この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第6話 極限の瞬間

 

 

 

 

アクセル近郊の森奥、朽ちた古城の最上階。

 

静寂を裂く金属音が鳴り響く。

 

魔王軍幹部——首なし騎士デュラハンと、一人の冒険者の激戦が繰り広げられていた。

 

剣を交えるその青年、工藤悠真。冒険者としての経験は浅い。しかし——

 

(こいつ……本当に素人なのか?)

 

デュラハンは困惑していた。

 

ユウマの剣筋は、目で見れば素人そのもの。構えも粗く、動きも雑。だが——

 

(隙が、見えない……!)

 

打ち込み、弾き、また打ち込む。

 

ただそれだけの単純な剣戟。しかし、異常なまでの速度で繰り返されるその動作に、デュラハンの目は追いつかない。

 

(あれからかなりの時間がたったはずだ。それなのに何故、速度が落ちない!?)

 

ユウマは今、「ゾーン」に入っていた。

 

痛みも疲労も思考すら霞む、極限の集中状態。己の限界を、完全に超えている。

 

(なぜだ……あそこは初心者の街だったはず……)

 

デュラハンが半歩、無意識に後退した。その一瞬——

 

「全剣連続投射!《ソードバレル・フルオープン》!」

 

ユウマの背後に漂っていた短剣十本が一斉に宙を走り、デュラハンの背へと突き刺さる。

 

「ぐっ……!」

 

二本が肉を貫いた。神気を宿す女神の加護付き。

 

その刃はただの傷だけでなく、浄化の呪いをもデュラハンに与える。

 

(くっ……攻撃の隙を見せた瞬間、的確に短剣が飛んでくる……! なんという集中力だ……!)

 

八本の短剣は回収済み。残りはあと二本。そして、体力の限界も近い。

 

だがユウマは笑っていた。右腕を切られ、血が噴き出しても、なお——

 

(なぜだ……なぜ笑う!?)

 

——その狂気は、恐怖にすら値する。

 

(こいつ……ただの人間じゃない……)

 

そして、ユウマの最後の短剣二本が、至近距離からデュラハンの腹を抉る。

 

(くっ……零距離、か……!)

 

除霊の浸食が加速する中、デュラハンの体力も限界が近づいていた。

 

(この街はどうなっているんだ!? 毎日爆裂魔法をぶっ放す爆発魔……人前でパンツを剥ぐ鬼畜魔……悪質すぎるアクシズ教の女神を名乗るプリースト……! 俺はただ、ウィズを求めて来ただけなのに……)

 

そのとき--

 

ガンッ!!

 

重厚な扉が蹴り破られ、戦場に風が吹き込む。

 

 

---

 

──その時だった。

 

ユウマたちのいる部屋の扉が、轟音とともに吹き飛んだ。

 

 

 

***

 

 

 

「……ユウマさんが、一人でデュラハンと戦ってる!?」

 

ギルドでおやつを食べていた私たちの元に、アクアさんが血相を変えて飛び込んできた。

 

即座にパーティー全員が立ち上がり、古城へ急行。

 

途中の廊下はアンデッドで溢れかえっていたが——

 

「かかってこい!当たらないがなァッ!」

 

ダクネスさんは、当たらない剣を豪快に振り回し、

 

そのぶんアンデッドからの攻撃を一身に浴びて大興奮。

 

エリスさんは無表情で一体ずつ確実にタコ殴り。

 

取りこぼした敵は、カズマさんが手堅く止めを刺していく。

 

アクアさんは……魔力回復と称して、ただの水をめぐみんさんに飲ませていた。

 

……めちゃくちゃすぎる。

 

 

 

「皆さん、デュラハンの部屋前のアンデッドはすべて排除しました。行きましょう」

 

エリスさんが、顔がパンパンに腫れたアンデッドを片手に、きっぱり言った。

 

いつもの優しいエリスさんはどこへ……。

 

勢いそのままに扉を開いた私たちは——凍りついた。

 

 

 

「……っ!」

 

部屋の中。そこでは、血塗れになったユウマさんが、ただの鉄塊となった魔剣を手に、デュラハンの懐へ捨て身で切り込んでいた。

 

その姿は痛々しく、もはや立っているのが不思議なほどだった。

 

「ユウマさん!!」

 

聖剣を握る手が震える。足がすくむ。

 

デュラハンがこちらを向く。

 

 

 

「なんだ貴様らはぁっ!! どれだけ狂っているのだ!!」

 

エリスさんの足元に横たわる部下の亡骸がデュラハンの目に映る。

 

怒りの咆哮と共に、頭部が宙を舞い、ユウマを吹き飛ばす。

 

「《魔眼》!!」

 

次の瞬間、私へと距離を一気に詰めてくる。

 

 

 

「イリスさん!」

 

「イリスッ!!」

 

カズマさんとエリスさんの叫びが聞こえた。だが私は——

 

 

 

グシャッ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

——肉を貫く音。

 

振り返ったデュラハンが目にしたのは、傷だらけのユウマの姿だった。

 

「貴様……まだ動けたのかっ!?」

 

ユウマは震える右足を地に踏み締め、剣を突き立てる。

 

その目は、決して折れていない。

 

 

 

「《固有時間制御・三倍加速》《タイムアルター・トリプルアクセル》!」

 

 

 

右足に力が入らない。

 

ならば左足で飛ぶまで。

 

ユウマは空を裂いて跳び、デュラハンの“頭”を一直線に狙う。

 

 

 

「くらえ、変態騎士ッ!!」

 

「なに、頭を……やめ……やめろおおおお!!!」

 

 

 

ズドン!!

 

鈍い音とともに、デュラハンの頭が地面に叩きつけられ、砕け散る。

 

 

 

***

 

 

 

「……助かった?」

 

「ユウマさん!しっかりしてください!!」

 

エリスさんが駆け寄る。

 

アクアさんが真剣な表情で治癒魔法を放つ。

 

みるみるうちにユウマさんの傷が癒えていく。

 

 

 

「……駄女神もやるときゃやるじゃねぇか」

 

「うっさいわね、カズマ。私はね、ちゃんと考えてるのよ。ユウマが倒れたら、収入源が途絶えるでしょ?」

 

「おい、お前金持ってたのか!? 俺が払ったツケ、返せコラァ!!」

 

「ぎゃー!! なにすんのヒキニート!!」

 

 

 

カズマさんがアクアさんの頭を殴り、アクアさんがぐるぐると頭を振る。

 

「わかった、返すから!だから昨日のアレは言わないでええええ!!」

 

……安定の地獄テンポだ。

 

 

 

「え、ところでユウマさんと……あれ、ベルディアさんは……?」

 

倒れていた美女がゆっくり起き上がる。ウィズさんだった。

 

「おお、ウィズじゃねーか。なんでここに?」

 

「まだ成仏してなかったのね、リッチー。しぶといわね」

 

アクアさんが詠唱しようとするのを、ダクネスさんとめぐみんさんが全力で止める。

 

 

 

「アクア、ウィズはいいリッチーなんだ」

 

「そうですよ。アクアよりずっといい人なんですから」

 

 

 

そのまま一味はアクアを引きずりつつ城の外へ。

 

ユウマを支えるカズマさんとエリスさん、そしてウィズさんも後に続く。

 

……しかし、私は違和感に気づいた。

 

(……デュラハンの、胴体が……ない?)

 

急いで外へ駆け出す。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

「フフフ……フハハハハ!!」

 

 

 

禍々しいオーラを纏ったデュラハンの胴体が、城の前で待ち受けていた。

 

「貴様ら、ここで終わると思ったら大間違いだ! 仲間たちの怨念、今ここで晴らしてやる!」

 

 

 

「そうですか。それはご苦労なことですね」

 

めぐみんが一歩、前へ出た。

 

「元はといえば……私が原因。ならば、私が責任を取りましょう」

 

その足元に、赤い魔法陣が浮かび上がる。

 

 

 

「ほう、自ら。前に出るとは。頭のイカれた紅魔の娘よ」

 

 

 

「本当は、古城への最後の一撃として詠唱していたんですが……」

 

めぐみんは、いつになくドヤ顔だった。

 

「思わぬ大物が出てきてくれましたので——このクエストのフィナーレを飾らせていただきます!」

 

 

 

「《エクスプロージョン》!!!」

 

 

 

轟音。地鳴り。魔力の奔流。

 

すべてを包み、すべてを焦がし、すべてを吹き飛ばす。

 

デュラハンの断末魔は、爆音にかき消されて聞こえなかった。

 

 

 

「ふぅ……私の人生で、こんなにもスッキリしたことはありません!」

 

めぐみんは胸を張り、満足げに振り返る。

 

「カズマ、点数を!」

 

「——0点」

 

「えっ!? なんでですか!?」

 

「いやさ、誰におんぶしてもらうの? あと、帰り道も吹き飛んだぞ」

 

「……え?」

 

 

 

めぐみん、爆発とともに沈黙。

 

そして、今日もアクセルの一日は終わる——。

 

---

 

 




比較的この小説ではめぐみんとダクネスは影が薄いので、今回はがんばって見たんですが、ダクネスが…。
それと、エリス様のキャラ崩壊はやりすぎでしたかね?アクア以上にアンデットに容赦ないので、こんな感じで、書いてみたんのですが。
さぁ、次回は箸休めとして、前々から言っていた、前日潭です。今回はユウマの過去です。
第1章は10話までなので、多分、原作の内容を飛ばし飛ばしで、やっていきます。ちなみにユウマ達には支障はないと思います。
もし、よろしければ感想、アドバイス、よろしくお願いします。
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