この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第44話 それが一番大事

 

 

 

 

 

 

相変わらず、和やかな笑顔のサツキさん。

そして、いるはずのない相手に動揺を隠せないエリス。

まるで、やらかしたときの俺とエリスを見ているようだ。

というより、エリスのマウントをとるような笑顔はサツキさん譲りだったことにさらに驚く。

まぁ、考えてみればこの二人はなんとなく似ている。

いや、アクアがこの二人よりかけ離れ過ぎているのか。

 

 

「ハックション!」

 

 

「おいおい、アクア。こんな時か夏風邪か?」

 

 

「今、誰かが、この麗しき女神様で不浄の妄想をしたわ!」

 

 

「なわけあるか。どうせ腹出して寝てるから風邪ひいたんだよ」

 

 

「いや、絶対……。て、なんであんたが私の寝相をしてるのよ。まさか、夜な夜な夜這いに」

 

 

「笑わせるなよニート女神。お前、いつも酒で寝落ちしてそこら辺のソファーで転がってるだろ!」

 

 

今どこかで痴話喧嘩してる姿が映ったのだが。

まぁ、いいか。

 

 

「な……、なんで、あなたがここにいるんですか!?」

 

 

「てへ」

 

 

「てへ。じゃないですよ!勝手に人を送っておいて、自分はフリーって。いいわけないですよ!先輩!!」

 

 

「先輩……。なるほど」

 

 

なんとか察してくれたアイリス。

説明の手間が省けてありがたいのだが、これはどうするべきか。

 

 

「別にフリーって訳ではないんだけどなー。って、そんな冗談きかないか」

 

 

「ききませんよ!アクア先輩にしろ、サツキ先輩にしろ、冗談が冗談で済まないじゃないですか」

 

 

「そういえば、アクアちゃんはどうなんですか?ちゃんとやってますかね」

 

 

「アクア先輩は相変わらずですよ。って、そんなことより、話を逸らさないでください。もう、、それより私の仕事のあとはどうなさったんですか」

 

 

「あー。そうでした!あなたの仕事ならちゃんと適任な人な任せましたから安心してください」

 

 

「先輩の適任の人って、心配なんですが」

 

 

「少しは信用して欲しいなー」

 

 

それにしても、エリスのキャラの変わりようにはびっくりなのだが。

てか、サツキさんの言っている後継人ってクリスのことじゃ。

 

 

「かわいい後輩も見れたことですし、私は戻りますか」

 

 

「ええ、そうしてください」

 

 

呆れすぎて疲れてしまったのか。

かなり、へとへとだ。

 

 

「それでは皆さん。こんな子ですがよろしくお願いします」

 

 

表に出さないだけで、一番エリスを心配していたのだろう。

一人一人の顔を見て微笑んで言い残すと背を向ける。

なんだかんだ言って、後輩思いのいい先輩。

このまんまで終わっていれば誰もが思うだろう。

しかし、俺は見てしまった。

背負われたカバンの中から微かにはみ出たお宝を。

 

 

「今回はアクセルのどこに店を出すんですか?」

 

 

「……。秘密です」

 

 

「へぇ?」

 

 

まさに一瞬だった。

エリスの声と同時にサツキさんは姿を消した。

本能的なものだろうか、それはいいとして、詠唱破棄でテレポートを使えるのはすごい。

 

 

「さすがアクアさんの同期ですね」

 

 

「アイリスちゃん。口に出しちゃダメだよ」

 

 

恥ずかしさのあまり、静かに顔を赤らめていたエリスを俺も静かに見守った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ただいま、世界最大のダンジョン地下二十階。

この世界でまさか息切れするほどの練習をするとは、思っても見なかったしだいです。

 

 

「ふぅ、一通りこのような感じでしょうか。お二人ともお疲れ様です」

 

 

「お、終わったーー」

 

 

「お、お疲れ様です。それにしても、ウィズさんの教え方すごい分かりやすかったです!」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

ベテランアークウィザード一人とアークウィザード二人ということで、さっそくダンジョンに潜って、モンスターサンドバックに魔法のトレーニングをしていた。

なによりも、俺とゆんゆんが同じ系列の魔法を使うため、特訓しやすかったといえはしやすかった。

ちなみに、エリスとアイリスは今日もクレアさんの呼び出しに、ギルドに行っている。

 

 

「さすが一流アークウィザードの紅魔族です。基礎がしっかりしていたので私も教えやすかったですよ。お弟子君も基礎トレーニングを疎かにしていませんでしたね」

 

 

「それでも、専門分野でこうも容易く抜かれるのはちょっと悔しいな」

 

 

「そう、悲観にならないでください。紅魔族はアークウィザードのプロフェッショナル。同じ土台に立つなんて、それこそ賢者レベルじゃないと無理です。それに、お弟子君の適正職はウィザードじゃないのに、ここまで近づけるのは相当すごいんですよ」

 

 

「なるほど。絶対に超えられない種族の壁か。日本人が外国人選手に勝てないのと同じで、生まれ持った才能が違いすぎるのか。……、ちなみにゆんゆん今の固有時間制御と結界はどれくらいまで?」

 

 

「えーっと。固有時間制御は5倍速で結界は七式です」

 

 

「いやまて、レベルがおかしい」

 

 

どっちも最高値まで取得してるのはずるすぎるだろ。

俺なんて、4倍速と五式結界が限界だ。

いくらスキルポイントを貯めても取得不可で手ずまりだ。

 

 

「ユウマさんには時止めがあるじゃないですか。それにインストールも」

 

 

「そうですよ。お弟子君とゆんゆんさんは同じ分野でも、系統が違うんですから」

 

 

そう、結界魔術は二種類に分かれる。

固有時間制御と結界はその中でも初級。

結界魔術の基本だ。

本題はこの二種類に分かれること。

簡単にいうと、時間と結界、この基本から枝分かれしていくのだ。

ちなみに、俺は時間でゆんゆんは結界。

俺が結界を極めきれないのは、時間の系統に枝分かれしたからだ。

一応、ゆんゆんは時間も結界も基本は極めているけど、俺みたいに時止めや過去からそのまま武器を引っ張りだすインストールはできない。

 

 

「それじゃあ、そろそろ戻りましょうか。いつまでもここにいたら、他の冒険者の迷惑になってしまいます

 

 

そう言って師匠はスクロールを取り出す。

安心して欲しい。

これは師匠の店で取り扱っているものではなく、ギルドから支給されたあなぬけのひも、みたいなものだ。

 

 

「それでは、〈 スクロール〉!!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

あれから、一通りギルドに報告し夕飯に集合と言う形で師匠とはわかれた。

ここに来たら絶対に寄っているという、冒険者時代愛用していた鍛冶屋に行くそうだ。

さすがに一文無しは辛いのではと、受講代を払おうとしたら、どっから取り出したか分からない金庫を笑顔で見せられた。

多分仮面公爵のものだろう。

気の毒としか言えない。

今頃発狂しているだろうか。

 

 

「そうだな。せっかく時間もあるし。本格的に攻略するのは明日にして、今日は観光でもするか。ゆんゆんは何か行きたいとことかある?」

 

 

「え!えっと、ちょっと待ってください」

 

 

携帯ポーチからなにやらゴソゴソと探し始めるゆんゆん。

そして一つの手帳を取り出す。

ちらっと目に入った、友達と行きたい観光名所ベスト100という題名に、俺はライフを削られる。

てか、ベスト100はいらないだろ。

 

 

「確か、ここです!国立記念公園。『 ダンジョンの上にある自然豊かなこの公園から見る街は、感動の一言に尽きる。よく晴れた日には、隣国エルロードの王城やアルカンレティアの山が見える』どうですか?」

 

 

「国立記念公園か。ちょうど快晴だし、行ってみるか」

 

 

ダンジョンで有名になった街と聞いていたが、他にもいい観光名所はあるようだ。

ゆっくりできる時にゆっくりするのが吉。

海が近くにあるからか、吹く風は涼しいので日向ぼっこついでに少し寝たいな。

 

 

と、いつの間にそんなに勉強しのか。

ガイドもビックリの解説に、ゆっくりどころか植物と隠れ名所の見学になってしまった。

 

 

「見てください、このサボテン!なんと100年も行きたいるとかで、噂では精霊が宿ってるらしいたですよ!」

 

 

「お、おう……」

 

 

「凄いです!アルカンレティアの山々があんなにハッキリ!……めぐみんにも見せたかったなー」

 

 

いつもに増して紅い瞳を輝かせる少女。

本人が楽しめているのならそれで十分なのだ。

しかし、さっきからことある事に、暗そうになる。

 

 

「なぁ、ゆんゆん」

 

 

「は、はい?」

 

 

「なんか悩んでないか?その……、人間関係とか」

 

 

少しの間を開けて大丈夫ですと笑って言う。

いや、決して大丈夫ではないだろう。

 

 

「なんて言うのかな。ゆんゆん、相当無理してるだろ。この前のアイリスの時にしろ、俺とかいっぱいいっぱいで勝手に行動してて。その、寂しかったりしたろ?」

 

 

「さ、寂しくはありませんよ……。みんなアイリスちゃんを助けようと必死で、私だっていろいろしてましたし」

 

 

声がだんだん小さくなるのは図星ということだろう。

前々から思っていたが、ゆんゆんには自分の意志とは関係ないことばかり頼んで、いっぱいいっぱいでちゃんと関わって上げられてなかった。

 

 

「ごめんな。話とかしっかり聞けて上げられなくて」

 

 

「そんな、ユウマさんが謝ることないですよ!私からちゃんと話にいけばいいのに……」

 

 

「なぁ、ゆんゆん。友達100人できるかなって、現実的に有り得るかな」

 

 

「え?」

 

 

昔、多分幼稚園くらいの頃だろうか。

日本人なら誰だって知っているこの曲を聞いて、当時はなんとも思わなかった。

だが、それなりに人と関わって分かったことがある。

 

 

「友達100人なんて、なんかだるいよな。だって、100人もいたら、絶対誰かとは付き合いが悪くなるじゃん」

 

 

「でも、みんなと一緒の方が楽しいような」

 

 

「いや、逆だ。大変だよ。100人みんなが同じ性格じゃないんだ。必ずしもみんながみんな、仲良くなれるとは限らない」

 

 

少女の夢を潰すのは悪い気がする。

でも、それが現実なんだ。

都合のいいことなんて一生で一回起きるかどうかだ。

そんなのに頼ることなんてできない。

 

 

「だからさ、無理に誰かと関わらなくていいんだ。身近の人。俺たちや、カズマたち。街の冒険者。自分を取り巻く人達との関係が大切なんだ。あとの人たちとはそれなりの関係で十分。みんなをみんな特別扱いにすることはないんだ」

 

 

「それだと……」

 

 

「だから、めぐみんから重いとかなんだと言われるんだぞ。普通でいいんだよ。変に気を使っちゃうから、相手の行動に目がいって、結果的に上手くいかないんだ」

 

 

「普通でいいんですか?」

 

 

「あぁ」

 

 

何か吹っ切れたのだろう。

うつむいた顔を上げ、スッキリとした表情だ。

 

 

「ここが有名な国立記念公園ですか」

 

 

「あ!ユウマさんたちです」

 

 

後ろからガイドブックを読みながら歩くエリスとアイリスが来る。

 

 

「お、そっちの用事はもうすんだのか」

 

 

「えぇ、クレアったら少し過保護すぎます」

 

 

「アイリスさんに何か合ったら大変なんですよ」

 

 

「そうだ、そうだ」

 

 

「もう……。そうです!ユウマさん私たちをエスコートしてください。エリスさんたら、私とクレアが話してる間ずっとネックレスをいじってたんですよ」

 

 

「それは言わない約束じゃないですか!」

 

 

まれに、エリスにすらマウントをとるアイリスに恐れを持つことがある。

子供の視野の広さを悪用し放題で困ったものだ。

っと、アイリスとは逆に大人しすぎる子がいる。

 

 

「分かったよ。それでは、お嬢様方。今日は慣れないなりにしっかりとエスコートさせていただきます」

 

 

いつぞやの城の食事会の時のようにそれぞれの顔を見てお辞儀をする。

まれには、うん。

本当にまれに、こういうのもありだな。

三人を連れて、公園の下り坂を歩く。

あっちの世界ではなかったことをする新鮮さが楽しい。

だが、時々思うのだ。

エリスに抱きしめられたあの日。

吹っ切ったはずのあの世界に、まだ未練を抱えているんじゃないかと。

なにかある度にあの世界のことと比べてばかり。

辛いことは、きついことが多かったぶん、今が楽しいと、そう思っていた。

紅魔の里に行く途中、カズマに聞かれたこと。

魔王を倒して願いを叶えるとすれば。

魔王倒したら、エリスは天界に戻れる。

そしたら俺の役目は終わり。

 

 

 

じゃあ、そのあとは?

 

 




本当は昨日投稿したかったのですが、いろいろあってむりでした!
ただ、週1ではしっかり投稿するのでそこは安心してください。
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