この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第32話 正体

 

 

 

 

「これで大丈夫よ」

 

 ペタンと俺の背中を押すアクア。

 

「おう、ありがと。それにしても、今回も早く治ったな」

 

「なに言ってるのよ。私だから早く治せたの。そこら辺のぺいぺいプリーストなんかと比べられたら困るわ」

 

「そりゃ、すいませんでした」

 

 苦笑しながら上着を羽織り立ち上がる。

すると、アクアが突然ストップをかける。

 

「ちょっと待ちなさい」

 

「なんだよ、治療代ならしっかり出すぞ」

 

「治療代はいいわよ、もうすぐカズマのところに大金が入るから、それで遊ばしてもらうわ」

 

「ならなんだよ?」

 

 急に真面目な顔でこちらを見てくるアクア。

あまりに真面目すぎるものでこっちも真剣になってしまう。

 

「あんた、今自分の体がどうなってるか分かってるわよね?」

 

「ああ、なんとなく」

 

「なんとなくじゃないわよ!」

 

 急に怒鳴り出すアクアに驚いて体が固まる。

 

「あんたの体にはとてつもない爆弾が二つあるの!その爆弾のおかげで、魔術回路は以前より強固にできてるけど、無理をしたらおじゃんなのよ。……あんた、自分の未来を見たでしょ」

 

「……ああ」

 

 シルビア戦の後、俺はしばらく寝込んでる時があった。

その時、俺は自分の未来を見た。

いや、正しくは全く違う世界の自分の未来と言うべきか。

誰かに褒めて欲しくて、誰かを救うことを選んだどおしようもない未来。

見殺しにした仲間のために、その在り方を通すことしかできなかった男の悲しい道を、俺は見た。

 

「どうやったかはわからないけど、今のあんたにはそのあんたの記憶が魔術回路に混じっている。そのおかげか、未来のあんたが使ってきた武器に加え未来のあんたが、インチキで繋いだ座情報が入ってる」

 

「座?」

 

「正しくは英霊の座。あんたの世界で名を残した人間たちが死後、私たちからその魂をブラック企業アラヤにぶん取られたやつらが行く場所よ」

 

 よくわからない単語が山ほど出てきて頭がこんがらがってきたな。

 

「つまり、英雄たちの魂が集まった場所ってことか?」

 

「まぁ簡単に言えばそうね。で、あんたはその英霊の座から本物の英雄たちの武器を召喚できるようになったのよ」

 

 英雄たちの武器。

神器はその武器のレプリカだと言われている。

つまり神器のオリジナルの使い放題ってことか!?

それってチートすぎるだろ。

 

「なに舞い上がってるのよ。さっきも言ったでしょあんたの体には時限爆弾があるって。その爆弾はあんたが、膨大な魔力を使えば使うほど針が進んでいくの。普通の魔法を使うぶんには問題ないわ。あと、一度召喚した武器の再召喚もね。だだし膨大な魔力を使う、爆裂魔法、新しい武器の召喚は合計三回が限度。それ以上を越えたら、あんたの体は弾け飛ぶわ」

 

 爆裂魔法も含め合計三回。

まさにここ一番の時にしか使えないな。

……。

 

「俺の体が吹っ飛ぶ!?」

 

「ええ、内から盛大にね」

 

 平然と恐ろしいことを言う女神様だ。

恐ろしすぎて何も言えない。

 

「未来のあんたの魔力は膨大な魔力を消費して傷ついた魔術回路を飲み込むように回復させていくの。言い直せば、あんたはあと三回で未来のあんたに魔術回路を飲み込まれる。けど、その強大な力に体は耐えられなくて爆発するってことよ」

 

 あぁ、いつからこんな物騒なことになったのか。

いや、後悔はないが。

 

「丁寧な解説ありがとな」

 

 椅子から立ち上がりアクアに背を向ける。

 

「もし、私がその力を失う変わりに爆弾を取り除けるって言ったらどうする?」

 

「悪いが断らせてもらうよ。せっかく守れる力を手に入れたんだ。そのために死んだとしても本望だ」

 

 ゆっくりと扉を開けて部屋を出る。

 

「そう。……よかったわねエリス。あんたの望んでいたヒーローに出会えて」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 紅魔の里から帰って数日後。

俺は数週間前に捕まった領主の証人としてダクネスの親父さんのとなりに座っていた。

 

「それでは、判決にはいります。被告人アレクセイ・バーネス・アルダープ。あなたは、その立場を私利私欲のために使い、民を苦しめたあげく、監禁、暴力などの数々の不正を行い、あろうことかエリス様の教えに背き悪魔と契約し隠蔽をしてきました。これにより、被告人アルダープ。極刑、死刑の判決といたします!」

 

 場は静まりかえり、裁判長の声だけが響く。

わかりきった結果だ。

さすが中世と言うべきか。

最悪人殺しに走ってないアルダープは日本では死刑とまではいかないが、この世界では宗教などの関係で一発死刑だ。

まぁ、一番の理由は貴族の顔に泥を塗ったことだろうか。

今回はダクネスの親父さんがアルダープの不正を暴いたことで通ってるらしいが、国の中心に関わっている人間が横暴しただけではなく、国教まで背く始末となっては貴族や王国に対しての信用はがた落ちだ。

極刑を言い渡されたアルダープの顔は絶望の色で一色だ。

ーーのだが、最後の悪あがきか。

自分がもう助からないことに覚悟をおき、それなら一発やってやろうという目。

 

その目は俺に向いていた。

 

「裁判長……」

 

「ん。民の前に立つのもこれが最後です。言いでょう。被告人、最後の言葉を許します」

 

 ここでひとつ確認しておこう。

ここベルゼルクは宗教に関してとても信仰が熱い国だ。

その中でも特に貴族たちは宗教を強く信仰するものも多い。

ダクネスがいい例だろう。

エリス教の教えに刃向かう者には彼女もきっと剣を抜くだろう。

まさに、今俺の周りにいる貴族たちがそれだ。

みんな血なまこになって腰の剣に手をかけてアルダープを見ている。

この世界では権力者と神の言葉は絶対だ。

この裁判がそれを物語っている。

神に逆らったアルダープは裁判の中、一言も話させてもらえなかった。

そんな中、アルダープは最後の言葉を言う。

 

「裁判長。この中にもう一人、神に背く愚か者がいる」

 

その言葉に辺りが静まる。

ベルは鳴らない。

 

「そうだろ?冒険者よ」

 

 周りの視線が俺に集まる。

俺は必死に頭の中をさぐる。

いったい何を言ってるんだこいつは!?

そして、答えが浮かぶ。

アルダープが知っているであろう、俺が神に背いた行為。

それは……。

バニルとの契約。

 

「あっ……」

 

 すくわれた。

まさか、エリスを救おうとした手で、自分の足をすくうとは。

なんて返すべきか。

嘘をつけば、このあとの裁判は俺の裁判になる。

すべての知恵を絞って探せ!

何がいい。

何がこの場を抜けられる答えだ?

それは、俺にとって長い時間だった。

どれ程たったのか、俺の異常に察したのか、傍聴席から俺の方へと足音が聞こえた。

 

「裁判長……」

 

 そして、俺の前に立って裁判長と対峙していたのは……。

 

「あ、あなた様は!」

 

 紋章のはいったペンダントを前に綺麗な金髪がなびく。

 

「私は、ベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・アイリスです。この者は王国が預かります」

 

 そこに立っていたのはイリスだった。

となりに座っていたダクネスの親父さんや周りの貴族も驚いて立っている。

 

「イリス……」

 

「すいません。今まで黙っていて。ですが安心してください。ユウマさんは私が助けますから」

 

 

 




全く音沙汰無しですいません。
忙しくて投稿できませんでした。
今週も少し忙しいので投稿が遅れますが、よろしくお願いします
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