この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第4話 この駄女神様と商売を!(後編)

 

 

 

 

「ちょっとエリス〜、疲れたんですけど〜」

 

「もう少しの辛抱です。がんばってください、アクア先輩」

 

「イリス、結構歩いたけど大丈夫か?」

 

「全然平気です! 私、ピクニック初めてなんです。すっごく楽しいです!」

 

「へぇ、初ピクニックか。もう少しで目的地だから、着いたらお弁当にしような。……な、アクアもイリスを見習えよ」

 

「私は女神なのよ? 少しは奉仕されてもいいと思うんだけど?」

 

「子どもががんばってんだから、女神様もがんばってくださいよ。はぁ……」

 

 そんなこんなで、俺たちはアクセル郊外の“水源の浄化”クエストへ。

 

 ――という建前のもと、“聖水製造”のために泥水エリアまで足を運んでいる。

 

 ちなみに、エリスとイリスには「飲み水の浄化と詰め込み作業」とだけ説明している。ビジネスの話は内緒だ。

 

「よし、着いたぞ」

 

「なんというか、典型的な泥沼ね……」

 

「だからこそ浄化が必要なんだよ。この泥水が、俺たちの未来を変える。エリス、俺とアクアは作業に入るから、イリスと一緒に先にお昼にしててくれ」

 

「わかりました」

 

「ちょっと〜、ユウマ〜。私もお腹すいたー!」

 

「はいはい、ちょっと待てって」

 

 ……めんどくさい商売パートナーだな、ほんと。

 

 俺は手早く《結界》を展開し、作業区画を確保した。

 

「はい、これでよし。アクア、エリス特製のお弁当だ。結界内でおとなしく食べてろ」

 

「水の中でお弁当!? 嘘でしょ!」

 

「当然だ。目的は“浄化”じゃない、“聖水製造”だ。効率最優先。今我慢すれば、いい酒がいっぱい飲めるぞ?」

 

「ぐぬぬ……わかったわよ……」

 

「よし。見張りもしてるから安心してろ」

 

 さすがにここまで言えばアクアも納得したようだ。なんだかんだで、意外と話が通じるのがこの女神のいいところ……たまにね。

 

「ユウマ、紅茶欲しいんですけど」

 

「はいはい」

 

 水中で食事してる姿、なんか紅茶のティーバッグみたいだな。

 

 それにしても、ポカポカ陽気で暖かい……。ちょっとウトウト……。

 

……

 

---

 

「ヒィギャーー!! ユウマさん、助けてーーっ!!」

 

「ん、なに……!?」

 

 しまった。寝てた――って、えぇ!? めっちゃ襲われてる!?

 

「アクア先輩!? 大丈夫ですかっ!?」

 

「ユウマさん、これは流石にマズいですよ!」

 

 振り返れば、結界がきしみ、ひびが走っている。

 

「……なんか今、“聞こえちゃいけない音”がしたんですけど!?」

 

 完全に油断してた。いや、これは俺が悪い。ごめん、アクア。

 

「……はぁ、わかったよ。やればいいんでしょ、やればっ!」

 

---

 

 チャポン――。泥水だった水源は、澄んだ水に変わり、小魚たちが優雅に泳いでいる。

 

「……もう、誰も信じられないわ……」

 

「先輩、お気を確かに……」

 

 アクアは完全に廃人状態。

 

 正直、悪かったとは思ってる。……でもさ、寝ちゃってたんだもん。反省してます。

 

「エリス、アクアの看護頼む。俺はイリスと水汲みしてくる」

 

---

 

「……はぁ、疲れた。ブルータルアリゲーター十二体って、マジでキツかった……」

 

 俺がため息をついていると、隣のイリスがなぜかニコニコ。

 

「イリス、なんかいいことあったか? やけに楽しそうだな」

 

「はいっ! 仲間と一緒に遠出して、お弁当食べて、モンスター倒して……こんな体験、初めてなんです。本当に楽しくて!」

 

 ……そういえば、イリスの過去、俺はほとんど知らない。

 

 あの日、話しかけようとしたときに見た“あの表情”が忘れられなくて、それ以来ずっと聞けずにいる。

 

「そうか。それならよかったよ」

 

 イリスの笑顔を見てたら、疲れも吹き飛ぶ。……うちのパーティーの女子たちの笑顔、マジで効く。

 

「そういえばさ、イリスの剣って不思議だよな。見えないし、なんか風を纏ってる感じ」

 

「この剣のことですか?……特別に見せてあげますね。でも、これは秘密ですよ」

 

 イリスが小声で呪文のようなものを唱えると、風が渦巻き――

 

 蒼い持ち手の、美しくも力強い剣が現れた。

 

「この剣は、一族に代々伝わる神器なんです。名前は……確か、“なんとかカリバー”だったような……」

 

「“なんとかカリバー”って……おい、それ、もしかして“エクスカリバー”!?」

 

 ……いや、気のせいか。たぶん別物だろう。きっと。

 

「その剣、俺でも使えたりする?」

 

「神器は“持ち主にふさわしい”と認めた者にしか使えないそうです。でも、認められれば、誰でも」

 

「へぇ、剣が使い手を選ぶのか。面白いな……」

 

「はい、秘密話しちゃいましたね」

 

「ありがとな。……さて、このボトルでラスト。街に戻るか」

 

---

 

 アクアを背負って歩くこと約二時間。ようやく、夕暮れのアクセルにたどり着いた。

 

「ふぅ……やっと着いた。ほらアクア、街に戻ったぞ。降りてくれ」

 

「でがらし〜♪ 女神が運ばれて〜く〜る〜よ〜♪ このまま〜売られてい〜く〜よ〜♪」

 

「売らねぇよ! 俺は斡旋業者か!!」

 

 なんちゅう歌だ。やめてくれ、周囲の視線が地味に痛ぇ。

 

「お、ユウマ! 無事だったか――って、おいアクア、なにやってんだよ」

 

 ナイスタイミングで、アクアの保護者・カズマが登場。

 

「いいとこ来た! 実はカクカクシカジカでな。こいつ、連れて帰ってくれ」

 

「……そりゃ災難だったな。ほら、帰るぞ、駄女神」

 

 カズマがアクアの腕を引っ張る。が――

 

「ちょっと、キミ! 女神様になんてことをしてるんだ!」

 

 割り込んできたのは、ピカピカの鎧を着た茶髪のイケメン風男。

 

「大丈夫ですか、女神様……」

 

「ん? 女神様? ……そ、そうよ! 私は女神よ!」

 

 ……チョロいな、おい。

 

「誰だよ、お前。アクア、知り合いか?」

 

「えーっと……誰だっけ?」

 

()()()()()()()()()()()

 

 あまりにも酷い返答に、俺とカズマのツッコミがシンクロする。

 

「御剣です。御剣響夜。あなたから、魔剣グラムを授かった者です」

 

「あー……ああ! いたわね、そんな人。多かったから忘れてたわ」

 

「はぁ……まぁ、思い出していただけて光栄です」

 

 御剣はため息をついた後、ピシャリとこちらを睨みつける。

 

「それにしても、君。女神様に対して無礼すぎる。そこの君も、なぜ止めない!」

 

 え、俺までアウト!?

 

「無礼もなにも、こいつは俺の“持ち物”だし」

 

「な、なんだと!? 女神様を……選んだのか!?」

 

「ああ、選んださ。だって、こいつが俺の死に方バカにしたからな。文句あるか?」

 

「そっちの君もグルか!?」

 

「ちょ、ちょっと待て、俺は関係ないから!」

 

「ええ、ユウマさんは私と一緒に転生しただけなので」

 

「くっ……なんて腐った性根なんだ……前に出ろ! 君たちの魂を、正してやる!」

 

 ……よく言うわ。こっちから言わせりゃ、正義感こじらせた痛い中二病だよ。

 

---

 

「いいぜ……てめぇの歪んだ正義、俺がぶっ壊してやるよ」

 

「おう、上等だ。ユウマ、やってやるぞ!」

 

「ちょっと、二人とも落ち着いて!」

 

「エリス、イリスの目を塞いでてくれ」

 

「どこからでもかかってこい。初心者相手でも、俺は手加減しない!」

 

 先に動いたのはカズマ。だが――

 

「はっ! そんな素人剣術、通じない!」

 

 めちゃくちゃな剣の振りで攻めるが、全部かわされる。

 

「チッ……」

 

「今度はこちらの番だ」

 

 キョウヤが魔剣を構え、カズマに斬りかかる――!

 

「《固有時間制御:二重加速》!」

 

「なにッ!?」

 

 俺は時間を加速させ、カズマの腕を引っ張って回避!

 

「君、その動き……まさか盗賊か?」

 

(……こいつ、俺がウィザードだって気づいてない!? ラッキー)

 

「カズマ、いい案がある。俺がフェイクで演技するから、隙を突いてやれ」

 

「了解!」

 

---

 

「いくぞ、ミツルギィィィ! スティール!!」

 

 俺は叫びながらキョウヤの脇をすり抜ける。

 

「……って、何も取れてないじゃ――ぐふっ!」

 

 隙だらけになったところに、カズマのストレートが炸裂!

 

 魔剣を奪い取り、そのまま首元へ突きつける。

 

「ゲームオーバーだ」

 

「……悪いけど、俺、盗賊じゃなくてウィザードだから」

 

「そ、そんな……ガクッ……」

 

「お疲れ、ユウマ」

 

「おう、カズマ。タイミングぴったりだったな」

 

 エリスとアクアが後ろでぽかんとしている。

 

 ――まぁ、騙し討ちだし仕方ない。正面からじゃ勝てなかったしな。

 

---

 

「で、この魔剣どうする?」

 

「俺がもらっていいか? ちょうど武器が足りてなくて」

 

 カズマから魔剣を受け取ると――

 

「ちょっと待ちなさいよ! それはキョウヤの魔剣よ、返しなさい!」

 

「返せもなにも、ケンカ売ってきたのはそっちだろ? これはお代だ」

 

「でもそれ、キョウヤにしか使えない神器よ? あんたが持ってても意味ないじゃない!」

 

「別に“力”は使えなくても、丈夫ならそれでいい」

 

「もう、なんでもいいから返してよ!」

 

 うるせぇ……なんてしつこさだ。

 

---

 

「ユウマ、ここは任せてくれ」

 

 カズマが一歩前に出る。

 

「俺は真の男女平等主義者だ。女の子相手でもドロップキックかませる。スティールも炸裂するぞ?」

 

「お、覚えてなさーい!!」

 

(うわ、ほんとにやりやがった……)

 

「さすが、カスマさんだわ。……あれは引くわ」

 

「えっ……ほんとにそんなことしないですよね……?」

 

 女性陣はドン引き状態。まぁ、当然だ。

 

「なんだよ駄女神。そもそもお前がダメダメすぎだから」

 

「なによ! 女神には女神なりの心情ってものがあるの! 少しは気遣いなさいよ、このヒキニート!!」

 

「はぁ!?《スティール!》 《ウィンドブレス!》」

 

 アクアのスカートがぶわっ――

 

「ユウマさん、最低です」

 

 エリスのストレートが俺の腹に命中。

 

「カズマさんも! 公衆の面前で何してるんですか!」

 

「ウェェッ!」

 

 エリスの蹴りが、カズマの股間にクリティカルヒット。

 

 その後、アクアの泣き声をBGMに、俺とカズマは夜までエリスの説教を受けることに――。

 

 数日後、アクセルの街にはこんな通り名が広まっていた。

 

---

 

鬼畜のカスマ

 

チンピラユウマ

 

鬼のエリス

 

 

 

……もはや俺たちは、伝説の一歩手前である。

 

---




なんていうか、大勢のキャラを同じ場面に使っていると自然と会話が多くなっちゃうんです。これは僕の実力不足なんで勘弁してください。それと、カズマさんが、チンピラになっちゃてますよね。次回から反省したいと思います。スティールとウインドブレスのコンボは僕がただやってみたかっただけです。許してください。次回も来週になると思うのでよろしくお願いします。
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