千恋*万花 〜神の暇つぶしによって作られたもう一つの可能性〜 作:ギルヴィニア
「……?」
ここは……どこだ……?
俺がいる所は見渡す限りあたり一面真っ白な空間だった。どちらが上でどちらが下かも分からない位真っ白だった。
「俺は……?」
俺は……どうなったんだ?
どうしてこんな所に?
「悪いのぉ……」
不意に後ろから声をかけられた。声的に70~80位の老人だろうか?
俺は振り向くと同時にバックステップで距離をとった……いやなんかカッコよくバックステップとか言ってるけどただ普通にビックリしただけだが。
後ろに居た老人は期待を裏切らず70~80歳位のじーさん。
右手に腰位まである杖に灰色の着物を着ており、サンタクロースもびっくりな白い髭がもさもさ生えていた。
「……あんた誰だ?つーかどっから現れた?」
俺がさっき見渡した時こんなじーさんは居なかったし隠れる所なんて存在しない。
「ふむぅ……あまり驚いておらんのぉ……つまらん」
「……」
……俺は生まれて初めて老人に怒りを覚えたかも知れない。
「さっきの質問じゃがのぉワシは神じゃ、そして瞬間移動……では無いがそれと似た様な物じゃ」
……もうどっから突っ込めばいいのだろうか……取り敢えず老人ホームに行けとでも言ってやろうかね?
「失敬な!ワシはまだ50000程じゃ!老人なんぞと比べるでない!ワシャァまだまだ現役じゃぞ!」
おっとぉ?これは見事なフラグ建築スキルですね、スグにでもぽっくりいくじーさんだな。
……と言うか俺喋ってないんだが?俺の顔色だけで俺の言いたいことが分かったのか?だとしたらすげぇな俺……顔だけで老人ホームに行けと言えるなんて……そしてこのじーさんもすげぇな……俺の言いたい事を的確に掴んでくる……このじーさんと組んだらテレビにも出られそうだ。
「誰がお主なんぞと組むか!そしてそのじーさんを辞めろ!わしは神だぞ!それにそんなフラグなんぞへし折ってくれるわ!」
じーさんを辞めろか……ならダンブ〇ドア校長と呼ぶことにしようかね。
「そう言う問題では無い!お主著作権が怖く無いのか!?」
そのセリフは銀色の魂を持った万事屋の方々に言ってやってくださいよ。
「……もう疲れたのぉ……話を進めさせても良いかの?いや、進めるぞ!お主に付き合っていては一生話が終わらぬ!」
えーダン〇ルドア校長と話すの楽しいんだけどな……
「……突っ込まぬ、突っ込まぬぞ」
「チッ」
「……もう1度言うがワシは神じゃ、人間の心の中など容易に読める。次に不敬な事を言えばどうなるか分かっておろうな?」
……神……ね
「……いや、もうお主の心は読まぬようにしよう……もうこうした方が早い」
「分かったよ……で?神が人間なんかに何の様だよ?つーかここ何処だ?」
「質問は一つにせい……まずは何の用か?それから片付けようお主は死んだのじゃ」
「は?」
「信じられぬのは仕方ない、しかしお主は死んだのじゃ、紛れも無く死んだのじゃ」
「へぇ俺は死んだのか」
「……お主……何故あっさり納得するのじゃ……?」
「え……何故って……人は……いや、生物はいつか死ぬだろ?俺は事故か何かで死ぬのがちょい早くなっただけの話だろ?俺だって死にたがりって訳じゃないが、死んじまったら仕方ねぇ、黙って受け入れるさ」
俺がそう言うと神のじーさんは驚いた顔をしたが直ぐに表情を戻した。
「一つ聞きたいんだが、俺はどうやって死んだんだ?」
子供を助けて死にましたとかだったら良いんだけどな……あれ?俺はこのまま生き返って霊界探偵になるんだろうか?
「……お主の死はなワシの部下が手違いで招いてしまった事なのじゃ」
違ったー!全然違ったー!かすりもしなかったー!
「お主の死因は謎の心臓麻痺じゃ」
霊界探偵になる所かデス〇ートにやられたー!リュ〇クと夜〇月にやられたー!え?俺悪いことやってねぇよ!?やった事ねぇよ!?
「へぇ……俺は心臓麻痺で死んだのか……」
俺は冷静を装い神に言った。
「そうじゃ……本当に済まないと思っている」
「……謝られてもなぁ……どーせ生き返ったりするのは出来ねぇだろ?」
神は頷いた。
「しかし、お主を転生させる事は可能じゃ」
「……転生?」
俺は首を捻りながら神に聞いた。
「そうじゃ……転生とは前世の記憶を引き継いだまま来世に行けるというものじゃ」
「転生……か」
「今なら好きなアニメやマンガやラノベの世界にも行けるぞ?」
……ラノベ?
「……おいじーさん」
「なんじゃワシのことはかm」
「ラノベ?」
「ん?」
「……じーさんさぁ……結構なアニメ通だな?」
「そ、そんな訳無かろう!ワシはかm」
「普通の人間は(あんたは神だが)アニメやマンガは知っていてもラノベ……ライトノベルなんて実際に読んだ事のある奴しか知らねぇよ、しかもライトノベルをラノベと略する奴は相当精通してる奴だ、それにさっき俺がフラグとか言っても平気で折るとか言ってたしな……あんたニコニコ動画とかも見てるんじゃねぇか?」
普通の人間ならアニメとマンガの2つしか知らず、ライトノベルの存在は知らない奴が多い。ライトノベルが原作でアニメになったのを知らない人間も多いが最近の中高生なら常識でもある。……その中高生の常識を50000歳のじーさんが知ってるんだろうな。
「……そうじゃが何か文句でもあるか?」
「……いや、別に……なんでさっきから俺が振ったネタを尽く全て拾ってくれたのか納得しただけだ」
開き直ったじーさんは俺を睨みながら言ってきた。
「……所でじーさん?」
「ん?なんじゃ?」
「好きなラノベは?」
「俺ガ〇ル一択じゃの」
「好きなアニメは?」
「俺〇イルじゃ」
ガシッ(握手)
「……と言ってもなぁ……転生……」
「なんじゃ?転生は若者の夢では無いのか?」
ジーさんと俺は何事も無かったかの様にシリアス(笑)の空気に戻った。
「確かに夢かも知れんがそれが男子高校生全員に当てはまると思うなよ?」
「……先ほどの言葉を返すがワシの数少ない趣味を見抜いたお主もワシと同じ趣味の持ち主じゃろ?何故転生を嫌がる?」
「別に嫌がる訳じゃないが……嫌な予感しかしねぇんだよ」
「嫌な予感?」
「俺転生しても村人Aとか脇役とか残念な役割な気がしてならん」
「……お主……一億年に1人の人材だのぉ……」
「黙れジジィ……仮に俺は転生しなかったらどうなるんだ?」
「転生も出来ず、生まれ変わることも出来ず消える事になるの……ワシとしてはそれは辞めてもらいたい……ワシが始末書書くことになるし」
「おい」
なる程、それが本音か。
「……ならこれならどうじゃ?」
そう言うと神は右を出した。
そして神の手が光だし──
「うぉ!?」
俺はあまりの眩しさに視界を手で塞いだ。
──神の足元には手が入る位の穴の空いた箱が置いてあった。
「……おい、まさか……」
「そうじゃ、くじ引きじゃ」
……この神め……どうあっても俺を転生させる気か……
「まぁいいか……これで決めよう……」
「さぁ、早く引け」
「あんた段々適当になってないか?」
俺はそう言いながら箱の中に手を入れた。
……どうやら箱の中にあるのはボールの様だ。
「……んじゃあこれにする」
俺は一つボールを掴んで取り出した。
「なんと書いてある?」
「……嘘……だろ……?」
おいおい……マジでこれかよ……?
マジで引き当てたのかよ……?
「これ引き直していいか?」
「リセマラしてはくじ引きの意味が無かろう……諦めろ……と言うかそもそもこのくじ引きにリセマラと言うシステムは存在せぬ」
えー……これぇ……
「一体何を引いたのじゃ?」
「……あんたが知ってるかどうかは知らんが……『千恋*万花』だ」
これ……アレなんだが……これだったらまだ初音島とかアクア・エデンとか聖杯戦争とかがある世界の方が……いや、どっちもどっちだな……俺初音島以外じゃ俺多分お亡くなりになるし……いや、初音島行ったら死にはしないだろうが……杉並が原因で平穏な日々は早々にログアウト確定だな。
「……お主……これは………………なかなかいいのを引き当てたのぉ」
「今何故貯めた?」
「まぁ、引いてしまったものは仕方ない、お主は『千恋*万花』世界で確定じゃな」
「マジかよ……事故死する未来しか見えねぇんだが……まぁ、仕方ねぇか……」
「さて、転生先の世界が確定した所で次に決めるのは願いじゃ」
「は?願い?」
「そうじゃ、転生者には特典として3つの願いがあってのぉ……要は追加設定じゃな」
「あ、そんなんあるのか……」
……とりあえず一つ目はアレで確定だな
ん?ちょっと待てよ?
「願い無しだとどんな初期設定なんだ?」
「ん?普通の男じゃぞ?人格と記憶を引き継いだだけじゃの」
「……体とか骨格は?」
「お主からすれば他人の顔と他人の体じゃの」
そうか、とりあえず二つ目の願いは確定したな。
……ん?待てよ?このじーさんさっき『人格と記憶』って言ってたよな……?
「おいじーさん、今俺が引き継ぐのは『人格』と『記憶』だよな?」
「ん?そうじゃの?今のお主の精神をそのまま持っていく感じじゃの」
「……もし、体を引き継いだ場合、俺の身体能力はどうなる?」
「引き継がれぬのぉ……もしかしたら今より良くなるかもしれんが」
まぁ、それならこれで願いは決まった。
「おいじーさん、願いは決まった」
「ほう?どんな願いじゃ?」
「一つ目は気づいてると思うが俺の体をそのまま引き継いでくれ」
「うむ、まぁ、確かに察していた」
一つ目の願い……来世の俺が俺であるために同じ体を作る。
「二つ目は俺の身体能力に付いてだが……俺の今の身体能力を強化して引き継ぐ事は可能か?」
「可能じゃ」
「んじゃあ二つ目の願いはそれで頼む」
二つ目の願い……アレをプレイした事のある人ならわかると思うんだが……死なない為だ、当然だが俺は死にたくないからな。
「それで?最後の願いはなんじゃ?」
最後の願いは最初から決まっている。
「引き継ぐ記憶、無かったことにしてくれ」
「は?」
神が変な事を言ったので俺も乗るか。
「ひ?」
「お、お主は一体何を言っているのじゃ!?」
「ひ?」
「それを聞いているのではない!記憶を消せとはどういう事じゃ!?」
「はぁ……」
俺は一度ため息を吐いてから続けた。
「じーさん……簡単なことを忘れてるぜ?」
「……なんじゃと?」
「アニメとかライトノベルとか見てるんだろ?だったら分かるだろ?子供でも分かる事だぜ?」
「お主は……」
「先の事がわかったらつまらねぇじゃねぇか!」
三つ目の願い……俺は最初から決めていた。
子供でもわかる事だ。ゲームでもアニメでも小説でも何にでも当てはまることだ。先のことがわかったらつまらない。だから俺は今の俺の記憶を忘れ千恋*万花を楽しもうと思った。
「ふ……ふっふっふっふ……」
なんだ?神が突然笑い出した……遂におかしくなったのか?
「ふぉっふぉっふぉっ!確かにそうじゃ!そうじゃのぉ!ワシとした事が忘れていた!」
神はそれから数分笑い続けた。
そんなに面白いことを言ったつもりはないのだがな……
「ワシはお主が気に入ったぞ!面白いことを言う男じゃ!お主来世で死んだら神にならぬか?わしの元で働かぬか?」
「勘弁してくれよ、俺に神は荷が重い」
「そうかの……お主はいい神になると思うがの……話を戻そう、お主の願いは分かった」
「おう、とっとと転生してくれ」
「そうじゃの、もうすべて決め終わった……お主は目をつぶってじっとしておれ」
俺は言われた通りに目をつぶってリラックスする。
そうしてから数十秒経つと体が動かなくなり……そのまま俺の意識は消えた。
「……はぁ、今回の転生者は終了か」
「ちょっとセンパーイ?何やってるんですか?」
「ゲ!?」
「『ゲ』ってなんですか!?『ゲ』って!?」
「いや……ちょっと独り言を言っていただけだ」
「いや、知ってますから隠さなくても……先輩最近暇つぶしで下界の人間を転生させてるそうですね、しかも転生の原因を私に押し付けて!オマケに犯人が分からないように自分の姿まで変えて!」
「わ、悪かったよ……」
「上の神様から伝言があります
『次に同じ事をすればバイオハザードの世界に飛んでもらうぞ』
って言ってましたよ」
「し、しょうがねぇだろうが!これ位やらねぇとモチベーションが持たねぇんだよ!」
「はいはい、わかりました。でもそれは私じゃなくて上の神に言ってくださいね♪ではでは〜」
「……いっちまいやがった……ん?次に同じことやったら?……え、ちょ、それって……まぁいいか……やっちまったもんはしかたねぇし……あれ?これさっきの転生者のパラメーターだよな?……まずい……設定ミスったっぽいなぁ?」
オマケ
「なぁ、所で一つ聞きたいんだがよ?」
「ん?なんじゃ藪から棒に?」
「今回俺は千恋*万花を引き当てた訳だがよ、他には何があったんだ?」
「ん?ああその話か、あの箱のボールはお主が今まで触れた事のある世界全てが対象となっておる」
「え?マジ?」
「マジじゃ、お主は数百ある世界から千恋*万花の世界を引き当てたのじゃ」
「なんでテイルズの世界引き当てなかったんだよぉぉぉぉ!!!俺全シリーズ知ってるぞぉぉぉぉ!!!」