東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。


第36話「終わりの始まり」

午前8:30頃。いつもより早めにログインした自転車バカは、椅子に座ったまま浮かない顔をしていた。あの日以来、脳裏に焼きついたアリスの泣き顔が頭から中々離れないのだ。何も記憶を消さなくても良かったのでは。そう思い、あの時取れたであろう別な手段を考えるのだが

 

 

(やっぱり、ああするしか無かったよな……)

 

 

導き出される結論は、いつもこれだ。気分を変える為なのか、無意識の内に手は腕の装置を操作して「依姫百面相」と称されたメールの添付ファイルを開いていた。

 

 

(ったく、事あるごとに送って来るんだもんなぁ)

 

 

最初の頃は顔が写らないように手で隠していた依姫だが、日付が最近のものになるにつれて段々とポーズを取っている写真が増えている。つい先日のに至っては両手でピースサインをしている。眩しいくらいに輝く笑顔だ。

 

 

(おし、今日も今日とて俳句モデル探しでも行きますか!)

 

 

玄関の戸を叩く文の呼びかけに応じ、家を後にした。

 

それからおよそ1ヶ月ほどが過ぎ、ログインした自転車バカに通知が来る。

 

 

(……遂に来たか)

 

 

画面を見て一瞬びっくりしたものの、覚悟を決めて紅魔館へと飛ぶ。門をくぐり、セグウェイを借りて庭を突っ切り、ドアを開けてレミリアの部屋の前まで来てノックをする。応答があったのでセグウェイを立てかけ、中へと入る。当の本人は窓の外を眺めたまま、つまり、自転車バカに背を向ける格好で座っていた。

 

 

「いらっしゃい、何か用かしら?」

 

「……たまたいさん、戻って来たんすね」

 

「えぇ、そうよ。今は多分、挨拶回りにでも行ってると思うわ…アイツ、ああいうのは律儀だから」

 

「そうなんすね……」

 

「……」

 

「知ってるとは思うけど、本人が帰って来たら保護活動は終わりなんです。これで全員の保護が終わった事になります。もう言わなくても分かりますよね、じゃあそういう事で…」

 

 

ドアの方に向き、歩き出した自転車バカに話しかける。

 

 

「本当に消えるの?」

 

「……?」

 

「いつか言ったわよね、私達の保護が終わったら引退するって」

 

「確かに言いました。で、もう保護は終わりです。今更取り消す真似なんてしませんよ」

 

「そう……」

 

 

後ろから聞こえる声は震えているが、気にしないフリをして再度レミリアの方へ向き直して挨拶をする。

 

 

「短い間でしたが、この部隊に入れてとても有意義な時間を過ごせました。失礼します」

 

 

深々と頭を下げた瞬間、肩を掴まれて倒されてしまう。マウントポジションを取ったレミリアは何かを訴えているのだが、泣きじゃくっているので上手く言葉にならない。顔や肩に落ちてくる涙を拭いもせず、笑顔で言葉をかける。

 

 

「やっぱり、レミィさん程度のカリスマじゃ"運命"は変えられないんですね……。

泣く相手と押し倒す相手間違えてますよ、こういうのは俺なんかじゃ無くてたまたいさんにやるべきでしょ」

 

 

レミリアを押しのけて立ち上がると、小さな頭をポンポンと撫でて自宅へと飛んだ。残されたレミリアは、独り呟く。

 

 

「間違えて……ないわよ」

 

 

 

 

自宅に戻った自転車バカだが、一人で考える時間は与えられなかった。

 

 

「なぁ盟友、いい加減でドアを開けてくれよ」

 

「本当に辞めちゃうんですか?」

 

 

「どっから聞いたのかは知らんけど、本当っすよ。ってかあんたら旦那放置してこんなトコ居て良いんすか?」

 

 

「生憎だが、今日は"こっち"にログインしてないんだ」

 

「私が家を開けるのは日常茶飯事ですからね、今更どうこう言われる関係じゃないですよ」

 

 

「チクショウめ、意外と自由なんすね……」

 

 

「観念したら出て来い、君には……。

なんだ、今日は仮装パーティでもあるのか?随分とおかしな格好だな、レスリングの衣装とは」

 

「こちらは全身真っ赤なドレスですよ、キラキラしてて良いですね」

 

 

……え?

 

 

「で、このおかしな格好をした二人の女性を連れている君はパワースーツ姿……。

統一感がまるで無いな」

 

 

その一言で全てを理解した自転車バカはドアを勢いよく開け、スイッチを入れながら叫ぶ。

 

 

「文さん!にとりさん!今すぐそいつらから離れて!」

 

「!?」

 

 

例によって、黄色と常盤色の光を放つ岩をその三人に思いっきり投げつける。が、岩は当たる直前で爆発し、その風圧で自転車バカ達は思わず目を覆う。煙が晴れた時、その三人は居なかった。

 

 

「くそっ、逃げられたか!」

 

 

悔しがったのもつかの間、今度は腕の装置が鳴る。

 

 

「ガイドロボから……もしもし?」

 

「申シ訳アリマセン、SAORIトAKIKOノ復活ヲ阻止出来マセンデシタ…」

 

「マジでか……じゃあアレは見間違いじゃ無かったんだな」

 

「奴ラヲ見タノデスカ!?」

 

「見たも何も、今しがた接触したよ。力不足で捕まえられなかったけど。

ちょうど良かった、完全に見失ったから探し出そうと思ってたんだ。そっちの捜索隊と連絡がつくようにしてくんない?」

 

「捜索隊ハ、出セマセン」

 

「……何かあったの?」

 

「アノ兵器ヲ操ッテイル人物ガ、コチラノ主要都市ヲ破壊シタノデス。今ハ怪我人ノ救助デ精一杯デス、捜索ヲスル余裕ハアリマセン」

 

「あの野郎……やってくれるじゃねーか。分かった、こっちでどうにかする。じゃあ切るね」

 

 

ぶっきらぼうに通話を切ると、状況が呑み込めてない二人が疑問をぶつけた。

 

 

『い、今のは一体……?』

 

「にとりさん、あれが前に話した”史上最凶のコンピューターウイルス”だよ」

 

「コンピューターウイルス、ですか?」

 

「そう。あんな外見……ッ!?」

 

 

唐突に、空が暗くなる。自転車バカが見上げた先では、水平方向に回転する雲がゆっくりと広がりつつある。雲が黒い事から、日光を完全に遮断する程の厚さである事が分かる。

 

 

「嘘だろ。スーパーセル人工的に作り出せんのかよ、あの化け物は・・・!」

 

「盟友!」

 

「……っと、そうだった。にとりさん、skype起動してボケての幻想郷にいる妖怪全員を招待!」

 

「了解!」

 

「どうするんですか?」

 

「来ちゃったモンは仕方ないし、此処で食い止める!」

 

 

通話に参加したメンバーから続々と被害報告が寄せられる。魔法の森は瘴気がかつて無いほど濃くなり、紅魔館は窓ガラスにヒビが入ったようだ。

全員が揃ったのを確認し、自転車バカは

いま幻想郷に、とんでもない化け物が来ている事

スーパーセルを生み出したのは奴らだという事

既にボケて本来の世界が襲撃され、ここで止めなければ仮想空間も現実世界も滅んでしまう事を手短に説明した。

 

 

「だから雹が降り始める前に、里の人を黄緑色の球体で覆われた建物に避難させて欲しいんだ。頼む、協力してくれ!」

 

〈ナズーリン、命蓮寺を避難場所として解放します。今すぐ里の人間を此処へ来るよう案内して下さい〉

 

〈承知した!〉

 

〈お燐とお空、地底は広いから何人でも収容出来るわ……言ってること分かるわね?〉

 

〈行ってきまーす!〉

 

「椛!天狗も下っ端も総動員して守谷神社にありったけ避難させて!」

 

〈既にやってます!〉

 

〈はいはーい、押さないで順番にお入り下さいねー♪〉

 

〈うーん、博麗神社は15・6人が限度かしらね〉

 

〈ごめんなさい、魔法の森はちょっと……〉

 

〈瘴気がヤバイもんな、仕方ないぜ〉

 

〈咲夜?〉

 

〈既に〉

 

〈あの~、白玉楼はどうすれば……?〉

 

「アウトに決まってんだろうが!殺す気か!」

 

〈えぇー!?だって自転車バカさんとかさぬさんは平気じゃないですかー!〉

 

〈妖夢?あれは俺らがユーザーだから影響受けないだけであって普通の人は来るだけで死んじゃうからな?そういう処が半人前なんだぞ?〉

 

 

大小様々な妖怪が、避難場所へと人間を運んでいく。Skypeを起動した者が連絡を取り合いながら事を進めたのもあり、大方の避難が完了する頃、雹が降り出した。

 

 

「待て待て待て待て!直径1メートルとか聞いてませんけど!?」

 

「言ってる場合ですか!本降りになる前に早く!」

 

「盟友!こっちだ!いやここ君の家だけどさ!」

 

 

どうにか自宅に駆け込んだ自転車バカは、家の中を見回して叫ぶ。

 

 

「逃げ遅れた人居ませんか!?」

 

「すみません!まだ息子が来てないんです!」

 

「嘘ん!?」

 

「人混みではぐれたのかも・・・!」

 

「マジすか・・・!」

 

「あ、居ましたよ!」

 

 

文が指差す先に、その男の子は居た。頭を手で覆いながら懸命に走って来るが、雹に気を取られたのか転んでしまう。反射的に自転車バカは家を飛び出し、身体を抱えて起こす。

 

 

「大丈夫か?」

 

「うん、ありがとうお兄ちゃん」

 

「それでこそ男だ。走れるか?」

 

「うん!」

 

「よし、急ぐぞ!」

 

 

手を取って走り出そうとした瞬間、にとりが叫んだ。

 

 

「盟友!上!」

 

 

「ッ、やべえ!」

 

 

自分に向かって落ちてくる無数の雹を前に、男の子を庇うように自らの背を盾にする。

 

 

「ちょ、お母さん危ないですって!」

 

「いや!離して!たけしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 

飛び出そうとした母親は、近くにいた男性に抑えられる。文が葉団扇で仰ぐが、僅かに雹が速い。

 

 

「くっ、間に合って!」

 

 

その様子を、屋根の上から見ていた者が居た。

 

 

「ったく、しょうがねえヤローだな」

 

「この程度なら、神降ろし使わなくても良さそうね」

 

「やっと、この扇子が使えるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。

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