この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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青年は言った、それでも救えるなら自分の全てを投げ出すと。
悪魔は自嘲気味に嗤った、投げ出した結果がこれだったと。


第二章 死闘!悪徳領主
第11話 残念なフラグ回収


 

 

 

 

 

 機動要塞デストロイヤーの討伐から数日後。

俺達はデストロイヤーの賞金を受け取るため、ギルドに来ていた。

ーーが。

 

 

「冒険者、サトウ カズマ!貴様には現在、国家転覆罪の容疑が掛けられている。自分と共に来てもらおうか!」

 

 

 騎士を従え、険しい表情をした眼鏡の女は、突然街を救った英雄に対して言ってきた。

 

 

「……えっと、どちら様でしょうか?てか、国家転覆罪て?俺はただ、賞金を受け取りに来たんだけど」

 

 

 カズマはオドオドとした様子で尋ねる。

さっきまで大騒ぎだったギルド内は、まるでそんなこと無かったかのように静まり返っている。

 

 

「自分は、王国検察官のセナ。国家転覆罪とはその名の通り、国家を揺るがす犯罪をした者が問われる罪だ。貴様には現在、テロリストもしくは、魔法軍の手の者ではないかと疑いが掛けられている」

 

 

 セナと名乗った眼鏡の女は、カズマを睨みつける。

 

 

「ちょっと待てよ。カズマはデストロイヤー討伐に大きく貢献した、言わばこの街の英雄だ。それをテロリストだなんて、ふざけるのは止めて、とっとと出すもの出して貰おうか」

 

 

 俺はカズマの前に立ち、セナに向かい合う。

そして、周りの冒険者達は俺の言葉に便乗され、セナ達へ野次を飛ばす。

ーーが、そんなことには動揺せず、セナは言う。

 

 

「その男の指示で転送された、機動要塞デストロイヤーの核であるコロナタイト。それが、この地方を治める領主殿の屋敷に転送されました」

 

 

 その一言で、周りは静まる。

その時、俺の脳裏に一つの言葉が流れる。

『 大丈夫だ!世の中ってのは広いんだ。人のいる場所に転送されるよりも、無人の場所に送られるほうが可能性は高い。全責任は俺が取る。こう見えても、俺は運がいいらしいぞ!』

あ、……とんでもないフラグじゃねえかよ。

固まる俺の後ろで、カズマは動揺した様子で言う。

 

 

「なんて事だ!俺のせいで領主が爆死しちまったのか!」

 

 

「死んでいない、勝手に殺すな!使用人を出払っていた上に、領主殿は地下室におられたとの事で、怪我人も出ていない。屋敷は吹っ飛んだがな」

 

 

 セナの言葉で、カズマはほっとする。

 

 

「それじゃあ、今回のデストロイヤー戦での死者はゼロってことか。良かった良かった」

 

 

「何が良い!貴様は状況が分かっていないな?今の貴様にはテロリストか魔王軍の手の者ではないかと疑いが掛けられているのだぞ。まあいい。詳しくは署で聞く。」

 

 

 ギルド内はとっくに諦めムード。

誰一人としてカズマを庇うものはいない。

おい、そんなんでいいのか?カズマは英雄だぞ?なんで、見捨てるんだよ!

 

 

「おい、待てよ」

 

 

 カズマの肩にのったセナの手を掴む。

 

 

「貴様、なんの真似だ。国家転覆罪は犯行を行った主犯以外にも適用される場合がある。邪魔をするなら、貴様も牢獄送りだぞ」

 

 

「止めてください、ユウマ。国家転覆罪は最悪死刑になります」

 

 

「そうよ!カズマさんだって『全責任は俺が取る!』て」

 

 

 アクアとめぐみんは俺をセナから離そうとする。

どうやら、こいつらはカズマを見捨てるようだ。

めぐみんの言葉の死刑という言葉を聞いたカズマの顔は、この世の恐ろしい物を見たかのような顔をしている。

 

 

「離せよ。……国家転覆罪?死刑?やれるもんだったらやってみろ!俺はデストロイヤーを粉砕した男だ!返り討ちしてやる。」

 

 

 火事場の馬鹿力というやつなのか、普段は払えないアクアとめぐみんを振り払い、結界からマナタイトの短剣を取り出す。

その行為を見た、イリスとダクネスは俺を止めようとするがもう遅い。

 

 

「カズマ逃げろ!」

 

 

「いいだろう。二人を捕らえろ」

 

 

 カズマを追おうとする、騎士の前に立ち剣を降り下ろそうとする。

ーーその時だった。

 

 

「ごめんなさい」

 

 

 首に重い一撃が入る。

瞬間、力が抜け、俺はその場に倒れる。

朦朧とする意識の中で、エリスの声が聞こえる。

 

 

「王国の騎士に手を出したら、それこそ重罪です。我慢してください。……」

 

 

 あとに何か言ったのだろうが、そこまで聞き取ることはできず、意識が途切れる。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー

 

 

 

 

 

 目が覚めると、既に夜になっており、月明かりに照らされる牢屋の中にいた。

隣にはカズマが嗚咽を吐きながら泣きじゃくっている。

 

 

「帰りたい……。もう、日本に帰りたい……」

 

 

 平和な日本で死んで、異世界に来てみればとんでもない奴等と戦わされ、やっとの思いで乗り越えたと思えば牢屋の中。

それに、刃向かった相手は地方を治める領主ときた。

中世ヨーロッパみたいな、この世界。

場合によっては即死刑だろう。

カズマが泣きたくなる理由は分かる。

どう声をかけようか迷ってた時に、足音が近づいてくる。

 

 

「おい、別に抵抗してねぇーんだから、もうちょっと丁寧に扱えよ」

 

 

「黙れ、チンピラ風情が!とっとと歩け」

 

 

 聞き覚えのある口調だ。

あれって確か。

 

 

「ほら、入れ!まったく、貴様は何度ここに来る気だ。牢屋はお前の家ではないんだぞ。今日は先客がいるから、喧嘩するなよ」

 

 

「ヘイヘイ。それじゃ、お邪魔するぜ。……って、カズマとユウマじゃねーかよ。こんなとこでなにやってんだ」

 

 

 牢に入ってきたのは、街ではチンピラとして有名な、金髪男のダスト。

 

 

「こんな所で奇遇だな。何やったんだよ!」

 

 

 騎士がいなくなった後。ダストは嬉しそうに聞いてくる。

カズマは少しは落ち着いたらしいが、まだ話せそうにないので、変わりに俺が話す。

俺の話を聞いた、ダストはひっくり返えりながら大笑いをする。

 

 

「おいおい、カズマはテロリスト扱いで、ユウマは騎士に剣を向けて同罪!?最高かよお前ら!!うひゃひゃひゃ。それにしてもざまーねぇぜ。あのクソ領主、前々からうざいと思ってたんだよな~。本当、よくやったぜ」

 

 

「別に狙ってやってねーし」

 

 

「そんなんで、褒められてもうれしくねーよ。てか、お前は何やったんだよ」

 

 

 俺の質問に、ダストは笑いながら言う。

 

 

「俺か?それがさ、デストロイヤーの賞金が貰えるて聞いて、それをアテにツケでパーとやったんだけどよ、これが思ったよりもらえなくて返済できなくてよ。金がねえーから馬小屋で寝るしかないんだけど、この季節の馬小屋は凍え死ぬくらい寒い。だけど、ここは飯はタダだし、寒くもないからここに来たわけ。まぁ、そのために、無銭飲食をしたんだが、ここなら借金取りは来ねーから安心できるぜ」

 

 

 なんてことだ、こいつは名前の通りただのクズ野郎だった。

そこに呆れる、ヘドが出る。

ーーが、そんなダストのクズっぷりを聞いて、俺達はいつの間にか、お互い笑いあっていた。

 

 

 

 

 

 それから、飯を食ってすぐに横になった。ダストとカズマはすぐに寝たが、さっきまで寝ていたせいで、俺は眠れないでいた。

まぁ、そんなこんなで、昔聞いた曲でも歌っていた。

 

 

「ああー、幸せのとんぼよー。何処へ。お前は何処へ、飛んでいく」

 

 

 俺の親父は酔っぱらう度にこの曲を歌っていた。

俺は、親父が嫌いだった。下の弟には特に言わないくせに、ちょっとやそっとで、俺には強く言ってきた。

しかし、酒の酔いでするような最悪な人ではなかった。

そんな、今になっては昔のような思い出に浸ってたとき。

突然、遠くで大きな爆発音が響いた。

その音でカズマは起きるが、熟睡しているダストは起きなかった。

 

 

「なんだ、いきなり」

 

 

「さぁ?」

 

 

 その時、小さな声が聞こえてくる。

 

 

「二人とも、ねぇ、二人とも、起きて!」

 

 

 格子の外からは月の光が射す。

だが、聞き慣れた声だ。

格子の高さは俺とカズマが2人がかりになってやっと外が見える高さだ。

俺達は周囲に警戒し格子の壁に近づく。

どうやら、声の主はアクアだったようだ。

 

 

「アクア、お前何しに来たんだよ!」

 

 

 カズマは、昼間のアクア達の態度にお怒りのようで、少し怒りの入った声で言う。

 

 

「助けに来たのよ。今、めぐみんとダクネスが騒ぎを起こして署員達の気を引いてるから、これで鍵を開けて逃げるわよ!」

 

 

 格子から、針金が落ちてくる。

 

 

「それで、漫画みたいに鍵を開けて、カズマの潜伏スキルで署内から脱出しなさい。屋敷に戻ったら夜逃げの準備よ!それじゃ、私は警察署の前で待ってるから」

 

 

 アクアはそれだけ言い残すと、警察署前にかけていく。

 

 

「漫画みたいにて言われてもね」

 

 

 針金が拾い上げて、牢屋の入り口へ行く。

しかし、残念なことにダイヤル式の鍵だ。

 

 

「寝るか」

 

 

「だな」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー

 

 

 

 

 

 次の日の昼、体温で暖まった毛布にくるまっていると、いきなりセナが牢屋に入ってきて、起きたばかりのカズマを連れて行く。

 

 

「あれ、俺は?」

 

 

「貴様はあとだ。黙って、本でも読んでいろ!」

 

 

 セナは厳しい視線で吐き捨てると、分厚い本を置いて、牢屋を出ていく。

 

 

「エリス教の聖書って」

 

 

 一応、俺は仏教なんだけどなー。

少し重たい聖書を、壁にもたれてながら読む。

内容は普通の聖書と特に変わらない。どうしたら、救われるのかとかそんなことが書かれていた。

だが、後半にいくにつれ、内容は過激なものになっていき、

 

 

「悪魔とアンデット。悪魔の急所。身近な物で作れる悪魔殺戮グッズ……」

 

 

 と最後の方など悪魔の悪口などで、固められていた。

その時、ふとエリスの笑顔が頭の中に浮かぶ。

いつのも優しい笑顔の裏にこんなえげつな思考を持っていたとは。

そういえば、キャベツ狩りの日に恐い顔で俺にアンデットの話をしてきたっけ。

そんな、事を思い出してると牢屋の扉が開かれる。

 

 

「とっとと入れ!次、クドウユウマ。出てこい!」

 

 

 取り調べから帰ってきた、カズマの顔は青ざめており、話しかけられる状態ではなかった。

俺はそのまま、おとなしく牢屋を出ると、一つの部屋に連れてかれる。

部屋の中は、中央に机が置かれていて、向かい合う形で椅子が二つ置かれていた。

また、入り口の横には小さな机と椅子があり、そこで取り調べの調査書でも書くのだろうか。

 

 

「座れ」

 

 

 俺は指示通りに椅子に座ると、後ろに武装した騎士が待機する。

昨日の俺の行動から、また暴れだすと思ったのだろう。

準備を終えたセナは一つのベルのような物を机に置いて口を開く。

 

 

「これは嘘を看破する魔道具だ。発言には気を付けるのだな。少しでもベルがなれば、その場で裁判所送りとする」

 

 

 セナはカズマを連れて行った時よりも、威圧的な態度でいる。

さっきのカズマといい、取り調べの時に何かあったのだろうか。

 

 

「クドウユウマ。年齢は17歳で、つい最近ジョブチェンジをして、アークウィザードとして冒険者をしている。と言うことでいいな。では、まず、出身地と冒険者になる前に何をしていたか聞こう」

 

 

 まぁ、最初の質問はそんなものだよな。

簡単な話だけど。

 

 

「出身地は日本。そこで学生をしてました」

 

 

 当然、ベルはならない。

 

 

「……次に冒険者になった動機はなんだ?」

 

 

「魔王を討伐し、仲間のアークプリーストを故郷に返すためです」

 

 

 これも、ならない。

セナは驚いた顔で俺を見る。

どうやらこいつは、俺が地位や名誉とかに溺れたがる人間だと思ってたらしい。

 

 

「そうか、以外とまともな理由だな。それじゃあ、領主についてはどう思う?」

 

 

「なんとも思いません。てか、領主自体いたことを知りませんでした」

 

 

 ベルは鳴らないが、変わりにセナが大きな声で驚く。

 

 

「なに!?貴様は自分の住んでいる土地の領主のことを知らないのか」

 

 

「ええ、興味ないんで。それより、そろそろ本題を聞いてくださいよ」

 

 

 セナは何か言いたげな表情で俺を見るが、まぁいいと、質問を続ける。

 

 

「では、貴様は魔王軍の関係者か?」

 

 

「ああ、俺は魔王軍の関係者なんかじゃ……」

 

 

 瞬間、ウィズさんの顔が浮かぶ。

そうだ、ウィズさんは魔王軍の幹部だった!

 

 

「魔王の手先とかじゃないです」

 

 

 セーフ。危うく自滅するところだった。 

俺の発言に音を鳴らさないベルを見ると、セナは一つ呼吸を整えて言う。

 

 

「そうですか。どうやら、私は勘違いをしていたようです。厳しい態度であたってしまいすいません」

 

 

 セナの口調が柔らかくなる。

疑いは晴れたらしい。

 

 

「いえ、わかってもらえれば結構です」

 

 

 俺は頭をかいて表情を崩す。

そうすると、セナは困った顔で言う。

 

 

「ただ、捜査に危害を加えられては困ります。もしあのまま、騎士に剣を降り下ろしていれば、もっと大事になっていました。今回は注意と言うことになりますので、今後は気を付けてください」

 

 

「あ、はい。すいません」

 

 

 俺は罰の悪そうに謝る。

日本なら、あの時点で公務執行妨害になっているのだが、この世界はそこら辺、少し緩いらしい。

 

 

「それでは、これからお仲間さんに迎えにきてもらいますので、今しばらくお待ちになってください」

 

 

 部屋の外に出ようとするセナを俺は呼び止める。

 

 

「あの、カズマに少し言いたいことがあるんですけどいいですか?別に、話の内容とかは騎士を付けて調査書とかに書いてもらっていいんで」

 

 

 セナは振り返って俺を見ると、少し考えてから言う。

 

 

「いいでしょう。本来は許されないことなのですが、私達は貴方に酷い態度で接してきました。なので、せめてもの謝罪として許可を出して置きます」

 

 

 セナが部屋を出てから、俺は騎士に連れられ一晩過ごした牢屋に行く。

カズマはまだ、立ち直れてなく下を向いている。

 

 

「カズマ、大丈夫か?」

 

 

「ああ、大丈夫だよ」

 

 

 言葉とは逆でカズマの体は震えている。

コツコツと近づいてくる死の宣告に怯えているようだ。

 

 

「俺は、疑いがはれたから家に帰ることになったけど、安心してくれ!絶対に無実を証明してやるから」

 

 

 俺の言葉にホッとしたのか、カズマは少し元気な様子になる。

それからしばらくして、俺はセナに呼び出され、警察署の外に出る。

外にはエリスとイリスが待っていてくれて、俺が姿を現すと抱きついてきた。

 

 

「疑いがはれてよかったです!」

 

 

「ええ、本当に。それにしても、心配したんですよ、いきなり剣を出して。王国の騎士に手を出すことは大問題になるんですから、本当に罪にかけられなくてよかったです」

 

 

 二人とも、俺がそっちの罪をかけられると思ってたらしく、心配していたらしい。

これからは、感情的に動くのは少し控えて置こう。

それにして、戦いはまだ終わってない。

カズマの裁判にどう勝つかが問題だ。

俺は、二人を連れてカズマの屋敷に寄る。

 しかし、中は残念なことになっており、パーティーの女性陣で弁護士ごっこをして遊んでいた。

よし、こいつらは弁護席から追い出して置こう。

 

 

 

 

 




やっと新章突入です!
前書きに意味深な事を書きましたが、これについては後程。
今月は忙しくなるので、最低でも週一投稿で頑張りたいです。
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