オールド格ゲーファン以外は置いてけぼりじゃないの?
ともかく、作者は『龍虎の拳シリーズ』の復活を切に願っております。
「では、転生特典を選ぶがよい」
そう言って神様を名乗る目の前の
俺は今、二次創作なんかでよくある『神様転生』を体験している。
前世の死因はトラックの追突による事故死。
こちらを殺した理由としては、爺様がくしゃみをした拍子に俺のことが書かれた書類に玉露をぶちまけたからだそうな。
あまりにも『神様転生』のテンプレをなぞっている流れに、俺は怒る気も失せてしまった。
『現世に復活させる事ができないが、他の世界ならOK』というありきたりな返答を挟んで行われた『転生特典』の選択。
これに関しては希望通りというワケには行かず、くじ引きで決定する事になった。
ショボい能力で危険な世界に送られるのは勘弁だったので、目の前にいる自称ではなく心の中の『神』祈って引いたのだけど……どうやらむこうは俺のことを嫌っているらしい。
目の前に並ぶカードが俺のセカンドライフを賭けた大勝負の成果なのだが……。
一枚目『ホア・ジャイ(餓狼伝説)の能力』
二枚目『ミッキー・ロジャース(龍虎の拳2)の能力』
三枚目『不知火幻庵(サムライスピリッツ)の能力』
四枚目『テムジン(龍虎の拳2)の能力』
これは酷い。
なんで全て故SNK格ゲーのキャラなのか。
しかも綺麗に主人公をスルーして、微妙なイロモノ枠が
「神様、このテムジンってバーチャロンに代えれませんか?」
「ダメ。モンゴル相撲オンリー」
くそぅ……。
「モンゴル相撲がダメなら、不知火幻庵にするか? こいつはちゃんと忍者しとるし」
「すみません、脱皮はちょっと……」
神様、そいつって忍者云々の前に存在自体がイロモノですよね?
せむし男とナメック星人が二身合体したような奴は勘弁です。
さて、残っている枠はムエタイとボクシング。
普通ならばムエタイのホア・ジャイ一択なんだが、横にある(餓狼伝説)がネックになっている。
この男、餓狼1では体力が半分になるまでは通常攻撃のみ。
そして半分を切ると、観客から投げ込まれた酒を飲んで『ドラゴン・キック』で画面をカッ飛ぶくらいしかできないのだ。
これがせめて『KOF』なら技も豊富だし、超必殺技もあったのに……。
やはり、ここはミッキー・ロジャースに行くしかないらしい。
まあ、カムバックを目指している『龍虎2』基準なので、見た目黒人ゲイのチンピラだった1よりはマシか……。
「ミッキーでお願いします」
「いいの、ホアじゃなくて。
「…………ミッキーでお願いします」
何故か妙にホアを
付けられた名前はロジャー・三木、日米ハーフで容姿はミッキーそっくりだった。
日本のボクシングジムオーナーの息子として生まれた俺は、物心が付く前からグローブをはめていた。
ミッキーの能力+英才教育の結果、なんと19歳でミドル級の世界チャンプを奪取。
ボクシング界の超新星と持て
順風満帆。
その言葉が似合う人生を送っていた俺の転機は意外なところにあった。
ある日、夜の繁華街で謎の怪物と闘うハメになったのだ。
路地裏で女性を襲っていたそいつは、俺に気が付くと人とは思えない身のこなしで襲ってきた。
打撃は一撃でコンクリートの壁を破砕し、その爪は鉄でも何でも簡単に断つ。
『死徒』と自称していた化け物の力は脅威だったが、こちらも世界を獲った身である。
本気を出した結果、あっと言う間にの地面を舐めさせる事ができた。
こうも簡単に勝てたのは、試合では使えない『氣』による必殺技をフルに使ったのもあるが、転生特典の能力が作用したからだ。
話は変わるが、諸兄は格闘ゲームというものをやった事があるだろうか?
あれに出てくるキャラクターは、そのほとんどが超人レベルの能力を持っている。
『一撃必殺技を食らわない限り、剣で切られようが火達磨になろうが死ぬ事はない』
『体力ゲージが0にならない限り、疲労やダメージのペナルティ無く全力で動ける』
『剣だろうがビームだろうが、ガードを固めていたら大概の攻撃は防御できる』
『化け物でもロボットでも、殴れば必ずダメージが入る』
『対戦の舞台なら宇宙に海底、溶岩地帯と、どんな環境でも生きていける』
例を挙げるならこんなところか。
ゲームのキャラなんだから当たり前なのだが、普通に考えればイカレてるとしか言いようがない。
そんなトンでも設定が、俺の身体には現実のモノとして根付いているのである。
だとすれば、少々身体能力は高い程度の奴に負けるわけが無い。
こっちだってサウスタウン仕込みの『氣』の応用で、超人並みの能力を得ているのだから。
この事件の
始めての命懸けの戦いで気付かなかったが死徒との戦いを見ていた者がいたらしく、なんと写メ付きで雑誌に持ち込みやがったのだ。
相手の化け物は外見上一般人と大差はなかった事や、超必殺技である『プラネット・ゲイル』で顔面を崩壊させた事も災いし、大スキャンダルへと発展。
その結果、チャンプの座は剥奪。
ボクシング界からも永久追放の憂き目に合い、家族からも縁を切られた。
うん、あれだ。
いくら能力を貰ったからって、こんなところまでミッキーと同じにしなくてもいいと思うんだ。
こういう場合、酒やドラッグに溺れて身を持ち崩すのがセオリーなんだが、俺はそんな無様は晒さなかった。
プロボクシングじゃなくても、強さを求める事はできる!
そう考えた俺は、すぐさま武者修行の旅を慣行。
『刃牙シリーズ』のモハメド・アライが提唱した、スポーツではなく武術としての『全方位ボクシング』の完成を追い求めた。
そうやって世界を放浪しながら修行の日々を送って、三年の月日が立った頃。
ヨーロッパのとある街でフィニス・カルデアなる組織の勧誘を受けた。
実戦を求めて
その時は当面の目的も無かったのでスカウトに応じると、雪山の上にある妙な施設に放り込まれた。
ロクな説明も無いままに、マスター候補生なる物として登録された俺。
『マスターってなんやねん?』と首を傾げていると、『スカンジナビア・ペペロンチーノ』とかいう偽名100パーセントの関西弁を話す男が教えてくれた。
なんでも英霊なるモノを召喚して使役する役目を負うもので、それには魔力とやらが必須らしい。
俺はそんな怪しげなパゥワァーなど持っていないのだが。
その事をスカやんに話すと、
「ちょっ、マジで? それは無いで、自分~!!」
と、アイタ~と言わんばかりのリアクションをされた。
それから適性検査やら何やらを受けた結果、案の定魔力なんて怪しげな物は存在せず、俺はめでたく下等生物の地位を得る事となった。
まあ、こっちは元より拳二つで生きると決めている。
魔術などという胡散臭いものに興味は無いのだ。
そんな感じで他のマスター候補46人が魔術の鍛錬をやってる中、俺はトレーニングルームでひたすらに潜在超必殺技である『ラッシュボンバー』に磨きをかける日々を送っていた。
途中で何回か所長を名乗る小娘が文句を言いに来たが、軽く睨みを効かせるとベソをかいて去っていった。
あんなショッパイのが所長なワケが無いので、ただの騙りだと思われる。
瞬く間にカルデアの鼻つまみ者になった俺だが、気にかけてくれる相手は少数だが存在した。
医療担当のドクター・ロマンはサボりついでに俺の愚痴を聞いてくれたし、最年少職員のマシュもこっちが世界チャンプだった事を知っていて、目を煌かせながら話し相手になってくれた。
あと、同じ日本出身かつ魔術は素人だという事で、短い間だが偏見無しで付き合ってくれた立香ちゃんもそうだ。
シバとかいう観測機の異常から始まった今回の異変。
爆弾テロからの予定外のレイシフトによって、俺達は特異点冬木へ放り出される事になった。
不幸中の幸いで早期に立香ちゃんやマシュと合流できた俺は、無駄に頑丈な身体を使って戦力の一人として拳を振るってきた。
朽ち果てた街中を我が物顔で闊歩する骸骨兵にシャドウサーヴァント。
この街で起きた聖杯戦争に呼び出されたであろうランサーやアーチャーを退け、俺達は漸く特異点の核であるセイバーの元に辿り着いた。
奴さえ倒せば、立香ちゃん達をカルデアに返す事ができる。
自分も闘うと言うマシュを押さえて、俺は奴の前に立った。
年長者として、男として、こんなボクシング馬鹿を気にかけてくれた彼女達を、これ以上危険に晒すわけにはいかない。
騎士王だか獅子王だか知らないが、邪魔をするならこの拳をくれてやるまで。
今こそ培ってきた転生特典を活かす時だ!
「行くぞぉ! セイバぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
「ァア~~~~~ン」
ミッキー・ロジャース知ってる人って何人いるだろうか?
興味を持った方は、『ミッキー 龍虎』か『ミッキー ぁあ~ん』でググってください。