艦隊これくしょん ~誰の為に海へ出る~ 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
太平洋、ガダルカナル島の北120km――
「そろそろ、例の場所だね」
第23-12駆逐隊の天霧が言い、第23-11駆逐隊の吹雪が頷く。彼女達――第23-11駆逐隊の吹雪、白雪、初雪、第23-12駆逐隊の叢雲、天霧、狭霧――は、第5航空戦隊を守った未知の勢力が向かったという、ガダルカナル島へ向かっていた。
「でもガダルカナルなんて、オーストラリア・イギリス連合部隊が撤退して、深海棲艦が拠点化した場所の筈よ。それに、未知の技術を持っていたそうじゃない? そんなのを相手に駆逐艦6人だけで、一体何が出来ると言うのよ」
不満や愚痴を述べる叢雲が、手にした槍をくるくる回す。
「でも、後方には1航艦が待機しているし――」
「弾避けって訳ね。航空戦隊直属の駆逐隊は空母の護衛だからって、わざわざこうして――」
「もういい加減にしなさいよ!」
白雪が怒鳴った。すると、天霧が何かを感じ取った。
「……?」
「天霧?」
狭霧が尋ねる。すると、天霧が目を見開いた。
「敵編隊直上!」
「やっぱりガダルカナルにいるのは深海棲艦じゃない!」
叢雲が左手で12.7cm連装砲を持ちながら叫ぶ。即座に全員が対空迎撃態勢に入り、輪形陣を組む。
まず撃ったのは吹雪だった。12.7cm連装砲が唸り、砲弾を敵編隊に浴びせる。すると、深海棲艦の敵艦爆隊が急降下を開始した。
「弾幕を張りなさい! 言っとくけど、戦死報告書を書くなんて御免だからね!」
叢雲が叫び、天霧が返す。
「それはこっちも!」
12.7cm連装砲、25mm連装対空機銃、7.7mm対空機銃が弾幕を張る。しかし、敵艦爆隊の勢いは止まらない。
「狭霧ぃ!」
「狭霧ちゃん!」
天霧と白雪が叫ぶ。狭霧が振り返ると、自分目掛けて突っ込んでくる敵艦爆の姿。
「間に合った! さぁてやるわよ、cugina!」
「Oui, bien sur.」
2人は右腕を突き出し、同時に口を開く。
『Target, ASTER30, recommend fire! Salvo!』
そして、右腕に付いていた箱の蓋が開いた。
狭霧へと突っ込む敵艦爆の主翼下から、250ポンド爆弾が切り離される。
「ごめんね、天霧。ごめんなさい、叢雲さん――」
狭霧がそう口にする。叢雲と天霧は、狭霧へと飛び付こうとする。
直後、250ポンド爆弾と敵艦爆が爆ぜた。
「――えっ?」
「――ふぁ?」
「――な、何?」
3人が固まる。見れば、次々と敵艦爆が爆ぜていく。
「我らがOTOメラーラに跪けぇ!」
見た事の無い単装高角砲――76mm単装速射砲OTOメラーラ スーパーラピッド――がポンポン砲の如く弾を撃ちまくり、発射される噴進弾が1発も外れる事無く敵艦爆に命中していく。
そして気付けば、敵艦爆隊が全滅していた。
「怪我は無いかな、signorina?」
黒髪ショートの、見た事も無い艦娘が狭霧達に話し掛ける。すると、金髪天然パーマの艦娘が頭を叩いた。
「行く先々で口説いてんじゃないわよ。引いているでしょう?」
「何で可愛らしい女性に話し掛けないのさ。人生損してるよ?」
「結構。私には私なりの楽しみがあるから」
その会話を聞いていた、白雪が一言。
「松風さんの親戚ですか?」
「マツカゼ……? 知らないね。というよりキミも――」
スパァーン
黒髪ショートの艦娘が後頭部を抑えている間に、金髪天然パーマの艦娘が自己紹介する。
「フォルバン級ミサイル防空駆逐艦のフォルバンよ。こっちの口説き魔は、従姉妹のアンドレアドーリア級ミサイル防空駆逐艦、カイオドゥイリオ」
「従姉妹?」
吹雪の言葉に、フォルバンが応えた。
「仏伊共同開発で生まれたの。だから、血の繋がりがあるって訳」
『仏伊って、フランスとイタリア!?』
6人が驚いた。
「まぁ仕方無いわね。今は1940年代でしょう? 敵対する国同士というのは――」
「一体どうやって太平洋まで!? マラッカ海峡は――」
「スエズ運河の戦況は!?」
「まず第一に質問する事があるでしょう!? ヨーロッパ方面はどれくらい残ってる!?」
6人に質問攻めされ、フォルバンは何も出来なかった。
〔11駆逐隊、12駆逐隊。一体何があったの? 報告しなさい〕
「こちら11駆、吹雪。フランスとイタリアの駆逐艦を発見しました。損害は無し、繰り返す、損害は無し」
〔ヌ級率いる哨戒航空戦隊とは交戦したのかしら?〕
「いえ。敵編隊に襲撃されましたが――」
〔じゃあ一体誰がやったのよ? ヌ級もヘ級もロ級も全部沈んでいるのよ〕
「何処かの潜水隊とか――」
〔言っておくけれど、ガダルカナル周辺の制海権は向こう。何処の軍部もそこに部隊は送っていない、私達とあなた達を除けば〕