この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第28話 決意の瞳(後編)

 

 

 徐々に薄れていく砂煙から写り出てくる影。

 

「まさか、あの攻撃を受けても原型をとどめてるなんて」

 

 信じられないと声を漏らすイリス。

確かに攻撃は全て当たっていたはずだ。

それでも、それは何もなかったかのように、重たい金属音を引きずり砂煙からでてくる。

 

「あら、ただ怯えていることしかできないと思っていたら、不意打ちをしてくるなんて。でも残念ね。魔法が効かないのなら物理攻撃でて思ったのでしょうけど、私にはこれっぽっちも届いてないわ」

 

 不適な笑みを浮かべながら、こちらを見てくるシルビア。

その周りにはビリビリと雷が走っている。

 

「まさか、結界!?」

 

「半分正解で半分不正解。これは神器をもとに作った人工神器。《 熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)》」

 

 ギリシャ神話の英雄アイアスの持っていたとされる盾。

投擲武器などの飛び道具に対し無敵の防御力を誇ると言われていたはず。

それなら納得はいく。

だが、それはあくまでも本物ならの話。

レプリカにそれほどの力があるとは思えない。

 

「待ってください!神器を作るなんてありえません。そもそも、神器と言うのは人理の護り手となった英雄達の武具を神々がオリジナルに近いところまで再現したレプリカ。あなた達では決して作れる訳がありません!」

 

「フフフ。そうね。あなたの言う通りよ。私達では作れない物だったわ。私達ではね。……まぁ、そんなことはいいとしましょう。私は速く残りの紅魔族を殺したいの。昼のこともあったから見逃してあげようかと思ったけど、私の前に立つなら話は別よ。あなた達から先にあの世に送ってあげるわ!」

 

 尻尾の魔術師殺しをまるでハンマーのように扱い降り下ろしてくる。

当然、短剣ではとめるどころか、受け流すこともできない。

 

「《固有時間制御 二倍速》!」

 

 まだ、その扱いに慣れてないのか、速度さえ上げれば余裕を持ってかわせる。

しかし、永遠にかわせる訳ではない。

こちらにも体力の限界はある。

それはあのシルビアも同じだろう。

動き続けていれば体力は無くなる。

しかし、向こうにこっちの攻撃を防ぐ神器がある以上、こちらが不利なのは変わらない。

 

「《エクテリオン》!《エクテリオン》!」

 

 エリスの強化魔法を受け零距離から斬撃を加えるイリス。

たが、圧倒的な防御力を誇るアイアスの前では攻撃が通ることがない。

 

「ちょこまかと!鬱陶しいわね!」

 

「《固有時間制御 四倍速》!」

 

 魔術師殺しを振りかざされたイリスを加速して移動させるゆんゆん。

置き土産として短剣を刺しこみ爆発させていく。

……!

それは偶然だったのか。

爆発した箇所に爆発の跡とかすり傷ができているのが見えた。

いや、それだけじゃない。

シルビアの肌がしわになってきてるのが分かる。

もしかして、人工神器は自分の魔力を使って使用してるのか?

 

「エリス!もう一回、フルパワーでスターバーストを!」

 

「はい!」

 

 聖槍から放たれる大いなる一撃。

今日二度目となる大技をフル詠唱でシルビアをめがけて放つ。

 

「まさか、気づかれた!?」

 

 残り僅かとなった魔力ではこの一撃を受けきれないと判断したのか、緊急性回避に入る。

だが、その回避先にいるのは。

 

「光の剣よ、闇を裂け!《エクテリオン》!!」

 

 人工神器撃破!

目をくらますまばゆい光をまとい、聖剣はアイアスを貫く。

 

「グハァ!」

 

 肉を切り裂き、シルビアの腹からは血や内臓がこぼれ落ちる。

 

「……まだよ。まだ、終われない……!」

 

 恐ろしい信念。

体からは内臓がこぼれ落ち、到底立っていられない状態なのに、それでも、まだ倒れる訳にはいかないと、ボロボロの体を立たせる。

 

「え」

 

「私の……、私の礎になりなさい!」

 

 牙を剥き出しにし、最後の力を振り絞りイリスを襲うシルビア。

まずい!ここまんまじゃイリスが……。

 

「レールガン発射!」

 

 あとほんの何ミリかでイリスに届くはずだった、シルビアの体は突然現れた閃光に乗せられ集落のほうへ落ちていく。

閃光の発射されたであろう、その場所に立っていたのは。

 

「魔王軍幹部、シルビア!俺の名前を覚えとけ!俺は数多の幹部と渡り合ってきたカズマさんだ!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーわーー

 

 

「嘘。こんなところで終るの……」

 

 薄れゆく意識の中で、ぽつりと呟く。

思い返せば、全て不意打ちだった。

最初に紅魔の里を攻めた時。

魔術師殺しで紅魔族を狩ってた時も。

そして今の閃光も。

全て相手の不意打ちで終った。

目を閉じれば私を慕ってくれた部下達の顔と無惨にやられた亡骸がうかんでくる。

ああ、理に背いている私が言うのも変だが、神というのは理不尽だ。

いや、どちらかといえば世界が理不尽なのか。

どっちにしろ全てが終わりだ。

あと数秒で私の意識は消える。

私自身に悔いはない。

ただ、一つだけ、一つだけ願いが叶うというのなら。

……やっぱり世界は理不尽なのかも知れない。

消えかかった意識の中で、最後の光を見せるのだから。

 

「あら、報告で城に向かってみれば、ボロボロなあなたを見つけるだなんて」

 

 聞き覚えのある声に目を開いてみると、そこには特徴的なピンクの髪をフードから出した女が立っていた。

 

「ウォ……ルバク……」

 

「あなた、いつか私に言ってたわよね。これを使えば封印した半身と混ざってた時と同じくらいの実力は取り戻せるって。緊急時の時のためにとっておいたのだけど、あなたに返すわ」

 

 そういって私の口の中にアーモンドほどの大きさの結晶を入れる。

 

「それじゃあね。またいつか会えたら会いましょ」

 

 それだけ残すとウォルバクは静かに森へ消えていく。

世界は理不尽だ。

だって、やっとの思いで手にいれた希望を絶望へ変えるのだから。

ねぇ、坊や?

……それじゃあ、第二ラウンドといきましょうか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「悪いな、いいとこ取りになって」

 

「カズマ!」

 

 腕に抱えていた銃のような物をその場に置き、俺たちの所へ駆け寄ってくるカズマ。

その後ろにはお馴染みのカズマパーティーのメンバーもいる。

 

「俺達は俺達で魔術師殺しに対抗できる兵器を探してたんだけど、間に合ってよかった」

 

「本当、ナイスタイミングで助かった。一歩遅ければイリスが危うかったよ」

 

「ありがとうございますお兄さま!」

 

「おう!無事でよかった」

 

 さっきの緊張感はどこへ消えたのか、シルビアを倒したことでうかれモードになりつつある。

 

「今回は誰にも迷惑かけてないんだし、賞金がもらえるわよね!アクセルに戻ればカズマのお金も合わせて大金持ちよ!」

 

「誰にも迷惑って。シルビアに襲われた人達は」

 

「それなら安心なさい。この麗しき女神様がちょちょいのちょいで蘇生してあげるわよ」

 

「な、駄女神お前そんなことできたのかよ」

 

「当たり前じゃない。ってあんたまた言ったわね!」

 

「待ってください!いくらなんでも蘇生は無理ですよ。サツキ先輩は死に関してはすごいシビアですから」

 

「何お堅いこと言ってるのよ。女神としての格は私のほうが上なんだから最悪無理矢理こじ開けるわ。そんときはあんたも手伝いなさい。じゃないと一生その胸が小さいままに」

 

「わ、わかりましたからわかりました!ぜひ手伝わさせていただきます」

 

「わかればいいのよ」

 

「「大人げねぇーー」」

 

 ここにきてアクアの以外なチート能力が判明し、株が上がると思ったら急降下。

アクアの評価はジェットコースターだ。

 

「何を話しているのかわかりませんが、みんな生き返るのですね」

 

「えぇ、安心しなさいめぐみん、ゆんゆん。それじゃあ、とっとと蘇生して祝賀会でもしましょ!」

 

 とアクアが張り切った時だった。

今までの会話でコツコツと積まれてフラグはついに限界点を越えたのか、それともアクアの運なのか、賑やかしかった場を切り裂く。

 

「■■■■□□ッ!!」

 

 それはこの世の音とは思えない轟音。

大地に響き、生命を脅かす叫び声がシルビアの飛んでった方向、里の中心部から聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 それから数秒、地響きをたてながら何かが近づいてくる。

 

「嘘。いや、ありえるはずがないわ……」

 

 地響きが近づいてくる。

肌に当たる風は冷たく、裂くように痛い。

 

「逃げるわよ!あんなのには勝てないわ!」

 

 アクアの言葉に俺とエリス以外はきょとんとしている。

まさか、わかってないのか?

このヒリヒリと伝わってくる黒い感じが。

 

「何言ってるんだよ。そんな真面目な顔で。って、ユウマもどうしたんだよ。エリスも……」

 

 その時、この世の悪を纏った風が身体中にのし掛かる。

それは圧倒的な邪気。

言葉では説明することのできない恐ろしい物。

そして、それが現れた。

 

「■■■■□□□!!」

 

 言葉なのか叫び声なのか、木々を砕きながら現れたそれは、もはや原型を止めていなかった。

体を貫いた閃光のあとはそのままで、猛威を奮っていた魔術師殺しとは一体化、赤褐だった肌は黒く濁り血管が浮き出ていた。

 

「あれがシルビアなのか……」

 

  目を疑いたくなるが、これは確かにシルビアだ。

ただ、理性は完全に消え、本能の従うままにしか動いていない。

 

「あれがシルビアよ。でも、もう理性ないわね。どんな方法をとったかは分からないけど、あれは私たち神と同等の存在になってる。魔王軍と立場が並ぶのは気に入らないけど」

 

 冷静に分析するアクア。

いつものおちゃらけは消え、女神としている。

 

「そんな、神様なんて私達じゃ相手になりません」

 

「ええ、イリスの言う通りです。カズマここは逃げましょう。何をしてるのです!ダクネス!!」

 

「私のことはいい、お前たちは先に逃げてくれ。ここは私が引き受ける」

 

「なに馬鹿言ってんだ!こんなところで性癖出してないで逃げるぞ!」

 

「カズマ、悪いが今の私はダクネスとしてじゃない、王家懐刀、ダクティネス・フォード・ララティーナとしてあの魔物を討つ。あんな物がエリス様と同等の立場であってはならない」

 

 剣を引き抜き怪物となったシルビアの前に立つ。

威風堂々、そんなダクネスの姿を見て、ゆんゆんも横に立つ。

 

「私は次期族長となるものとして、これ以上この里を荒らさせはしません」

 

 前に立つ二人を止めようとする前に、獲物をロックオンしたシルビアが動きだす。

 

「■■■□□□□□!!!!」

 

 最初に狙ったのはダクネスから。

重々しい体で一瞬で間合いを詰め、腕を振り下ろす。

だが、最初から防御態勢をとっていたダクネスは完璧に剣で受け止める。

 

「そこ!」

 

 シルビアの背中から固有時間制御で加速したゆんゆんが短剣を突き刺す。

ーーが、その攻撃をまるで、気づいていたかのように、尻尾を振り上げ弾くし、その勢いで回転しダクネスを吹き飛ばす。

 

「ダクネス!」

 

カズマの声もむなしく、木にぶつかり倒させるダクネス。

そして、ダクネスに気を向けていたゆんゆんの溝に打撃が入る。

 

「ゆんゆんさん!」

 

 倒れこむゆんゆんのに駆け寄るイリス。

それを見て、標的を変え間合いを詰めていくシルビア。

 

「ま、避けろイリス!」

 

 叫んだ時にはもう遅い。

シルビアは完全にイリスの背後をとっていた。

グシャ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー

 

 

 目を開けると一面に草原が広がっていた。

 

「そうか、俺は死んだんだ」

 

 誰もいない草原で雲ひとつ無い青空を見ながらポツリと呟く。

ついさっき俺は死んだ。

イリスを庇って攻撃を受けたエリスを見て、ただ無我夢中にシルビアへ攻撃を仕掛けて燃やされた。

何もできなかったのだから無駄死にだ。

結局二度目も無駄死にとか、俺って学習能力ないな。

……それにしてもだ。

また死んだのだが、一度目にいる空間と違う。

確か、俺があの世界に言ってからあの世界の管理はサツキさんになったと聞いていたが、見たところ何処にもいない。

いや、二回目はいきなり天国?にでも連れて来られるのかな?

 

「……」

 

 エリスは!エリス達はどうなったんだ?

ほとんどが戦闘不能に近い状態まで追い込まれていた。

こんなところでぼーとしてる場合じゃない!

その時、後ろから人の気配を感じた。

 

「安心してくれ。君の仲間なら大丈夫だ」

 

 声のする方を向くと、そこには黒のタキシードに黒のローブを身に付けた青年?が立っていた。

 

「え?」

 

「ああ、いきなりで悪かったな。クドウユウマ君」

 

 この人、何故俺の名前を。

でも、なんだろうか。俺はこの人を知ってるような気がする。

 

「あなたは……?」

 

「俺か?俺は……いや、それは駄目だな。そうだな、俺はただの結界魔術師さ」

 

「結界魔術師。てことは、……いや、そんなことはいい。エリスは?カズマ達が大丈夫だってどういうことだ?」

 

「そう焦んな。今の所は大丈夫だ。あ、そうだな、一つ君は勘違いしてるが、ここは天国じゃない。というか、まだ死んでない」

 

 え、死んでない?

なら、ここは何処だ。

 

「ここは固有結界のなりかけ。って言っても理解できないだろうから、簡単に君の心の中だと思ってくれ」

 

「俺の心の中?」

 

「あぁ、そして、この世界は君自身の世界だ。流れる時間も向こうの世界とは違う。たとえ、ここで一時間、一週間と過ごそうと向こうの世界では一瞬の出来事になる。まぁ、この世界が大きくなって現実世界で展開できれば、固有結界になるんだが、いまはいいか。とりあえずここと向こうは時間の流れが違うとだけ覚えてくれ」

 

「だがら、大丈夫ってことか」

 

「そうだ。その代わり、向こうでは君は今絶賛炎上中だから気をつけて欲しい」

 

「そうか、シルビアの魔法のせいか。ちくしょう、今の俺じゃ抜け出すのは」

 

 

「そのために俺が来た」

 

「え?」

 

「来たって表現は違うか。正しくは現れただな」

 

 現れた?

さっきから思ってたが、この人なんで俺の心の中に入れているんだ。

 

「説明するのは難しいんだが、君の中に送られた魔力の中に俺はいたんだ。君がピンチな時に現れるように設定されてね」

 

「それって」

 

「悪いが、そろそろ時間がない。無理矢理ここを開いたせいで俺の魔力は長く持たない」

 

「は?」

 

「悪いな。すぐに本題に入る。」

 

 そう言うと青年は真剣な顔で俺を見て言う。

 

「お前は誰のために戦う?」

 

 




テスト期間やらで投稿が遅くなりました。申し訳ございません。
本当は今月で三章を終わらせたかったです。
次回ですが、ついにルート分岐を出します。
fate版なのでbatendもありです笑
選ばなかったルートはまた今度書きたいと思ってます。
それでは次回もよろしくお願いします。
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