まだクリアしていない方は、ご注意ください。
魔術王による人理焼却事件が、カルデアによって解決してしばらくした頃。
アメリカで発生した異界化事件によって、セイレムという呪われた村が再び地上に現れてしまいました。
そこで
この事件を解決すべく人理焼却事件を解決したマスター、藤丸立香さんを初めとしたカルデアのメンバーが乗り込んだのですが、サーヴァントの強制受肉や村を包む特異な雰囲気など多くの障害を前に、事件解決の糸口を掴めずにいました。
そんな中で行われた幾度目かの裁判。
魔女と認定されてしまった被告たちの中に、カルデアから派遣されたサーヴァントであるアサシン『シャルル・アンリ・サンソン』の姿もありました。
仮の受肉を強要され能力が制限されたとはいっても、彼は人霊の最高峰たる英霊。
その気になれば、村人達の囲いを蹴散らす事は可能です。
しかし、彼は
彼は村に派遣されてきた検事マシュー・ホプキンスに付き、仲間達とは別の視点に立つ事でこの特異点のあるルールに気が付いたのです。
そのルールとは、『死してなお
これがあるために、絞首刑にされた者達、いいえ村人全てが死した後もグールとしてこの世を
しかし、それはサンソンが生前から持ち続けた『死刑とは、命を絶つことで生前の全ての罪から解放する刑罰であり、それ故に死は明日への希望となる』という信念に反するモノでした。
生前はフランスの死刑執行人であった彼は、その信念が在ったからこそ罪人を死後の世界に送り出す事ができたのです。
極刑と呼ばれる死刑に処されてもなお、犯した罪の
だからこそ、この村のルールに深い関わりがあるであろう少女、ラヴィニア・ウェイトリーとアビゲイル・ウイリアムズに示すつもりでした。
自身が刑に処されてからグールとして蘇らない事で、死刑は犯した罪からの開放であるという事を。
受刑者をなじる村人達の声の中、身じろぎをしないサンソンの首に縄が掛けられます。
処刑台を取り囲む群集の中に、こちらを助けようとするマスターの姿が目にしたサンソンは、目を閉じて心の中で謝罪をします。
こちらの掴んだ情報を伝えられなかった事、そして自身の我侭で脱落してしまう事。
彼らに多大な苦労とショックを与えてしまう事は心底申し訳なく思いますが、それでもサンソンは自身の決意を変えようとしませんでした。
自分の行動が、この村の事件を解決する糸口になると信じていたからです。
そして刑の時間が訪れました。
自分と同じく魔女の疑いを掛けられた者達と共に、絞首台に立つサンソン。
狂乱の熱に当てられたホプキンスの部下による号令で、乾いた音と共に処刑台の床が抜けます。
一瞬の浮遊感と次に来る首への圧迫。
呼吸ができない事から来る頭が沸騰するかのような苦痛よって、サンソンの意識が消えようとした、その時───
「アチャーーーーーーーッッ!!」
化鳥のような叫びと共に、群衆の中からフードを被った男が飛び出しました。
男は一蹴りで罪人たちの縄を支えていた柱を圧し折ると、気を失ったサンソンを抱いて森の中へと消えていきます。
そのスピードはサーヴァントの中でも群を抜いており、弱体化された立香達では追いつく事はできませんでした。
セイレム村を囲むように生い茂った森の中、意識を取り戻したサンソンはボヤけた視界で男を捉えた時、心の中でこう呟きました。
『
意識を取り戻した彼に野草で作ったスープを勧めながら、彼は自身がこの村で自動召喚された『
覚束ない思考で思い描いていた事が当たっていたのに赤面するサンソンへ、セイヴァーは問いかけます。
『何故、命を捨てるようなマネをしたのか?』と。
命を助けられて介抱された事に恩義を感じていたサンソンは、自身の掴んだ情報と仮説を交えながら刑に服して大人しく死を迎える事で己の信念を示し、死後も贖罪を求める少女達を変えたかったとを告げます。
それを聞いたセイヴァーは、こう返しました。
「君の信念は素晴らしい。だが、やり方が間違っている。死を持ってそれを伝えようとしても、少女達には君が死んだという事実が重過ぎて、その裏にあるメッセージを読み取る事はできないだろう」
告げられた事実にサンソンは愕然としました。
彼は自身の信念を証明する事に目を奪われて、受け手の事を気に掛けることが出来なかったのです。
言葉をなくしたサンソンにセイヴァーは続けます。
「彼女達を変えたいのであれば、真正面から向き合って君の信念を語って聞かせるしかない。そして、彼女を縛る罪悪感という鎖をその刃で断ち切るのだ」
「僕にできるでしょうか?」
自身の
「私は生前、姉の想い人を手に掛けた事がある」
男の言葉にサンソンは思わず、
何故ならセイヴァーを名乗るサーヴァントが犯したとは思えないほどに、その罪は重かったからです。
「……何故、そんな事を?」
「姉が持っていた男への思慕は、神に植えつけられた物だった。そして男もそんな姉を利用して国宝を奪ったからだ。だが如何なる理由があっても、身内が恋人を討ったことであの人が苦しんだのは事実。さらに私は彼女の顔をロクに見る事も出来ずに、国を出てしまった。その後の人助けも、こうやって死後も他人の世話を焼いているのも、彼女への贖罪のつもりなのかも知れんな」
「…………」
言葉を詰まらせるサンソンに、セイヴァーはフードを取ってまっすぐ彼の目を見た。
「シャルル・アンリ・サンソン、これは君にしか出来ない事だ。何処かでその思いを理解してしまう私では、罪の意識に囚われ救いではなく贖罪を求め続ける彼女を救う事はできない。だが、君は別だ。その信念で多くの咎人を罪から解放した君ならば、彼女を罪の縛鎖から解き放つことができるだろう」
セイヴァーの言葉と肩に掛けられた手の力強さに、サンソンは自信を取り戻しました。
セイヴァーに別れを告げて公会堂に走った彼は、そこでラヴィニアの魔術によって正体を見破られた魔神柱ラウムとグールの群れを目にします。
なんと魔神柱はアビゲイルの叔父であるカーター・ランドルフに入れ替わっていたのです。
それだけではなく、セイレム村の住人全てがグールであり、彼らは生前犯した罪を償う為に生かされているのだといいます。
仲間と合流したサンソンは、死闘の末にグールの群れとラウムを撃破に成功します。
最後の足掻きとして、自身の頭を魔鴉にしてラヴィニアを狙うラウム。
立香達は慌てて迎撃しようとしますが、捨て身のラウムの前には間に合いません。
そして、彼の
突如として現れた巨大な虎によって、ラウムは目的を果たす事無く食い殺されてしまいました。
謎の助力があったものの、一件落着かと思っていたカルデアの一行は、アビゲイルから立ち昇った桁外れの魔力に戦慄します。
魔女として未熟なアビゲイルは、ラウムの計画によって自身に降ろされた『外なる神』を制御できなかったのです。
その影響で鍵の魔女となったアビゲイルは、異界から巨大な触手を召喚して立香達に襲い掛かります。
魔神柱に目を付けられただけあり、その力はサーヴァントたちが力を結集しても、それを上回るほどでした。
その上、外なる神の門を開ける鍵となった彼女は、その力によって距離を超越して全人類に苦痛による贖罪を求めたのです。
何故なら、彼女の信じる教えでは人は生まれながらに罪を背負う、即ち原罪を持つとされていたからです。
大きすぎる鍵の魔女に力が世に解き放たれるのを防ごうと、セイラムで知り合った二人のキャスターが全人類に向けた苦痛を肩代わりしようとします。
しかしアビゲイルの力は、全て森の中に吸い込まれてしまったのです。
皆が呆気にとられる中、セイヴァーの仕業だと確信したサンソンは、アビゲイルの説得を試みます。
しかし、彼女は
何故なら、彼女は1700年代に本当に有ったセイラム村で魔女裁判の口火を切ってしまった少女の一人、アビゲイル・ウイリアムズその人だったからです。
好奇心で始めた魔術の真似事を責められたくない一心でついた嘘、それが二十人以上の犠牲者を出した魔女裁判に発展してしまった罪の少女。
歴史の上では彼女の末路は記されていません。
しかし罪は消える事無く、死を迎え幻霊となってからも彼女を責め続けました。
その重みに少女だったアビゲイルが耐え切れるわけがなく、いつしか彼女はこう自分に言い聞かせるようになりました。
『苦痛は贖罪の証であり、自分が苦しめば苦しむだけ、その罪は軽くなっていってる』と。
その歪んだ思いは人類救済を諦めきれない魔神柱ラウムに利用され、特異点セイレム村では償いきれない罪を背負った者が、痛みによる贖罪と救済を求めるようになったのです。
アビゲイルは叫びます。
『私達は罪を償わないといけない! 生前・死後も関係なく、苦痛という贖罪を続けなければならない!! そうしなければ、罪が無くならない! 自分を赦す事ができない!!』と。
そんな少女の悲痛な叫びを、サンソンもまた信念を言葉にします。
『人間は自分で自分の罪を裁くことも赦す事もできない。一時は赦したつもりになっても、罪悪感は心の底に
彼の言葉は、心の底では赦しを求めていたアビゲイルにはあまりに重いものでした。
「アビー! 君の背負いきれない罪は僕が裁こう!! 『
動揺で触手のコントロールが出来なくなった彼女の隙を突いて、懐まで飛び込んだサンソンは宝具を開放します。
彼の刃の行き先は彼女の首……ではなく、この激戦の中で最後まで残った外なる神との繋がり。
そして、彼女の身体に巻きついた罪の鎖でした。
鉄が滑り落ちる音に次いで概念のギロチンが何かを断ち切る音が響くと、空間に出来ていた最後の鍵穴が姿を消してアビゲイルは魔女から女の子に戻りました。
同時にセイラム村を形作っていた特異点もあるべき姿へと立ち返り始めます。
外なる神との繋がりという特異な力に目覚めたアビゲイルは、魔神柱から身体を取り戻したランドルフ・カーター、そして親友のラヴィニアと共に別の世界を旅することを決めました。
一通りの挨拶を済ませて皆が撤収準備を行っている頃、サンソンはオケアノスのキャスターを連れてセイヴァーがいた森に来ていました。
自身の命を救って道を示してくれた彼に、お礼を言いたかったからです。
気配を感じないところから座に還ったのかと肩を落としていると、サンソンは焚き火跡のそばでペンダントを見つけました。
随分と古い品のようで、輝石の台座となった銅版には古い文字で何かが書かれています。
キャスターに見せたところ、普段の人を食ったような様子からは想像も出来ないほど真剣な表情で
「帰ったら、必ずメディアにこれを見せるんだ」
と言いました。
その後、現地で出会った二人のキャスターと別れてカルデアに帰ったサンソンは、メディアにペンダントを見せました。
驚愕の表情の後で、泣きそうな顔でペンダントを抱きしめるメディアに事情を聞くと、それはメディアの弟であるアプシュルトスの物だと言います。
では、あのセイヴァーはメディアの弟なのか? と驚くサンソンですが、メディアはそれを否定します。
何故なら、メディアの弟は彼女の手に掛かって命を落としているからです。
ああでもない、こうでもない、と悩む二人を見かねた立香はこう提案しました。
「それを触媒にセイヴァーを呼び出してみよう」と。
マスターの提案によって話はとんとん拍子に進み、召喚当日となりました。
召喚ルームには立香とマシュに加えて、サンソンと再召喚されたオケアノスのキャスター。
そして、少女と妙齢の二人のメディアもいます。
召喚陣でもあるマシュの盾の上にペンダントを置き、立香は手馴れた様子で召喚を始めます。
エーテルの風と紫電の奔る中、現れるのは金の枠に彩られた見た事のないクラス文様。
『金枠キターーーーーッッ!!』という某ぐだ子の叫びはさて置き、逆巻くエーテルと魔力の先に一人の男が現れます。
「召喚に応じ、参上した。私はセイヴァー……」
「モンゴルマン」
───モンゴルマン、何者なのだ?
更なるおまけ モンゴルマンとアルテラ・ザ・サン(タ)
アルテラ 「カルデアの異常事態を解決する為に、サンタとしてマスターと共に冥界に行く事になった」
モンゴルマン 「そうか。ならば私はセイヴァーではなく、モンゴルマン・シープとして君をサポートしよう」
アルテラ 「なるほど。それでその装いか」
モンゴルマン 「うむ、『メリー・シープ』というらしい。静謐君が貸してくれた」
アルテラ 「パツンパツンだな」
モンゴルマン 「サイズの関係上、仕方が無い。だが、熱病で倒れた彼女の代わりに全力を尽くすつもりだ」
アルテラ 「それはありがたいが、何故お前は熱病に罹っていないのだ?」
モンゴルマン「それは私が超人だからだ」
アルテラ 「そうか」
モンゴルマン 「うむ」
ではサポートの様子をご覧ください。
アルテラ 「よし、やるぞ。いち、に、さん。羊の夢は夜空を駆ける。『
羊 「めー」 (能登ボイス)
羊 「めー」 (能登ボイス)
羊 「めー」 (能登ボイス)
羊 「めー」 (能登ボイス)
モンゴル羊 「メェェェェェェェンッッ!!」(森公至ボイス)
違和感ZERO