この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第三章 人類最前線 紅魔の里
第21話 そして後日……


 

 

 

「おはようございます!ユウマさん」

 

 目を開けて一発目に写ったのはYシャツ姿のエリスが、笑顔で俺の上にまたがり朝の言葉を言ってくれる姿だった。

何がどうして、こうなった!?

起きたばかりの、動きの鈍い脳をフル回転させて、状況を整理するが、まるで意味が分からない。

確か昨日は、アルダープの屋敷から帰ってきて、ダクネスの実家の屋敷に止めてもらった気がする。

それで確か……。

 

「……!!」

 

 前に垂れた髪を、左手で後ろへ持っていく何気ない仕草に、全ての思考が飛んでいく。

ちょっと待って。朝のこの状況でそんなことされたら、俺、萌え死ぬから!

 

「その……」

 

 はにかんだ表情で下にうつむくエリス。

 

「あっ!」

 

 その目線の先には、俺のオットセイが元気に起立していた。

 

「いや。違うんだ!これは生理現象であって、俺の意思とは真逆の方向で行動するんであって……」

 

「……私がお世話しましょうか……」

 

 その言葉に体が固まる。 

嘘だろおい!これってエロゲとかである、お約束シチュエーションじゃないですか!

 

「えっと……、その、はい」

 

 上目づかいなエリスに近づく俺。

この機会をくれた、ダクネスのお父さん、ありがとうございます!

カズマ。俺は先に大人になるぞ!

 

 ーーと、その時。

頭の中の曇っていた部分が晴れた気がした。

そういえば、バニルは?

思考が答えにたどりついた時。

部屋の扉が開かれる。

 

「おはようございます!ユウマさん!朝食の用意ができ……。え?」

 

 扉を開けてご機嫌な様子で入ってきたエリス。

ーーが、こちらを見るなりいきなり驚いた表情へと変える。

 

「え!?エリス?じゃあ、こっちは……」

 

 恐る恐る視点を変える。

扉の前にいるのエリスが本物なら、こっちのエリスは……。

 

「フハハハハ!朝から、豪華な食事。感謝するぞ坊主!」

 

 俺の手が置かれた相手。

それは、今までにないくらい、上機嫌な高笑いをするバニルだった。

 

「いやいや、とても美味であった。坊主よ、そなたの悪感情。我輩の見てきた中ではトップ3に入るものだったぞ。それでは、我輩は店のことがあるから帰る。続きは二人で楽しんでくれ。なんなら、使いの者にはしばらく入らぬよう言っておくぞ」

 

 笑いを押さえず部屋を出て行くバニル。

パタンと閉められた扉の音がなんとも言えない空気に包まれた部屋に響く。

 

「……」

 

「……」

 

 お互いに目線を下に向ける。

そして、昂っていたオットセイもいつの間にか、空気を読んでうつむいていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー

 

 

 それから、ダクネスのお父さんの使いの中で、テレポート魔法を使える人がいたので、すぐにアクセルの街へと送ってもらうことができた。

それにしても、帰り際にいきなりダクネスのお父さんが泣き出したのは印象に残った。

宥めるエリスの後ろで、変わり者の娘を持つ父親の苦労をしみじみと感じた。

ダクネスよ、お父さんを大切にな。

 

それにしても、さっきから微妙な空気でエリスと話せて無いな。

さて、どうすることか……。

そういえば、屋敷で孤児院の話があったな。

詳しい話は聞いてないが、気になるな。

 

「そういえば、エリス教の孤児院。国からの支援を打ち切られたんだろ?これからどうなるんだ?」

 

「え?あ、孤児院のことですか?実はですね、ダクネスさんのお父さんが支援をしてくれることになったんです」

 

 どこかぼーとしてたエリスは、我に帰って言う。

本当、何から何までやってくださるとは、帰ってきたらダクネスにもお礼を言っておこう。

 

「明日には、司祭の下へ直接話をしてくれるみたいなので、この件については大丈夫だと思います」

 

「そうか、それならよかった。王家の懐刀が味方についてくれなら安心だな」

 

 子供達を救いたい。

バルターの夢は少しずつだが、実現に向かっている。

だが、ダクネスのお父さんの話では今回の騒動で、アレクセイ家は没落したらしい。

幸い、バルターはアルダープの被害者であったことから同罪の罪に問われることはなかった。

しかし、バルターはアルダープの養子だったこととのことで、完全に後ろ楯を無くしてしまった。

 

「バルターさん。養子だったんですね」

 

「ああ、だから孤児達を救いたいて思ってたんだな」

 

 でも、バルターならきっと這い上がってくる。

権力や家が無くなろうと、彼は自分の夢を叶えるため努力するだろう。

いつか、また出会うとき。彼が自分の夢叶えていますように。

 

「 大丈夫ですよ」

 

 春風が銀色の髪をなびく。

優しく微笑むその姿はまるで聖女のようで、思わず見とれてしまう。

 

「ユウマさん。どうしたんですか?」

 

「いや、ついついぼーとね」

 

「そうですか。そうだ!これからお洋服を見に行きません?そろそろ衣替えの時期ですし、いつまでもジャージのままだと、耐久力が乏しいままですので」

 

「ああ、そうだね。でも、俺って、こういう服しか来たことないからな。コーディネートとかよく分からんし」

 

「私に任してください!アクア先輩から見せてもらった週刊誌にのってたのがあるんです!」

 

 エリスに引っ張られながら、メインストリートを駆けていく。

それにしてもだ。アクア、お前は本当に女神だよな?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー

 

 

 それから一時間が過ぎた。

いろんな服屋に入っては、あーでもない、こうでもないと試行錯誤するエリスの姿に少しにやけてしまった。

それはいいとして、服選びに一時間かけた結果、一般的な魔法使いのカッコとなった。

別に、エリスの提案してくる服はどれも悪いものではなかった。

ーーが、あまりにも異世界離れしていた。

文系男子ぽいシャツや謎の学ラン。

どれも、この世界とかけ離れていて、結局ローブを羽織る魔法使いのカッコになった。

 

「そちらにカエルが行きましたよ!」

 

「了解。《固有時間制御 二倍加速》。からの、《偽・壊れた幻想》!」

 

 高速でカエルの体に短剣を差し込み、膨大な神気を爆発させる。

二本も刺せばさすがに爆発四散するのだが、一本ではさすがに致命傷までにはいかない。

まぁ、もともと短剣では込められる魔力の量が少ないため仕方ないことなんだが。

 

「お疲れ様です。久しぶりのカエルクエストだったので、少し不安だったんですが、以外と楽に終わりましたね」

 

「最初の頃よりはレベルも高くなったからな。一面カエルじゃない限り苦戦はしないよ。それにしても、ローブて以外と動きやすいんだな。なんか、狭いイメージがあったんだけど」

 

「最近は魔法使いも近接で戦うことが多くなったらしく、前線用のローブが主流になってきてるんですよ。ユウマさんのローブもその種類のものですので、前に着ていたジャージと同じくらいの運動性を持ってますよ」

 

 魔法使いも近接に目覚めたとか。

そういえば、ゆんゆんも近接よりの戦法を取ってたっけ。

俺らのパーティー、近接魔法使い二人と、剣士、槍を使うプリーストと近接ばっかで遠距離いねーな。

 

「それにしても、この死骸どうしますか?」

 

「あ、さすがに放置はまずいよな」

 

「ですね」

 

 辺りを見回せば、中途半端に原型をとどめてないカエルばかりで、ギルドに言っても罰金を取られるだろう。

仕方ない。

 

「食えるところは集めて、後は埋めるか」

 

「え?」

 

「嘘です。ギルドの人を呼んできます。」

 

 しばらくして、呼んできたギルドの人には、それはもう、すごく怒られました。

クエストの受諾無しに無意味にモンスターを殺してはいけないやら、食用になるモンスターはなるべく四散させるなとそれはもう、きつく言われました。

 

 

それからしばらくして、カズマ達の迎えに行こうと一度家に帰ることにした。

 

「そういえば、今日が帰りだったな」

 

「すっかり忘れてましたね」

 

「ああ、綺麗さっぱりとね」

 

 家のドアノブを握る。

一日ぶりに帰る我が家はすごい安心感をくれる。

そういえば、昨日の晩飯出しぱなしだったっけ……。

 

「ただいまっと」

 

「ユウマさーん!!」

 

 俺が扉を開けた瞬間、とても柔らかな重圧が前のほうからのし掛かる。

よく見てみるとゆんゆんだ。

 

「え、もう帰ってたの?」

 

 そんな俺の問いかけよりも先に抱きついてきたゆんゆんはいきなり爆発発言を言う。

 

「私、ユウマさんの子供が欲しいです!」

 

「あ、はい。喜んで」

 

 突然の言葉に反射的に返してしまったことに、言い終わった後に気づく。

あ、オワタ。

瞬間、後ろからくる凍てつく重圧に体を動かすことができず、鈍い音とともに俺の意識は遠くなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本来は20話の最後に入れるべき話だったんですが、一応、新章の方に入れました。
新章の紅魔の里編ですが、今回は少し長めに話数を増やしていきたいと思います。
それではまた次回、よろしくお願いします!
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