東方開心劇    作:チャリタク

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本作品は三部作構成となっております。
設定がハチャメチャです。
私には文章力なんぞ存在しません。
ご高覧の際にはご注意下さい。



第8話「今週の俳句モデル」

「あ、そうなんすか?流石っすね。

……はい、はーい。分かりました、失礼します」

 

 

自転車バカは電話を切り、椅子を回転させて机に向き直る。画面には通知が何件も来ていたが、あまりの量にチェックする気が失せたので閉じた。

例の事件以降、トムにフォローされたのでメッセージや電話が頻繁に来るのだ。しかも、彼が事件の概要をSNSでアップした為に自転車バカの知名度も結果として上がってしまった。通知の大半は冷やかしなのだが、中には好意的な物もある以上おろそかにも出来ない。

 

 

「うーん、良いことには違いないんだけど…」

 

 

悩みの種はそれだけでは無い。悩んでいても仕方のない事なのだが、どうしたって気になるのだ。ついでに言うと現在彼が居るのは妖怪の山にある文々。新聞社であり、文が立ち上げた会社である。そこへ、取材を終えた文が帰ってきた。

 

 

「只今戻りましたー!捗ってますかー?」

 

「あぁ、文さん。おかえりなさい。さっき文句言いながら出てった割には機嫌良いですね」

 

「当たり前じゃないですかーって、どうしましたか?浮かない顔して。今日も依頼が届いてますよ?」

 

「それなんですよ、分からないのは」

 

「あやや、嬉しくないんですか?」

 

「そうではないんです。ただ…こんな順調で良いのかなって」

 

「…先の事件後から急に依頼が来るようになったのが疑問なんですね?」

 

「そうです。大した事してないのになんで…?」

 

「貴方にとってはそうかも知れませんが、我々からすればあれは大した事なんです。」

 

「…?」

 

「"あの"トムさんを助けたんですから。反響が来てもなんらおかしい事ではありません」

 

「そんな凄い人なんですか?あの人」

 

「知らないのも無理はないですね、貴方は新規ユーザーなんですから」

 

「はぁ」

 

「初めはただのにとり好きな普通のボケラーでした。ですがボケ続けて行く内に、此処で過ごしていく内に、あの人が持つ人徳や人柄に一人、また一人と惹かれて行ったんです。言い方は悪いですが、ライトアップした漁船に集まるイカのような物ですね」

 

「なるほど」

 

「今や"大御所"と言っても過言では有りませんね。あの人の知名度はかなりいってますから」

 

「他に大御所は誰が?」

 

「そうですね〜……

空、えーき、たまたい、たいぞう、きいろだま、ガーリック、KOPPE、穂谷野(雷様)、町人E、椛もみもみ、松田クリーパーマン、刺身蒟蒻、鈴美紅…

ざっとこんな所ですかね。まぁ私の独断と偏見なのであまり当てにしない方が良いですが」

 

「無理無理無理無理!いや、そんな一気に言われてもなんのこっちゃ分からんから!えーき、の次くらいからもう既に記憶があやしいし!ってか最後何て言ったの⁉︎」

 

「ここで活動する以上、その内覚えますから大丈夫ですよ」

 

「覚えられる気が微塵もしないんすけど」

 

「どうせ会ったらアイコンで表示されるんだし、問題ないでしょう?」

 

「そーいやそーだ」

 

「さ、行きますよ。今日は三ヶ所回りますからね」

 

「はーい」

 

 

新聞社を後にし、人力UFOキャッチャーは景品を抱えて天高く飛び上がった。

 

 

 

 

幻想郷の東の端。ではないが、人里からそれなりに遠い場所にある博麗神社。その境内では、霊夢と早苗が手持ち無沙汰にしていた。

 

 

「一つ聞きたいんだけど」

 

「なんですか?」

 

「どうして博麗神社なの?」

 

「どうしてって…」

 

「"カレンダー効果"で参拝客が増えたんでしょう?なら今回だって独占すれば良かったじゃない」

 

「何言ってるんですか!私、あまりのひもじさに霊夢さんが雑草を煮て食べてる所なんて見たく有りません!」

 

「あ゛?」

 

「キャー♪霊夢さんが怒ったー♪」

 

「はぁ、あんたにゃ何言っても無駄か」

 

「はい!」

 

 

微笑ましいほどに楽しそうな光景を神社上空から見ていた文と自転車バカだったが、

 

 

「お取込み中みたいっすね、どうします?」

 

「このまま眺めていてもそれはそれで楽しいんですが、二人とも遅刻には煩いので行きましょうか」

 

「お待たせしましたー」

 

「あ、やっと来たわね」

 

「霊夢さん、まるで向こうが遅刻したような言い方ですけど、約束の時間まで後5分余ってます」

 

「あ、そうなの?」

 

「なんか楽しそうだったんでちょっと離れたとこから眺めてました」

 

「仲良きことは美しきかなっつってね、うんうん」

 

「良かないわよ、今のやり取りのどこを見たらそう見えるのよ」

 

「霊夢さん…私のこと嫌いなんですか…?」

 

「なっ!ち、違うわよ。そんな泣きそうな顔しないでよ……好きよ///」

 

「霊夢さーん!!」

 

「あぁもう!いちいち抱きつくな鬱陶しい!」

 

「さ、次行きましょうか」

 

「そうですね」

 

「待て待て待て待て!えっ帰る!?この状況で普通早苗と二人っきりにする!?」

 

「冗談ですよ。せっかくの依頼を無下には出来ませんからね」

 

「この二人ってこんな仲良かったっけ?」

 

「元々は違ったのよ。むしろ昔はライバル視されてたくらいだし」

 

「私の記憶では、守谷神社が起こした異変の解決後にはこうなってました」

 

「思いっきりボコったらこうなったの」

 

「なるほど」

 

「そんな事はさて置き、そろそろ本題に入ろうじゃないですか」

 

「それもそうですね。茶番はこれくらいにしましょう」

 

(ったく、こういう切り替えだけは速いんだから)

 

「依頼メールには表紙を霊夢さんと飾りたいって書いてあったけど」

 

「ついでに博麗神社も紹介して欲しいとか書いてありましたね」

 

「そうなんです、その為の写真をここで撮りたいなぁ〜と」

 

 

早苗が境内に視線を向け、釣られて皆が見る。

 

 

「おぉ、桜が満開だ」

 

「にしては季節外れですね。奇跡ですか?」

 

「いいえ、今回は妖夢さんに手伝って貰いました」

 

「春を貰ったのか」

 

「そういうことらしいわ。さ、早いとこ終わらせましょう。この後予定が入ってるの」

 

「なんの用事?」

 

「ニコ動にアップする動画の撮影よ。MMD世界に入るの意外と面倒だから早めに行っときたくて」

 

「顔芸担当ですっかり有名になりましたからね〜。あ、私もあるんでした。霊夢さんとは違う動画ですが」

 

「じゃ、ぱぱっと撮りますね。何かポーズ作って下さい。

……あー、そんな感じでオッケーです。じゃ行きますね、はい、チーズ!」

 

「うん、良いんじゃないすか?」

 

「こんなもんでどうでしょう?」

 

「バッチリですよ!」

 

「では神社の記事はそれとなく書いておきますね。何か特筆して欲しい事はありますか?」

 

「特に無いわね」

 

「では後ほど、行きますよ自転車バカさん!」

 

「はいよー」

 

 

飛び立った二人を見送り、早苗がボソッと呟いた。

 

 

「…あの二人も結構仲良いですよね」

 

「言えてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はどこ行くんです?随分高い所飛んでるけど」

 

「人里です」

 

「だったら低くても…」

 

「この方が探しやすいんです。なんせ人通りが多いですから」

 

「一理ありますね」

 

「確かこの辺に…お、居た」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっついなぁ〜、これで10月とかおかしいでしょ」

 

「木陰に入って、足を川に着けて、その上アタイに触っててまだ暑いって言うそっちがおかしいから」

 

「妖夢さーん、お待たせしましたー」

 

「あ、来た。こっちでーす」

 

「すげえ、本当に居た。文さんって目良いんすね」

 

「ふふん、見直しましたか?」

 

「いや、そもそも失望してないんすけど」

 

「あれま」

 

「すみません、私を無視しないで下さい」

 

「おっと、すみません。依頼メールは読みました。自転車バカって言います。よろしく」

 

「貴方が自転車バカなんですね。私は魂魄妖夢、白玉楼の庭師をしています」

 

「チルノも一緒だったんですね。これは珍しい」

 

「今日は冷やかしじゃないからな!」

 

「分かってますって。Xanaduの限定版に付録で着けるポスターの写真でしたよね?」

 

「お願いします」

 

「よし。時間も押してるんで撮っちゃいますか」

 

「そっすね、半分は自己責任だけど」

 

 

 

 

「…あ、半霊はもうちょっと右でお願いしますー。はい、そこで良いです。撮りますねー、はい、チーズ!」

 

「ふう、やっと終わったー」

 

「写真はこうなりましたが、如何です?」

 

「問題無しです、それでお願いします。帰って幽々子様の食事がありますのでこれにて失礼」

 

「分かりました、では失礼しまーす」

 

「ふう、これで二件終了か。後は?」

 

「命蓮寺です。が、一つ注意して下さい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜♪」

 

「響子さん、こんにちはー!」

 

「こんにちはー!」

 

「こんにちは、自転車バカです。よろしく。」

 

「むっ、声が小さい!」

 

 

「甚大な危害を加えない程度に妖怪らしく振舞う」

という寺の勤め、だったが最早習慣となっているので取り合えず襲いかかる。だがその攻撃は届かない。自転車バカの手から溢れる緑色のオーラが、盾の形となって弾いたからだ。あえなく尻餅をついた響子がぼやく。

 

 

「痛ったぁ〜、何するのさ!」

 

「今の台詞、そっくりそのままバットでセンター返ししてやらあ」

 

「ね?スイッチ入れておいて正解だったでしょう?」

 

「ですね、文さんの言ってた通りでした。声が小さいと襲われるんすね」

 

「いえ、小さくなくても襲いますけど」

 

「あ、どっちにしろこうなるんだ」

 

「むぅー、卑怯だぞ!」

 

「ふーん、初対面にいきなり襲いかかるのは卑怯じゃないんですかぁ?」

 

「…ふんだ!」

 

「あはは、まぁからかうのはこれくらいにしておきましょう。妖夢さんの替わりにはなりましたし」

 

「言ってましたもんね、からかうの忘れた!って」

 

「解せぬ」

 

「で、えっと…存在の消滅を防ぎたいんでしたっけ?」

 

「メールの文面を要約するとそんな感じだったんだけど、合ってる?」

 

「うん、大体あってる。詳しく話すと………」

 

 

 

 

 

「なるほど、こうして挨拶するだけじゃ不安だからもっと世間に対してアピールがしたいと」

 

「そーゆー事。今は平気だけど、いつか忘れられそうな気がして…どうにかならないかな?」

 

「自転車バカさん、どうします?」

 

「取り敢えずカレンダーの順番は回すけど。それだけじゃ嫌かい?」

 

「嫌じゃないけど…出来ればもう少しパンチが効いたの欲しいかな」

 

「確かに、カレンダーだと目に馴染むよなぁ」

 

『…………』

 

 

一同をあざ笑うかのように、そよ風が吹き抜ける。なんとなく視線を遠くにやると、紅葉が綺麗な事に気づく。

 

 

「やっぱ幻想郷の四季は良いねぇ。こっちのと違って空気が澄んでるからだろうな」

 

「車も工場も有りませんからね」

 

「この時期は必ず紅葉狩りに来る登山者が多いよ、おかげで結構賑わってるもん。へったくそな俳句読んでるくらいだし」

 

「山彦の 声に応える 桐一葉 とかなんとか?」

 

「凄い、とっさに作ったにしては合ってるじゃん。まさにそんなクオリティだよ」

 

「…ん?俳句…パンチの効いた…

閃いた!」

 

「ど、どうしたんすか」

 

「俳句ですよ、俳句!これを作って街で売ればいいんです!」

 

「そうか…それならパンチが効いてるし、私としては申し分ないよ」

 

「いや、あの、俳句だけじゃ流石に買って貰えないと思うんすけど」

 

「なら写真を付ければ良いじゃないですか。その為の私です!

タイトルはそうですね〜」

 

「今週の俳句モデルってのはどう?」

 

「はい決定!」

 

「えっ。今週って事は毎週やるんすか?」

 

「勿論、肝心の俳句は貴方にお任せしますので」

 

「マジっすか、俺俳句なんてやったことないのに」

 

「じゃあウチで練習していきなよ。なんならBGMも演奏するし」

 

「ヘヴィメタル以外でお願いします」

 

 

その後、写真を撮ってさっきの俳句を乗せた(解説付き)葉書を文さんは街へ持って行った。絶対売れないだろうとタカをくくっていたが、

「六部売れました!」

と上機嫌で帰って来た。マジかよ。借家に送って貰い、葉書を眺める。五・七・五で全てを言い表す、世界一短い定型詩。それを毎週?一抹の不安と共にログアウト。仕方ない。もう決まった事なんだ。やるだけやろう。そう宣言すると少し気が楽になった。気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




おまけ。


自転車バカ「鳥獣伎楽の演奏上手過ぎでしょ、ギター鳴いてたぞ」

響子「当然でしょ?幻想入りした数々のバンドからテクニック学んできたんだし。
dragon forceとかbattle beastとかbeast in blackとか紅とか世紀末とかJAMprojectとか」

自転車バカ「凄すぎワロタ」
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