東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第7話「命を懸けて」

ログインをして約2分が経過した頃、腕の装置が振動し着信画面が浮かび上がった。

毎度の事ながら何でここまでタイミング合うんだろう。

と思いつつ画面を見るが、掛けてきた相手は文では無かった。

 

 

「もしもし。えっ、にとりさん?」

 

「もしもし。そうだ、私だ。驚かせて申し訳ない」

 

「いや、ログインと同時じゃないんで大丈夫っすよ。文さんじゃないことに驚いたってだけなんで。どうかされましたか?」

 

「あぁ。呼びつけるようで申し訳ないが、話したい事があるからとある場所まで来て欲しいんだ。迎えに文を行かせる。来れるかい?」

 

「はい、大丈夫っすよ。何分以内に来いとかあります?」

 

「えっ」

 

「えっ?」

 

「あいつ……はぁ、何か泣けてくるよ」

 

「はい?」

 

「何でもない。時間はいくら掛かっても構わないから安全に来てくれ。良いね?」

 

「あ、はい。分かりました、失礼します」

 

「うん、じゃあ切るよ」

 

 

通話を切り、彼女の応対に疑問を持ちながらも文からの電話に出た。

 

 

 

 

「すみませんね、わざわざ運んで貰って」

 

「お気になさらずとも、これくらいは問題ありませんよ。しっかし、何をやらかしたんです?貴方が呼び出しをくらうなんて」

 

「身に覚えがないだけにちょっと怖いっすね」

 

 

文に例のごとく運んで貰う自転車バカだが、文は完全に面白がっている。その下卑た笑みに腹を立てるが、そんなもので動じる彼女ではない。

 

 

「ま、私としては面白い記事になればどうだって良いんですけどね〜♪」

 

「はぁ…」

 

 

ときどき嫌になるな、この人の部下なのが。

 

 

「さ、そろそろ着きま…おや?誰か居ますね」

 

「誰かって呼び出したにとりさ…本当だ、誰かいる」

 

 

呼び出された場所に居るのはにとりさんだ。それは間違いないんだけど…にとりさんの服装を男性用にアレンジしたような服を着た隣の人は誰だろう?旦那さんかな?だとしたら俺は怒られるのかな?いや待て、危ない発言も行動もしてないから大丈夫のはずだ。大丈夫大丈夫。

地面に降り、姿勢を正す。

 

 

「やぁ、初めましてだね。俺はトム。ここに居るにとりの彼氏だ。急な呼び出しですまない、話があってね」

 

 

そう言い、頭上にトムと表記された男は左腕に抱き寄せた彼女に視線を移す。

いつものキリっとした表情は何処へやら。頬を赤く染めてトムを見つめている。

 

 

「あ、こちらこそ初めまして。自転車バカって言います。どうぞよろしく」

 

 

にとりさん、あんたそんな表情出来たんだね。初めて知ったよ。

 

 

「やれやれ、彼氏の前だといつもこれですよ。その癖、どうにかした方が良いんじゃないですか?」

 

「俺からすればキリッとしたにとりさんしか見てないから凄く新鮮ですがね」

 

「これじゃ話が出来そうにないな。仕方ない。俺から言うよ。今日来て貰ったのは理由があるんだ」

 

「理由?」

 

「実は昨日紅魔館から招待状が来てね、中に"お前らの一年記念日を祝ってやるから来いコノヤロー"って書いてあったんだ」

 

「何という上から目線…ってか言葉使い汚いな」

 

「良いじゃないすか、おめでとうございます。何でそれを俺に?」

 

「にとりにこの事を話すと

それなら自転車バカを同行させてくれないか

と言われてね。聞けばにとりの為に雑誌を作ってくれたそうじゃないか。お礼も兼ねて紅魔館へ行かないか?」

 

「紅魔館かぁ…そういえばまだ行ってなかったな」

 

「それなら尚更好都合だ、一緒に行こう」

 

「なるほど、だからここに来させたんですね」

 

「ドユコト?」

 

「紅魔館ならここから歩いて行けますよ」

 

「そんな近いの!?」

 

「近いよ、だってここは霧の湖だからね」

 

「霧の湖!そりゃ視界が悪い訳だ」

 

「なんだかネタの匂いがするので私もご同行します!」

 

「それで良いのかあんたは」

 

「let's go!」

 

((そしてこのにとりのハイテンションである))

 

 

10分と歩かない内に霧が晴れ、赤くそびえる館が見えてくる。話をしてあるのだろう、門番はあっさりと中へ通した。便乗して入ろうとした白黒の魔法使いを除いて。門を開けると既に用意が整っており、館の面々がそれぞれの旦那を連れて談笑していた。トムも輪の中に混ざっていく。文は写真を撮るのに夢中だ。皆をぼんやり眺めていると思わず呟く。

 

 

「あれ?あの姉妹は日光当たったらヤバイんじゃ?」

 

「それなら問題ありませんよー」

 

「お、美鈴さん…と、そちらは旦那さん?キャーイクサーンって言うんすね」

 

「ども、よろしく」

 

「こちらこそ」

 

「…話をしても宜しいですか?」

 

「あっハイ」

 

「一から説明しますね。まずパチュリー様がお嬢様の要望で館全体を覆う特殊な結界を編み出したんです。太陽の明るさだけを通す奴をね。

でもずっと張り続けるのはきついので装置で制御出来ないか、と山の河童達に依頼したんです」

 

「……その開発責任者がにとりさん?」

 

「ご名答」

 

「で、その装置が出来たからああやって敷地内であれば外に出ても平気っつーことだ」

 

「へぇ〜、科学と魔法の融合か。凄い事やってのけるなぁ」

 

(あ、フラン様が居なくなった)

 

(って事はそろそろ作戦開始か)

 

「あ、館内見て回っても良いですか?」

 

「構いませんよ、どうぞごゆっくり」

 

(みんな、フランが戻ってきたら行動開始よ。たまたい、準備は良いわね?)

 

(任せろ!なあ、きいろだま?)

 

(おう、何かすっげえドキドキする!いい意味で)

 

(ドッキリ仕掛けるなんていつ以来かしら。楽しみね、ガーリック?)

 

(あの、パチュリー様?リハみたいに服の裾踏んですってんころりんとか無しだぞ?)

 

(全てはトムさんの為ですからね!不肖小悪魔、頑張ります!)

 

 

などと言う会話が交わされていたのだが、それを自転車バカは知る由もなかった。

正面玄関を開けて館内へと入り、当てもなく彷徨う。すると、廊下の奥から一人の少女が飛んで来るのが見えた。が、その飛行速度は彼の目で追える速度では無かった。

 

 

(トムが彼女さんにプロポーズするように仕向けるドッキリとか…お姉さまも無茶な事言うなぁ)

 

 

当然ながら、考え事をしていたフランも人が居た事など気づいていない。

 

 

「……今すれ違ったのってひょっとしてフランちゃんかな?何かカラフルなモン見えたし多分そうだよな、うん。

しっかし広いなぁ〜。これが紅魔館か。MMDで見た通り、本当に紅いんだな」

 

「お待ちしておりました自転車バカ様」

 

「ん?」

 

「名無しの妖精メイドです。レミリア様より館内見学を手伝うよう命じられております。どうぞよろしくお願い致します」

 

「まじでか。じゃあお願いするよ」

 

 

 

(トムが連れてきた奴は運命いじって館内を見学させるように仕向けたから)

 

(流石お姉さま!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかアレだな」

 

「どうされましたか?」

 

「外から見ても結構デカイなって思ったけど、中はもっと広いってのがビックリした。セグウェイが無かったら脚やばかったかも」

 

「ふふっ、初めて館内を見学されるお客様は皆様そう仰るんですよ」

 

「何作目だったか忘れたけどハリー◯ッターを彷彿とさせるね」

 

「存じております。それ多分炎のゴブレットですね」

 

「あれ?知ってるんだ」

 

「はい、DVD全巻が最近幻想入りしましたので」

 

「……因みに入手先は?」

 

「こうりんマートでございます」

 

「はえ〜…ん?なんか外が騒がしいな。何してるん」

 

 

その時、突然の轟音と地震が発生する。転けそうになるものの、妖精メイドがしっかりとサポートに入ったので事無きを得る。地響きと天高く舞い上がった粉塵が収まると、セグウェイを降りて窓へ駆け寄る。信じられない光景が飛び込んで来た。

 

 

「何じゃこりゃ…!」

 

 

用意してあったテーブルや皿は砕け散り、地面には紅く光る槍が突き刺さっている。レミリアはおろおろ、フランは地面に座り込み、パチュリーは気絶。旦那達は戸惑いつつも、それぞれの嫁を落ち着かせようと奔走中だ。小悪魔と美鈴は倒れたトムに駆け寄っている。よく見ると彼の左腕の肘から下が無い。代わりに血だまりが出来ているではないか。気絶しそうになるもどうにか堪え、メイドに叫ぶ。

 

 

「メイドさん!!」

 

「何でしょう?」

 

「俺を今すぐあそこへ降ろしてくれない!?」

 

「承知しました。すぐにメイドを集めます、少々お待ちください!」

 

「なるべく早くね!」

 

 

 

 

 

「盟友!しっかりしてくれ!盟友!!」

 

「トムさん死んじゃったんですか?」

 

「いや、まだ死んじゃいない。けど、状況は悪いね」

 

「美鈴、どういう事だ?」

 

「出血量です。このまま何もしなければそれこそ死にます」

 

「!?」

 

「おいレミィ!作戦と違うじゃないか!」

 

「ご、ごめんなさい…こんなつもりじゃ無かったのよ」

 

「ねぇお兄様…?」

 

「どうしたフラン?」

 

「私が蜘蛛なんて見つけたからこうなったんだよね?だからあいつが」

 

「それは違うぞフランちゃん!あの蜘蛛はコウモリを主食にするヤバイ奴だった。だからあの時叫んだのは正解だよ。フランちゃんは悪くない!」

 

「お兄様ぁ…」

 

「む、むきゅう〜」

 

「ったく、こんな時こそ回復魔法使って欲しいのになぁ!パチュリー様!?」

 

「……美鈴、悪いのはそれだけじゃないな」

 

「ええ、ああなったパチュリー様は1時間程あのままです。かといって今から永遠亭に行くのは論外ですね、彼を動かすのは危険過ぎます」

 

「っ、レミィ!どうにかならないのか!?」

 

「無理ですね、こうなったお嬢様に運命は見えません。こうなったら私が時間を止めて永遠亭まで行くしか…!」

 

「止めて下さい咲夜さん!貴方1時間以上時を止めたらヤバいでしょう!?この前言われたじゃないですか!」

 

「社畜……確かに言われました。嘘ではありません。ですがこのままでは!」

 

「くそ!どうすれば…」

 

 

「おい何があったんだよ!?さっきまであんなに……!

ごめん、ちょっと待って。そのグングニル突き刺さった蜘蛛、何か動いてない?」

 

『え?』

 

 

その言葉を聞き皆が振り返ると、貫かれた筈の蜘蛛はまだ生きていたどころか、身体を分裂させ増えると元気よくレミリアを追いかけだした。

 

 

「ぎいやあああああああ!こっち来ないでええええええ!」

 

 

反射的に弾幕を放とうとするが、たまたいが止めた。

 

 

「駄目だレミィ!そいつ多分単細胞生物が妖怪になった類だから攻撃した分だけ増えるぞ!」

 

「じゃあ跡形もなく消せばいいのね!?」

 

「バカ野郎!そんな真似したら俺らも死ぬわ!」

 

「じゃあどうしろっていうのよー!」

 

「そいつの動き止めろ!お前の腕力ならイケるだろ!?」

 

「嫌よ!出来るっちゃ出来るけどこんな気持ち悪いの触れる訳ないでしょー!」

 

「だったらそのまま逃げ回ってろ!俺らがどうにかする!

行くぞ野郎ども、あの蜘蛛を完膚なきまで叩き潰せ!」

 

『おう!』

 

 

たまたいの号令で皆が蜘蛛を追いかけ、館内へと入っていった。それを見届けた後、改めて疑問をぶつけた。

 

 

「文さん、何があったんです?」

 

「えと、それが…」

 

 

 

「はぁ?トムさんの足元に蜘蛛が居たからレミィさんがグングニル投げたぁ?」

 

「そうなんです、本当は投げずに脅かすだけの予定だったのですが…」

 

「盟友!盟友ー!!」

 

「に、にとりさん?いきなり抱きついてどうしたんです?」

 

「頼むよ自転車バカ!君の力を貸してくれ!このままだと盟友が!」

 

「な、なんで俺なんです?」

 

「…!そうか、まだ貴方が居たじゃないですか!」

 

「は?」

 

「自転車バカさん、色々と時間が無いので手短に聞きます。貴方は"スイッチ"を入れた事が有りますか?」

 

「スイッチ?あぁ、文さんが前に言ってくれた奴か。まだ有りません、それがどうして?」

 

「説明が足りませんでしたね。スイッチの入れ方は様々ですが、解放される力には2種類しか無いんです」

 

「2種類…」

 

「そう、攻撃特化型と回復・防御専門型です」

 

「ひょっとしたら君の力がその回復かも知れないんだ!」

 

「私からもお願いします。力を貸して頂けませんか?」

 

「…分かりました」

 

「大きく深呼吸をして下さい。そうすれば何か見えてくる筈です」

 

 

(スイッチねぇ、今まで使う状況になった事一回も無かったもんなぁ。考えた事すら無かったよ、まぁ悔やんでどうにかなるもんじゃないよな。基本に戻ろう。スイッチなんだよ、それさえ入れば…ん?スイッチ?……………!)

 

 

「そうか、簡単な事だった。レースと同じで良いんだ」

 

「盟友…?」

 

「自転車バカさん?何のはな」

 

「文さんちょっと黙ってて、今スイッチ入りそう」

 

 

大きく深呼吸をすると言われた通り、頭の中に文字が浮かんでくる。

 

 

「我が名は自転車バカ、他人の勝利を支える事に喜びと生きがいを見い出し、身体が動く限りアシストを続けると誓った。

友達全てを人生の勝利者にする。誰一人として、悲しませてはならない。今こそ我が力で森羅万象を光り輝かせん!」

 

 

足元に魔法陣が描かれ、右手の神秘十字線が光る。それを人差し指でそっとなぞると、両手が緑色のオーラで包まれていき、蝋燭の炎のように灯った。

 

 

「…うわ!なんか出た!どうすんのこの仄かに暖かい奴!?」

 

「落ち着いて、両手にボールを作るイメージを描くんです」

 

「お、出来た!これをトムさんに?」

 

「はい、そっと当てて下さい。そうすれば治る筈です」

 

 

横たわるトムの左腕に当てると、少しずつではあるが失われた腕が再生されていくのが分かる。

文に視線を向け、小さく聞く。

 

 

「…これ成功で良いんだよな?」

 

「やった、やりましたよ!」

 

「助かるんだ…!」

 

 

一同が歓喜の溜息を漏らす。にとりは泣き崩れ、文は座り込む。皆、固唾を飲んで見守っていたのだ。緊張の緩和と安心で疲れが出たのだろう。

30分程続けると、腕は完璧に修復された。

目を覚ましたトムは、横たわったまま話し掛ける。

 

 

「…にとりさん、怪我はないかい?」

 

「盟友!…うん、大丈夫だよ」

 

「なら良かった、庇った甲斐があったよ」

 

「良かった、無事で、本当に…ッ」

 

 

右手を伸ばし、彼女の頬を伝う涙をふき取る。

 

 

「にとりさん、話があるんだ」

 

「何?」

 

「僕はただの人間だ。君達のようなタフでは無いし、ちょっとした事で死ぬだろう。

……寿命だって短い。それでも僕は、君と一緒に居るだけで世界一の幸せ者になれるんだ」

 

「…うん」

 

「先に逝ってしまう僕を許しておくれ…でも必ず、君を幸せにしてみせるよ。

だから僕と、結婚して下さい」

 

 

彼の差し伸べた右手を両手で掴んで、頬に優しく当て最高の笑顔で答える。

 

 

「…はい、こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

誰からとも無く、暖かな拍手が送られる。鳴り止んだ後、レミリアと蜘蛛を追いかけていったはずの咲夜が一言。

 

 

「大変、まだテーブルやら料理が壊れたままだった。どうしましょう」

 

 

わざとらしく、文を見ながら呟く。意思をくみ取った文は露骨に嫌悪した。

 

 

「それこそ時間止めれば良いのに……はぁ。

自転車バカさん、お願い出来ますか?」

 

「おっけ、引き受けた。せーの、よっこいしょういち!」

 

『古っ!ギャグ古っ!最早懐かしっ!』

 

 

両手に作った緑色の球を地面に撃ち込む。すると5分程で元に戻り、心身共にボロボロになったレミリアが出てきて再開の宣言をした。

 

 

「さ、さぁ!パーティーの続きよ!」

 

「あれ?蜘蛛倒したんすか?」

 

「ええ、残基20と引き換えに自爆して塵一つ残さず消してやったわよ」

 

『ベジータかお前は』

 

 

宴は夜まで続いたが、ドッキリを敢行した一同の謝罪も夜まで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。

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