上がる。窓枠を両手で掴み、壁の凹凸に脚を乗せる。安定した所で窓を開け、身体をねじ込む。着地場所に羽毛布団があるのを確認し、頭からダイブする。

この間、およそ10秒である。

小窓から入ってくる会話が聞こえなくなるまで遠ざかり、ようやく一息つけた。

改めて室内を確認するとここが二階であると分かり、梯子のように急な階段を降りる。すると、出入り口の近くで座っている怯えた目つきの依姫と目があった。

 

 

「お姫様、お迎えに上がりましたよ」

 

「〜〜ッ!」

 

 

安心したためか、依姫は目に涙をためて走ってくる。そのまま抱き着こうとしたが、自転車バカがトラウマを思い出したので未然に防がれた。

馬鹿かお前は。建物内で吹き飛ばされたら絶対死ぬだろうが。

と文句を言おうとしたのだが、太ももに痛みが走り膝をついてしまう。

 

 

「いっつつ……」

 

「だ、大丈夫?」

 

「……これアレだわ、小窓から入る時に身体ねじ込んだ弊害が出た奴だ」

 

 

視線を小窓に向けると、依姫も釣られて見た。

 

 

「あれ狭いもんねー……ってか何であそこから入ったの?」

 

「見張りに見つかっちゃってさ、問答無用っぽい雰囲気だったから」

 

「……ごめんね」

 

「いいよ謝んなくて。それより戻ろうぜ」

 

「そうだね」

 

 

そんなこんなで稽古をいつもより早めに切り上げた依姫は、姉と自転車バカを連れて海に来ていた。

 

 

「あれ、旧暦の人じゃん。人の事言えないけどこんな所で何やってんの?」

 

「ググレカス、スイカ割りごっこだ」

 

「……よし、質問を変えよう。何で天子さんと一緒に肩まで砂に埋もれてんの?」

 

「だから、スイカ割りごっこだって言ってるでしょ」

 

「駄目だ、この人達が何をしたがってるのか理解出来ない。依姫、分かる?」

 

「……あぁなるほど。そういう事ね」

 

「はい、スイカ持って来たわよー」

 

「ありがとうございますお姉様、これをこうして……っと」

 

「で、木の棒を持って目隠しをすれば……はい出来上がり!」

 

「天子さんと旧暦の人の横にスイカがそれぞれ置いてある……ま、まさか!」

 

「だから言っただろ、スイカ割りごっこだって。あ、下準備乙ー」

 

「えっそっち!?割るんじゃ無くて割られる方!?」

 

「逆に聞くけどそれ以外に何があるってのよ。ねぇ師匠?」

 

「全くだ、どうして俺らがスイカを割らなきゃいけない?」

 

「いや考えたから言ってんだよ。何で息をするように割られる側に付いてんの?」

 

「やれやれ……ドMがスイカ割りするんだぞ?こんなの一般常識だろうが」

 

「師匠の仰る通りよ、さっさとドタマかち割りなさい」

 

「さらっと恐ろしい事言うな!ってか師匠って何だよ!アンタいつから弟子とったの!?」

 

「ちょっと自転車バカー、スイカ割るからそこどいてくれない?危ないよ?」

 

「何で神須佐能袁命降ろしてんだお前は!何割るつもりだ!」

 

「スイカだけど」

 

「嘘つけぇ!どう見てもそれ全てを無に帰すだろ!丁重にお帰り願え!」

 

「dead or dieキタコレ!」

 

「何でちょっと嬉しそうなんだお前はぁぁぁぁ‼」

 

 

ギャアギャアと騒ぎながら、午後のひと時を過ごす自転車バカ達。

旧暦の人と天子が帰る頃には時刻が夕方を示しており、潮の香りを背中に浴びながら三人は家路へと着いた。宮殿の門まで行きログアウトしようとしたが、依姫の希望により彼女の部屋を次回のログイン場所に設定する為、中へと入った。

部屋の前に着き、腕の装置に上書きさせる。

 

 

「……おし、これでOK」

 

「ちゃんと来てよ?」

 

「分かってるって……あ」

 

「「あのさ」」

 

「……何?(ハモっちゃった)」

 

「いや、明日って何時に来りゃいいのかなーって(やべえ、ハモった)」

 

「いつも通りで良いよ、どうせ9時くらいでしょ?その頃には始まってるから」

 

「了解、9時ね」

 

「じゃあ……また明日ね」

 

「また明日ー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。

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