やっつけ小ネタ集   作:アキ山

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 ネタが浮かんだものの剣キチとは毛色が違い過ぎるので、こちらに投稿します。

 所要時間15分のネタ作品なので、頭を空っぽにして見てくださいな。


アヴェンジャー・ダビデの挑戦

「抑止の輪より来たれ! 天秤の護り手よ!!」

 

 20世紀末、日本の地方都市の一つ冬木市で行われた第四次聖杯戦争。

 

 聖杯戦争の術式を整えた御三家の一つである遠坂の元に、一人の英霊が召喚された。

 

 黒い衣服に同色のフードが付いたローブを纏った緑の髪の青年。

 

 異彩を放つのは太い鎖に繋がれた古めかしい木箱を引きずっている点だろう。

 

 人類最古の英雄王ギルガメッシュを召喚する予定であった遠坂時臣は、明らかに思惑とは違う英霊の登場に困惑した。

 

 しかし、気を取り直してクラス名を尋ねた彼は、青年の返答に混乱の度合いを深める事となる。

 

 サーヴァント・アヴェンジャー。

 

 黒衣の青年は自身の事をそう答えた。

 

 通常の7クラスに該当しないエクストラクラス、しかも『復讐者』である。

 

 不吉な予感が時臣の心を凪いだが、召喚されてしまったからには取り換えなど効かない。

 

 仮に令呪を以って自害させたとしても、次のサーヴァントが来るか分からないのだ。

 

 首尾よく他のサーヴァントを召喚できても、一画もしくは二画の令呪を失った状態でスタートするのはあまりにリスクが高かった。

 

 リスクとリターンを鑑みてアヴェンジャーと共に戦う決意を固めた時臣は、自身のサーヴァントの真名を問うた。

 

 返ってきたのは、なんとイスラエル屈指の賢王であり、魔術王ソロモンの父であるダビデの名だった。

 

 しかし、ダビデは逸話的にアーチャーやセイバーのクラスに適応されることはあっても、アヴェンジャーなどになるとは考えにくい。

 

 聖書に現れる偉人たるダビデの変貌ぶりに同盟者たる言峰親子も注目する中、聖杯に掛ける願いを口にするアヴェンジャー。

 

 そのあまりに悲壮な大願に、時臣は■■への道を諦め、綺礼は愉悦を感じる間もなく感極まって男泣き。

 

 そして璃正は主の祝福を受けたはずの王へ降りかかった悲劇に涙ながらに祈りを捧げた。

 

 こうして始まる聖杯戦争。

 

 アヴェンジャーの戦いは寸毫の容赦もなく、そしてエゲツなかった。

 

 倉庫街の暗がりに身を潜めた彼は、セイバーと堂々とした騎士の決闘を行っているランサーに向けて鎖に繋がれた木箱を投げつけた。

 

 これこそがアヴェンジャー・ダビデに与えられた宝具『契約の箱(アーク)』である。

 

 この『契約の箱』というもの。

 

 かつてダビデの先祖であるモーゼが神から受け取った『人が行ってはならぬ』と定められた十戒が刻まれた石板が収められた聖遺物で、サーヴァントに当たると魔力を根こそぎ奪い取って問答無用で消滅させるという極悪宝具である。

 

 ある世界では、あのヘラクレスを触れただけで十個の命もろとも消滅させたと言えば、この宝具の脅威度はご理解いただけるだろう。

 

 所持者であるダビデ自身もサーヴァントである為に触れれば当然の如く命は無いのだが、その辺は聖別された軍手三枚を重ねて付けた上に繋がれた鎖を振り回す事で対処していた。

 

 『アーク・スイング』

 

 鎖に繋がれた『契約の箱』を渾身の力を込めて振り回し、対象にぶつける大技。

 

 相手は死ぬ。

 

 『アーク・シュート』

 

 鎖に繋がれた『契約の箱』を全力全開で相手に投げつける奥義。

 

 相手は死ぬ。 

 

 そして『アーク・コプター』

 

 『アーク・スイング』の遠心力で空を飛び、空中から相手を強襲する絶技。

 

 相手は死ぬ。

 

 アーチャークラスの時ですら『爽やか系クズ』と言われた彼である。

 

 形振り構わなくなった際の外道っぷりは凄まじいものであった。

 

 手にしたインチキ丸出しの宝具も然ることながら、不意打ち・騙し討ち・人質等々のどこぞの魔術師殺しも真っ青のド汚い手段を躊躇無く発揮し、順調に勝ち上がっていった。

 

 特にアサシンの諜報力で突き止めたマッケンジー家において、老夫婦を人質に取ってウェイバー少年にライダーを自害させた件については流石の時臣もドン引きしたものだ。

 

 そうして迎えたセイバーとの最終決戦。

 

 滅びた故国を救うため、そして同じ王でありながら外道に走るダビデに負けるわけにはいかないと、気炎を吐くアルトリア。

 

 そんなアルトリアの切なる願いも、己に降りかかった汚名を晴らす事に執念を燃やすダビデには届かない。

 

 放たれた聖剣の極光を前に『契約の箱』を振り回しながらダビデは叫ぶ。

 

「僕は……僕はっ! 断じて『皮かむり』じゃない!!」

 

 これは英雄の物語ではない。

 

 これは男として最悪のレッテルを張られた男が挑む、反逆の物語である。

 

 

 

 アヴェンジャー・ダビデのステータスより抜粋

 

 〇無辜の怪物(皮かむり)

 

 とある彫像が世界的に有名となったが為に、ダビデに降りかかった呪い。

 

 魔力・筋力が大幅にアップする代償として、どれだけ立派な逸物を持っていたとしても必ず皮をかむってしまう。

 

 またこの皮は強力な自己再生能力を有しており、如何なる外科手術を以ってしても除去することは叶わない。

 

 

 〇狂化EX(ミケランジェロ)

 

 ミケランジェロを前にすると、殺意に全てが塗り潰される代わりにすべてのステータスが一段階跳ね上がる。

 

 ミケランジェロ死すべし、慈悲は無い。

 

 

 

 〇余談 このダビデが冬木の聖杯に願いを掛けた場合は『皮かむりが恥ずかしいだって? じゃあ、他のみんなも皮がかむっていれば恥ずかしくないよね!』という超理論によって、世界中の男性全てが皮をかむることになる。 




 令呪を以って命じる、自害せよアヴェンジャー。
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