この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第46話 ありうべからざる日常

 

 

 

 

 

ピピピピ ピピピピ

 

 

「ん、あ」

 

 

 ピピピピ ピピピピ カチャ

 

 携帯に手を差しのばしてアラームを切る。

うっすらと開けた目で横を見れば、窓から光が漏れていた。

 

 

「朝か」

 

 

ーー

 

 眠気覚ましも兼ねて、水をおもいっきり顔にかける。

力加減はそれなりにしているので、かけた水は床に落ちることなく洗面器に収まる。

秋の冷えた水のおかげで、ぼんやりした意識は一気に覚醒する。

 

いつぶりだろうか、俺は夢を見ていた気がする。

しかし、困ったことに内容が一つも思い出せない。いや、思い出せないというより、何かが阻んで出てこないのだ。

ふと、時計に目を向ける。

時刻は8時をまわっていた。

 

「……。やば!」

 

 

大会明けとあって、朝練はないが学校はある。

いつもより、一時間も多く眠れたことはありがたいのだが、時間も時間で親はおろか弟までも先に学校に行っていた。

そんなかんなで、制服をきてネクタイを結んでブレザーとバックを自転車に投げ入れる。

誰もいない家の中に、俺一人のドタバタとした音が響いた。

 

 

「主将様は足が速くても、時間には置いていかれるのな」

 

 

「へいへい、言ってろよ」

 

 

時速20kmの猛ダッシュでママチャリを走らせ、チャイムがなると同時に校舎に入り、終わると共に教室に流れ込んだ。

幸い、今日は職員会議が長ぴいてるらしく、担任は来ていない。

おかげさまで、おしゃべり相手が欲しかったのか、クラスの部員にちょっかいをくらう始末だ。

 

 

「チャイムがなったらオンユアマーク。いい流しになったよ」

 

 

「いやいや、オンユアマークじゃ、まだセット状態だろ」

 

 

「細かいことはどうでもいい。俺は長距離選手だ」

 

 

俺の屁理屈に呆れたご様子。

話を昨日の大会に変えてくる。

 

 

「それにしても、大会新ねぇー。朝もギリギリに来るやつが」

 

 

「エナジードリンクと根性があればだせる!俺が示したんだからな。それにお前達もリレーで決勝残っただろ?来年はいきなり、県大会からスタート。他の学校からすれは、地区予選で自分の種目に集中できるのは羨ましいだろ」

 

 

「それもそうだけど。俺たちはリレーだから県に行けたんだ。お前と違って、個人で勝負ができるほど強くはない。あーあ、せめて0.1でも時を止められればな〜」

 

 

「時止め……か」

 

 

その時、何かが頭の中を通る。

あれ?俺は。

 

 

「全員席につけー。出欠とるぞ」

 

 

「俺戻るは」

 

 

「お、おう」

 

 

やっと来た先生の言葉にタチ歩いていた奴らは席に座る。

それにしても、今日は一段と薬品臭い。

生徒に対して無愛想な先生だが、理科の専門分野は別。

しかも、自前で薬品を買っちゃうくらい、理科の教科を溺愛している。

今日も朝早くから実験の準備をしていたのだろう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「悠真、今日は走ってから帰るだろ?」

 

 

 ただただ眠たい授業が終わり、帰りの支度をしていると部長の赤城が、横からやってくる。

 

 

「あー、そういえば、昨日大会だった分今日は休みか」

 

 

 どうしようか。今日はなんか頭が回らないから帰ろうと思っていたのだが。

 

 

「悪い。今日は帰らせてくれ。日をまたいだ三試合がずいぶんと体にきたらしくて、体がギブなんだ」

 

 

「前日までゲームやってたからだろ。まぁ、昨日は珍しくマジだったからな。ゆっくり休んでくれ」

 

 

 一声返事をして学校を出る。

陸上部が活動してないこともあって、いつもはかつかつな校庭も、今日はなんだか物寂しい。

 

 なんだ、この物足りなさは。

いつもは漂っている汗臭さが今日は全くしない。

なぜだか、少し寂しいな。

 

 

 時刻は六時を回った頃だ。

学校帰りの学生たちに仕事帰りの大人たち。

駅のダブルデッキはそれなりに人混みができていた。

 

 

暇だからといって来てみたが、これといって面白いことなどない。

缶コーヒーを飲みながら電車を見る。

思ってみれば、小さい頃はよくここに来て電車を見ていた。

子供あるあるの電車派か車派ってやつで、俺は電車派だったのだ。

だが、歳を重ねるごとにここで電車を見る機会は減っていき、いつの間にか見にこなくなっていた。

そして、俺は陸上を始め、ただひたすらに走り続けた。

 

 

七年間だ。

きっかけは単純、徒競走が得意だったからだ。

それでいて、認めて欲しくて、ただ褒めて欲しくて走った。

一度、陸上から離れた時期もあった。

だが、あいつに誘われてまたやり直した。

 

祭 祥也。

俺を認めてくれたあいつの夢を叶えるために走った。

しかし、結果は最悪だった。

俺があいつの夢を潰す終わり方だった。

 

 

結局のところ、俺はあいつをやり直す理由にしていたのだ。

気づかないとこらで、俺は周りに褒めて欲しいがためにやっていたのだ。

本当にクズだ。

 

 

『もう、無理をしないでください』

 

 

『いいんですよ。私が許します。あなたの失敗を。私が認めます。あなたの努力を。だから……』

 

 

彼女は言った、もう休んでいいと。

俺の全てを認めて、安らぎをくれた。

 

 

あぁ、なんてことを忘れていたのだろう。

あの時、守ると誓った少女の、慈悲深い笑みを。

まるで星々のように輝いた銀髪を。

嬉しい時のはにかむ笑みを。

そうだ、これは……。

 

 

「悠真?」

 

 

突然の呼びかけに、振り向く。

使い込んだウインドブレーカーとボロボロのカバン。

そこに立っていたのは。

 

 

「祭……」

 

 




今回は淡々と悠真だけで話をやりました!
エリスたちの活躍を期待していた皆様には謝罪します。
一応、次回はラグクラフト戦決着です。
夢だと気づいた悠真の前に現れた祭。
悠真は無事に夢から目覚めることはできるのか!
次回もよろしくお願いします!
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