Fate/Nilotpalagita Synopsis 作:時雨
カリ・ユガの陰謀
競技会があってから、私は町へ行くことが多くなっていた。といっても、一ヶ月に一回行くか行かないかぐらいの頻度だけれど。普段は森で昔からやっているように、鍛練を積んだり、動物たちと過ごしたりしている。
ある日、ラクタパクシャが珍しく人の姿で私の元にやって来た。その端正な顔は、不機嫌そうに歪んでいる。またナーガたちと言い争いをしたのだろうか?にしては、やけに静かだ。なにか別の、彼にとって不快なことがあったのだろう。
「どうした、なにかあった?」
「……いや、別に。大したことではない、
「気にするな、と言われてもねぇ。そんな明らかに“不機嫌です”って顔をされたら、気にするよ」
「……………………」
私が聞いても、彼は沈黙を保ったままだ。こうなったら、彼は梃子でも動かない。
「ハァ、じゃあ言わなくてもいいよ。なんとなくだけど、察しが付いた──何か、見たんでしょう」
「っ!御前は……」
驚いたように、目を見開くラクタパクシャ。大抵、彼が話さないときは
「……昨夜、ヴァーラナーヴァタの町外れにある豪邸が炎上しているのを見た」
「最近できた、あの屋敷か。“祝福の家”だっけ」
それで?と先を促す。ラクタパクシャは一瞬、言おうか迷ったのか言葉が詰まったが、苦虫を潰したような顔をしながら、話してくれた。
「あぁ、そうだ。……あそこには、パーンドゥ一家が泊まっていた」
「えっ、じゃあ」
「落ち着け、パーンドゥ一家は無事だ。森から出て、ガンジス河を夜陰に乗じて渡っているのを見たからな」
「……そっか。じゃあ、一応生きているんだね」
ホッと息をつく。二週間くらい前に、ヴァーラナーヴァタの町へ王族が見物に行くという話をチラッと聞いたが、まさかパーンドゥ一家だとは思わなかった。そして、ラクタパクシャが言っていた、燃えた屋敷に宿泊していたということも。……絶対、ドゥリーヨダナ辺りが原因だろう。
こないだ行ったとき、不自然なほど上機嫌だったし。私が「何か良いことがあったの?」と聞いたら、ニヤリと笑って「まあな。あった、と言うよりこれから
「それって、ラクタパクシャと私以外に知ってる人はいる?」
「いや、恐らく誰も知らないと思う。町人たちは今頃、パーンドゥ一家が焼け死んだと思い込んでドリタラーシュトラに知らせているだろうな」
「確かに。パーンドゥの母子が死んだとなればドリタラーシュトラ王に知らせるのが一番無難だよね」
きっと、町は大騒ぎになっているだろう。なんせ、自分たちが慕っていたパーンドゥ家の者が死んでしまったのだから。
「……一度、町に行ってみようかな。今は騒がしそうだから、行かないけれど」
「
私は、高く太陽が昇った空を見上げる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そうか……ご苦労だった」
ドリタラーシュトラは知らせをくれた使いの者に、静かにそう言った。側に控えていたビーシュマやドローナたちは、悲しみに声を上げて泣いている。
──パーンドゥ一家が、焼け死んだ。
あの、市民や兵たちに慕われていた母子が、死んだ。その悲報は城中を駆けめぐり、ドゥリーヨダナとカルナの元にもやって来た。
「計画は成功したのか」
「ああ、見事成功したさ!まさかこんなにもうまくいくとはな!!」
満面の笑みでカルナに言うドゥリーヨダナ。シャストルラの予想通り、今回の事件は彼が仕組んだことだったのだ。麻と樹脂、そしてその他燃えやすいものをふんだんに使い建てられた屋敷は、彼の思惑通りに昨夜、盛大に燃え上がった。それを知ったドゥリーヨダナは今にも躍りだしそうな勢いで、カルナに話し掛ける。
「なぁカルナ。お前はどう思う?あのパーンドゥ一家が焼け死んだと聞いて」
「……そうだな。オレはあの一家が簡単に死ぬとは思えない。母親以外皆、半神だからな」
冷静にそう指摘するカルナ。確かに彼らは半人半神だが、ドゥリーヨダナはムッとした顔で口を開いた。
「半分神の血が流れていようが、人にはかわりないだろう。お前の言うことは一理あるが」
仮に生きていたとしたら、パーンドゥ一家は一体どこに消えたのだろうか。そんなことを考えても、答えなど一向に出てこない。ドゥリーヨダナは溜め息をつくが、とりあえず、この喜びを友と一緒に噛み締めることにした。
しかし、彼はまだ知らない。その後に行われる国王ドゥルパダによる
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