はみ出し者が集まる鎮守府   作:フリーメア

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 はい、こんにちは。
 こっちはタグに書いてある通り息抜きで欲望のままに書いています。不定期で更新していきますし、いきなり更新しなくなるなんてこともあるかもしれませんが、それまではよろしくお願いします。

※2018/10/24 修正
「背中に機関部の代わりに槍を〜」

「背中に機関部と槍を〜」


襲撃

「─今奴らはどこにいる!?」

 

 会議室で怒号がとぶ。その声に応えたのは大本営所属の大淀だった。

 

「現在第一防衛線にて連合艦隊と交戦中!!ですが既に半分の艦娘が戦闘不能となっています!!」

 

「何としてでも食い止めろ!最悪、大本営まで来なければ構わん!」

 

 大本営の大将の一人が机に手を叩き付けた。それを藤原は通信機で白露に現状報告しながら聞き、鳳翔は冷めた目で見ている。この場にいる艦娘は大淀と鳳翔だけであり、藤原以外の提督達は自分の艦隊を出撃させていた。

 何故、藤原の艦隊は出撃していないのかというと止められたからだ。曰く「貴様らのような奴らは足でまといにしかならん!!」だそう。因みに言ったのは大湊警備府所属の大将─名は清水 誠司─だ。

 

「だぁからお前らはそこで待機して・・・はぁ?こっちに来る?お前何言って・・・。切りやがった」

 

 藤原が舌打ちをしながら通信機を外して鳳翔に言う。

 

「鳳翔、部屋を出て白露を─いや、もう遅いか」

 

「そのようですね」

 

 他の提督は自分の艦隊に指示を出すのに必死で疑問に思う間も無い。指示を出しながらも余裕のある中野が何の事か聞こうとすると─突然、会議室の扉が浮き飛んだ。現状報告をしていた大淀も指示を出していた提督も、その場の全員が例外無く吹き飛んだ扉を見てそれを行った人物を確認する。そこにいたのは、(何か)を蹴ったように足を伸ばした白露だった。後ろにいる時雨達は溜息をつき、明石は苦笑をしてジェスチャーで謝っている。

 誰も言葉を発せない中、白露は清水の前まで歩き何の感情もこもっていない声で言う。

 

「何であたし達を出撃させないの?」

 

「っ、言ったはずだ!貴様らのような奴らは足でまといにしかならんと!」

 

「だから何?足手まといなら足手まといなり時間を稼ぐ事は出来るし、単純に戦力も増える。少なくともここに呼ばれてる程度の力はあるからね。要するにあなたは、あたし達の力を借りたくないだけでしょ。そんな下らない意地で自分の部下もここも危険に晒すつもりなの?」

 

「なんだと貴様!!」

 

 白露の言葉が気に入らなかった清水は怒声をあげ立ち上がる。それを鎮めたのはもう一人の大将だった。

 

「清水、落ち着きなさい。その子の言う通りよ」

 

 その大将の名は河相(かわい) (ゆかり)。大本営所属の、数少ない女性の大将だ。

 

「もう第二防衛線まで攻められてるこの状況じゃ戦力は少しでも欲しい所よ。だったら藤原大尉の艦隊を行かせるべきだと、私は思うわ」

 

「ぐっ・・・だっだが、こんな海軍の面汚しのような奴らの手を借りるなど・・・」

 

「じゃあ何?貴男はろくに実戦経験のない子達を送り出すつもりなの?」

 

 河相のその言葉に清水は黙る。大本営所属の艦娘は多いが、熟練と言える艦娘は半分にも満たない。そのほとんどが出撃し、戦闘不能となってしまっている。現状、増援に行ける艦娘は藤原の艦隊と大本営所属の艦娘のみ。残っている大本営所属の艦娘を出撃させた所で被害を増やすだけだ。それは理解しているが、特務隊の手を借りるのは清水のプライドが許さなかった。

 勘違いしてもらいたくないのだが、彼は悪い男ではない。ただ物凄く頭が硬いだけだ。彼の頭の中では、特務隊は問題のある者が行く所=海軍にとって不利益のある者、という式が立てられているだけである。

 

「─いけるのか」

 

 清水が言葉を発せない中、そう口を開いたのは元帥だった。年齢は五十過ぎだというのに、彼の放つ威圧感はこの場の誰よりもあった。しかし、藤原はそれに臆することなく応える。

 

「殲滅出来るかは分かりませんが、最悪撤退させることは出来るでしょう」

 

 いけるな、と藤原は視線を白露に送る。白露は先程までの無表情が嘘のように、獰猛な笑みを浮かべた。それを確認した藤原は自分の艦隊に指示を出す。

 

「最優先は奴らを撤退させる事だ。やり方はお前ら自身に任せる」

 

 そこで言葉を区切り静かな、それでいて白露と同じく獰猛な笑みを浮かべる。

 

「─『特務隊』の力、見せつけてやれ」

 

 

 

 大本営よりおよそ十キロ地点、第二防衛線では有り得てはいけない光景が広がっていた。

 

「ぁ・・・」

 

「モウ終リカ?日本の艦娘ハ弱イナァ」

 

 艦娘『五十鈴』の首を掴み、レ級は嗤う。

 周囲では防衛線の艦娘全員が戦闘不能となっていた。対する深海棲艦はその数をほとんど減らしていない。

 

 圧倒的だった。駆逐艦はレ級の砲撃一発で大破し、戦艦ですら中破する。レ級が一体だけだったなら、なんとかなったかもしれない。だが、この艦隊にレ級は三体。それだけでも狼狽え、更にレ級は艦載機と魚雷を放ってきた。想定外に想定外が重なり統率は崩れ、その結果がこの現状だ。幸い轟沈は一人も出ていないが、全員が後一発食らえば轟沈してしまう程にダメージは深い。

 

「ネェ、コンナ奴ラ放ッテオイテ サッサト次行キマショウヨ」

 

「・・・私達ノ目的ハ、コイツラノ本部ヲ潰ス事」

 

「ソレモソウダナ」

 

 気怠げなレ級と無表情なレ級に言われ、五十鈴の首から手を離し大本営へ進軍を再開した、その瞬間、背後から砲撃をもらった。

 

「アァ?」

 

 しかしそれは《障壁》に阻まれ、かすり傷すら追わせることは出来なかった。レ級は振り向き、砲撃した人物を確認する。

 

「行かせて・・・たまるものですか・・・」

 

 砲撃を行った人物は、五十鈴だった。ボロボロになりながら息を荒くしていても、膝立ちの状態で主砲をレ級に向け、その目にはまだ戦意が残っている。

 

五十鈴()は軍人よ・・・。この国を守る義務がある・・・。だからっ・・・」

 

─正直に言えば、国を守るなんていうのは建前でしかない。五十鈴(彼女)が軍人となり艦娘になったのは、大切な者を守る為の力が欲しかったからだ。故に戦う。ここから先に行かせるつもりは無い。自身を奮い立たせる為に叫ぶ。

 しかし突然レ級が五十鈴に飛びかかり両手で首を締め始め、言葉を遮った。

 

「がっ」

 

「─殺サナイデヤロウト思ッテイタガ、軍人ナラ話ハ別ダ」

 

 先程まで嗤っていたはずのレ級は無表情となり、その瞳は増悪で満ち溢れていた。レ級は締める力を強くしていく。

 

「ナァ、一ツ聞カセロヨ・・・。軍人ッテノハ自国ノ為ナラ、小サナ村の一ツヤ二ツ、見捨テテ良イノカ?アァ!?」

 

 レ級は憎しみに満ちた声で叫ぶ。他二体のレ級も、声には出さずとも目には増悪が浮かんでいた。

 このレ級達の故郷は()()()()()()()()()()と言っても過言ではない。国の戦争に巻き込まれ、物資が足りなくなれば奪われ、村が助けを求めたら見捨てられた。故に三体のレ級は軍人を増悪し、()()()()()()()()()()

 更に締める力を強くしていき、レ級が五十鈴の首を折ろうとした─その時。

 

「?」

 

 エリヌ(エリートヌ級)が何かに反応、上を向いた瞬間─何かに踏み潰された。

 

『『『ッ!?』』』

 

 ドパァン!という音に振り向いた深海棲艦は、ヌ級の上に座っている人物を見て目を見開いた。そこにいた人物は─

 

「ハロハロー、深海棲艦の皆さん」

 

─駆逐艦娘『白露』。そいつが笑顔で挨拶してきた。パッと見、基本的な白露と変わらないが、背中に機関部と槍を背負っている。だが、何よりも─

 

「─オ前、ドコカラ現レタ?」

 

 そう、そこが問題だ。ここは海上、何かが近づいてきたら誰も気づかないはずがない。

 五十鈴の首を掴んだまま問うレ級に、白露は笑顔のまま上に指を指し答えた。

 

「ん?空からだよ」

 

 何を言ってるんだと言わんばかりの言葉に、思わず深海棲艦達は固まった。それこそ何を言っているんだという話だ。艦娘にも深海棲艦にも、空を飛べる者はいないはずだ。可能性としては艦載機に乗ってきたとしか考えられないのだが、艤装の艦載機は小さく人は乗れない。かといって実寸大の艦載機に乗ってきたのなら気づくはずだ。

 

「あれ?もしかして見えてない?あたし、あれ装備してきたんだけど」

 

 白露が再び空を指さしながらそう言った。それに従って上空を見てみると、何か、飛行機のような影が見える。まさかと無表情のレ級が目を見開き、驚愕の表情で呟く。

 

「『飛行用ジェットパック』…」

 

「正解♪しかも飛行音はしないしステルス機能も付いている特注品だよ〜」

 

 科学は偉大だよねぇ、と腕を組んで白露は頷く。

 なるほど、疑問は解消された。今度は嗤みを浮かべて、レ級は砲台を白露に向ける。

 

「ソレデ?駆逐艦ガ一隻来タダケデ何ガ出来ルンダ?」

 

 その場の深海棲艦全員が白露に砲台を向けるが、それに狼狽える事なく白露は口を開いた。

 

「来たのはあたしだけじゃないよ」

 

 その言葉と共にまずロ級が撃ち抜かれ、レ級の五十鈴を掴んでいた手が撃たれた。数秒遅れて聞こえる二発の銃声。

 

「レイ!!」

 

「問題無イ。ダガ今ノハ…」

 

 撃たれた箇所を擦りながら、レイと呼ばれたレ級は考える。

 今の銃声はスナイパーライフルだ。だが、何故この場で聞こえるのか。陸上ならともかく、ここは海上だ。聞こえるなら砲撃音でなくてはおかしい。

 白露が口笛を吹いて口を開く。

 

「流石鳳翔さん」

 

 白露が見ている方向にレイが視線をおくると、水平線にかろうじて四つの影が向かってくるのが確認出来た─。

 

 

 

『─着弾確認。駆逐艦ロ級は撃ち抜けましたが、戦艦レ級はかすり傷すらついていませんね』

 

「流石にその距離(三〇〇〇m地点)から戦艦を撃ち抜く事は無理だとは思っていましたが、かすり傷すらつかないとは…」

 

 無線機から聞こえる鳳翔の声に、明石が少し落ち込んだ。改良しましょうか、という呟きに鳳翔はこのままで良い事を伝える。

 鳳翔としては長距離射撃で撃ち抜けなくても、妨害出来れば良いと考えているからだ。

 

『ねぇ、そろそろ攻撃していいよね?しちゃうよ?するからね?

─よいしょー!!』

 

『…白露ちゃん、攻撃を開始しました』

 

 白露の気合いの入った声と共に何かが潰れる音が聞こえた。鳳翔からの報告に、刀を腰に差している時雨が眉間を抑える。

 

「どうするっぽい?」

 

 大剣を背負った夕立が、並んで滑っている時雨に問いかけた。時雨は眉間から手を離し、溜息を吐いて艦隊に指示を出す。

 

「はぁ…。鳳翔さんはその場で援護、弾が切れたら僕達のとこまで来て」

 

『いいけど、飽きたらそっち向かうわよ?』

 

「…相変わらずですね」

 

 円盾(ラウンドシールド)と片手剣を装備した春雨が呆れたように呟いた。再度、時雨は溜息を吐く。

 彼女は好戦的という訳では無いが、長距離戦よりも近距離戦を好む。

 

「もうそれでいいよ…。

 後は各自その場で判断、提督が言っていたけど今回の最優先事項は敵艦隊を撤退させること。深追いは禁止」

 

 返事は聞こえないが、白露を除く全員が理解した事を確認、時雨は抜刀した。

 

「─『特務隊』戦闘開始」

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